寄附金控除を受けるには?対象となる条件・必要な書類・手続き方法を解説 | 税理士コンシェルジュ

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寄附金控除を受けるには?対象となる条件・必要な書類・手続き方法を解説

2021年4月5日
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寄附金控除とは、ふるさと納税や寄附をしたときに適用される制度のことです。ただし、すべての寄附が寄附金控除の対象となるわけではありません。この記事では、寄附金控除の対象となる条件、必要な書類、手続き方法などについて詳しくご紹介します。

控除とは?

日本では、各個人の所得に応じて課税される金額が決定します。年末調整や確定申告で1年の所得を申告し、納税することが義務付けられています。ただし、課税される税金つまり所得税は、収入金額の全額が課税の対象になるわけではありません。

課税対象となる所得金額を減らせる「所得控除」と、税金そのものを減らせる「税額控除」の2つの制度があります。そして、所得控除は全部で14種類ありますが、そのひとつが「寄附金控除」です。では、寄附金控除とは、どのようなものなのでしょうか?

寄附金控除の概要

寄附金控除とは、国や地方公共団体、認定NPO法人など特定の公益増進法人などに「特定寄附金」をした場合、その金額に応じて所得控除を受けることで、その年の所得税額が軽減される制度のことです。

ただし、寄附をしたら何でも控除できるわけではありません。寄附金控除の対象となる団体はあらかじめ定められています。また、寄附金控除を受けるためには、サラリーマンなどの給与所得者は確定申告をする必要があります。

なお、扶養控除や保険料控除などは会社の年末調整で各種控除の手続きはできますが、寄附金控除をはじめとし、医療費控除、雑損控除の3つの控除は年末調整対象外のため、原則として個人で確定申告することになっています。

特定寄付金の対象範囲

国税庁は、寄附金控除の対象となる団体を次のように限定しています。

①国に対する寄付金
②地方公共団体への寄附金
③指定寄附金
④特定公益増進法人に対する寄附金
⑤一定の要件を満たす特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
⑥政党、政治活動に関する寄附金

では、ひとつづつ確認していきましょう。

①国に対する寄付金

国への寄附金は、寄附金控除の対象となります。

②地方公共団体への寄附金

「ふるさと納税」は、地方公共団体に対する寄付金に該当します。

③指定寄附金

指定寄付金とは、民法の規定に従って設立された法人や、公益を目的とする事業を営む法人や団体への寄付金のことです。ただし、財務大臣が「広く一般に募集され公益性と緊急性が高い」と認めた寄附のみが寄附金控除の対象となります。

④特定公益増進法人に対する寄附金

特定公益増進法人とは、以下の団体に対する寄付金が対象となります。

1、独立行政法人
2、一定の要件を満たす地方独立行政法人
3、自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団体、日本赤十字社
4、公益社団法人、公益財団法人
5、私立学校法人で学校、専修学校、各種学校の設置を主たる目的とする法人
6、社会福祉法人
7、更生保護法人

⑤一定の要件を満たす特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭

主務大臣の証明を受けた特定公益信託のうち、その目的が教育、科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など、公益の増進に著しく寄与すると認められる一定の要件を満たす公益信託の信託財産とするために支出した寄付金は、控除の対象となります。

⑥政党、政治活動に関する寄附金

政党、政治資金団体、国会議員、知事などの政治活動に関する寄附は、寄附金控除の対象となります。

寄附金控除の控除額

寄附金控除を受ける場合は、控除額を計算し、その金額を確定申告書類に記載しなければいけません。寄附金控除の控除額は、「所得控除」「税額控除」のどちらを適用させるかによって計算方法が異なりますが、どちらか金額が多い方が適用することができます。

所得控除を適用させる場合

計算式:特定寄付金の額-2,000円=寄附金控除額

特定寄付金の額とは、その年の1月から12月までの1年間に行った寄附金の合計額です。合計額は、その年の総所得金額の40%が上限となっています。

なお、総所得金額とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額を合計した金額のことです。

税額控除を適用させる場合

税額控除を適用させる場合、どの団体に寄附をしたかによって寄付金控除額の計算方法が異なります。

【認定NPO法人等に対する寄付金】
計算式:(認定NPO法人等への寄附金の合計額-2,000円)×40%=寄附金控除額

【公益社団法人等に対する寄付金】
計算式:(公益社団法人等に対する一定の要件を満たす寄附金の合計額-2,000円)×40%

【政党、政治活動に関する寄附金に対する寄付金】
計算式:(政党・政治活動寄附金の合計額-2,000円)×30%=寄附金控除額

確定申告で必要な書類

では、寄附金控除を受ける場合、どのような書類を準備すればよいでしょうか?寄附金控除を受けるには、以下の書類が必要となります。

・寄付金受領証明書
政党や政治活動に対して寄付をした場合は、選挙管理委員会などの確認印が押された「寄附金控除のための書類」が必要となります。また、一定の特定公益増進法人などに寄附をした場合は、主務官庁等が発行した「税額控除に係る証明書」が必要です。

・源泉徴収票
・マイナンバー
マイナンバーカードの場合は、表面と裏面をコピーし提出します。

・本人確認書類
マイナンバーカードがない場合は、番号通知カードかマイナンバーカード記載の住民票の写しを提出します。それと同時に、本人確認書類として、運転免許証、パスポート、健康保険証、年金手帳のいずれかを提出してください。

確定申告書の記入方法

寄附金控除を受けるために確定申告する場合、所得控除か税額控除のどちらを適用させるかによって記入方法が異なります。では、それぞれの記入方法を確認していきましょう。

所得控除の場合

所得控除を適用させる場合は、確定申告書の第二表の所得控除の寄付金控除の欄に計算した控除額を記載します。例えば、ふるさと納税をした場合は、寄附先の所在地と名称、寄付金額を記載してください。

税額控除の場合

税額控除を適用させる場合は、計算明細書「令和○年分の所得税の額」欄に税額を記載します。その後、記入申告書第一表の「上の㉑に対する税額」欄に転記してください。さらに申告書第一表の「政党等・寄附金等徳熱控除」欄に、控除額を転記します。

そして、申告書第二表「特例適用条文等」という欄に、寄附先の番号を記載します。寄附先の番号は、次の通りです。

・公益社団法人等寄附金の場合:措法41の18の3
・認定NPO法人等寄附金の場合:措方41の18の2
・政党等寄附金の場合:措法41の18

ふるさと納税と寄附金控除の関係

近年話題の「ふるさと納税」も寄附金控除の対象です。前述しましたが、ふるさと納税の寄附先は、各都道府県や市区町村などです。ふるさと納税は寄附をすると、その返礼として、その地域の特産品などが送られてきます。

また、ふるさと納税は特例控除になるので、寄付金額から自己負担の2,000円を差引いた金額を控除できます。このようにふるさと納税は、NPOや政党などへの寄付との違い、返礼品があり、控除上限額内であれば自己負担額が2,000円にみとなっています。

なお、NPOなどの団体への寄付した場合は、その寄付したお金の使い道や具体的な活動報告などを受けられことができます。

「ワンストップ特例制度」とは?

ふるさと納税の寄付金控除の申請は、「確定申告」以外に「ワンストップ特例制度」を利用することもできます。ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税を行った本人に代わって、寄附先の自治体が控除申請を行ってくれる制度のことです。

これにより寄附金控除を受けるための確定申告が不要となります。ただし、ワンストップ特例制度を利用するには、条件があります。では、ワンストップ特例制度を利用できる条件などを確認していきましょう。

ワンストップ特例制度を利用できる条件

ふるさと納税先の自治体が、1年間で5自治体までであれば、ワンストップ特例制度を利用することが可能です。なお、ふるさと納税を6回以上した場合でも、5自治体内であればワンストップ特例制度を利用できます。つまり、ワンストップ特例制度を利用できるのは、以下の2つの条件を満たす方です。

・確定申告や住民税申告が不要な給与所得者
・1年間の寄附先が5自治体内

申請に必要なもの

ふるさと納税を行った自治体に、以下の書類を送付することで、ワンストップ特例制度の申請になります。必要な書類は、以下のものです。

・封筒、切手
自治体に送付する際に必要です。

・ワンストップ特例制度の申請用紙
ワンストップ特例制度の申請用紙は、以下からダウウンロードすることができます。
参照:ワンストップ特例制度」の申請用紙ダウンロード

・本人確認書類
本人確認書類は、「番号確認用」+「身元確認用」の書類が必要です。以下の3パターンから選ぶことができます。

①マイナンバーカード+マイナンバーカード
番号確認用:マイナンバーカードの裏面(写し)
身元確認用:マイナンバーカードの表面(写し)

②通知カードもしくは住民票+運転免許証もしくはパスポート
番号確認用:通知カード(写し)か個人番号入りの住民票(写し)
身元確認用:運転免許証(写し)かパスポート(写し)

③通知カードもしくは住民票+健康保険証・年金手帳・提出先自治体が認める公的書類
番号確認用:通知カード(写し)か個人番号入り住民票(写し)
身元確認用:健康保険証・年金手帳・提出先自治体が認める公的書類のいずれか2点

申請期限は翌年の1月10日

ふるさと納税の申請期限は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日です。記入事項を記載したワンストップ特例制度の申請用紙と本人確認書類を封筒に入れて、ふるさと納税を行った自治体に送付し、申請の完了となります。

スマートフォンでの申請も可能!

勤務先で年末調整を受けている給与所得者の場合、ふるさと納税の寄附金控除はスマートフォンのみで済ませることが可能です。スマートフォンでの申請の流れは、次のようになっています。

ステップ1:申告書の提出方法の確認
ステップ2:「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
ステップ3:申告内容に関する質問の回答
ステップ4:アプリのインストール
ステップ5:マイナンバーカード読み取り
ステップ6:源泉徴収票の入力
ステップ7:寄附金控除の入力
ステップ8:本人情報とマイナンバーの入力
ステップ9:送信

詳細に関しては、下記のサイトをご覧ください。
参照:「スマートフォンで年末調整済みの給与所得者がふるさと納税(寄附金控除)を申告する場合の入力例」

まとめ

ふるさと納税など寄附をした場合は、寄附金控除の対象となる可能性があります。たとえ年末調整の済んでいる給与所得者だとしても、確定申告をすることで支払った税金が還付されます。

また、ふるさと納税をした方で一定条件が当てはまる場合は、「ワンストップ特例制度」を利用することができます。いずれせよ寄附金控除の対象となる方は、忘れずに確定申告を行いましょう。


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