税理士への税務相談は、どこまで無料でどこから有料なのか?
「税理士に相談したい」と考え検索すると、多くの事務所が候補にあがってきて
・相談は無料
・相談0円!
・電話で無料相談
・・・といった、文字がブラウザに並んでいると思います。
「困ったら税理士に相談しましょう」と言われていますが、上記の惹句を鵜呑みにして、すぐに相談しにいく人は少ないのではないでしょうか。
大抵の場合、「本当に無料なのだろうか」「どこまでの内容が無料なのか」「時間制限や回数制限があるのではないだろうか」と考えることでしょう。
この懸念はある意味正しく、税理士に本格的にあるいは定期的に相談に乗ってもらおうとすると契約を結ぶことになり、通常は料金が発生します。
しかし、「無料相談」という言葉もまた嘘ではありません。本当に無料相談をやっている税理士や税理士事務所はあり、有効に活用する方法はあります。
税理士に無料で相談するには、主に3つの方法があります。それぞれの特徴をみて、自社の状況や経営者の方の考えに合うものを利用してみましょう。ただし、あくまで「無料サービスである」ということをよく理解しておくことが大切です。
※注:まずは無料で税理士に相談したい!という方は、税理士コンシェルジュの『税理士無料相談室』をご利用ください。ユーザー登録して頂ければ、お近くの税理士に無料で税務相談ができます。
目次
税理士による無料相談には、どのようなタイプがある?
1、税理士事務所が行っている無料相談に申し込む
現在、飽和状態と言われるほど税理士の数は多いです。自社のある近隣の地域には、たいてい税理士がいるはずです。
まずは、その税理士事務所に問合せをして、「無料相談を行っているか」「無料であることの条件は何か」等を聞いてみましょう。納得のいく回答が得られれば、無料相談に申し込みをしましょう。
その後、税理士事務所へ行き、直接税理士と話をすることになります。自社と同じ地域にある事務所であれば、その土地ならではの商習慣の特徴や業界について詳しい可能性があります。「話が早い」「状況をわかってくれている」と感じる場合もあるかもしれません。
2、税理士によるウェブ上の無料相談を利用する
インターネットを活用している税理士や税理士事務所は多く、ブログやウェブサイトに、無料相談コーナーを設けている場合もあります。
ウェブサイト上の無料相談のやり方は、フォームへ記入後にメールでのやり取りとなったり、掲示板への投稿とレスポンスであったりと様々です。
現在抱えている疑問や不安を文章にしてみることは思考の整理にも役立ちますし、レスポンスによってはすっきりするかもしれません。
なお、相談はしつつも情報を明かしすぎないことが大切です。特に、誰が目にするかわからない掲示板での相談においては、自社の名前や場所、規模や会計に関する情報等を具体的に書き込むことは危険です。相談者が特定されるような具体的なことは書かず、一般論としての相談としましょう。
「見る人が見ればわかる」ということはあるものです。不用意な書き込みによって経営に悪影響が出たり、風評被害に遭う可能性もあるので、注意が必要です。
3、税理士会等が主催する無料相談会等に参加する
地元の税理士会や、商工会議所等の主催により、税に関する無料相談会が催されています。自治体が協力することもあります。自治体の広報や各種団体のウェブサイト等をチェックすると、開催告知が載っています。
税務相談は税理士の専門業務なので、主催団体がどこであろうと、実際に相談の相手になるのは税理士です。その点は安心ですし、無料と明示されており、一般に公開された場での相談は心理的ハードルも低いでしょうから、相談の入口としては一考に値します。
具体的な相談というよりは、基本的な事項を確認したかったり、何か情報を求めたいとき等に活用するとよいでしょう。
主催者によって詳細は異なりますが、概ね「税に関する広範囲の相談(申告、相続等)」「会計帳簿に関する質問受付」「顧問税理士の紹介」を行っているところが多いです。
税理士による無料相談で、相談できることとは?
「税に関することなら、何でもご相談ください」等と、相談受付案内には記されていますが、「何でも」といわれると具体的なイメージがつかみにくいかもしれません。主に、以下の内容について相談することができます。
1、税理士に、納税について相談できる
納めるべき税金についての相談、つまり「税務相談」です。
確定申告や相続税の申告等が代表的なところで、年度末等のいわゆる「申告シーズン」には税務署等で税務相談を行っているのを目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
その他にも過去に納め過ぎた税金の還付請求や、自社が課税事業者に当てはまるか否かの相談や、適切な節税対策の相談など、納税に関するほとんどのことを相談できます。
もちろん、各種申告を自力でやる方もいますし、自社の会計を税理士に頼らずに行っている経営者の方もいます。しかし、金額の大きさや労力、納税に関する諸手続の難解さから、特に経営者の方は税理士に相談していることが多いです。
2、税理士に、会計業務について相談できる
税務を独占業務とする税理士ですが、税金の計算のために日々の会計業務が必要であることから、税務に隣接する関連業務もその業務範囲とされています。
日常的な帳簿付けのやり方から、経営者の企業会計の設計まで、会計に関わることを税理士に相談することができます。
特に、最近ではデジタル化・オンライン化等も進んでいることから、自社の会計業務の見直しについて相談する人も増えているようです。
参照:国税庁ホームページ 給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A
3、税理士に、事業運営の手続等について相談できる
会社の税務や会計を扱うことは、事業の運営に深く関わることでもあります。事務所の所長である税理士は自らも経営者なので、経営者目線に立って相談に乗ってくれるでしょう。
また、所長税理士ではない税理士も、数多くの会社を目にして得た知見を持っているので、事業運営に関するコンサルタントとして頼りにすることができます。
例えば、会社設立の手続や、その際の事業計画書の作成、資金調達等の起業に関すること、また、会社設立後も経営者の様々な悩みについて相談できます。
税理士による無料相談、2つの注意点
無料相談をするときに注意するべき点は、それが「あくまでも無料で行われるサービスである」ということをしっかりと認識することです。
実際の税額計算や、具体的な結論を無料相談の場で求めてはいけません。無料相談の注意点として、以下の2点が挙げられます。
1、税理士の無料相談で得られる回答は、一般的なものに留まる
無料相談の範囲においては、相談内容を一般的な事例に当てはめ「概ねこのような考え方ができますね」という、一定の指針を示されるに留まります。
税法に基づいた解説にはなりますが、個々の事例に完全に適合するかどうかは、別途税理士に依頼をし、内容を精査してみないとわかりません。
2、税理士の無料相談には、時間制限がある
無料相談では、対面の場合は時間制限があったり、ウェブサイトではやり取りの回数や投稿文字数に限りがあることが多いです。
対面での相談であれば、必要と思われる資料があれば持参していくとよいでしょう。ウェブ上での相談であれば、相談を投稿する前に論点が完結になるよう整理するとよいでしょう。
税理士の無料相談から、より具体的な回答を得たい場合
無料相談をした税理士に信頼感を覚え、より具体的な内容の回答を得たいと思う場合もあるものです。
しかし、無料でできる相談には限界があります。さらに突っ込んだ内容の相談をしていく場合には、税理士と契約をし、その契約に基づいて相談をしていくことになります。つまり、有料となります。
では、無料の相談と有料の相談では、どのような差があるのでしょう。
例えば、自宅で行っている事業の確定申告の相談で、電気代の私用と業務用の按分割合の判断を質問したとします。
無料相談であれば「一般的には使用時間や箇所の割合に応じる」という一般的な回答が得られないでしょう。しかし、契約に基づいた相談業務、つまり有料相談になると具体的に計算をして、適正な按分割合を当てはめ、業務費用の金額を算出してくれます。
この例のような相談の場合には、時間制としている税理士事務所が多いようです。しかし、金額やスタイルは税理士と相談内容によって異なりますので、具体的には税理士に尋ねることとなります。
有料相談は「〇時間:〇円」といった料金設定のもと、時間制になっていることが多いです。一方、時間制ではなく、1つの包括的な契約としてしまう方法もあります。
もしも相続に関する相談をしたい場合、予備知識の解説等は時間制の相談のほうが気軽に使いやすいでしょう。実際に相続が発生し、税務申告までフォローしてもらうとなると、毎回時間を気にしながら相談を進めるのは億劫なものです。
その場合、相続税の税務代理を税理士に依頼する契約をしてしまえば、何度相談をしてもよくなります。
いずれにせよ、「無料相談は、税務上の一般常識的な基礎知識を学ぶ場」であり、「具体的な結果を導き出す内容の相談は有料になる」と捉えれば問題はないと考えられます。
なお、相談業務の無料・有料の線引は、税理士によって自由に決められるものなので、そこはしっかりと事前に確認をしてから相談を申し込むようにしましょう。
税理士による無料相談、どのように税理士を選べばよい?
税理士による無料相談は、数多く行われています。相談を利用しようとするにあたって、どのように税理士を選べばよいのでしょうか? ここでは3つのポイントを挙げてみます。
1、税理士が相談したい内容に精通しているか
税務相談で求められる基本的な知識は、すべての税理士が持っています。しかし、上記のとおり各個人の税理士には、それぞれ得意とする分野があります。例えば、相続税を専門としている税理士や、飲食店を専門としている税理士等、業務や業界に特化した税理士もいます。
また、相続や不動産取引等に関する案件の場合、税理士によっては取り扱っていないことがあるので、確認が必要です(逆に、これらの分野を得意としている税理士もいます)。
特定の内容について相談したければ、その内容を得意としていたり、取扱い件数の多い税理士に相談するべきでしょう。
もしも自分が手術することになったら、その病気やケガを得意としていて、手術経験が豊富な病院や医者が望ましいのと同じことです。相談内容に詳しいか、経験豊富かをチェックしましょう。
2、税理士事務所の規模はどれくらいか
税理士事務所のスタイルは千差万別で、一人所長の事務所から大人数の税理士法人まで様々です。
傾向として、規模の小さい事務所では、親密な人間関係を構築しやすいといえます。顧問先について親身に考えてくれたり、会社の特徴を捉えたアドバイスをしてくれるでしょう。反面、相談に対応できる人材が限られるため、迅速な対応力に欠ける面があるかもしれません。
一方、大規模な税理士法人では、法人の中に多くの税理士がいるので、担当者がわからないことでも内部で解決策を出すことができるので、対応力は頼りになるところです。しかし、事務的な対応ばかりの税理士が担当につくこともあり、難点といえます。
自分が税理士に求めるのはどのようなサービス内容なのか、どのような姿勢なのかを明確にしたうえで、税理士事務所の規模についてチェックしてみましょう。
3、税理士報酬の設定はどれくらいか
税理士業界に一定の相場はあるものの、原則的には自由競争の原理に基づき、各々の税理士が報酬(顧問料)を決めています。
設定された金額が安くても高くても、そこには何らかの理由があるはずです。例えば、安ければ割り切った考え方で限られた業務しか行われず、高ければ依頼者が意識しないような細かいところまでフォローがある、という具合です。
税務相談の内容と、求める仕事のあり方を明確にして、コストパフォーマンスについて検討する必要があります。税理士報酬をいくらに設定しているのかというのは、避けては通れないチェックポイントです。
はじめに利用するのは無料相談でも、その後より相談を深めていきたい場合には有料となります。その可能性も考慮し、有料相談に移行した場合にどれくらいの費用がかかるのか、どんな契約形態が考えられるのか等、予めチェックしておくと、何かとスムーズでしょう。また、どれくらい税理士費用を負担できるのかの検討をつけておくことも大切です。
参考記事:税理士と顧問契約を考えた時に抑えておきたい3つのポイント
参考記事:税理士の料金は、こう決まる!~判断基準と、相場観
税理士への相談は「一般的な内容なら無料・具体的な内容なら有料」
税務相談の無料・有料の線引きの詳細は税理士や相談会ごとに異なりますが、まずは「一般的な内容は無料、具体的な内容は有料」と大まかに捉えておくとよいでしょう。
もしも無料相談を利用する場合、過剰に気負う必要はありませんが、無料だとしても準備を整えていくと有意義でしょう。そして、対応してくれた人が気さくに質問に答えてくれ、それに対して具体的な解説をしてくれる税理士であれば、何よりです。
しかし、より深い内容を相談していくにはやはり有料となります。もしも無料相談だけでは会社やご自身の抱える悩みが解決しなさそうだと感じたら、解決してくれる税理士を探しましょう。また、具体的な相談をしていく相手ですから「ウマが合う」かも重要なポイントです。
参考記事:税理士選びで失敗しないために重視する2つのポイント
ウェブでの検索や知合いからの紹介、または第三者的な立場から優秀な税理士をマッチングしてくれる、税理士紹介サービスを利用等の方法があります。良い税理士との出会いは、経営にとってプラスに働きます。無料相談の利用と合わせて、検討をしてみてもよいでしょう。
参考記事:よい税理士の評判ほど出回らない!?
参考記事:税理士紹介会社の特徴と3つのメリット・2つのデメリット
株式会社タックスコム:代表取締役
会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談を行い、相談実績は1万件を超える。2017年に執筆した書籍「税理士に顧問料を払う本当の理由」は、出版から半年にわたりAmazonカテゴリ「税理士」で1位を獲得。2021年に実施した日本コンシューマーリサーチの調査では、税理士紹介サービスで顧客満足No.1を獲得。
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