「roe」とは?その意味や「roa」との違いを分かりやすく解説! | 税理士コンシェルジュ

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「roe」とは?その意味や「roa」との違いを分かりやすく解説!

2020年6月12日
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みなさんは「roe」や「roa」という言葉を見聞きしたことはありますか?経営者や経理担当者などは決算書など経営をする上で、よく見聞きすることでしょう。roeとroaは良く似ている言葉ですが、どのような意味があり、どのような違いがあるのでしょうか?この記事では、初心者でも理解できるようroeとroaについて分かりやすく解説していきます。

「ROE」とは?

ROEとは、「Return On Equity」の略称で、日本語に訳すと「自己資本利益率」のことを指しています。つまり、企業の自己資本(Equity)に対して、どれたけ利益(Return)を得ることができたかを表す当期純利益の割合を示す指標です。自己資本には、企業の資産の中でも返済義務のないお金のことで、それには株主から集めた資金や今までの利益など該当します。

企業の場合、株主資本(自己資本)と他人資本(負債)を運用して事業を行うことが一般的です。これら調達した資金で利益を得たなら、他人資本には利子を支払います。そして、税金を差し引いて最後に残った利益は株主に帰属することになります。 つまり、ROEは、株主の持ち分である「株主資本(企業のお金)をどれだけ効率的に使い、どれほど利益を上げているか」という投資収益率を表している言えます。

そのため、少し前までは、ROEは「株主資本利益率」と呼ばれることもあったほどです。現在では、「株主資本」と「自己資本」がはっきり区別されているため、ROEは「自己資本利益率」が正式名称となっています。

ROEの計算方法とは?

ROE(%)、つまり自己資本利益率は、「自己資本利益率=当期純利益÷自己資本×100(%)」という計算式で算定します。この計算式からも分かるように、ROEを算定するためには、「当期純利益」と「自己資本」を確認する必要があります。まず当期純利益とは、企業の最終利益とも呼ばれるもので、企業が「稼ぐ力」のことです。損益計算書(P/L)に、当期純利益の数字が算定されています。

自己資本は、貸借対照表で確認します。貸借対照表に自己資本という欄はありませんが、純資産の部の項目の「株主資本」と「その他の包括利益累計額」を合計したものが自己資本になります。

ROEの理想的な目安は?

一般的にROEがよいかどうかを判断する目安は、10%程度が理想的と言われています。ただし、業種によってその目安は異なってきます。なぜでしょうか?例えば、製造業の場合、事業をするためには機械など大規模な設備投資が必要です。そのため、資本の大きさと比べると利益が小さく見えることがあり、ROEは低くなってしまう傾向にあります。そのため、このような業種の場合は、ROEが目安の値より多少低くても特に問題はありません。

一方、大規模な設備投資が不要な業種もあります。それにはサービス業やIT業などを挙げることができるでしょう。これらの業種は、資本に対して利益が大きくなりやすいため、一般的な目安よりも高めの数値を設定したほうが無難です。このように業種によってROEの理想的な数値は異なりますので、ROEを比較する際には、同業他社の数値を参考にするようにしましょう。

日本企業と欧米企業のROEの値の違い

日本企業は欧米と比較すると、ROEが低い傾向にあります。ROEの平均数値は、アメリカの半分ほどしかないと言われています。そのため、日本企業の場合、ROEが平均目安の10%を下回っているとしても問題があるというわけではありません。ROEの目安も8%程度でも問題ないという見方もあります。

では、日本企業と欧米のROEは、平均値に違いがあるのでしょうか?欧米の場合、借入を増やすことで資本を増やして売上高や利益を向上させ、ROEをあげる傾向があります。しかし、この手法の場合、想定よりも利益があがらなかった場合は返済が難しくなり、倒産する可能性がでてきます。

一方、日本の場合は、基本的に貯蓄が推奨されているため、利益を株主への配当として回すのではなく、将来の再投資や不況時の備えて内部保留として残すことが多くあります。また、借入はとても慎重に行う傾向があります。つまり、大きなリスクを背負ってまで、利益を得ようとはしない、保守的な考え方をしています。

そのため、ROEは計算上は低くなりますが、自己資本が多くなるためリスクに対処しやすくなるというメリットを得ることができます。ですから、ROEが10%というのはあくまでも目安にすぎないといえます。このような考え方や文化の違いが、ROEの数値の違いにも反映しています。

中小企業のROE

中小企業のROEは、時折、経営の実態が正確に反映されないことがあるため、同業他社と比較をする際には注意が必要です。例えば、上場企業の場合、企業活動の評価が、金融機関などからの借入可能な額を左右してきます。つまり、経営がうまくいっている企業であれば、金融機関は融資の額も大きくなりますが、経営が危うい企業に対しては多額を融資することはありません。

しかし、非上場の中小企業の場合、借入可能額は、社長個人の資産が融資額に影響を与えることがあります。つまり、中小企業の中には多額の借入をしている企業もありますが、そのすべての企業は、事業活動がうまくいっているというわけではないということです。

節税対策をするとROEが低下する?

節税対策をすると、ROEが低下しているように見えることがあります。それはどのようなときでしょうか?例えば、中小企業の中には、法人税を軽減させるために、当期純利益が小さくなるよう会計処理をする場合は、ROEが低下しているように見えるかもしれません。

しかし、これは会計上の利益を減らしているだけであり、経営状況はROEで示されている数値よりも、良好な経営状況のはずです。このように、中小企業の中にはROEが実際の経営効率を示さないこともあるため、ROEだけをみて経営状況を判断することにはリスクが伴います。

ROEだけでは判断できない

ROEだけをみて判断することにリスクが伴うことには、別の理由もあります。それは、ROEは数値を簡単に変えることができるからです。節税対策で当期純利益を小さく会計処理することに加え、自己資本を減らすならROEを高く見せることも可能です。事実、発行済みの株式を企業が買戻しをし、自己資本を減らしてROEを高く見せるということがよく行われています。ROEはあくまでも一時点の指標であり、企業活動を正確に示さないことがあるため、ROEだけを見て企業を判断することにはリスクが伴うことを覚えておきましょう。

「ROA」とは?

ROAとは、「Return On Assets」の略称で、日本語で「総資産利益率」のことを指しています。つまり、企業が持つ資産全体に対して、どれだけの資本を用い、どれだけの利益を獲得したかを示す指標です。特に中小企業にとっては経営目標となる指標となったり、総合的な収益性の指標として使われています。そのため、ROAの数値が高ければ高いほど、その企業が資本に対して、効率良く利益を上げていることを意味しています。つまり、ROAの数値を読むことができれば、会社の経営状態を把握することができます。

ROAの計算方法とは?

ROA(%)、つまり総資産利益率は、「総資本経常利益率(ROA)=当期純利益÷総資産(期中平均)×100(%)」という計算式で算定します。この算式からも分かるように、ROAを算出するためには「当期純利益」と「総資産」を確認する必要があります。当期純利益は先述したように、損益計算書(P/L)で確認することができます。総資産とは、負債を含む会社の資産のことです。貸借対照表(B/S)の左側に記載されている数字が、総資産になります。

ROAの理想的な目安は?

多くの投資家たちは、ROAが5%以上ある企業を優良企業として判断しています。しかし、ROAの目安同様、5%という数値はあくまでも企業全体の数値であり、業種によって理想的な目安は異なります。大規模な設備投資が必要な業種の場合は、総資産の額が大きくなるため、ROAは必然的に低くなってきます。それとは反対に、設備投資が不要な業種の場合は、ROAが高くなる傾向にあります。ですから、ROAを比較する際には、同業他社との数値と比較するようにしましょう。

ROAが下がる状況とは?

収益が効率よく上がっていると、それに比例してROAも上がります。では、どのような状況になるとROAは下がってしまうのでしょうか?それは費用など出費が多くて利益がでないときや、新事業を立ち上げたり、設備投資をしたりするために金融機関などから資金調達をして資産が増えたときなどに下がります。

また、資金投入して新技術を開発しても、それが利益として結果をだしていないときも下がってしまいます。そのため、ROAが低い会社は、収益が低いと言い切ることはできません。ですから、ROAが低い場合は、その内訳はどのようなものかをしっかり確認し、ROAが下がっている理由を突き止めることは大切です。

ROAをあげる方法とは?

では、ROAをあげるには、どうすればよいのでしょうか?それには大きく2つの方法があります。それは①収益性をよくすること、②総資産を減らして効率を高めること、の2つです。収益性をよくするために、販売にかかる費用を減らしたり、当期純利益を増やすために経費を減らすことができるでしょう。また、総資産を減らすためには、金融機関などから資金調達している借入金や買掛金などを返済したり、使っていない固定資産などを売却したりすることで資産の効率がアップします。

ROAは、不要な資産を減らすことができれば、利益はそのままでもROAは必然的に上がっていきます。そのため、ROAの数値が高い企業の多くは、効率よく収益を上げ、不要な資産は保有していない、という共通点があります。

ROEとROAの違いとは?

ここまでで、ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)について詳しくみてきました。では、両者の違いとは何でしょうか?

・ROE(自己資本利益率)とは、「自己資本(株主資本と純資産)」を使ってどれだけ利益が出たかを示す数値
・ROA(総資産利益率)とは、「(企業の)総資産」を使ってどれだけ利益が出たかを示す数値

ROEは、株主から委託された資金をどのように使って利益をだしたかを示す指標です。一方、ROAは、自己資本もしくは他人資本を問わず、企業が保有しているすべての資産を合計した総資産を使ってどれだけ利益をだしたかを示す指標です。つまり、収益性を計算する対象となる資金の範囲が「自己資本」か、それとも「総資産」かという違いがあります。

まとめ

ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)についてみてきました。ROEもROAのどちらも、会社の財務指標数字を把握できる大事な指標です。どちらかだけを見ればよいというものではないので、ROEとROAの数値が読めるようにしっかり理解しておくことは大切です。


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