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会社設立と起業時の税理士の選び方、創業期に失敗しない見極めの基準

会社設立を決めた直後は、登記の手配と事業の立ち上げが同時に進み、税務の話は後回しになりがちです。誰に何を任せるかを決めないまま数か月が過ぎ、提出物の締切だけが先に来てしまう例は珍しくありません。

ここでは相手を見極めるポイントを、依頼するタイミングと、創業融資を受ける際に関わってくる制度の枠組みに分けて並べます。材料になるのは、公表されている期限と、面談で実際に確かめられる対応の中身です。

監修者:
山下 健一(株式会社タックスコム代表)
20年・27,000件超の実績と1,600名との面談をもとに、経営者向けの税理士選びの情報を発信しています。

創業時に税理士に相談している経営者のイラスト

会社設立の前後で税理士に任せる範囲は大きく変わる

経営者がかばんを手に提げて部屋の外へ歩き出している

会社設立という言葉には、法務局での登記と、税務署への届出という性質の違う二つの作業が含まれています。前者は登記の専門家である司法書士の領域であり、税理士が代理することはできません。

起業の準備を進める段階で、この役割分担を知らないまま一括で頼もうとすると、話が噛み合わなくなります。実務では法務局への手続きを司法書士へ、届出と初年度の記帳を税理士へ、と分けて依頼する形が一般的です。

法務局での手続きが済んだあとに始まるのが、税務署と都道府県・市区町村への届出です。国税庁のタックスアンサーは、法人設立届出書の提出期限を設立の日から2か月以内としています。

この2か月という区切りが、税理士を探し始める実質的な締切になります。会社設立の登記を終えてから相手を探し始めると、書類をそろえる時間がほとんど残りません。

任せる範囲を先に決めておけば、面談で聞くべきことも定まります。記帳をどこまで自社で行うか、給与計算を含めるか。この二点が、最初に押さえておきたいポイントです。

範囲を決めずに複数の事務所へ問い合わせると、提示される見積もりの前提がばらばらになり、正しく比較できなくなります。同じ条件を書いた一枚のメモを用意し、同じ文面で送るだけで比較が成立します。

起業して最初の数か月は、売上より先に多くの支出が発生します。開業費の扱いや、手続の前に個人名義で払った費用をどこまで経費にできるかは、早い時期に相談しておきたい論点です。

そのうえで、届出の代行だけを頼むのか、初回の決算まで見てもらうのかを決めます。範囲が狭いほど費用は下がりますが、抜けた部分を自分で埋めることになる点が、もう一つのポイントになります。

相談を始めるタイミングは、この範囲を決めた直後がもっとも無駄がありません。決めないまま話し始めると、面談の時間の多くが前提の説明だけで消えてしまいます。

内国法人(国内に本店または主たる事務所を有する法人)である普通法人または協同組合等を設立した場合は、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に「法人設立届出書」に「定款、寄附行為、規則または規約等の写し」を添付して、e-Taxまたは書面により納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません(書面で作成される場合は、1部(調査課所管法人は2部)、提出先に持参または送付してください。)。

出典:国税庁 タックスアンサー No.5100「新設法人の届出書類」(令和7年4月1日現在法令等・2026年8月17日取得)

起業の直後に届出が集中する理由と、締切を落としたときの影響

提出物が集中するのは、法人ができた時点で、税目ごとの義務が同時に発生するためです。会社設立の登記日が起点になり、そこから2か月、3か月と別々の期限が動き出します。

給与を払い始めれば源泉徴収の義務が生じます。国税庁は、新たに給与の支払を始めて源泉徴収義務者となる場合の届出について、開設から1か月以内という期限を示しています。

役員報酬を出すなら、法務局での手続きの直後から給与の支払が始まります。役員が社長ひとりの法人でもこの提出物は必要で、忘れたまま数か月が過ぎる例は起業の現場で起こりがちです。

青色申告の承認申請は、提出期限を過ぎると初年度が白色申告になります。赤字を翌期以降へ繰り越せなくなるため、創業期の資金繰りに直接響く論点です。

締切を過ぎた提出が、そのまま罰則につながるわけではありません。ただし、受けられたはずの取り扱いが受けられなくなる、という形で結果に差が出ます。

会社設立の前に相手を決めておけば、これらの期限は事務所側の管理表に載ります。決めていなければ、経営者が自分で日付を追いかけることになります。

期限の管理を誰が持つのか。ここを契約の前に確かめておくことが、費用の比較よりも先に来るポイントです。事務所によって、代行を初回の費用に含める場合と別に見積もる場合があります。

起業して最初の一年は、提出物の数がもっとも多い時期です。ここを一緒に走ってくれる相手かどうかが、その後の付き合い方を大きく左右します。

相談のタイミングを測りかねているなら、下の表を先に眺めてみてください。自分ひとりで追える量かどうかが、そこで感覚としてつかめます。

もう一つのポイントは、地方税の届出が別にあることです。都道府県と市区町村にもそれぞれ提出先があり、様式も締切も国のものとは分かれています。

なお、国内において会社や個人が、新たに給与の支払を始めて、源泉徴収義務者となる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を、給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出することになっています。

出典:国税庁 タックスアンサー No.2502「源泉徴収義務者とは」(2026年8月17日取得・令和7年4月1日現在法令等)

主な提出物 いつまでに出すか 出所
法人設立届出書 設立の日から2か月以内 No.5100(国税庁)
給与支払事務所等の開設届出書 給与の支払事務所を開いてから1か月以内 No.2502(国税庁)
青色申告の承認申請書 設立の日から3か月を過ぎた日と、第1期の事業年度が終わる日の、早いほうの前日まで No.5100(国税庁)
棚卸資産の評価方法の届出書 第1期の確定申告の期限と同じ日まで No.5100(国税庁)
減価償却資産の償却方法の届出書 棚卸資産のときと同じ日が締切になる No.5100(国税庁)

タイミングは三つある、登記の前と登記の直後と初回決算の前

経営者が机で紙を1枚だけ持ち上げ、もう1枚を机の上に押さえて見比べている

依頼のタイミングは大きく三つに分かれます。法務局での手続きより前、それを終えた直後、そして初回の決算が近づいたころです。どれを選ぶかで、受けられる助言の幅が変わります。

手続きより前に相談すると、資本金の額、事業年度の区切り方、役員報酬の決め方まで含めて話せます。会社設立の設計そのものに手が入るため、あとから取り返せない選択を避けやすくなります。

事業年度をどこで区切るかは、あとから変えるのに手間がかかります。繁忙期と決算作業が重なる区切り方にしてしまうと、毎年その負担が戻ってきます。ここは早いタイミングでしか動かせません。

登記の直後に頼む形は、実際にはもっとも多い進み方です。提出物の期限には間に合いますが、資本金や事業年度はすでに決まっており、助言の余地はその分だけ狭まります。

初回の決算が近づいてから探すタイミングでは、費用が読みにくくなります。一年分の資料をまとめて渡すことになり、記帳の遅れを取り戻す作業が上乗せされるためです。

会社設立を予定している段階で問い合わせると、断られると考える経営者もいます。実際には、これから登記する予定の相談を受け付けている事務所は珍しくありません。

問い合わせの際は、手続きの予定日と、いま決まっている資本金の額を先に伝えます。この二つが分かるだけで、相手は答えられる範囲と費用の見当をつけられます。ここが最初のポイントです。

三つのうちどれを選ぶにしても、決めた時点を記録に残しておきます。あとで振り返るとき、判断が早かったのか遅かったのかを確かめる基準になります。

もう一つのポイントは、相手側にも繁忙期があることです。決算期が集中する時期は面談の枠が取りにくく、返答までの日数も普段より延びます。

会社設立の直後に届出漏れが起きる構造と、事務所側の備え方

提出漏れは、経営者の不注意というより、時期が重なることで起きます。会社設立の直後は、口座の開設、許認可、採用、仕入先との交渉が同時に走る時期だからです。

そこへ税務署と自治体への提出物が並びます。書類ごとに宛先も締切も違うため、一覧にしないかぎり全体像が見えません。ここが漏れの起きる場所になります。

事務所の側にこの前提があるかどうかは、初回の面談で分かります。提出物の一覧を先に示してくれるか、それとも聞かれたことにだけ答えるかで、準備の丁寧さが分かります。

もう一つの構造的な要因が、担当の引き継ぎです。問い合わせに応じた人と、実際に手を動かす人が違う事務所では、聞いた話が伝わらないまま作業が始まることがあります。

会社設立の時期は、経営者の側も日々の判断に追われています。だからこそ、確かめの連絡を相手から入れてくれるかどうかが、実務の差として表れます。

ここでのポイントは、相手を責める材料を探すことではありません。どちらが何を担当するのかを決めていないから漏れる、という原因を事前になくしておくことです。

下に挙げたのは、初回の面談で確かめておくと漏れを減らせる項目です。どれも金額の話ではなく、進め方の取り決めに関わるものです。

この取り決めを口頭で済ませると、あとで食い違いが出ます。面談のあとに要点を書いて送り、相手の返信で残しておくと、それだけで記録になります。

取り決めを交わすタイミングは、費用の話がまとまる前が向いています。金額が決まったあとでは、作業の線引きを持ち出しにくくなるためです。

提出物の一覧は、一度作れば毎年使えます。翌期からは日付を書き換えるだけで済むので、初年度のうちに一覧を整えておくと、翌期以降の負担が軽くなります。

  • 提出物の一覧と締切を、誰が作って誰が管理するのか
  • 代行の作業が初回の費用に含まれるのか、別に見積もるのか
  • 問い合わせの窓口と、返答までの目安となる日数
  • 担当者が交代する場合の引き継ぎの手順
  • 資料を渡す方法と、受け取りの合図をどう出すか

創業融資を前提に相談するなら、金融の話が通じる相手を選ぶ

経営者と税理士が机をはさんで向かい合い、紙を1枚受け渡している

創業融資を考えているなら、税務だけでなく資金調達の相談ができる相手かどうかを見ます。決算書を作成する作業と、金融機関に説明する作業は、求められる実務が異なるためです。

公的な制度としては、中小企業庁が経営者保証を不要とする創業時の信用保証制度を設けています。名称は「スタートアップ創出促進保証制度」で、保証限度額は3,500万円、保証期間は10年以内と公表されています。

据置期間は1年以内とされ、一定の条件を満たす場合には3年以内まで認められます。担保と保証人は不要で、保証料率は各信用保証協会所定の創業関連保証に0.2%を上乗せする形です。

この制度では創業計画書の提出が求められます。会社設立の前後で数字の裏づけを整えておくかどうかが、そのまま計画書の説得力に反映されます。

自己資金についても要件が置かれています。保証の申込時点で税務申告が1期も終わっていない場合には、創業資金の総額に対する一定の割合を自分で用意していることが必要とされています。

創業融資の細かな条件は制度ごとに異なり、窓口も金融機関と信用保証協会に分かれます。ここを一緒に整理してくれる相手かどうかは、面談で創業融資の相談歴を聞けば見当がつきます。

注意したいのは、融資の可否そのものを約束する話が出た場合です。審査は金融機関と保証協会が行うもので、会社設立を手伝う立場の人が決められる領域ではありません。

できるのは、数字の根拠を整え、説明の順序を組み立てるところまでです。対応できる範囲を正直に伝えてくれる相手のほうが、あとで話が食い違いません。ここは見極めのポイントになります。

相談するタイミングも重要になってきます。創業融資の申込前に一度、計画の数字を第三者の目で見てもらう時間を取れるかどうかで、書類の完成度が変わります。

もう一つのポイントは、融資を受けたあとの話ができるかどうかです。この制度では、設立から3年目と5年目に体制の確かめを受けることが求められています。

保証申込受付時点において税務申告1期未終了の創業者にあっては創業資金総額の1/10以上の自己資金を有していることを要する。

出典:中小企業庁「経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度(スタートアップ創出促進保証)を開始します。」制度概要(令和7年2月3日更新・2026年8月17日取得)

ポイントは返答の速さ、面談で連絡の作法まで確かめておく

創業期の相談は、量よりも回数で効いてきます。一度に大きな判断をするのではなく、小さな問いが次々に出てくるため、返ってくるまでの日数がそのまま経営のスピードに直結します。

この点は、税理士選びを扱った書籍でも独立した観点として挙げられています。人柄や知識と並べて、時間を割いてもらえるかどうかを見るべきだという指摘です。

会社設立の直後は、判断を保留できる余地が小さい時期です。取引先への回答、口座の開設、賃貸の契約と、外の相手が待っている案件が多いためです。

面談では、質問への回答が何日で返ってくるのかを具体的に聞きます。目安を言えるかどうかで、抱えている件数と、こちらに割ける時間の見当がつきます。

連絡の手段も確かめておきます。電話しか受け付けない、あるいは特定のアプリに限る、といった取り決めがあると、こちらの動き方も変わってきます。

返答が速い相手が常に良いとは限らない点も、押さえておきたいポイントです。速いかわりに中身が浅い場合もあるため、初回の質問には少し込み入ったものを一つ混ぜておきます。

会社設立の相談を受け慣れている事務所ほど、明確な対応パターンを持っています。その進め方が自社の事情に合うかどうかを見るのが、ここでの確認ポイントです。

連絡が届く時間帯も、意外に効いてきます。夜間や休日に判断を迫られる業種では、翌営業日まで動けない前提を先に共有しておかないと、あとで擦れ違います。

速さを測るタイミングは、契約の前に一度だけ作れます。見積もりを受け取ったあと、追加の問いを一つ送ってみると、実務に入ってからの速度がおおよそ読めます。

返答の中身をどう記録するかも、決めておきたいポイントです。口頭で聞いた内容を書き起こして送り返しておくと、あとで解釈の食い違いが起きにくくなります。

また、税理士を選ぶ際には、時間を割いてサービスを提供してくれるか、つまり、時間的余裕があるかどうかも考慮する必要があります。どれだけ人間性が優れていて、そして知識や経験が豊富であったとしてもあまりに多忙でレスポンスが遅いのでは問題があります。

出典:山下健一『税理士に顧問料を払う本当の理由』(ファストブック、2017年)p.114

ここで会社設立の相手との相性を測る質問と、答えの読み取り方

経営者が机の上の紙にペンで質問を書き出している

立ち上げ期の面談で相性を測るなら、答えの正しさではなく、答え方を見ます。同じ問いでも、前提を聞き返してくるか、いきなり結論を置くかで、その後の付き合い方が読めます。

役員報酬をいくらにするかという問いは、その意味で使いやすい質問です。会社設立から一年の見込みと、生活に必要な額の両方を聞かなければ、本来は答えられないためです。

前提を聞かずに一般論だけが返ってきたなら、こちらの事情に合わせる姿勢は薄いと考えられます。逆に質問が返ってくれば、判断の材料を集めようとしていることが分かります。

もう一つ有効なのが、分からないことをどう扱うかを見る問いです。専門外の論点をあえて一つ混ぜ、調べて折り返すと言えるかどうかを確かめます。

その場で断定してしまう相手より、確かめてから答える相手のほうが、あとで訂正が起きにくくなります。起業した直後は前例のない判断が続くため、この差は積み重なります。

会社設立を何件扱ってきたかを聞くのも一つの方法ですが、件数だけでは中身が分かりません。直近で扱った業種と、そこで詰まった論点を聞くほうが実態に近づきます。

答えを聞いたあとは、その場でメモに残します。二社、三社と面談を重ねると記憶が混ざるため、書いたものだけを比べる形にしておくと判断がぶれません。

質問を投げるタイミングは、費用の話に入る前が向いています。金額を聞いたあとでは、答えの印象がそちらに引きずられてしまうためです。

相性という言葉は曖昧に響きますが、測るポイントは具体的にできます。前提を聞くか、分からないと言えるか、記録を残すか。この三つで十分に差が出ます。

最後にもう一つ、こちらの事業内容をどれだけ聞いてくるかも見ておきたいポイントです。数字より先に商売の中身を尋ねる相手は、あとの提案も的を外しにくくなります。

顧問契約の書面で確かめる解約の条件と担当者の決まり方

顧問契約は、口頭の合意だけで始めないほうが安全です。創業期は前提が短い周期で変わるため、書面がないと、話したはずの内容をあとから確かめられなくなります。

まず見るのは解約の条件です。申し出から契約が終わるまでの期間、途中でやめたときの費用の扱い、資料を返してもらう手順の三点を確かめます。

次に担当者の決まり方です。顧問契約を結ぶ相手が事務所であっても、実際に接するのは担当者になります。交代の可能性と、その際の連絡の流れを書面に残しておきます。

会社設立の直後は、業務の量が読みにくい時期でもあります。作業が想定を超えたときに追加の費用が生じるのか、その判断を誰がいつ知らせるのかを決めておきます。

決算料や年末調整のように、月額とは別に請求される項目も並べて確かめます。合計の年額で比べないと、月額だけを見た比較は当てになりません。ここは見落としやすいポイントです。

顧問契約の期間についても、自動で更新される取り決めがあるかを見ます。更新の前に見直しの機会を置いておくと、合わないまま続く事態を避けやすくなります。

会社設立に合わせて割り引く案内が出ることもあります。その割引が何か月続き、そのあといくらになるのかを、契約の前に数字で確かめておきます。

書面を受け取るタイミングも見ておきます。面談の場でいきなり差し出されると、読む時間が取れません。持ち帰って一晩置ける進め方かどうかで、相手の姿勢が見えます。

顧問契約の書面には、業務の範囲が箇条で並んでいるのが普通です。そこに記帳と給与計算がどう書かれているかを、最初の面談で決めた範囲と突き合わせます。

読み込む時間が取れないときは、解約と費用の二点だけでも先に確かめておきます。この二つが分かっていれば、あとから合わないと気づいたときに動けます。

この時期の会社設立では、資金の流れを一緒に見る相手が要る

資金繰りは、創業期にもっとも早く直面する重要な論点です。利益が出ていても手元の現金が尽きれば止まるため、税額の計算だけでは足りない領域になります。

消費税の扱いは、その代表例です。新しく作った法人は、原則として最初の二期は納税義務が免除されますが、届出を出して自ら課税事業者になる選択もあります。

設備投資が先に立つ事業では、この選択が資金繰りを左右します。会社設立の時点で見込みを立て、どちらが手元に現金を残すかを比べておく必要があります。

ただし、いったん選ぶと元に戻せない期間があります。そこまで含めて説明できるかどうかが、資金繰りの相談に乗れる相手かを見分けるポイントの一つです。

もう一つの観点が、月次の数字をいつ見せてくれるかです。三か月遅れで届く試算表では、資金繰りの判断には使えません。締めてから何日で出るのかを聞いておきます。

会社設立の初年度は、比べる前年の数字がありません。だからこそ、計画と実績を並べる形を最初から作っておくと、ずれの原因を早く見つけられます。

資金繰りの表を自分で作るか、事務所に作ってもらうかも決めておきます。作る主体があいまいなまま数か月が過ぎると、必要になった時点で手元に何もありません。

創業融資を受けている場合は、返済が始まるタイミングと入金の周期を重ねて見ます。売掛の回収が遅い業種では、利益が出ていても手元の現金が不足する時期が来ます。

相談できる頻度も、見分けのポイントになります。月に一度の定例があるのか、必要なときだけ連絡する形なのか。創業融資を受けた直後は、前者のほうが崩れにくくなります。

この届出書を提出した場合には、原則として、提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間から、納税義務が免除されなくなります(事業を開始した日の属する課税期間など、一定の場合には、届出書を提出した日の属する課税期間から課税事業者となることができます。)。

出典:国税庁 タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」(令和7年4月1日現在法令等/2026年8月取得)

この時期に会社設立の相談先を絞り込む手順と、面談で聞く順番

絞り込みは、候補を広げる前に条件を書き出すところから始めます。任せる範囲、希望する連絡の手段、創業融資の相談を含めるかどうかの三つを、先に紙の上で書き出します。創業融資まで頼むなら、候補の顔ぶれも変わります。

次に候補を三つほど並べます。数を増やしても面談の時間が足りなくなるだけで、比べる材料はかえって薄くなります。三つなら同じ質問を同じ深さで投げられます。

会社設立の予定日が決まっているなら、その日付を最初の連絡に書きます。日程が動かせない前提が伝わると、相手も受けられるかどうかを早く返してくれます。

面談で聞く順番も決めておきます。費用から入ると金額の印象だけが残るため、範囲、進め方、担当、費用の順に置くと、判断の材料が積み上がります。

範囲の話では、こちらが行う作業と相手が行う作業を線で分けます。ここが曖昧なままだと、あとから請求の食い違いが起きる原因になります。

進め方の話では、資料の受け渡しと締切の管理を確かめます。担当の話では、初回に会った人が続けて担当するのかを聞きます。ここまで来てから費用を比べます。

面談が終わったら、その日のうちに要点を書き出します。三社ぶんがそろってから読み返すと、会社設立の相談相手として合うかどうかの差が、文字の上に見えてきます。

面談の日程を並べるタイミングにも、少し気を配ります。一週間の中に収めておくと、記憶が新しいまま比べられ、判断の精度が上がります。

比べるときのポイントは、良かった点ではなく引っかかった点を先に並べることです。良い印象は残りやすく、差がつきにくいためです。

ここまでの手順を踏めば、断る連絡も出しやすくなります。条件を先に書き出しているので、合わなかった理由を短い言葉で伝えられます。

そのうえで会社設立の判断を振り返る、契約から3か月後の点検

経営者が机で紙に書き込み、税理士が横に立って同じ紙をのぞき込んでいる

選んだあとに何もしないでいると、合っているかどうかは分からないままになります。契約から3か月ほど経ったところで、一度だけ点検の時間を取っておきます。

点検の項目は多くなくて構いません。返答までの日数が面談で聞いた目安どおりか、月次の数字が約束の日までに出ているか。この二点で足ります。

会社設立の直後に決めた取り決めが、実際の業務で機能しているかも見ます。機能していない項目があれば、相手の怠慢ではなく前提の置き方が合っていなかった可能性を先に疑います。

ずれが見つかったときは、早いうちに伝えます。創業期は取引の量が少ないぶん、修正にかかる手間も小さく、言い出す負担が軽い時期だからです。

伝えるタイミングを逃すと、我慢が前提の付き合いになります。そうなってから直そうとすると、こちらも相手も切り出しにくくなります。

それでも合わないと感じるなら、何が合わなかったのかを言葉にして残します。次に探すときの条件になり、同じ理由で選び直す事態を避けられます。

基準そのものを組み立て直したいときは、創業期のうちに押さえておきたい税理士の選び方の基準を通して読むと、面談で何を見ていたのかを整理できます。

会社設立は一度きりの手続きですが、相手との付き合いはそこから続きます。最初の3か月を点検の期間と決めておくだけで、その後の数年の進み方が変わります。

点検の結果は短くて構わないので書き残します。翌年の同じ時期に読み返すと、どこが良くなったのかを自分の言葉で確かめられます。これが最後のポイントです。

税理士コンシェルジュ事務局からのコメント
会社設立の直後は、決めるべきことが一度に押し寄せます。だからこそ、相手を決める作業だけは登記より前に済ませておくと、あとの数か月がずいぶん楽になります。会社設立を経験した経営者が振り返って挙げるのも、多くはこの点でした。会社設立そのものは司法書士に任せる手続きですが、その先を誰と歩くかは経営者にしか決められません。迷ったときは、締切の一覧を手元に置いて、複数の事務所へ同じ問いを投げてみてください。

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