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新会社設立に資本金はいくら必要?理想的な資本金の金額を設定する方法

2020年3月18日
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資本金

法改正が実施され、法律的には資本金1円でも会社を設立することができるようになりました。しかし、本当に1円で新会社を設立しても大丈夫なのでしょうか?この記事では、株式会社を設立する際の妥当な資金の金額や、資本金を決定する前に考慮すべきことなどについて解説していきます。

資本金とは?

資本金とは、開業時点で会社が所有している運転資金のことで、自己資金とも呼ばれています。会社を設立するためには運転資金に加え、新事業を立ち上げる際に資金が必要なときにに株主や投資家などから受けた出資も資本金に該当します。ただし、創業時に出資を受けるケースは難しく、ほとんどのケースは創業者の自己資金で事業を開始するケースがほとんどです。

このように資本金とは、事業を行う元手のことをいいます。なお、法改正前は、株式会社は資本金1,000万円以上、有限会社は資本金300万円以上なければ設立することができませんでした。しかし、2006年に法改正が施行されることで最低資本金制度がなくなりました。現在は新会社法に基づき、1円から会社を成立することが可能となっています。

株式会社設立に必要な理想的な資本金の金額は?

新会社法により、株式会社は1円以上の資本金があれば設立することができるようになったので、会社を設立する人は、自由に資本金の金額を設定できるようになっています。しかし、現実は、1円の資本金で会社を設立することは無謀です。では、資本金の理想的な金額はどのくらいなのでしょうか?

資本金の金額を低く設定し過ぎることに伴うリスク

資本金を低く設定しすぎると、借金がある会社と思われる可能性が高くなり、会社の信頼性に影響が及びます。具体的には金融機関などから融資を受けるときや、新しい取引先と取引を始めるときなどに影響があります。つまり、資本金の金額が多ければ多いほど、事業の規模が大きくて安定している会社、と判断されやすくなるのです。

資本金の金額を高く設定し過ぎるすることに伴うリスク

資本金の金額を低く設定することにリスクが伴うからといって、資本金を調達する「増資」をして資本金を過度に増やすことにもリスクが伴います。資本金が増えるのはメリットと思われがちですが、増資を過度にし過ぎると、発行可能株式数が増加し、一株あたりの利益が下がってしまいます。その結果、既存の株主に不利益を生じさせてしまう可能性があります。

資本金を増やすために、事業の途中から増資することもできますが、登録免許税などの法的手続きをする必要があります。登録免許税は最低3万円以上かかりますし、司法書士などの専門家による手続きへの報酬などもあります。さらに、株主の出資割合を示す「持株比率」にも影響が及び、経営者の株比率が下がってしまうことで、第三者の意志で代表取締役を解任させられてしまうというリスクも伴います。

資本金の理想的な金額は?

資本金の金額は、会社設立にかかる費用と、開業後に予想される収益と費用を算定した運転資金を基礎として金額を設定するのが一般的となっています。また、開業直後は、事業が軌道に乗るまで時間がかかることが予想されます。ですから、万が一に備えて、たとえ数ヶ月売上が悪くても会社を維持できる予算を確保しておくことは重要です。

これらに加え、設備投資の有無や事業の内容も考慮した金額を設定しなければいけません。例えば、何かを生産するなどのモノ作りの業種の場合は、倉庫や工場、業務用機材、設備などの初期投資が数百万円単位で必要となってくることでしょう。一方、大掛かりな設備や在庫を抱えずに事業を始められる業種もあります。ですから、設備投資の有無や業務の内容なども考慮しながら、資本金の金額を決めることは大切です。

理想的な資本金の金額設定のポイント!

では、上記の点を踏まえながら、会社の信用に関わる資本金の金額を設定する際のポイントをご紹介しましょう。

ポイント1:融資が受けやすい

資本金は、金融機関の融資審査の結果を左右します。例えば、資本金50万円と500万円の企業が、創業時に金融機関へ300万円の融資を受けたい場合、金融機関はどちらの企業に融資をするでしょうか?資本金50万円の企業が融資を受けられないというわけではありませんが、資本金500万円の企業の方が融資を受けやすくなります。

また、創業融資を受ける場合は、自己資金の金額が重視される傾向にあります。起業してすぐに金融機関から融資を受けることを検討している場合は、資本金の金額を多めに設定されておかれることをおすすめします。

ポイント2:事業の許認可の要件

事業の種類によっては、許認可が必要なことがあります。その場合、最低資本金の要件が設定されているケースもあります。したがって、事業に必要な許認可の要件を考慮して、資本金の金額を設定する必要があります。

ポイント3:信用性を高める

法律上では1円の資本金で会社を設立することができるとしても、初期費用なしの1円で事業を始めることはほぼできません。資本金は、会社の信用度を判断するための材料のひとつです。特に大企業など企業によっては、取引先候補となる相手の資本金を定礎で確認したり、一定の金額基準を設けて取引の判断基準にしている企業もあります。

資本金が少なければマイナス印象を与えてしまい、せっかくのビジネスチャンスも流れてしまう可能性があります。ですから、相手に信用を与える金額を設定することは大切です。

ポイント4:税の負担額の影響

小規模な新設法人の場合は中小企業とみなされるため、会社を設立した設立1期目と2期目まで消費税が免除となる「消費税免除措置」を受けることができるため、消費税が免除されます。しかし、資本金を1,000万円以上に設定すると「消費税免除措置」は適用外となり、初年度から消費税が発生します。

また、法人住民税も資本金の金額によって変わってきます。法人住民税は、たとえ赤字であるとしても、事業の利益に関係なく発生する均等割の税金です。各自治体によって金額は若干異なりますが、従業員が50人以下の場合は、資本金にかかる法人住民税は次のようになります。

資本金 法人住民税
1,000万円以下 70,000円
1,000万円~1億円以下 180,000円
1億円~10億円 290,000円
10億円~50億円以下 950,000円
50億円以上 1,210,000円

一般的な法人成立であれば、資本金が1,000万円を超えるか超えないかによって、法人住民税が大きく変わってきます。ですから、資本金の金額を決める場合は、税の負担額の影響も考慮することは大切です。

まとめ

株式会社を設立するためには、資本金が欠かせません。資本金はあくまでもひとつの目安であり、資本金で会社の価値が決まるものではありませんが、設定金額によっては事業を推進する上でメリットにもなればデメリットになる可能性があります。

融資をスムーズに受けたり、会社の信頼性を高めるためには、ある程度の資本金を準備しておくことは必要です。それに加え、あまりにも高い金額を設定するなら、税の負担額の影響が及ぼすことも覚えておく必要があります。

これらのことを考慮しながら、自社の最適な資本金を慎重に決定していきましょう。また、相手の会社を判断する際にも、資本金だけで価値を判断するのではなく、ひとつの判断材料とみなすようにしましょう。


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