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【完全版】確定申告やり方の総まとめ!基礎知識から流れ・ポイントまで徹底網羅

2020年7月30日
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1年に1度、必ずやってくる確定申告シーズン。毎年やっていても作成・申告方法の記憶は曖昧になるものです。この記事では、確定申告に必要なものや書類の書き方、申告方法まで確定申告のやり方の基礎知識について分かりやすく解説していきます。

個人事業主やフリーランスの方はもちろん、会社員だとしても確定申告が必要となる方はいます。確定申告のやり方がよく分からない方や、確定申告の手続きが面倒だと感じている方をはじめとしたみなさん、確定申告のやり方をみていきましょう。

確定申告とは?

そもそも確定申告は、何にために行っているのでしょうか?個人の所得には「所得税」がかかるため、所得税を支払う義務があります。そのため、税務署に対して、1年間どのくらい所得があったかを申告する手続きをします。これを「確定申告」といいます。

具体的には、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じたすべての所得金額を計算し、その金額に対して「所得税」と「復興特別所得税」の額を算出して納税します。このように納税額を自分で計算して「確定」させ、自己「申告」する形式を採用しているため「確定申告」と呼ばれています。

確定申告の手続きは、1月1日~12月31日までの期間に関するものを、原則、翌年の2月16日~3月15日に行います。最終日が土日祝日の場合は、最終日が前後することがあります。

確定申告期間の延長(2020年度)

確定申告期間は、通常3月15日までと決められています。しかし、2020年度(令和元年度分)の確定申告期間は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、確定申告期間が2月16日~4月16日までと1ヵ月延長されました。しかし、外出自粛などの理由で確定申告を期限内に行うことが難しい方については、4月17日以降であったとしても、申告書の受付をすることを国税庁が発表しています。

確定申告と年末調整の違い

給与所得者であれば、会社で「年末調整」をするため、基本、確定申告は不要です。では、確定申告と年末調整にはどのような違いがあるのでしょうか?本来、収入のある人はすべて確定申告をして、税金を納める必要があります。

しかし、すべての人が確定申告をすると、税務署はとても忙しく大変です。そこで、給与を支払っている事業所は、事業主が税務署の代わりに、従業員の給与から毎月税金を徴収し、税務署に納税します。毎月の給与から徴収する税金は、概算のため、その年の税金が確定する年末に過不足を計算するのが「年末調整」といいます。

後述しますが、年末調整をしている給与所得者でも、確定申告をすることで税金が戻ってくることもあります。

確定申告をしなければならない人と不要な人

確定申告は、収入のある人すべてがすべきものです。しかし、確定申告をしなくてもよい人も中にはいます。会社に属さずに個人で事業を営んでいる個人事業主やフリーランスの場合、確定申告をしなければならないのは、利益を得ている人です。

つまり、売上があっても赤字だったり、黒字だとしても控除額の方が大きいため税金がゼロ円になったりする場合は、確定申告をする必要はありません。また、一般的な会社員などの給与所得者の場合は、毎月の給与から所得税が天引きされているため、基本的には確定申告は不要です。

確定申告の代わりに、事業所が「年末調整」という形で従業員の代わりに確定申告をしてくれます。ただし、給与所得者だとしても、一定の要件を満たしている場合は、確定申告が必要となります。

確定申告の対象者

確定申告の対象者をまとめると、次のようになります。

【給与所得者】
・年間の給与収入が2,000万円を超える人
・1ヵ所から給与収入を得ており、副業の所得が年間20万円を超えている人
・給与収入が2ヵ所以上の複数あり、少ない方の給与が年間20万円を超えている人
・同族会社の役員やその親族などの会社から給与を得ており、給与以外の支払を受けた人

【退職所得者】
・退職時に退職所得の受給に関する申告書を事業所に提出していない人

【年金受給者】
・65歳未満の場合は108万円、65歳以上の場合は158万円を超える公的年金や個人年金などを受給している人

【その他】
・個人事業主やフリーランスなど個人事業を営んでいる人
・不動産収入や配当所得があった人

確定申告をした方がお得なケース

確定申告が不要な人でも、申告することでお得になることがあります。

・確定申告をすると税金が戻ってくる場合
医療費控除、ふるさと納税などで寄付をした人、初めて住宅借入金控除を受ける人などは、給与所得者であったとしても確定申告をすることで税金が戻ってきます。確定申告をしないと税金は戻ってくることはありませんので、確定申告をした方がお得と言えるでしょう。

・個人事業主で赤字を繰り越したい場合
個人事業主の方で青色申告をしている場合は、確定申告をすることで赤字を翌年以降に繰り越すことが可能となります。確定申告をすることが条件となっていますので、確定申告をした方がお得と言えるでしょう。

給与所得者でも確定申告をしたほうがいいケース

通常、会社員などの給与所得者は、事業者が年末調整をしてくれるため、確定申告は不要です。しかし、年末調整では処理することができない控除がいくつかあります。それらの控除を受けたい場合は、確定申告(還付申告)をし、還付する手続きをする必要があります。具体的には、次のようなケースが挙げられます。

ケース①住宅の購入などで住宅ローンを利用した初年度
新築の住宅を購入したり、バリアフリー化へと改修工事をしたりなど、住宅ローンを利用した場合は、「住宅借入金等特別控除(通称・住宅ローン控除)」を受けられます。給与所得者の場合、住宅ローンを利用した1年目は確定申告をしないと、控除が適用されません。なお、2年目以降は、年末調整で手続きが行えます。

ケース②ふるさと納税を利用した
給与所得者で5団体を超える自治体にふるさと納税をしている場合は、「寄附金控除」を申請すると還付を受けられます。なお、ふるさと納税先の自治体が5団体以内で、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」適用に関する申請書を提出している方は、確定申告をする必要はありません。

ケース④災害や盗難に遭った
自然災害や盗難などに遭い、資産に損害を受けた場合は、「雑損控除」を受けることができます。

ケース⑤株などで大損した
株や投資信託、FXなどの証券会社と、特定口座で取引をしている場合は、所得税が源泉徴収されています。したがって、売却して年間収支がマイナスだった場合は、確定申告で損失額を配当所得と通算したり、損失を繰り越すことが可能となる「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」を受けることができます。

ここでは5つのケースをご紹介しましたが、その他にも確定申告をすることでお金が戻ってくる控除があります。

確定申告の「青色申告」と「白色申告」の違いとは?

確定申告をする際、「青色申告と白色申告のどちらを選べばよいのだろう・・」「そもそも両者の違いって何だろう・・」と思われている方もいるのではないでしょうか?では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

【青色申告】
・承認手続きが必要
青色申告は、一定の期間内に「所得税の青色申告承認申請書」を、管轄地区の所轄税務署長に提出します。承認を得たい年の3月15日までに手続きをする必要があります。ただし、その年の1月16日以降に新規として業務を開始した場合は、業務開始日から2ヶ月以内に手続きをする必要があります。

青色申告の承認を得ていない場合、つまり届出をしていない場合は、自動的に白色申告になります。なお、「所得税の青色申告承認申請書」は、国税庁のホームページからダウンロードして入手できます。

・帳簿付け
青色申告も白色申告も帳簿付けをする必要がありますが、青色申告の場合は、正規の簿記の原則に従って、1つの取引をお金の動きとその原因の2つの側面から記載する「複式簿記」で帳簿付けをすることが義務となっています。

複式簿記は、勘定科目ごとに取引金額を記録する記帳法のため面倒なうえ、単式簿記よりも手間と時間がかかります。ただし、青色申告でも最大65万円の特別控除が不要な場合は、現金出納帳や売・買掛帳、経費帳などに記載する「単式簿記」の記帳でも問題ありません。

・税制上の優遇措置
青色申告は帳簿作成が面倒ですが、その分、10万円控除(単式簿記)もしくは65万円控除(複式簿記)の税制上の優遇措置を受けることができます。これが青色申告を行う最大のメリットと言えるでしょう。

また、赤字を3年間にわたって繰越できたり、貸倒引当金の一括処理ができたり、青色事業専従者給与を経費にできたりなどのメリットも青色申告をすることで適用されます。

・2020年度分からの注意点
法改正により、2020年度分からの確定申告では、基礎控除が変更になりました。一律38万円からの所得額に応じた控除額と変更になったため、年間合計所得が2,400万円以下の場合は、基礎控除額が10万円増えた48万円となっています。

そのため、青色申告で65万円の控除を受けるためには、e-Taxで申請する必要があります。もしe-Taxで申請せず、複式簿記で申告する場合は、控除額は65万円ではなく55万円になります。

【白色申告】
・承認手続きは不要
白色申告は、承認手続きは必要ありません。

・帳簿付け
白色申告の帳簿付けは、「単式簿記」と呼ばれる簡易簿記での記帳が認められています。収入欄の合計から支出欄の合計を差引き、残高が分かればよい簡易的な記帳です。家計簿に似ていると言えるでしょう。ですから、簿記の知識がなくても、誰でも気軽に記帳できることがメリットとなっています。

・税制上の優遇措置
白色申告は帳簿付け簡単なため、税制上の優遇措置や特別控除などはありません。

確定申告の流れ

個人事業主やフリーランスの場合、確定申告に備えて、日々の売上や経費などすべてのビジネス上の取引を帳簿に記帳する必要があります。白色申告だとしても帳簿付けは義務付けられていますので、日々の帳簿付けを怠らないようにしましょう。

帳簿付けは、市販の帳簿に手書きで記入したり、会計ソフトを利用したりなどが一般的です。では、日々帳簿付けをしていることを前提に、確定申告の基本的な流れを確認していきましょう。

ステップ1:必要書類の入手

確定申告そスムーズに進めるコツは、必要な書類を確認し、揃えておくことがポイントです。「提出すべき書類な何か?」「申告書の作成には名に何が必要か?」をしっかり抑えておきましょう。では、確定申告に必要となるものをみていきましょう。

【必ず提出すべき確定申告書類】
・確定申告書
確定申告書には、「確定申告書A」と「確定申告書B」の2種類の様式があります。主に会社員などの給与所得者や年金所得者、一時所得だけの人は「確定申告書A」、個人事業主やフリーランス、土地や不動産、株などを売却して事業所得を得ている人は「確定申告書B 」を使用します。

確定申告書は、税務署の窓口、確定申告会場、市区町村の窓口などで直接入手できますし、国税庁のホームページからダウンロードしたものを印刷し使用することも可能です。また、確定申告ソフトや、国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」を使って作成することもできます。

・青色申告決算書もしくは収支内訳書
青色申告決算書もしくは収支内訳書は、確定申告書と一緒に提出する書類のひとつです。青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書を提出します。なお、青色申告決算書も収支内訳書も、確定申告書同様、税務署などの窓口や、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。また、確定申告ソフトや、国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」を使って作成することも可能です。

【申告書の作成に必要なモノ】
・印鑑
確定申告書、青色申告決算書もしくは収支内訳書を作成する際、捺印するために印鑑を使います。

・口座情報
源泉徴収などで本来納めるべき税金の額以上をすでに納めている場合は、確定申告をすることで払い過ぎた税金が戻ってきます。還付を受けるため場合は、確定申告書に税金を受け取る納税者本人の口座情報を記載する必要があります。あくまでも納税者本人の口座情報であり、配偶者や扶養親族、会社の口座情報はNGとなっています。

・帳簿
確定申告書は、1年分のビジネス上の取引を記録した帳簿を見ながら作成するものです。確定申告書を作成する際には、日々の取引が記帳されている帳簿が必須です。

・領収書やレシート
領収書やレシートは、帳簿の内容を確認する際に使用します。一緒に用意しておくなら、作成がスムーズに進むでしょう。

【必要に応じて提出すべきもの】
・源泉徴収票
正社員やパートなど雇用形態を問わず、雇用主から給与をもらっている場合は、事業者がその人に対して支払った給与などの総支払額と、支払った所得税の額が記載されている源泉徴収票が必ず発行され、従業員は受け取っているはずです。給与所得者で、本業以外に副業として働いている場合などは、確定申告書と一緒に提出します。

・医療費控除の明細書
1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が、10万円を超えている場合は医療費控除の対象となります。この医療費は、納税者本人はもちろん、同一生計をしている配偶者や扶養親族などが支払った医療費も合算することが可能です。医療費控除明細書は、国税庁のホームページからダウンロードしたものを使用することができます。

・各種控除証明書
所得税の控除には、医療費控除以外にも多くの種類の控除があります。それらの控除を受けるためには、それぞれの証明書を提出する必要があります。

【提出時に必要なモノ】
・マイナンバーカード、もしくはマイナンバー通知カード
確定申告の書類一式を税務署の窓口に直接持参する場合、マイナンバーカード、もしくはマイナンバーが分かるマイナンバー通知カードやマイナンバーが記載されている住民票の写しなどを提示する必要があります。郵送で提出する場合は、マイナンバーが分かる写しを添付して提出する必要があります。

・マイナンバーカードとICカードリーダーライター(e-Taxを利用した電子申告をする場合)
e-Taxを利用した電子申告をする場合は、インターネット環境を整えるのと同時に、マイナンバーカードと、マイナンバーカードを読み込むICカードリーダーライターを事前に準備し、「電子証明」を取得しておく必要があります。

なお、マイナンバーカードは、交付申請をしてからおよを1ヵ月ほどで交付通知書が郵送されます。それを持参し、市町村の役場で受け取ることができます。ICカードリーダーライターは、家電量販店などで2,000~3,000円ほどで購入できます。

ステップ2:帳簿の整理

前述したように、日々のお金の支出を記録した帳簿は、確定申告書類を作成するために欠かせません。売上や仕入れなどのビジネス取引はもちろんのこと、交通費や接待費などの経費や借入などのお金の流れも記録してあります。税法上では、すべての事業者に対して、日々の取引を記録し、帳簿と一緒に領収書などの書類も一定期間保存するよう義務づけています。

毎日記帳することが理想的ですが、それが難しいのであれば、週に2~3回などまとめて記帳しても正確に記帳するのであれば問題ありません。確定申告書類を作成するにあたり、帳簿の整理をしておきましょう。

ステップ3:確定申告書類の作成

必要書類が揃い、1年分の帳簿の確認ができたら、それらを参考にしながら確定申告書類を作成していきます。確定申告書類の作成方法には、①手書きでの作成、②確定申告ソフトを利用して作成、③確定申告書等作成コーナーを利用して作成、④税理士に作成依頼、の4つの方法から選択できます。では、それぞれの方法を詳しくみていきましょう。

作成方法①手書きでの作成
確定申告書類は、従来ながらの手書きと手計算で自分で作成することができます。帳簿を参考にしながら項目ごとに集計し、その数字を書類に転記していきます。電卓や表計算ソフトなどを利用して金額を求めることができるでしょう。数字の転記ミスや計算ミスなどが発生しやすく、時間もかかるといデメリットがあるので、作成の際には注意が必要です。

作成方法②確定申告ソフトを利用して作成
近年は、確定申告ソフトを利用する方が増えています。日々の帳簿付けも確定申告ソフトを利用しているのであれば、そのまま確定申告用の書類を作成することができます。確定申告ソフトであれば、手書きのように転記のミスや計算ミスが発生しませんし、時間もかからないため、作業が効率よく進みます。

作成方法③国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成
国税庁のホームページでは、確定申告書などを作成できる「確定申告書等作成コーナー」を提供しています。画面の案内に従って金額等を入力するだけで、確定申告書などを作成できます。

具体的には、帳簿をみながら項目ごとに集計をし、その数字を入力していきます。初心者の方でも分かりやすいように、各項目には解説がついています。ただし、帳簿の作成や各種控除額の計算は、自分ですべて算出する必要があるため、手書きでの作成と同じ手間がかかります。

作成方法④税理士に依頼
確定申告に関わる事務手続きを、税理士にすべてお任せしてしまうのもひとつの方法です。特に個人事業主やフリーランスの方などは、税理士にすべて依頼することで、自分の事業に集中できるというメリットがあります。

確定申告の時期だけ確定申告関連の手続きを依頼することもできますし、顧問税理士として契約し、日々の会計業務も依頼することも可能です。もちろん、依頼料や顧問料も発生しますので、よく検討してから依頼するかどうかを決めることができるでしょう。

なお、確定申告に関わる事務を依頼する場合、依頼料は売上の規模と、記帳代行を含むか否かによって変わってくると言われています。一例として、年間売上が500万円~1,000万円未満の場合、記帳代行まで依頼したときの料金は15万円ほどが相場のようです。

ステップ4:確定申告書の提出

確定申告書と青色申告決算書、もしくは収支内訳書の作成が終わり、必要書類もすべて揃ったら、税務署へ提出します。提出方法には、①税務署へ直接持参、②郵便で税務署へ郵送、③税務署の時間外収集箱へ投函、④e-Taxによる電子申告、の4つの提出方法があります。では、それぞれの提出方法を詳しくみていきましょう。

提出方法①税務署へ直接持参する場合
確定申告書は、自分の納税地を管轄する税務署が提出先です。窓口まで行き、確定申告書を直接提出します。なお、税務署の開庁時間は、月曜日から金曜日(祝日除く)の8:30~17:00までです。提出先の税務署が分からない方は、国税庁のホームページから検索してください。

提出方法②郵便で税務署へ郵送提出する場合
確定申告書は、わざわざ税務署まで出向かなくても、郵送で提出することができます。郵送提出の場合、税務署員からその場でチェックしてもらうことができません。例えば、窓口に提出すれば、必要書類が揃っているかどうかを確認してもらえます。

ですから、初心者の方は窓口への提出がおすすめです。郵送提出の場合、注意したいのは、提出日付です。確定申告の期限は、原則的に3月15日(土日祝の場合は翌日に変更)です。提出期限の3月15日の通信日付が押されていれば問題ありませんが、通信日付が3月16日以降であれば、期限遅れとみなされますので、提出日に余裕を持って投函するようにしましょう。

また、郵送方法は、「郵便物(第一種郵便物)」もしくは「信書便物」として送付してください。切手を貼った返信用の封筒を一緒に同封の上、複写した確定申告書なども一緒に送ると、受領印を押した申告書を返送してもらえます。受領印が押された申告書は、住宅ローンを組むときや、融資を受けるときなどに利用することもあるので返送してもらうことをおすすめします。

提出方法③税務署の時間外収集箱で投函する場合
税務署には、時間外収集箱が設置されています。開庁時間以外にも投函できるため、忙しい方にとっては便利な提出方法と言えるでしょう。ただし、提出期限最終日に、窓口が閉まっているからという理由で、そのままポストに投函することはNGです。

提出方法④e-Taxによる電子申告をする場合
インターネット環境があれば、e-Taxを利用して電子申告で提出することができます。e-Taxとは、申告書の内容をデータ入力し、国税庁に送信するだけです。e-Taxで電子申告するためには、前述したように、ICカードリーダーライターを購入したり、事前申請などが必要となります。

面倒に感じる方もいるかもしれませんが、一度準備をすれば、その後はずっとe-Taxで申告することができるので、e-Taxによる電子申告を検討してみる価値があると言えるでしょう。

ステップ5:納税する

確定申告書等の提出が終了した後は、納税です。確定申告で確定した納めるべき税金を納めれば、確定申告手続きは終了となります。所得税の納付は、①ダイレクト納付、②インターネットバンキング納付、③コンビニ納付、④振替納付、⑤クレジットカード納付、の5つの納税方法があります。では、それぞれの納税方法を詳しくみていきましょう。

納税方法①ダイレクト納付
ダイレクト納付とは、e-Tax上で預貯金口座から振替の操作をして納付することです。なお、この方法は、e-Taxで確定申告をし、「ダイレクト納付利用届出書」を事前に提出している場合のみ、納税することができます。

納税方法②インターネットバンキング納付
e-Taxで確定申告をしている場合は、インターネットバンキングなどを利用した納付ができます。

納税方法③コンビニ納付
確定申告で確定した所得税は、QRコードやバーコードを使って、コンビニエンスストアで納付することも可能です。

納税方法④振替納付
納税者名義の預金口座から、口座引き落としの振替納付で納付することもできます。

納税方法⑤クレジットカード納付
クレジットカードで納付したい場合は、クレジットカード納付専用のWEBサイト「国税クレジットカードお支払いサイト」から行います。このサイトを介して、クレジットカード納付ができます。

ステップ6:還付金を受ける

確定申告をすることで、税金が戻ってくる方もいます。還付金が振り込まれる期日に関しては、確定申告をした時期や確定申告をした提出方法によって異なります。還付金を受け取れるまでの大まかなスケジュールは、約1~2ヶ月後です。しかし、e-Taxの場合は、3週間ほどで振り込まれる予定となっています。

【還付申告の場合】
確定申告ではなく、源泉徴収などで、すでに納めた税金が本来納めるべき税金の額を上回っており、還付金を受ける目的で確定申告をする「還付申告」があります。還付申告の場合、原則2月16日から3月15日と提出期間が定められていますが、還付申告の場合は、翌年の1月1日以降であればいつでも申告することができます。

ですから、還付金を早めに受取りたい場合は、年が明けてからe-Taxで申告するなら、早い段階で還付金を受け取ることができるでしょう。

確定申告の内容を間違えた場合の対処方法

確定申告書は、自分で作成するものです。完璧に作成したと思っても、後日、申告書に間違いがあったことに気づくこともあります。そのような場合は、修正することが可能です。確定申告書の修正は、税額を実際よりも多く申告したか、それとも少なく申告したか、によって異なってきます。

税額を多く申告した場合は「更正の請求」

実際より多い税額を申告した場合は、「更正の請求」と呼ばれる手続きを行います。「更正の請求書」と呼ばれる書類に必要事項を記入し、管轄地区の税務署員へ提出します。請求内容が正当であると認められれば、納め過ぎた税金が戻ってきます。なお、更正の請求は、原則、法定期限内から5年以内であれば請求できます。

税額を少なく申告した場合は「修正申告」

税額を少なく申告していた場合は、「修正申告」と呼ばれる手続きを行います。少なく申告した場合は、気づいた時点ですぐに修正申告をすることは大切です。なぜなら、税務署の調査を受けた後に修正申告をすると、新たに納めるべき税金に加え、「過少申告加算税」と呼ばれるペナルティが発生します。

過少申告加算税は、新たに納めることになった税金の10%に相当する額がかかります。しかし、税務署の調査前に修正申告をするなら、過少申告加算税は発生しません。

確定申告をしなかったらペナルティが発生する?

ここまでで、確定申告のおおまかな流れについてみてきました。簡単に感じた方もいれば、難しい、もしくは面倒と感じた方もいることでしょう。では、もし確定申告をしないとどうなるのでしょうか?

フリーランスとして仕事をしている場合は、確定申告をしなくてもバレないと思われるかもしれません。しかし、税務署は、フリーランスが得た収入もすべて知っています。なぜなら、フリーランスが企業から仕事を受けているのであれば、企業側にお金が動いた記録がすべて残されているからです。

例えば、「支払調書」は、報酬の支払があった際に発行する書類のひとつです。このように記録が残っているため、収入を得ている人すべては、確定申告をするという義務を守らなければいけません。つまり、国民の義務を守らなければ、ペナルティが発生します。

期限後申告による税金滞納のペナルティ

確定申告は、法律で決められている期間内(毎年2月16日~3月15日まで)に書類を提出し、納税することが義務となっています。申告期限後でも確定申告をすることはできますが、ペナルティが発生します。時間が経てばたつほど、ペナルティの負担は大きくなってきます。なお、法定申告期限を過ぎてから確定申告をすることを、「期限後申告」といいます。

・無申告加算税
納めるべき税金を申告しなかったり、期限内に申告がなかったりした場合は、「無申告加算税」がペナルティとして発生します。原則、本来納めるべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合で無申告加算税が加算されます。

・延滞税
申告書の提出期限日は、税金の納付期限日でもあります。そのため、申告期限を過ぎてしまった日数分だけ、延滞税が課せられます。延滞税の割合は年度によって異なりますが、納付期限日から2ヶ月以内は2.9%、2ヶ月以上になると9.2%の割合で支払う必要があります。

・重加算税
税額計算に対して事実を隠ぺいしたり、仮装したりなど、意図的に申告をせず、法定申告期限が過ぎて税務署から指摘を受けた場合は、無申告加算税に加え、重加算税も課せられます。重加算税は、本来納めるべき税金の額に35%、もしくは40%乗じた税額がペナルティとして課せられます。

青色申告者に課せられるペナルティ

青色申告で確定申告をしている場合は、次のペナルティが課せられます。

・青色申告特別控除額の減額
青色申告は、所得金額から10万円、もしくは65万円控除される青色申告特別控除の優遇措置が適用されます。しかし、この優遇措置が適用されるのは、期限内申告をすることが条件です。期限後申告の場合は、控除額が大きい65万円の控除は受けられなくなります。また、純損失の繰り越し控除を適用されません。

・青色申告の承認取り消し
2年連続で期限内に申告をしなかった場合は、青色申告の承認が取り消されるため、青色申告制度を利用することができなくなります。したがって、その後1年間は青色申告申請を行うことができません。翌年度の確定申告も、白色申告になります。さらにその翌年以降、青色申告制度を利用したい場合は、もう一度、青色申告の再申請をする必要があります。

税金の滞納により受けられなくなるサービス

確定申告は、所得の証明となります。そのため、所得証明の提出を求められる公的な手続きや民間契約などのサービスを受けられなくなる可能性があります。具体的な例として、国民健康保険料や国民年金の減免や免除手続き、公営住宅の入居、不動産物件の賃貸借契約、クレジットカードのキャッシング、住宅や自動車などのローン契約、幼稚園や保育園などの入園、奨学金手続きなどが挙げられます。

また、当たり前のことですが、さまざま控除を受けることはできませんし、還付金を受け取ることもできません。

まとめ

スムーズな確定申告にするためには、金額の大小に関わらず、日々の取引の帳簿付けが欠かせません。また、必要な書類などをすべて揃えておくなら、作成作業の効率がアップします。会計に関する知識があまりない初心者の方にとっては、確定申告と聞くだけで大きな負担に感じるかもしれません。

まだ確定申告ソフトを利用していないのであれば、この機会に確定申告ソフトを活用してみるのはどうでしょうか?また、今まで白色申告をしていた方は、税制上の優遇措置が多い青色申告への挑戦を検討してみるのはどうですか?

個人で、会計ソフトを活用して確定申告をする以外にも、税の専門家である税理士に依頼することもひとつの方法です。特に個人事業主やフリーランスの方は、税理士と顧問契約を結ぶことで事業に集中できるというメリットもあります。


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