アウトソーシングとは?5つのメリットとデメリット
近年、ビジネスシーンでよく見聞きする「アウトソーシング」。みなさんはアウトソーシングの意味を正しく説明することができますか?今回はアウトソーシングの意味をはじめとし、企業がアウトソーシングを導入するメリット・デメリットなどを解説します。
目次
アウトソーシングの意味
アウトソーシング(outsourcing)の「out」は「外部」、「sourcing」は「源泉となる・調達する」という意味です。つまり、ビジネスシーンでは、業務の一部を外部の専門企業へ委託・発注することを「アウトソーシング」といいます。
日本語では、「業務委託」「外部委託」「外注」「外部調達」などとも呼ばれています。なお、ビジネス用語では、アウトソーシングを委託する企業を「アウトソーサー」、受託する企業を「アウトソーシー」いいます。
アウトソーシングの概要
ビジネスシーンでのアウトソーシングとは、その名前の通り、外部に業務を委託することです。これには経営資源を含め、仕事を担う人やサービスも含まれます。
例えば、自社の従業員で業務をこなすことが難しい業務がある場合は、アウトソーシングを行うことができます。起業する際、運営する上で必要な技術が不足している場合は、アウトソーシングで補うことができます。
アウトソーシングの歴史
アウトソーシングは、1980年代にアメリカで始まりました。イーストマン・コダックが、社内情報システムの運用をIBMにアウトソーシングしたのがアウトソーシングのきっかけです。その後、自社のシステム部門をIBMに売却した際には、大きな話題を呼びました。
日本ではセブンイレブンジャパンが1989年に導入したのをきっかけとし、現在に至っています。今ではアウトソーシングすることは一般化し、外注以上の意味を持つほど、年々、進化しています。
アウトソーシングを導入することで、品質の向上、企業再構築、企業競争力の向上などさまざまな付加価値を生み出すため、多くの企業が注目し、導入を始めています。では、アウトソーシングを導入することのメリット・デメリットを詳しくみていきましょう。
アウトソーシング導入のメリット
メリット①外部の専門的なノウハウを活用できる
アウトソーシングを導入すれば、外部の専門的なノウハウを活用できます。特に専門性が高い分野の業務は、アウトソーシング向きと言えるかもしれません。
例えば、ITに関する業務は、高度な技術やノウハウなどが必要不可欠です。もしも専門外の従業員に任せるなら膨大な時間がかかるでしょう。また成功するという保証もありません。一方、アウトソーシングに依頼すれば、品質の向上はもちろん、業務の効率化にもつながります。
メリット②業務の効率化と品質向上につながる
アウトソーシングサービスを提供する専門業者の多くは、特定業務の専門的なノウハウを持つ専門家です。よって、アウトソーシングを導入することで業務の効率化や品質向上を期待できます。
メリット③コストを削減できる
専門家に業務を委託することは、コスト削減にもつながります。なぜなら、その業務にかかる時間や人件費を軽減できるからです。
例えば、社内で固定した人件費を払うよりも、アウトソーシングで専門家に依頼する変動費の方が、人件費を大幅に削減することが可能です。
また正社員を雇用すると、毎月の給与はもちろん、研修や教育、パソコンなどの必要整備の投資などにコストがかかります。しかし、アウトソーシングであれば、これらの費用も抑えることができます。
メリット④自社の本業に集中できる
アウトソーシングを導入すれば、自社の本業に集中することができます。それにより、企業の競争力を強化することにつながります。ライバル企業が多い業種であれば、競争に打ち勝つために本業に集中しなければいけません。アウトソーシングできる分野を委託するなら、本業に集中できるでしょう。
メリット⑤人材不足を解消できる
少子高齢化に伴い、社員の採用は容易ではありません。しかし、アウトソーシングを活用すれば、付加価値はもちろん、人手不足を解消できるためアウトソーシングを導入する企業が増えています。
アウトソーシング導入のデメリット
デメリット①情報漏洩リスクが高まる
アウトソーシングの業務によっては、企業秘密や個人情報を共有しているため、多くの専門業者は厳重なリスク管理のもと業務を代行しています。そのため、情報漏洩リスクを最小限に抑えることができています。
とはいっても、情報が漏洩するリスクがゼロというわけではありません。ですから、アウトソーシングを導入する際には、情報漏洩リスクをよく考慮する必要があります。
デメリット②自社にノウハウが蓄積されない
アウトソーシングでは外部の専門的なノウハウを活用できる分、自社内にはノウハウが蓄積されない、というデメリットがあります。アウトソーシングすることでワンランク上の技術やノウハウを利用できますが、もしもアウトソーシング先の企業がサービスを停止したり、倒産したりした場合は、自社にリスクが伴います。
デメリット③コストが高まるリスクの可能性
アウトソーシングを導入することで、コストが高まるころもあります。例えば、すでに自社内で効率化していた業務をアウトソーシングするなら、赤字になる可能性を高めるでしょう。ですから、アウトソーシングを導入する前に、赤字になるリスクがないかどうかを確認しましょう。
アウトソーシングに適した業種
近年、アウトソーシングに適した業務領域は、年々拡大しています。よってさまざまな業務が、外部の専門会社に委託されています。では、アウトソーシングに適した業務とは、どのようなものでしょうか?アウトソーシングに適した代表的な業務には、以下のような業務が挙げられます。
・IT関連事業
社内のネットワーク環境やシステム構築、社内ネットワークトラブルの復旧、HDDデータ消去・破壊など。
・コールセンターサービス
・コールセンターやカスタマーサポートサービスの運営、PC関連のユーザーサポート、インターネットの接続サポート、電機メーカーの修理・保守受付、通販の注文受付など。
・物流サービス
商品の製造、販売、在庫管理、梱包、発送など。またDMやカタログ、アンケートなどの送付物配送、ギフト配送など。
・店舗や事務所の運営
原価管理や在庫管理
・労務管理
毎月の給与計算や支払などの労務管理に関する業務
・事務作業
経理や会計、電話対応や商品カタログ提案資料など営業企画に関する作業など
アウトソーシングが注目されている理由
アウトソーシングは、人材不足解消やコスト削減などに有効な経営手法のひとつです。働き方革命により派遣法の改正以降、派遣社員の活用同様、アウトソーシングの活用も注目されるようになりました。
そもそもアウトソーシングは、人的資源や必要経費の削除などを目的に利用されていましたが、近年では付加価値をプラスしたサービスを提供するアウトソーシング会社が増えています。よって、付加価値を目的にアウトソーシングを導入している企業も少なくありません。より質の高い生産性や、企業競争力を強化させることがアウトソーシング導入の目的になりつつあります。
また、少子高齢化の進行という日本独特の背景も関係しています。少子高齢化により若者労働者の人口が減少し、優秀な社員を採用することは容易ではありません。しかし、仕事量は変わらないため、人材不足を補うためにアウトソーシングを活用する企業も増えています。
今後少子高齢化は進行し続ける上、グローバル化は増します。そのため、企業競争も激化することが予想されるため、アウトソーシングの需要はますます高まることでしょう。つまり、今はアウトソーシングを積極的に検討する時代と言えるでしょう。
アウトソーシングと人材派遣の違い
アウトソーシングは、人材派遣と混同されることがあります。では、双方にはどのような違いがあるのでしょうか?
・ビジネス形態の違い
アウトソーシング:アウトソーシング会社が、委託された業務内容を遂行する。
人材派遣: 派遣会社が人材を派遣し、派遣されたスタッフが業務内容を遂行する。
・発生する対価の違い
アウトソーシング:委託された仕事を遂行することで対価が発生する。
人材派遣:派遣された人材が派遣先企業で労働に対価が発生する。
・スタッフへの業務指示を誰が行うかの違い
アウトソーシング: 業務の遂行の責任はアウトソーシング会社。よって、スタッフへの業務指示は、アウトソーシング会社が行う。
人材派遣:派遣先企業の担当者が、派遣されたスタッフに業務の指示を行う。
・スタッフとの雇用契約
アウトソーシング:アウトソーシング会社との雇用形態
人材派遣:人材派遣会社との雇用契約
アウトソーシングとクラウドソーシングの違い
クラウド(Cloud)ソーシングとは、依頼側が専門業者を選んで委託するのではなく、インターネット上で不特定多数の人(Crowd)に業務を委託することです。
案件を請け負うのは、受注者としてクラウドソーシングサイトに登録している不特定多数の人です。それにはSOHOやフリーランスのデザイナーやクリエイターなど、アマチュアからプロまで揃っています。
業務を委託するためには、企業側も依頼者としてクラウドソーシングサイトに登録する必要がありますが、自社で報酬や納期などを決めた上で人材を選ぶことができるというメリットがあります。ただし、不特定多数から募集を行う分、専門的な知識やノウハウを備えた人材を確保するのは容易なことではありません。
このようにアウトソーシングとクラウドソーシングは、外部の企業に業務を委託するか、それともインターネット上で不特定多数の人に業務を依頼するか、という大きな違いがあります。
アウトソーシングを導入する前に検討すべきこと!
メリットの多いアウトソーシングですが、導入を検討しているなら、どこまでアウトソーシングに委託するか、外注する範囲をしっかり検討する必要があります。そのためには、まずコア業務とノンコア業務を見極めてください。コア業務の多くは、収益に直結するものです。
よって、可能であれば自社内で業務を遂行するのが理想的です。一方、収益に直結しない労務管理や総務業務などのノンコア業務の多くは、定型化されています。なので、アウトソーシングを導入することで、自社の本業に集中することができます。
もちろん、業種によって見極めの判断は異なりますので、アウトソーシングのメリット・デメリットを踏まえた上で検討しましょう。
まとめ
アウトソーシングの導入を検討しているなら、メリットとデメリットをしっかり理解した上で、自社に最適な分野を依頼することができるでしょう。また、起業を検討している方であれば、自社に足りない専門分野を依頼することで事業の運営も安定することでしょう。
なお、経理のアウトソーシングは税理士への依頼がおすすめです。税理士コンシェルジュの税理士紹介サービス税理士紹介公式サイト-顧客満足NO.1【税理士コンシェルジュ】では、無料で税理士をご紹介しています。経理のアウトソーシングを検討している方は、お気軽にご相談ください。
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