税理士になるにはどうすればいい?税理士になるまでの過程とは?
税理士になるには、資格試験に合格することと、実務経験を2年以上経験することのなどのいくつかの要件を満たすことが必要とされています。この記事では、税理士になるための資格取得方法や試験の内容など税理士になるまでの過程や、税理士に向いている人の特徴、税理士の仕事内容などについて紹介していきます。
税理士になるための条件とは?
税と会計の専門家である税理士になるためには、税理士試験を受ける必要となる方がほとんどです。しかし、税理士になるための道は、3つのルートがあります。それは税理士試験に合格して実務経験を2年以上経験する、弁護士と公認会計士の資格を取得する、税務署に23年以上勤務するの3つのルートです。いずれかひとつのルートを選ぶことができます。
ルート①税理士試験に合格して実務経験を2年以上経験した場合
税理士試験の合格し、税理士事務所などで実務経験を2年以上積むなら、税理士資格を取得することができます。なお、税理士試験には受験資格があり、それは3つの分野に分類されています。それは「学識」「資格」「職歴」による受験資格です。
【「学識による受験資格」の条件】
学識による受験資格を得る場合は、以下の要件を満たす必要があります。
・大学もしくは短大を卒業しており、経済学もしくは法律学を1科目以上履修している
・通学2年以上、総授業時間数1700時間以上の専門学校で、経済学もしくは法律学を1科目以上履修している
・大学3年以上で、法律学もしくは経済学を1科目以上を含む62単位以上を取得している
・司法試験を合格している
・公認会計士試験の短答式試験に合格している
【「資格による受験資格」の条件】
在学中に上記も科目を履修していなくても、以下の資格を取得していれば受験資格を得ることができます。
・日商簿記検定1級を取得している
・全経簿記検定上を級取得している
【「職歴による受験資格」の条件】
職歴による受験資格は、下記のいすれかの業務に2年以上従事していた場合に、受験資格が得られます。
・法人もしくは事業を行う個人の経理事務を2年以上従事している
・銀行や信託会社などの金融機関で、資金の貸付や運用に関連する業務を2年以上従事している
・税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務に2年以上従事している
ルート②弁護士、もしくは公認会計士の2つの資格を取得している場合
「弁護士」もしくは「公認会計士」の資格を取得している場合は、税理士試験を受けなくても税に関する業務を行うことができます。弁護士法3条2項には、「弁護士は、弁理士及び税理士の事務を行うことができる」と定められていることからも、弁護士が税理士業務を行える事が法的に認められていることが分かります。
そのため、弁護士と公認会計士の2つの資格を保有している場合は、それと同時に税理士の資格も与えられます。また、司法試験や公認会計士試験の場合、法律や会計処理に関する知識が問われます。そのため、この分野で十分な資質が認められるなら、税理士になる道も開かれます。
ルート③税務署に23年以上勤務した場合
税務署に23年以上勤務するなら、試験を受けなくても税理士資格が与えられます。なぜなら、税務署勤務を長く続けることで、税務に関する知識とスキルを習得したとみなされるからです。そのため、独立開業することもできます。事実、税務署を退職後、税理士として活躍している方もたくさんいらっしゃいます。
税理士になるまでの過程とは?
前述した税理士試験を受験する資格があるなら、税理士試験を受験することが可能となります。
税理士試験の概要
税理士試験では、「会計学」と「税法」に関する5科目をすべて合格することが必須となっています。その内訳は、会計学科目2科目、税法3科目です。会計学の「簿記論」と「財務諸表論」の2科目、税法の「所得税法」か「法人税法」のいずれかは必須項目となります。その他の科目である「相続税法」「国税徴収法」「消費税法又は酒税法」「住民税又は事業税」「固定資産税」については、受験する科目を自由に選択することができます。
税理士試験は、各科目の合格ラインが60点以上となっており、5科目すべて合格することではじめて、税理士試験の合格者となります。合格率は10~20%の超難関な試験で、個人差もありますが、合格までに7~8年ほどかかると言われています。そのため、多くの方が一度に5科目すべての科目を合格するのでははく、数年にわたって実務経験を積みながら合格科目を増やしていくことが一般的な傾向となっています。
また、税理士試験では、試験の免除制度が設けられています。免除制度を利用するためには、次の要件を満たしているなら一部の試験が免除されます。
(学位による免除)
・修士もしくは博士の学位を授与されている場合は、試験の一部が免除される
(国税従事者における免除)
・10年もしくは15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除される
・23年もしくは28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除される
税理士試験の日程
税理士試験は、毎年8月上旬の平日3日間に実施されています。例年試験スケジュールは、次のようになっています。
・1日目(火曜日)
午前9時~11時まで 簿記論
午後0時30分~2時30分まで 財務諸表論
午後3時30分~5時30分まで 消費税法又は酒税法
・2日目(水曜日)
午前9時~11時まで 簿記論
午後0時30分~2時30分まで 財務諸表論
午後3時30分~5時30分まで 消費税法又は酒税法
・3日目(木曜日)
午前9時~同11時まで 固定資産税
正午~午後2時まで 国税徴収法
午後3時~同5時まで 住民税又は事業税
なお、令和2年度(2020年)は、「令和2年8月18日(火)、19日(水)、20日(木)」が実施予定日となっています。
税理士試験の合格発表
税理士試験の合格発表は、例年12月中旬~下旬に行われます。結果通知が郵送されます。
税理士試験の受験料
税理士試験の受験料は、受験する科目数に応じて次のように決まっています。
1科目:4,000円
2科目:5,500円
3科目:7,000円
4科目:8,500円
5科目:10,000円
税理士試験の合格後
税理士試験に合格した後は、日本税理士会連合会へ登録をします。税理士の登録には、申請書、資格証明書、履歴書、在職証明書などの必要書類を、税理士事務所の設置予定地区域の税理士会連合会へ提出します。
登録の際には、登録免許税6万円と、登録手数料5万円の合計11万円の登録料がかかります。登録手続き後、日本税理士会連合会による調査と審査が実施されます。そして、登録適当と認められたときに税理士になることができます。
税理士に向いている人の特徴とは?
「税理士になりたい!」と税理士試験合格を目指している方は、「自分は税理士に適しているだろうか?」と気になっていることでしょう。税理士の職務内容を考えるなら、どのようなタイプの人が税理士に適性なのかが分かります。つまり、次のような特徴を持っている人は税理士に向いていると言えるでしょう。
税務計算が苦にならない計算処理が得意な人
税理士は、伝票や領収書、決算書などの財務諸表など数字が羅列している書類をチェックや作成をしたり、正しい税額を算出することなどがあります。このような書類に記載された数字を毎日のように確認し、間違いがないかどうかを計算する際には、法律に基づいて適性に行わなければいけません。ですから、数字を見ることが苦にならず、計算処理が得意で、忍耐力のある人であれば、税理士に適していると言えるでしょう。
経営に者になりたい人や携わりたい人
税理士の仕事は、ただ単に納税額を計算するだけでなく、支出状況や売上などをみて経営にとってプラスとなる節税対策のアドバイスをすることも含まれます。経営者にとっては、税負担を少しでも軽減させ、手元に残るお金があればあるほど事業活動がプラスへとつながります。つまり、税理士は間接的に経営に携わる仕事とも言えます。ですから、経営に携わりたい人や、組織マネジメントに興味のある人は税理士に向いていると言えるでしょう。
人間関係を築くコミュニケーション能力がある人
税理士は税の専門家であると同時に、接客業という一面も持つ仕事でもあります。クライアントの要望をしっかりヒアリングし、それに応えるために業務を遂行するためには、コミュニケーション能力が求められています。クライアントと上手にコミュニケーションを図ることができれば信頼関係が生まれ、多くの顧客獲得へとつながり、税理士として安定して働くことができるでしょう。
税理士になるための学校とは?
税理士を目指すための学校は、いくつかの種類があります。大学や大学院などの教育機関や、民間の資格専門学校や予備校などさまざまです。税理士を目指す方の多くは、受験資格を得るために、税法や会計学を学べる大学の法学部や経済学部などに進学する傾向にあります。大学卒業は大学院まで進み、会計学や税法に関する学位を習得することができれば、税理士試験の一部が免除されるというメリットもあるので、ほかの受験生よりも有利な立場になれるでしょう。
もちろん、高卒や理系大学卒だとしても税理士になることはできます。しかし、その場合は、まず受験資格を得ることから始めなければいけません。そのためには、税理士事務所や会計事務所に務めたり、夜間に開校されている社会人向けの予備校や通信講座などを利用することができるかもしれません。
「税務の専門家」税理士の仕事内容とは?
税理士法第1条(税理士の使命)では、税理士は税務の専門家として、申告納税制度の理念に沿って、農政義務者の信頼にこたえることや、納税義務の適正の実現を図るよう規定されています。では、税理士は主にどのような業務内容となっているのでしょうか?税理士法第2条では具体的な業務内容について詳しく説明しています。
税金の申請や申告の代理
税理士の業務のひとつに、個人や法人などの一般の納税義務者に代わって、税金の申請や申告の代理をすることが挙げられます。個人や法人によって納める税金の種類は変わってきますし、税金に関する法令は複雑なうえ、頻繁に法改正が行われているため、仕事を抱えている多くの納税義務者にとって税金の申請や申告を適切に行うことや容易ではありません。そこで税理士が税務の専門的な知識を活かし、税金の申請や申告の手続きの代理を行います。
税務書類の作成
税金の申請や申告には、申請書や申告書などの書類が必要です。税理士はこれらの税務書類を作成することもできます。例えば、毎年2月から3月にかけて行われる確定申告で税務署への提出が義務付けられている申告書を、納税義務者の代行として作成することができます。また、相続を行った際に発生する相続税に対して、相続税申告書の作成や提出も税理士が代行することができます。
税金に関する税務相談
確定申告は、一般の社会人でも税務処理を求められています。そのため、普段税務に関わりのない一般の社会人を対象に、税理士による税務相談会などが確定申告が近づくとよく開催されています。このような機会に、所得の具体的な算出方法などを適切に指導することも、税理士の業務内容となっています。
経営者のアドバイザー
税理士は、経営者や個人事業主などに事業再生や事業承継、M&Aなど税務面から経営のアドバイスをすることもできます。また、融資を受けたい事業が赤字の経営者に対して、事業計画のないようを見直し、融資を受けることができるよう資金調達や資金繰りのアドバイスなども専門としています。
まとめ
税理士になるには、税理士試験を受ける前に、受験資格を得る必要があります。税理士試験に合格するまでには、個人差もありますが、長い年月がかかることでも知られています。税理士になるための手段や方法はいくつかありますが、一番大事なのは、将来どのような税理士になりたいか、という目的を持つことです。もちろん税理士になるという目的も大事ですが、税理士になる過程で学んだ知識や経験をどのようにクライアントの力になれるのか、という本来の目的を見失わないようにしましょう。
税理士コンシェルジュは、2008年サービス開始より株式会社タックスコムが運営する税理士専門の紹介サイトです。会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談し、1万件以上の相談実績がある税理士選びの専門家です。
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