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NPO法人とは?設立前に知っておくべきことと20の活動内容

2021年3月10日
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npo法人

法人と呼ばれる団体のひとつに「NPO法人」という団体があります。名前はよく見聞きしていても、どのような団体なのか詳しく説明できる方は少ないようです。この記事では、NPO法人の特徴や設立方法、設立費用など基礎的知識について詳しく解説していきます。

NPO法人とは?

NPO法人のNPOとは、「Non・Profit・Organization」の略です。Nonprofit(ノンプロフィット)には「非営利」、Organization(オーガナイゼーション)には「団体」という意味があります。

つまり、日本語に訳すなら「非営利組織(団体)」という意味になります。日本ではNPO法人のことを「特定非営利活動法人」と呼んでいます。非営利という名前の通り、社会的貢献活動を行っており、構成員には収益を分配することを目的としていない、ことがNPO法人の大きな特徴となっています。

「非営利」の意味とは?

多くの方は、非営利に関して「給与が発生していない」とか「お金を儲けてはいけない」「お金を受け取らずにボランティア活動をしている」などのイメージを持っています。では、NPO法人、つまり非営利団体の「非営利」とは、どのような意味があるのでしょうか?

非営利とは、一言で言うなら「利益を分配しない」ということです。つまり、利益を出して儲けること自体は問題ありません。しかし、法律的には収益をあげることを主な目的として活動することはできません。

例として、株式会社は合同会社(LCC)などの営利企業の場合、自らの組織の収益をあげることが企業の最大の目的となります。事業が成功し、利益が増えた場合は、その儲けた利益を株主や役員に配当することができます。

しかし、NPO法人の場合は、収益を上げることを目的とすることができないため、活動範囲を超える収益が発生した場合は、その儲けた利益を皆で配当することができない、ということです。ただし、決してお金を儲けてはいけない、という意味ではありません。

NPO法人も人が集まって組織が運営されていますので、収益がなければNPO法人を構成している人たちに給与を支払うことができなくなってしまい、存続することができなくなってしまいます。そのため、NPO法人の主な活動の収益を目的としている分野では、収益をあげてもよいと認められています。

また、事業で得た収益が活動範囲を超えた場合には、社会的な貢献活動のために利用することになっています。このようにNPO法人とは、社会で人のために貢献する、お金を目的としていない団体ですが、活動に必要な範囲内であれば、収益をあげても可能な団体ということです。

しかし、NPO活動をするためには、必ずしも法人格でなければならない、という条件はありません。実際、多くのNPOが法人格を持たずに任意団体として現在活動しています。では、NPO法人では、どのような活動が認められているのでしょうか?

NPO法人で認められている「20の活動分野」

NPO法人で認められている活動は、以下の20の分野です。

1、保険、医療又は福祉の増進を図る活動
2、社会教育の推進を図る活動
3、まちづくりの推進を図る活動
4、観光の振興を図る活動
5、農村漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6、学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7、環境の保全を図る活動
8、災害救援活動
9、地域安全活動
10、権の擁護又は平和の推進を図る活動
11、国際協力の活動
12、男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13、子どもの健全育成を図る活動
14、情報化社会の発展を図る活動
15、科学技術の振興を図る活動
16、経済活動の活性化を図る活動
17、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18、消費者の保護を図る活動
19、前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20、前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例に定める活動

参照:内閣府NPOホームページ「特定非営利活動法人(NPO法人)制度の概要

NPO法人設立のメリットとは?

NPO法人を設立すると、主に3つのメリットが得られます。

メリット1:社会的信頼度が高い

団体で活動をする際には、事務所などの賃貸、通信回線などに加え、行政や企業などとの契約も必要となることがあります。その際、法人格していないと、団体として契約することができないことがあります。

また、助成金や行政などからの委託事業などは、法人格であることが、応募条件になっていることがよくあります。特に不動産登記の場合、任意団体名義では契約することができません。そのため、代表者が個人名で処理する必要があります。

しかし、代表者が交代したり、死亡した場合などは、そのまま継続して使用することができなくなりますが、法人化しているなら代表者が変更してもそのまま継続することが可能です。

また、NPO法人は、一般社団法人や一般財団法人など他の非営利団体と比較すると、知名度が高いため、社会的な信頼性も有利となっています。

メリット2:少額の費用で設立することができる

NPO法人は、法律上、資本金や出資金などは定められていません。つまり、財産がなくても、設立することができます。また、登記する際には、登録免許税も発生しないので、少額で設立手続きが行えます。

メリット3:税制面で優遇が受けられる

収益事業をしていないNPO法人は、法人住民税が免除されることがあります。法人化していないと、活動の運営状況によっては、団体の所得が代表者個人の所得とみなされてしまい、課税の対象になってしまうことがあります。

また、認定、もしくは特例認定NPO法人になると、寄付した人は所得税が優遇されたり、指定のNPO法人に寄付した人は住民税控除を受けられる制度を設けている自治体などもあります。

NPO法人設立のデメリットとは?

NPO法人設立前に、NPO活動を法人化するデメリットについて知ることも大切です。

デメリット1:設立までに時間がかかる

NPO法人を設立するまでには、最低でも3ヶ月以上かかります。一般的な営利企業の場合、設立手続きは1~2週間ほどで完了するので、比較するなだ長い時間がかかると言えるでしょう。

デメリット2:構成人の数が10人以上と決められている

NPO法人として認証を受けるためには、最低でも10人以上の社員が必要です。しかも、その10人は従業員ではなく、「正会員」という位置づけになります。また、役員要件として、3人以上の理事と1名以上の監事を置くことが規定されています。

デメリット3:活動分野が法律で決まっている

NPO法人は、法律で決められた分野以外で活動することはできません。(活動分野については後術します)また、活動分野を変更する際には、再度認証手続きをしなければいけません。

デメリット4:会計方法などが決まっている

収益事業をする際、収益事業とそれ以外を区分した会計をしなければいけません。また、一般的な企業会計とは異なる独特な会計方法で処理する必要があります。

デメリット5:情報を公開する必要がある

NPO法人は、信頼性が高い分、他の非営利団体よりも、報告書などの提出書類がたくさんあります。事業報告書、活動計算書類などを所轄の都道府県庁や市役所などに、年度ごとに提出するよう求められています。また、役員名簿や社員名簿、財産目録などの情報を公開することが義務付けられています。

NPO法人の設立費用はどのくらい?

NPO活動を法人として設立するためには、それほど費用はかかりません。上記のメリットでもみたように、資本金や出資金などの規定はありません。また、一般の会社を設立登記するためには、登録免許税が数10万円以上発生しますが、NPO法人の場合は登録免許税もかかりません。つまり、法人としての資金がなくても、手続きすることができます。

NPO法人を設立するために必要な費用には、法人の印鑑を作る代金や役員になる人の住民票の手続きにかかる費用、手続きにかかる交通費、通信費など周辺にかかる費用しかありません。しかし、当たり前のことですが、NPO法人を設立するために専門家に相談したり、設立を依頼する場合は、費用が発生します。

NPO法人設立までの流れ

NPO法人を設立するまでは、おおまかに次のような流れになります。

ステップ1:NPO活動が指定の業種に該当しているか確認する

NPO法人を説明するためには、上記で確認した20種類の業種に該当していなければいけません。途中で業種を変更や追加をする場合は、もう一度、認証手続きが必要となることがありますので慎重に選びましょう。

ステップ2:発起人で設立発起人会を開く

NPO法人を設立する人たちは、発起人と呼ばれています。発起人たちは発起人会を開き、設立の趣旨や活動の目的、法人名、代表者名、入会金、会費など説明するNPO法人の基礎となる部分を決める必要があります。発起人会を開くことは義務付けられているわけではありませんが、基本的なルールや目的を確認し合うためにも開かれることが望ましいと言われています。

ステップ3:社員全員で設立総会を開く

社員全員で設立総会を非落暉、説明発起人会で決めた内容を発表し、最終的な意思決定を行います。意思決定を証明する際には、諸事禄をとる必要があります。

ステップ4:所轄庁へ設立認証の申請をする

所轄庁へ設立認証の申請手続きをする際、以下の書類が必要となります。

・設立認証申請書
・定款(法人の目的・名称・特定非営利活動の種類など法律で定められている14項目の事項などについて記したもの)
・役員名簿(役員ごとの報酬の有無を明記したもの)
・役員の就任承諾書および誓約書の謄本
・役員の住所又は居所を証する書面(住民票など)
・社員のうち10人以上の氏名および住所・居所を示した名簿
・認証要件に適合していることを確認したことを示す確認書
・設立趣旨書
・設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
・設立当初の事業年度および翌事業年度の事業計画書
・設立当初の事業年度および翌事業年度の活動予算書

ステップ5:縦覧・審査・認証がされる待機

縦覧・審査・認証は、主に所轄庁側で行われる処理なので、申請者は待機する期間となります。およそ3ヶ月間、待つことになります。

提出した書類は、受理された日から1ヵ月間公開されます。公開される内容は、申請年月日、NPO法人の名称、代表者名、主たる事務所の所在地、定款に記載された目的などの項目です。

また、申請受付から3ヶ月以内に都道府県や市区町村などの所轄庁が審査を行います。その後、認証、もしくは不認証の結果が申告書へ通知されます。なお、不認証になった場合は、その理由が通知に記載されています。該当箇所を訂正した後、再度申請することが可能です。

ステップ6:法人設立の登記手続きをする

認証されると、認証書が届きます。認証された通知があった日から2週間以内に、法務局で設立登記の手続きをする必要があります。登記手続きをしないで6ヵ月以上経過してしまうと、認証が取り消されてしまうことがあります。

2週間という期限が限られていますので、審査を受けている間に、登記に必要なものを準備しておくことができるかもしれません。登記手続きに必要なものは、次のようなものです。

・NPO法人の印鑑(事前に印鑑を作成し法務局へ届け出をしておく必要がある)
・NPO法人の印鑑届出
・代表者個人の印鑑証明書
・法人設立時の財産目録
・理事の就任承諾書
・宣誓書
・定款

それに加え、所轄庁から届く
・認証書
・登記申請書

が登録手続きに必要となります。代表者以外が法務局へ行く場合は、委任状が必要となりますので注意しましょう。

ステップ7:所轄庁に法人設立を提出する
設立登記が完了したら、所轄庁にNPO法人を設立した届出を提出し、NPO法人の設立となります。

NPO法人と株式会社の違い

すでに見てきたように、NPO法人は法人形態のひとつです。法人の起業を検討しているのであれば、株式会社という選択肢もあります。では、同じ法人でも、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

目的

【株式会社】
株式会社の場合、株主への利益配分が最大の目的です。つまり、事業を行い、多くの利益を設けることを目的としています。儲けた利益は、株主に配分することもできますし、事業資金として使用することも可能です。ですから、株式会社は、儲けた利益は「自社」のものになります。

【NPO法人】
NPO法人の場合、社会貢献を目的としています。もちろん、利益を得ることも可能ですが、儲けた利益を社員に分配することはできません。つまり、事業資金としてのみ使うことが認められています。よって、NPO法人は、儲けた利益は「公益」になります。

組織

【株式会社】
最高意思決定機関:株主総会
社員・株主の最低人数:1人以上
役員の最低人数:取締役1人以上/監査役任意
社員・株主の責任:有限責任

【NPO法人】
最高意思決定機関:社員総会
社員・株主の最低人数:正社員10人以上
役員の最低人数:理事3人以上/監事1人以上
社員・株主の責任:責任負担なし

会計

【株式会社】
会計:貸借対照表/損益計算書/キャッシュフロー計算書
情報公開:決算公告

【NPO法人】
会計:貸借対照表/収支計算書/財産目録
情報公開:事業報告・決算報告・役員名簿

財団法人との違いについては、下記の記事をご覧ください。
参考記事:財団法人とは?「一般」と「公益」の違いなど設立前に知っておくべきこと

まとめ

NPO法人の社会的な位置づけが理解できれば、その魅力も知ることができます。独立や起業を検討している方の中には、法人の形態で悩んでいる方もいることでしょう。NPO法人設立を検討しているなら、その後の経営も見据えたうえで、慎重に活動事業を選ぶようにしましょう。


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