分離課税とは?確定申告不要の「源泉分離課税」と必要な「申告分離課税」の違い | 税理士コンシェルジュ

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分離課税とは?確定申告不要の「源泉分離課税」と必要な「申告分離課税」の違い

2020年8月25日
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「分離課税」とは、所得ごとに定められた税率で課税する「課税方式」のひとつです。この分離課税は、源泉徴収(天引き)されているため確定申告不要の「源泉分離課税」と、確定申告が必要な「申告分離課税」で区分されています。

この記事では、分離課税とは何か、源泉分離課税と申告分離課税は何が違うのか、などついて分かりやすく解説していきます。

分離課税とは?

分離課税とは、所得ごと定められた税率で課税する課税方式のひとつです。そもそも所得税とは、1月1日から12月31日までの個人の所得に課せられる税金のことです。所得は全部で10種類に細かく分類されており、その所得の種類によって課税方式が異なります。

課税方式は、「総合課税」と「分離課税」の2種類あります。そのため、自分の所得は、どちらの課税方式に該当するのかを理解することはとても大切です。

【総合課税】
総合課税とは、1年間の所得を合算し、課税対象となる総所得金額に累進課税制度を適用させる計算方式です。総合課税の対象となる所得を合計した後、各種所得控除を差引き、累進課税率をかけて納税額を求めます。

・総合課税の対象となる所得
事業所得、配当所得、不動産所得、給与所得、山林所得、一時所得、雑所得などが該当します。

【分離課税】
分離課税とは、他の所得金額と合算せず独自の税率をかけて税金を求める計算方式です。退職金を得たときや、家や土地を売却したときなど、総合課税にすると多額の税金を徴収されてしまいます。そこで、税負担を軽減させるために分離課税制度が設けられています。

ですから、確定申告をする際には、どのような所得が総合課税の対象、もしくは分離課税の対象になるのかを見極める必要があります。なお、分離課税には、「源泉分離課税」と「申告分離課税」で区分されています。

・分離課税の対象となる所得
山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得、所定の利子所得及び一定の先物取引による雑所得、配当所得、退職所得などが該当します。

源泉分離課税とは?

源泉分離課税とは、所得を受け取る前に、他の所得と分離して一定の税率が課せられ、所得税が源泉徴収されていることです。源泉分離課税の場合、既に税金が引かれている、つまり納税が完結しているため、確定申告をする必要はありません。

源泉分離課税の対象となる主な所得は、「利子所得」です。具体的には、預貯金や債券の利子、配当所得のうち公社債投資信託の収益分配金、金融類似商品などの収益などが挙げられます。なお、源泉分離課税の対象となった利子等は、20%(所得税15%と住民税5%)の源泉徴収課税で課税され、受取時には税金が天引きされています。

申告分離課税とは?

申告分離課税とは、他の所得とは税額を分離して計算し、確定申告をして納税することです。申告分離課税の主な対象は、退職所得、山林所得、土地・建物等の不動産売却による譲渡所得、株式等の譲渡所得などが該当します。

なお、上場株式等の配当所得に関しては、申告分離課税と総合課税のどちらかを選択することが可能です。この2つの課税は、適用税率に違いがあります。申告分離課税の場合は20%(所得税15%と住民税5%)、総合課税の場合は所得税5~40%(平成27年以降は上限45%)、住民税10%が適用されます。

分離課税の対象となる所得の種類

では、分離課税の対象となる所得ごとの内容や税率、計算方法などについてみていきましょう。

退職所得

退職所得とは、退職する際に受ける退職金や一時金などの所得のことです。退職金は、長年の働きへの感謝や、老後の生活を保障するなどを目的に支給されるため、税金の負担を少しでも軽減できるよう申告分離課税が適用されます。「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」という計算式で求めます。

なお、退職所得控除は、勤続年数によって異なります。勤続年数が20年以下の場合は「40万円×勤続年数(80万円以下は80万円)」、勤続年数が20年超の場合は「70万円×(勤続年数-20年)+800万円」という計算式で算出した額が、退職所得控除になります。

退職所得の場合、退職金を受け取る際に、勤務先へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているなら、退職金を支払う際に源泉徴収が行われます。したがって、税金の精算が完了しているため確定申告は不要です。

しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、税金を納め過ぎている可能性があります。そのため、確定申告をすることで還付金を受けとれる可能性があります。

山林所得

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したことによって生じた所得、または山林を伐採しないで譲渡したことによって生じた所得、のことです。「総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)×1/2」という計算式で求めます。なお、山林を所得して5年以内の場合は、事業所得もしくは雑所得として扱われます。

譲渡所得(土地建物・株券)

譲渡所得とは、資産の譲渡で得た所得のことです。ただし、金銭債権や棚卸資産の譲渡による所得、山林の伐採または譲渡による所得は該当しません。なお、譲渡所得のうち分離課税の対象となるものは、土地、建物、借地権、株式などの譲渡です。

「収入金額(所得費+譲渡費用)-特別控除」という計算式で求めます。なお、ゴルフ場の会員権は、総合課税に該当します。

配当所得

前述したように、配当所得は通常であれば総合課税の対象ですが、一定のものに関しては申告分離課税を選択することができます。配当所得には、株主などが、株数や出資額に応じて法人から受ける剰余金・利息の配当、投資信託の収益分配、みなし配当、基金利息などによる所得が該当します。

「収入金額-その元本を所得するために要した借入金の利子」という計算式で求めます。

利子所得

利子所得とは、銀行の預貯金の利子や公社債などの利子が該当します。利子所得は源泉分離課税に区分されるため、手元に入る前に源泉徴収されます。したがって、確定申告をする必要はありません。

雑所得

雑所得とは、所得に分類することができない所得すべてが該当します。雑所得は基本的総合課税の対象ですが、FXや先物取引で得た利益などは、申告分離課税の対象になります。

分離課税の確定申告

確定申告は、通常、第一表と第二表の2枚を記入しますが、分離課税をしなければならない所得がある場合は、「申告書第三表(分離課税用)」という用紙への記入も必要となります。

まとめ

所得は10種類に分類されており、所得の種類によって「総合課税」か「分離課税」の課税方式が適用されます。分離課税の場合、すでに源泉徴収(天引き)されている「源泉分離課税」と、確定申告が必要な「申告分離課税」の2種類に分類されています。

ですから、どの所得が総合課税もしくは分離課税に該当するかを見極めることをはじめとし、分離課税の場合は、源泉分離課税と申告分離課税のどちらに該当するかの理解も必要です。所得の種類や計算方法を間違えてしまうと、税金を多く納めてしまうこともあるので注意しましょう。

もし何の所得に該当するのか分からない場合は、税理士に相談されることをおすすめします。税理士コンシェルジュの税理士紹介サービス『全国税理士紹介相談所』では、無料で税理士をご紹介していますので、お気軽にお問い合わせください。


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