ビジネスにおける「発注」とは?その意味や目的・注文との違いについて解説
業種も関係してきますが特に仕入れ作業は、ビジネスをする上で欠かすことができない業務のひとつです。その際、担当者は「発注」また「注文」をすることがあるのではないでしょうか?では、発生と仕入にはどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、発生と注文の違いや、発注書と注文書の違いなど、発注について詳しく解説していきます。
目次
発注の意味とは?
みなさんは「発注」という言葉を、どのように説明することができますか?「発注する」という言葉は、品物や物などを発注するときや、仕事を依頼するときなどによく使われています。なお、発注の対義語「受注」には、品物や仕事の依頼など注文を受ける、という意味があり、発注とは全く逆の意味になりますので気を付けましょう。
発注書と注文書の違いとは?
発注書も注文書も、注文を依頼するための文章です。品物やサービスを申し込んだり、仕事を依頼したりするときに作成する書類です。では、注文書と発注書にはどのような違いがあるのでしょうか?
発注書と注文書には法的な違いはあるか?
では、ビジネスをする上の取引きでよく使用される帳票のひとつである発注書と注文書には、法的な違いはあるのでしょうか?結論から述べるなら、双方には法律的な違いはなく、どちらも契約書としての効力は持っていません。発注書も注文書も、注文の内容を確認するためだけに発行されるものです。
そして、どちらの書類もビジネス上の取引では、商品を購入する側が相手に提出するために作成します。発注書を受け取る側は、その内容を確認した後、「受注書」を作成します。つまり、企業間で受注書と発注書を交わすことで1セットとなります。
発注書と注文書を使い分けるケースもある
発注書と注文書には法的な違いはありませんが、企業によっては、目的に応じて、発注書と注文書を使い分けているところもあります。どのように使い分けているのでしょうか?双方を使い分ける際には、次のようなポイントで使い分けている企業が多くあるようです。
ポイント①発注製品の加工の有無
企業の中には、業務の効率化を図るために、発注する製品に加工が必要なものと、必要でないもので使い分けていることが挙げられます。原材料などをそのまま購入する場合は注文書、加工や作業などが必要な場合は発注書、を使用するなどと使い分けるということです。
ポイント②商品の金額
発注製品の加工の有無に加えて、購入商品の金額で使い分けている企業もあります。例えば、ある金額よりも高額な商品を購入する場合は注文書、ある一定金額を下回る場合は発注書、と使い分けています。
このように同じ意味を持つ発注書と注文書を企業間設けたルールで使い分けるなら、受注発注業務の効率化につながるでしょう。
ビジネス文書の種類と取引の基本的な流れ
発注書について理解するためには、実際のビジネスの取引の中のどのタイミングで発行される書類なのかを把握しておくことは助けとなります。ここではビジネス取引で扱われる文書と、取引の基本的な流れを確認していきましょう。
ステップ1:見積書(売り手)
取引先などの顧客が、受注者に対して見積もりを依頼する際に作成する文書が「見積書」です。商品やサービスの詳細・単価・数量・合計金額など取引したい情報が記載された内容となっています。双方がなかなか合意に至らない場合は、見積書が数回発行されることもあります。
ステップ2:発注書(買い手)
「発注書」は、顧客が見積書の内容に同意し、注文する作成する書類です。発注書を発行することで、受注者から「発注請書」が発行されるケースもあります。
ステップ3:納品書(売り手)
「納品書」は、商品やサービスを受け渡す準備が整ったときに、商品やサービスととも一緒に同封される書類です。企業によっては、受け取ったことを確認するため、返送用の受領書が一緒に同封されることもあります。
ステップ4:受領書・領収書(買い手)
「受領書」は、商品やサービスを受け取った取引先などの顧客が、納品確認後に押印をして返送する書類です。
ステップ5:請求書(売り手)
受注側が、取引先などの顧客に代金を請求する際に作成する書類です。納品と受領が同時に行う場合は、納品書兼請求書として渡すこともあります。
ステップ6:代金の支払い(買い手)
請求書が発行され顧客に渡された後は、決められた支払い方法に基づいて代金の支払いが行われます。
ステップ7:領収書(売り手)
取引先などの顧客からの入金を確認できた後は、「領収書」発行します。領収書の代わりに「支払明細書」を使用することもあります。
発注書の作成方法
発注書には、法律上決められている様式はありません。そのため、自由に作成しても問題ありませんが、トラブルを回避するためにビジネスマナーを守って作成することは大切です。では、発注書を作成する際に、最低限記載すべき項目をみてみましょう。
・文章のタイトル
書類には、文章のタイトルを付ける必要があります。「発注書(注文書)」と記載しましょう。その際、一目で何の書類なのか相手に伝わるように、大きめに記載するようにしましょう。
・送付先
取引先など発注する顧客の名称を記載します。送付先が企業の場合は「御中」、個人の場合は「様」と付けることがビジネスマナーとなっています。
・発注ナンバー(No)と発注日
発注ナンバーと発注日を記載するなら、受注側も発注側も管理がしやすくなるというメリットがあります。同一契約の書類の場合は、見積書や請求書などほかの書類と同じ番号を振るようにしましょう。
・発注内容
発注内容は、できるだけ詳しく記載することが大切です。具体的には、商品の品名や品番、サイズ、カラー、個数など分かっていることはすべて記載することができるでしょう。その後、商品などと一緒に同封される納品書などで確認することもあるので、当たり前のことですが、正確に記入しましょう。
・発注金額
発注金額を記載する際には、分かりやすく記載するのがポイントです。文字を大きくしたり、太文字にしたりなど工夫することができるでしょう。
・納期や支払い条件
納期や支払い条件、有効期限などについて分かりやすく記載します。特に納期については、納期してもらいたい日時をはっきり記載しておきましょう。
・小計などの合計金額
税抜きの合計金額を「小計」として記載します。そして、小計に対する「消費税額」を記載し、小計と消費税額の「合計金額」を記載します。
発注書や注文書の保管期間はどのくらい?
先述したように、発注書には法的な効力はありません。しかし、発注書を取引に関する契約書として利用する場合は、帳票のひとつとして保管することが義務づけられています。では、どのくらい期間、保管する必要があるのでしょうか?法人の場合、会社法では10年間、税法上では7年間保管するよう定められています。
発注書や注文書は税法上の書類に該当するため、「7年間」保管しなければいけません。事業年度の確定申告書の提出期限の翌日からを、保管期間としてカウントしていきます。ただし、平成30年4月1日以降に開始する欠損金の生じた事業年度に関しては、帳簿書類は10年間保管するよう規定されています。
一方、個人事業主の場合は、青色申告や白色申告を問わず、保管期間は5年間とされています。しかし、帳簿書類の中には7年間保管義務が定められている書類もあるので、発注書も含めてすべての書類を7年間保管することができるかもしれません。
もし税務調査が行われた際、保管義務のある書類を保管していないことを指摘された場合は、証拠書類が不十分とみなされ、追徴課税がペナルティとして発生する可能性もありますので、決められた期間は大切に保管しておくようにしましょう。
保管方法は?
法令上では、保存義務対象の書類は、紙で保管することが原則となっています。しかし、「電子帳簿保存法」が施行されて以来、電子データでの保存も認められています。なお、電子データで保存する場合は、一定要件を満たしていなければいけません。
それには電子署名とタイムスタンプ、解像度200dpi以上のカラーでの保存、カラーディスプレイやカラープリンターなどがある、国税関係の帳簿と付け合わせができる、税務署からの承認を得ている、検索機能がある、システム関連書類がある、などの要件を満たしている必要があります。
発注書に関する注意点
発注書によっては「収入印紙」を貼る必要がある
発注書や注文書は、基本的に収入印紙を貼る必要はありません。しかし、例外もあり、収入印紙を貼る必要が生じることもあります。それは、発注書が見積書や契約書として扱われるときです。このような場合は、発注書や注文書も課税文章としてみなされるため、収入印紙を貼る必要がでてきます。収入印紙を貼る必要がある書類に貼らない場合は、過怠税がペナルティとして発生しますので注意しましょう。
下請法が適用される企業は発注書の交付が義務となっている
下請法が適用される企業の場合、発注書を発行することが義務付けられています。下請法とは、親会社と下請け会社の関係を維持するために設けられている法律です。たいてい親会社の方が立場的に有利な状態になる傾向があるため、下請法を設けることで、下請け会社が不当な扱いを受けないように保護されています。
親会社が発注書を発行しないと証拠がないため、不当な扱いをすることがあります。したがって、親会社が下請け会社に業務を委託する際には、証拠文書が残るように発注書の発行が義務づけられています。
まとめ
ビジネス取引上での発注の意味や発注書の目的、作成内容などについてみてきました。発注書と注文書は同じ意味を持ち、基本、法的な効力は持ちません。しかし、発注書が契約書として扱われるときは課税文章とみなされ、印紙税を納める必要が生じてきます。つまり、収入印紙を貼らなければいけません。また、保管義務も発生します。ですから、健全で安全なビジネス取引ができるよう、発注書についての基礎知識をしっかり理解しておくようにしましょう。
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