懐かしの「ポケベル」、その歴史と謎の数字「ポケベル暗号」のまとめ
PHSや携帯電話が普及する前、1980年代後半から1990年代にかけて大流行していた「ポケベル」。懐かしく感じる方もいれば、ポケベルが何なのか知らない方もいることでしょう。実は、ポケベルの話題は年代を超え、円滑なコミュニケーションへとつながります。
特に今の若者がポケベルの知識を身に着け、職場で先輩や上司たちにポケベルの話題を振り出すなら好印象を与えることができるでしょう。この記事では、懐かしのポケベルについてご紹介していきます。
目次
ポケベルとは?
ポケベルとは、今のスマートフォンや携帯電話のような、連絡手段のひとつとして使われていました。ポケベルひとつひとつに電話番号が振り分けられており、相手のポケベルの電話番号の電話をかけると、同時に数字を送信することもできました。ポケベルが鳴ったら、表示された電話番号に電話をかけることが主な用途でした。
つまり、ポケベルが鳴ったら、近くの公衆電話や自宅の電話から電話をかける、という仕組みです。特にビジネスでは、出先に出ている営業マンなどに連絡をする際、ポケベルが大活躍していたようです。
それと同時に、数字を送信してメッセージを送る、という使い方も定番でした。特に女子高生の間では、友達同士だけでなく、恋人にメッセージを送ることが流行っていたようです。
つまり、簡単にまとめるなら、ポケベルはメッセージを受信したらそれを確認し、返信のために公衆電話や自宅の電話を使ってメッセージをする、という流れです。今の携帯電話やスマホのように本体からメッセージを送ることができない受信専用の端末機だったのです。
ポケベルの料金について
当時、ポケベルの毎月の基本料金は、2,000~3,000円程度だったようです。ポケベルは受信専用のサービスだったため、特別なサービスを利用しない限り、利用料金が大幅にかさむことはありませんでした。なお、公衆電話からポケベルにメッセージを送る場合、文字数ではなく、1分10円という仕組みだったようです。つまり、打つ時間が長引くと電話料金も高くなったということです。
機能付きのポケベルもあった!
ポケベルにも数多くの種類があり、メッセージを受信する際に音がなる機能以外にもいくつかの機能が搭載していたようです。例えば、授業中には呼び出し音を切ってバイブレーション機能をオンにしたり、朝起きる際にはアラーム機能の利用が可能でした。また、ほとんど流行りませんでしたが、腕時計スタイルのポケベルもあったようです。
ポケベルの周波数は安定していた!
周波数は帯域は、その数値が高くなればなるほど障害物に弱くなります。ポケベルの周波数は、250MHz、その後、登場したPHSは1900MHzでした。そして、携帯電話は、800 900 1500 1700 2000MHzでした。つまり、ポケベルの周波数は低く、常に安定していたので、良好な通信をすることができていたようです。
この特性は、ポケベルがもつ最大の特性として、サービスが終了する最後まで活かされていました。また、現在でもポケベル特有の電波「ポケベル波」が、活かされたサービスが提供されています。
ポケベルの歴史
ポケベルと聞くと、1980年代後半から1990年代をイメージする方が多いのではないでしょうか?しかし、ポケベルの歴史はとても古く、それは1958年までさかのぼります。そのサービスは、まずアメリカで始まりました。
そして、ここ日本では、1968年7月に、日本電信電話公社(現:NTT)がサービスを開始しています。約25年間はレンタルとして利用され、1990年代半ばから「端末お買い上げ制度」を導入することで初めて個人の所有物となり、大流行したと言われています。
日本でのサービス開始当初は、官公庁や医療関係者などは緊急時用の連絡手段として使い始めました。その後、会社が外回りをしている営業マンに連絡するために利用するようになり企業での利用が増えていきます。端末を購入することが可能になった1990年頃から、女子高生を中心に個人でのポケベル利用が増えていきました。
そして、PHSや携帯電話の登場でポケベル利用者が減少し、令和元年9月30日にポケベルのサービスが終了しました。ポケベルの歴史をまとめると、次のようになります。
1968年:ポケベルが日本に登場
1993年:「ポケベルが鳴らなくて」というドラマと歌が大ヒット
1996年:加入者は1,000万を超える
1996年以降:PHSや携帯電話が登場・ポケベルの利用者が減少
令和元年9月30日:ポケベルのサービス終了
ポケベル最盛期は契約数が1,000万台以上!
ポケベルは、1968円に当時の電電公社がサービスを開始し、1996年には東京テレメッセージで1,000万台の契約数を突破しました。数字のメッセージを送ることができるようになったことで、若者層を中心に数字の語呂合わせでメッセージを送信し、コミュニケーションを楽しむことが流行しました。
その後、PHSや携帯電話が急速に普及したことに伴い、ポケベル市場は減少し、サービスの撤退も続いていきました。全国でポケベルのサービスを提供する最大手だったNTTドコモは、2007年にポケベルのサービス提供を終了しました。なお、この年には、初代iPhoneが発表された年です。
当時のポケベル事情
当時ポケベルは、会社では営業マンと連絡を取り合うための手段として使われていました。1992年ごろからは、女子高生を中心にメッセージを送りあうツールとして使われるようになります。そのため、学校や近くの公衆電話は、ポケベルでメッセージを連絡し合っている女子高生で賑わっていました。
ポケベルを話題にすると相手の年代が推測できる?!
現在に至るまで、様々なものが流行しては廃れ・・という繰り返しをしています。しかし、その中のひとつであるポケベルを話題にすると、相手の年代を推測しやすくなります。なぜなら、ポケベルが流行していた期間は、限定していたからです。
つまり、ポケベルの話題を振り、相手の反応を見るなら、相手の年代をある程度予測することができるので、その後の話題選びや円滑なコミュニケーションへとつながります。では、ポケベルの話題をだすと、どのように相手の年代を推測できるでしょうか?
ポケベルと使っていたおおよその世代は、次のとおりです。
・中学生の頃ポケベルと使っていた:30代~40代
・ビジネスで使っていた:40代~50代
・会社から支給され持たされていた:50代~60代
つまり、30代以上であれば、幅広い年齢層にわたってポケベルと使っていたようです。
数字で会話をしていた「ポケベル暗号」
ポケベルは当初、数字しか送信することができなかったため、数字を使った語呂合わせのメッセージが数多く誕生しました。つまり、この当時は、数字、つまりポケベル暗号で会話をしていたのです。今ではもう数字だけでメッセージを送受信することがありませんが、このメッセージをいくつか知っているなら、先輩や上司との会話を盛り上げるのに役立つことでしょう。
みなさんは、どのくらいの暗号を理解することができるでしょうか?当時、実際に使われていた懐かしい数字の語呂合わせのメッセージをご紹介しましょう。
・あいさつ
おはよう=0840
おやすみ=0833
さよなら=3476
グッドナイ=9271
・会話
遅れる=0906
お仕事=04510
よろしく=4649
至急TEL=49106
至急=4949
ごめんなさい=500731
ファイト=5110
ご苦労さん=5963
バイト=8110
何してる:724106
いいよ=114
嫌だ(イヤ)=18
バイバイ=8181
ハロー=860
早く=889
早く来い=8951
サンキュー=39、もしくは999
・友達や恋人などへのメッセージ
待ってる=0106
起きてる=09106
今どこ=10105
会いたいよ=11014
行くよ=194
愛してる=114106
今から行くよ=1056194
どこにいるの?=1052167
会えない=1871
着いたよ=21104
寂しいよ=33414
さむいよ=3614
・地名や人の名前
渋谷=428
池袋=296
日焼けサロン=189-360
伊藤=110
三橋=384
・少し難易度の高いメッセージ
電話して=108410
くよくよしないで=94940
つまんない=21000071(英語でツー・10,000=マン・な・い)
困っている=4989(四苦八苦)
日本語に対応したポケベル
数字のみしか送信できなかったポケベルも、やがて日本語入力に対応した端末機が登場しました。携帯電話のようにボタンを押した回数で文字か変わったり、スマートフォンのようなフリック入力でもなく、ポケベル独自の「ポケベル打ち」、もしくは「2タッチ入力」と呼ばれる方法で日本語に変換していました。
この方法は、プッシュホン式の電話機からのみ日本語のメッセージの送信が可能でした。ポケベル打ちに使われる「変換表」を利用し、電話機のテンキーを押すと、相手のポケベルに日本語が表示されるという仕組みです。つまり、当時のプッシュホン式の電話機の12個のボタンでを使って、カタカナやアルファベットを送信するという方式です。
例えば「あ」の文字数を送るためには「1→1」、「い」は「1→2」「か」は「2→1」と変換表に基づいて「1打目」と「2打目」のプッシュホンボタンを押すことで日本語へ変換されます。ポケベルは受信専用なので、相手にメッセージが届いているかどうかは確認することができませんでした。
また、一文字でも打ち間違えてしまうと、全く意味の分からない日本語になってしまいます。そのため、受信した相手は、送信者は何を伝えたいメッセージなのかを推測し、それに基づいてメッセージを送るというやりとりをしなければいけませんでした。
なお、当時の女子高生の中には、ポケベル変換表を暗記し、ブラインドタッチで入力していた学生もいたようです。ブラインドタッチで高速にポケベル打ちができる女子高生は、他の生徒から尊敬されていたそうです。女子高生がポケベル打ちが早かった理由には、学校の休み時間になると公衆電話に長い行列ができていたことが関係していたようです。
ポケベルの話題を切り出してみよう!
ここまでで、ポケベルの歴史や事情、数字の暗号などについてみてきました。では、これらの話題をどのように職場の先輩や上司に切り出すことができるでしょうか?ストレートに「ポケベルが流行っていたようですが、実際に使われたことがありますか?」と聞いてみることができるかもしれません。
また、「iPhoneでポケベル打ちをすると早くて便利、と聞いたのですが、先輩はポケベル打ちをしたことがありますか?」とポケベル打ちを話題にすることもひとつの方法です。iPhoneは、ポケベル打ちに設定することができるので、一緒に設定してみるなら好印象を残すことができるでしょう。
さらに、iPhoneにはポケベル打ちを楽しめるゲームがあります。「最近、ポケベル打ちのゲームにハマってるんですよー」と話題を切り出すこともできるでしょう。このようにポケベルを知らない世代でも、ポケベルを懐かしく思う世代とコミュニケーションを楽しむことは可能です。是非、会社の先輩や上司に「ポケベル」の話題を切り出してみるのはどうでしょうか?
ポケベルのサービスが終了した現在
ポケベルのサービスを最後まで提供していた東京テレメッセージは、令和元年9月30日をもってサービスを終了しました。同社はポケベル利用者が減少しても、国内で唯一サービスの提供を続けていました。サービスを提供していた範囲は一都三県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)のみでしたが、利用者が1,500人を下回ったことをきっかけとし、サービスの終了に至ったようです。
首都圏で利用していた約1,500人の利用者は、電磁波が発生しない上、建物の中でも受信しやすいというポケベルの特性を活かし、主に医療現場で活躍する医療従事者を中心に使われていたようです。
現在は、受信力の強い特性を活かして、自治体向けの防災無線など、災害時の公的手段のひとつとして使われています。
まとめ
ポケベル世代にとっては、ポケベルの話題は懐かしく、青春時代がよみがえってくる思い出のひとつです。この4月に新入社員として入社したポケベルとは無縁の世代の方は、「年の差がある先輩や上司と何を話したらよいのか分からない・・」という場面に遭遇したときは、是非、ポケベルの話題を切り出してみてください。円滑なコミュニケーションへとつながることでしょう。
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