コーポレートファイナンスとは?意味・目的・資金調達方法などの基礎知識 | 税理士コンシェルジュ

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コーポレートファイナンスとは?意味・目的・資金調達方法などの基礎知識

2020年5月16日
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コーポレートファイナンスと聞くと、難しい経済用語に感じる方もいるかもしれません。コーポレートファイナンスとは、直訳すると「企業財務」のことです。主に企業価値を高めることを目的とした財務活動のことで、資金調達のことを指して使われることもあります。今回は、コーポレートファイナンスの意味や目的など基礎的な知識について解説していきます。

コーポレートファイナンスとは?

コーポレートファイナンス (corporate finance) とは、企業価値を最大化ことを目的として資金を調達し、事業に運用する財務活動のことです。企業価値を最大化することには、将来獲得する自由に使える現金、つまり、フリーキャッシュフローを最大化することが大きく関係してきます。

また、コーポレートファイナンスには、調達元に資金の返済や還元をしたり、事業に必要な資金を市場から調達する活動のことを指すこともあります。さらに、コーポレートファイナンスには幅広い意味があり、金融機関の企業に対する企業価値を引当てとする金融や、企業の財務や金融、資金調達の方法、投資判断の方法などさまざまな意味を持っています。

つまり、簡単にまとめると、コーポレートファイナンスとは、将来自由に使える現金を多く得るために、どのように資金を調達するか、調達した資金をどこに投資するか、資金調達先にどのくらい還元するか、という点を検討しながら財務活動を行うことです。

企業価値とは?

企業価値とは、ひと言でまとめると「企業全体の経済的な価値」のことです。つまり、その企業が将来にわたって生み出すフリーキャッシュフローの現在の価値のことです。そもそもフリーキャッシュフローとは、自由に使える現金で、企業の純資産のことです。純資産を増やして事業を安定させるという目的を達成するための資金調達や資金運用方法がコーポレートファイナンスの目的となっています。

企業価値を求める際の3つの指標

コーポレートファイナンスを効率よく行うために、企業の価値を求める際に3つの指標が使われています。それは「NPV(正味現在価値)」「DCF法(割引キャッシュフロー)」「IRR(内部収益率)」の3つです。では、それぞれの指標を詳しくみていきましょう。

指標その1:「NPV(正味現在価値)」

「NPV」は、英語の「Net Present Value」の頭文字をとった略称で、「正味現在価値」とも呼ばれています。企業が将来にわたって生み出す利益を、現在の価値に換算した場合の企業価値、という意味があります。つまり、その企業に投資することで、どれだけの利益を得られるか、を判断する指標となっています。そのため、この指標は事業や新プロジェクトなどに投資をする前の判断基準として使われています。

そして、将来受け取れると予測される額を算定し、投資額が下回っている場合は、投資の対象として検討します。その投資対象を見極めるための指標が、NPVなのです。NPVは、「企業価値=将来のキャッシュフローの総額(現在価値)−投資コスト」という計算式で算定します。算出された企業価値の数字が大きければ大きいほど、投資価値があると言えます。

例えば、現在の1万円と、10年後の1万円の価値は同じとは言えません。仮に10年後の日本の経済物価が10倍になっていれば、10年後の1万円が現在の1,000円ほどの価値しかありません。ここまで極端にお金の価値が変動することはありませんが、投資する側がお金の価値の変動を含めた損得を算定したものがNPV、つまり正味現在価値なのです。

このようにNPVを算定し、将来的なフリーキャッシュフローを得ることで起業の価値を高めることがコーポレートファイナンスです。

指標その2:「DCF法(割引キャッシュフロー)」

「DCF法」は、英語の「Discounted Cash Flow」の頭文字をとった略称で、直訳すると「割引キャッシュフロー」と呼ばれる企業評価法です。DCF法では、事業が生み出す期待フリーキャッシュフロー全体を予測し、一定の割引率で割り引いて現在の企業価値を算出します。DCF法では、将来のお金と現在のお金の価値は違うと考えているため割引をしています。

例えば、現在所有している100万円と、5年後に所有している100万円の価値は同じではありません。なぜなら、仮に年利1%で運用するなら、5年後には105万円になっています。このようにDCF法を用いることで、将来予測される価値が現在の価値でどのくらいになるかを把握することができます。したがって、投資すべき対象を明確にすることが可能となります。

DCF法では、企業価値を「企業価値=将来のフリーキャッシュフローの総額を加重平均資本コスト(WACC)で割り引いた現在価値」という計算式で算出します。なお、上記で解説したMPV(正味現在価値)もDCF法のひとつとなっています。

指標その3:「IRR(内部収益率)」

「IRR」は、英語の「Internal Rate of Return」の頭文字をとった略称で「内部収益率」とも呼ばれています。これは「事業やプロジェクトのMPVがゼロになるような割引率」と定義されており、新事業やプロジェクトの収益率を計算して、投資判断をする指標として用いられています。

ある事業やプロジェクトなどが将来生み出すフリーキャッシュフロー(現在価値)と、それに必要な投資額(現在価値)が、ちょうど均衡しゼロになるような割引率となります。投資家などはあらかじめIRRにハードルレートとして定め、その企業のIRRがハードルレートを超えていれば投資を実行する判断の基準としています。

資金調達の方法とは?

コーポレートファイナンスをするためには、投資するための資金を準備しなければいけません。では、どのように資金調達をすればよいのでしょうか?

方法その①利用していない資産を投資ために売却する

コーポレートファイナンスの資金調達の方法としてまず、利用していない資産を売却する方法を挙げることができます。資産には不動産、有価証券まどがあります。利用価値が低い資産を投資することは、将来的に自由に使える資産につながる可能性があります。利用していない資産があるなら、投資に回すことを検討してみましょう。

方法その②金融機関から融資を受けて投資に回す

銀行やビジネスローンなど金融機関などから資金調達のために融資を受け、投資に回すこともひとつの方法です。企業に信用度や知名度、不動産などの担保があるなら、融資の審査もスムーズにクリアできるため、効率よく資金調達をすることができます。当たり前のことですが、融資を受けるということには返済義務があるため、利息も発生します。

ですから、支払う利息よりも多くのお金を投資で回収することを第一に考えなければいけません。借りたお金を投資に回すことには大きなリスクも伴いますので、投資先をしっかり見極める必要があります。なお、銀行などの金融機関での融資には、「証書貸付」「手形貸付」「手形割引」「当座貸越」などがありますが、これらはすべて銀行借入として扱われています。

また、銀行と企業が「コミットライン」の契約締結するなら、安定した運転資金を確保することができます。コミットラインとは、決まった期間と融資枠の範囲内であれば、企業に対して銀行が融資をしてくれる制度のことです。まずは相談してみることができるでしょう。

方法その③社債を利用する

株式を発行することが難しい企業であれば、社債を発行することで資金を調達することができるかもしれません。社債は付こうとは、社債券と投資家に発行することで、投資家から資金調達をすることです。しかし、大型な社債を発行することはコストもかかるため容易なことではありませんし、必ずしも購入者が集まるという保証もないためリスクもあります。

そこで、49人以下の投資間に発行できる少人数私募債を利用するなら、資金調達が行いやすくなるでしょう。社債は利息を返済しなければいけませんが、上手に活用するなら資金調達につながります。

方法その④株式を利用する

資金調達する方法として、株式を発行して第三者に購入してもらうことも有効です。基本的に株式には返済義務がありません。ですから、比較的自由に投資へ回すことができるというメリットがあります。ただし、株式を発行できる企業は限られていますし、株数に応じて配当を支払わなければいけません。

なお、新株発行には、「株主割当増資」「第三者割当増資」「公募増資」の3種類あり、調達した資金に対しての金利の支払いや元金の返済義務はありません。

方法その⑤個人の投資家から出資を受けてみる

近年、企業の成長を助けたいと考えているエンジェル投資家と呼ばれる個人投資家から出資を受けることが注目されています。個人投資家の多くは、主にスタートアップ企業の資金繰りをサポートし、将来の企業かを応援することも目的としているため、厳しい審査なしで融資を受けることが可能です。

投資家にもよりますが比較的出資額は少ない傾向にありますが、投資家は出資することで節税につながるというメリットを得ることができます。双方にとってメリットがある制度なので、マッチングサービスも展開されています。気になる方は、マッチングサービスに登録してみることができるでしょう。

方法その⑥ベンチャーキャピタルから出資を受けてみる

ベンチャーキャピタルとは、複数の投資家を集めて、成長する見込みのある企業へ出資をする、近年注目されている団体のひとつです。資金調達するために、ベンチャーキャピタルから出資を受けることもひとつの方法です。出資なので返済義務はありませんが、その代わりに株式を譲渡する必要があります。集めた資金は投資へ自由に回すことが可能です。

ただし、ベンチャーキャピタルは上場を視野に入れた企業のみに出資をするため、企業によっては出資対象外となることもあります。

方法その⑦助成金や補助金などを利用する

資金調達のために、国や地方公共団体が公募している助成金や補助金などを上手に利用することもできます。助成金や補助金の多くは、創業時でも利用できるものが多いため、資金調達をサポートしてくれることでしょう。ただし、助成金や補助金を受けるためには、厳しい審査をクリアすることが条件となっています。また、利用用途が限られています。しかし、メリットも多いので助成金や補助金を上手に活用することができるでしょう。

まとめ

コーポレートファイナンスは、企業価値を高めたいと考えている経営者をはじめとし、多くの企業で取り組んでいる「企業価値を最大化することを目的とし、資金を調達したり、事業に投資したりする経営戦略」のことです。適切な金利や方法で資金調達をし、適切な利益が見込まれる事業やプロジェクトに投資することで、長期間にわたって財務活動をすることができます。コーポレートファイナンスを企業活動に上手に利用することができれば、黒字が続く利益体質の企業として安定することでしょう。


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