会社設立時に必要な「発起人」とはどんな人?役割や意味などを解説 | 税理士コンシェルジュ

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会社設立時に必要な「発起人」とはどんな人?役割や意味などを解説

2020年7月17日
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会社を設立する際には、必ず「発起人」が必要となります。おそらく多くの方が、発起人という言葉を見聞きしたことがあることでしょう。では、発起人はどんな人なのでしょうか?会社を設立時にどうして必要なのでしょうか?この記事では、発起人はどのような人で、どのような役割や意味があるのか発起人について詳しく解説していきます。

発起人とは?

発起人(ほっきにん)とは、会社を設立しよう、と会社を設立することを言い出した人のことです。会社法上では、発起人とは「会社設立にあたり出資し、定礎に記入・押印した人」と規定されています。つまり、発起人は会社設立に関する手続きや費用面で責任を負う立場にいます。

発起人は株主にもなる

発起人は、会社設立にあたり、出資をしています。したがって、会社設立後は、出資した資本金の金額に応じて株式が発行されるため、発起人は株主にもなります。株主となることができれば、会社の意思決定にも関与することが可能となります。

ただし、発起人は会社設立を行った人なので、会社設立後もその事実は変わることはありませんが、株主は株式を譲渡するなら変わってしまいます。つまり、発起人が株主を譲渡した場合は、株主ではなくなってしまいます。

発起人の役割

発起人には、次のような役割があります。

・会社に原資(資本金)の出資をする
・会社の事業内容の決定をする
・定礎の作成と認証を行う
・会社設立手続きを行う

発起人の責任

発起人は、会社設立の役割を担っていることから、会社設立をするまでの責任が会社法で規定されています。発起人の責任は、次のようになっています。

・原資(資本金)の調達に不足が発生した場合は、その不足金額を支払う
・会社設立手続きにおいて、発起人自身の役割を怠り、会社に損害を与えた場合は、賠償責任を負う
・会社設立に至らなかった場合は、設立に関係した費用の負担を負う
・会社設立に至らなかった場合は、発起人がその後の後始末の責任を負う

発起人の要件とは?

発起人になるための資格や要件などの制限は特にありません。ですから、15歳以上の人、もしくは法人であれば、誰でも発起人になることができます。なお、印鑑登録ができるのは15歳以上のため、印鑑登録が認められていない15歳未満は、発起人になることができません。

また、発起人には、人数の制限もありません。つまり、複数の方が発起人になれます。ただし、発起人が複数いると、意見が割れるなどトラブルが発生しやすくなるので注意が必要です。

発起人を決定する方法とは?

発起人を決定する際には、発起人の数によって、次の点に注意する必要があります。

・ひとりで会社を設立する場合
ひとりで会社を設立する場合は、発起人も株主も取締役もすべて本人が行うことになります。

・複数人が発起人となり会社を設立する場合
複数人が発起人となり会社を設立する場合は、必要書類が増えるため、会社設立までに時間を要します。それに加え、会社設立にあたっての重要事項を決定する際には、意見が分かれる可能性もあるため時間がかかることが予想されます。

また、複数人が発起人となる場合は、会社設立後の株式の所有割に注意する必要があります。会社設立後、会社の重要事項を決定する際、株主総会では、議決権により多数決をの決定方法を採用します。その際、会社の支配権は、所有割が優先されることになります。ですから、複数人が発起人となる場合は、将来のことも考慮しつつ、株式の所有割を決めるようにしましょう。

最低50%を超える出資で意見が通る!

前述したように、発起人は会社を設立する際に出資をするため、最低1株は引き受けることが義務となっています。そして、発起人でありながら株主ともなります。株主は、会社の重要事項を株主総会の決議で決定する権利がありますが、その際の議決権は、株式の出資割に応じで変わってきます。

取締役などの役員の選任や解任、報酬の決定、配当金の決定、決算報告の承認などは「普通決議」と呼ばれる事項に該当します。これらは、株主の議決権の過半数、つまり50%超で決議されます。

それとは別に、会社にとって特に重要事項とみなされる「特別決議」に関しては、株主の議決の3分の2以上、つまり67%以上で決議されます。特別決議には、資本金の減少や定款の変更、会社の解散などが該当します。つまり、最低でも50%を超える株式を保有していなければ、株主総会で意見を通すことは難しいということになります。

ですから、発起人としても、自分の意見を通したいのであれば、67%以上の株式を保有することが理想的ですが、それが難しい場合は、たとえわずかでも株式の持ち分比率に差をつけておくことが大切です。

発起人と取締役の違いとは?

会社法では、株主総会と取締役が会社の必須機関として、会社の意思決定と運営を担う、と定めています。一方、発起人とは、会社設立の企画者でありつつ、出資者でもあります。つまり、発起人が会社をつくり、作られた会社を取締役が経営していく、ということです。

そして、会社をつくるためには、誰かがお金を出す必要があり、それを発起人が出資し、下部を引き受ける、ということになっています。なお、取締役は、会社設立後に株主で選任されますが、会社設立時には発起人が選任することになっていますが、発起人は自分自身を取締役として選任することも可能です。

会社設立までの発起人の仕事とは?

発起人には、会社を設立するまでに多くの仕事があります。では、会社設立までに発起人がしなければならない仕事の流れについてみていきましょう。おおかまな流れは、4つのステップとなっています。

ステップ①設立したい会社の概要を決める

会社を設立するにあたり、まず商号や本店所在地、目的などの基本情報を具体的に決める必要があります。

・商号(屋号)
商号は自由に決定することができますが、商号に使える文字にはルールがあります。

参照:印象に残る屋号の付け方とは?

・本店所在地
会社の住所である「本店所在地」は、登記をするときに必要となります。

・事業目的
会社は、定款で定めた目的以外の事業を行うことはできません。ですから、会社が行う事業はもちろん、将来やりたい事業がすでに明確なら、定款に記載しましょう。

・機関
取締役や監査役など会社の機関について決める必要があります。取締役は、必ず1人は設置しなければいけません。

・資本金の額
創業融資を受ける場合は、資本金の額で融資額の限度が決まってきます。

・決算期
決算期をいつに設定するかにより、税負担が変わってきます。

ステップ②定款の作成

定款には、ステップ1で決めた、会社の商号や本店所在地、株主総会を開く時期、決算期などについて記載します。なお、定款は3通作成し、1通は公証人、1通は会社、1通は登記用の謄本として発起人に返却されますので、大切に保管する必要があります。

ステップ③資本金の出資

定款の認証後は、会社の資本金を発起人の個人口座に振り込み、もしくは入金をします。その後、資本金の払い込みをしたことを証明する「払込を証する証明書」を作成します。

ステップ④開業準備

会社の設立前の開業準備として、設立手続きや賃貸借契などの各種手続きを行う必要があります。この段階では、会社はまだ法人格を持っていないため、会社名義で賃貸借契約などを行えません。したがって、発起人が個人名義で契約する必要があります。

発起人が中心となる業務を大まかに解説しましたが、会社設立には数多くの手続きがあります。発起人がひとりであればスムーズに作業を進めることができますが、発起人が複数人いるなら、スケジュールを合わせたり、意見を交換して合わせたりなど、多くの時間を要します。複数人の発起人がいる場合は、会社設立までに時間の余裕を持たせることをおすすめします。

まとめ

発起人(ほっきにん)とは、会社を設立しよう、と会社を設立することを言い出した人のことです。一人で会社を設立する場合は本人が発起人になります。また、発起人は複数人でなることもできます。15歳以上であれば、誰でも発起人になれます。

会社設立後は、会社を設立するために出資をしているため、株主となります。そして、所有している株数に応じて配当を受けられます。会社設立までには、発起人にはたくさんやるべきことがありますが、その中でも定款を作成し、資本金を集めることはとても重要な仕事です。

また、発起人には資格は求められていませんが、会社設立において責任を負う立場にいます。ですから、発起人になることを検討している場合は、それなりの覚悟をもって臨むようにしましょう。それとは反対に、発起人に賛同するかどうかを決める際には、責任感があり、信頼できるかどうかを見極めるようにしましょう。


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