還付申告とは?必要書類から受け取る条件、手続き方法まで徹底網羅 | 税理士コンシェルジュ

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還付申告とは?必要書類から受け取る条件、手続き方法まで徹底網羅

2020年9月16日
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還付申告とは、申告をすることで払いすぎた所得税が還付金として戻ってくる制度のことです。確定申告書を提出する義務のない方でも、申告することで還付金を受け取れることもあります。今回は、還付申告ができる期間や受け取れる条件、手続き方法などについて解説していきます。

還付申告とは?

還付申告とは、申告をすることで源泉徴収で納めすぎた税金、つまり所得税と復興特別所得税を返してもらう制度のことです。簡単に言うなら、あらかじめ納めた税金が多かったので返金してもうらう申告、と言えます。

確定申告書を作成し、税額を計算したら「申告納税額」がマイナスになった場合に、還付金として納めすぎた税金が戻ってきます。一方、計算結果がプラスになった場合は、納めるべき税金が不足しているため、追徴する必要があります。

所得税が差し引かれていることが前提条件

給与所得や年金所得、退職所得などがある方の中には、医療費などの控除を確定申告すれば、還付申告になると思われている方もいるようです。さまざまな種類の控除があるため、確定申告をすることで還付される可能性があります。

そもそも給与や年金、退職金などは、所得税の源泉徴収が義務付けられています。そして、各種控除額を収入金額から差し引くと、源泉徴収される税額が「0円」となることがあります。

0円となった場合は、その後、確定申告で控除額を増やしたとしても、所得税が差し引かれていないため還付される所得税はありません。確定申告は、あくまでも納めすぎた税金が戻ってくる制度です。したがって、「所得税が引かれている」こどが前提条件となります。

還付申告をしたほうがいい人とは?

【還付申告ができる人】
原則、年末調整をする給与所得者や、公的年金等の収入金額が400万円以下の年金受給者などは確定申告は不要です。しかし、医療費控除などの控除を受けられる場合は、還付申告の対象となることがあります。ですから、確定申告をする義務のない方でも、ご自身が還付申告の対象となっているかどうかを確認することができるでしょう。

【確定申告をする方は還付申告は不要】
確定申告をすれば、還付申告の手続きも済んでしまいます。したがって、確定申告をする方は、還付申告をする必要はありません。

還付申告で税金が戻ってくるケース

「源泉徴収額」と「控除」を確認すれば、還付申告をすることで税金が戻ってくるかどうかを確認できます。還付申告ができる控除には、次のような具体的な事例があります。

【還付申告ができるケース】
・ケガや病気などで多額の医療費を支払った場合(医療費控除)
・特定の寄付をしたり、ふるさと納税をした場合(寄付金控除)
・認定住宅の新築や購入などをした場合(住宅ローン控除)
・災害や盗難などで住宅や家財などの資産が損害をうけた場合(雑損控除)
・年末調整後に結婚した場合(配偶者控除)
・年末調整後に親などと同居した場合(扶養控除)
・年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
・予定納税や源泉徴収によって必要以上に税金を多く納めている場合
・副業の報酬から源泉徴収されてい場合
・個人年金保険の受取金から源泉徴収されている場合

源泉徴収とは、事業所が雇用している従業員の給与や報酬から、あらかじめ所得税と復興特別所得税を天引きすることです。つまり、事業所が従業員の代わりに所得税を納める、という仕組みになっています。

給与所得者の場合は、必要経費として扱われる「給与所得者控除」があるため、スーツや靴、カバンなど個人のためにかかった経費の領収書を保存し、経費として申請する必要はありません。年末調整でまとめて精算され、源泉徴収で引かれすぎた所得税が還付金として戻ってきます。

一方、年度の途中で会社を退職し、転職をしていない場合は、その年の年末調整が行われていません。そのため、確定申告が必要となります。

還付申告の対象外となる所得とは?

得の中には、還付申告の対象とならないものもあります。具体的には、次のようなものが挙げられます。

・預貯金や一般公社債の利子
・抵当証券などの金融類似商品の利息
・一定の割引債の償還差益
・一時払いの養老保険や損害保険の差益

これらは「源泉分離課税」に該当する、還付申告の対象外となる所得です。源泉分離課税とは、予め収入から源泉徴収することで、課税手続きが完結する制度のことです。そのため、還付申告の対象とはなりません。

所得税還付金額の計算方法とは?

前述したように、所得税の還付とは、前払いした金額が多すぎた場合に適用されます。つまり、所得税の還付金とは、予め納めていた源泉徴収税額や予定納税額が、確定した年間の所得税額を超えた部分の金額のことを指します。では、どのように所得税還付金額を計算することができるのでしょうか?

まず年間の所得税額を求めます。年間の所得税額は、10種類に区分されている各種所得の収入から、それぞれの所得ごとに定められている必要経費や一定の控除額などを控除します。そして、それぞれの金額を合計し、医療費控除や寄附金控除などの所得控除を控除し、定められている税率を乗じて求めます。

なお、一般的な会社員などの給与所得者の場合は、事業所側でこれらを年末調整で精算され、その結果が「源泉徴収票」に記載されます。(源泉徴収の対象となる報酬を受けた個人事業主などの場合は、支払先で発行される「支払調書」に記載されています)

多く納めていた場合は、翌月の給与などと一緒に納めすぎた税金が振り込まれます。一方、税金が少なかった場合は、追徴することになります。

ただし、年末調整ではすべてが控除されるわけではありません。上記でも先述しましたが、所得控除の中でも医療費控除、寄附金控除、雑損控除、住宅ローンなどは年末調整では控除されません。そのため、確定申告で控除する必要があります。

還付申告はいつからできる?

「確定申告」は毎年、対象期間の翌年2月15日から3月15日までの期間に申告することになっています。(2020年度に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響により、例外として確定申告期間が延長されました)

しかし、「還付申告」に関しては、対象期間の1月1日以降であればいつでも申告することが可能です。なお、税務署は土日祝と年末年始(12月29日から1月3日まで)は執務は行われていません。ですから、還付申告ができるのは1月4日以降となります。

還付申告の有効期間は?

還付申告の有効期間は、対象期間の翌年1月1日から5年間と定められています。つまり、5年前まで遡って還付申告をすることができます。例えば、2020年分の医療費控除の還付を受ける場合は、対象期間が2020年の1月1日~12月31日までです。

この場合は、2021年1月1日から5年間遡った期間が、還付申告の有効期間となります。したがって、2021年1月1日~2025年12月31日までの5年間に還付申告が行えます。このように還付申告の有効期間は5年間と定められていますので、今から5年前まで遡って還付申告をすることもできます。

過去5年間の間に控除申告をしていない年があれば、還付申告をすることで納めすぎた税金が戻ってくるかもしれませんので、控除の忘れがないかどうか今一度確認してみましょう。なお、5年経過してしまうと、税金を多く納め過ぎたまま還付申告の権利が消滅してしまうので注意してください。

還付申告で必要な書類とは?

還付申告を行う場合は、「確定申告書」と「添付書類(必要に応じて)」の提出が必要となります。個人事業主の場合は、これらの書類に加えて、収支内訳書もしくは青色申告決算書の提出も必要です。

なお、確定申告書には、確定申告書AとBの2種類あり、所得の種類によってA、もしくはBになります。確定申告書Aは、所得の種類が給与所得、雑所得(公的年金等・その他)、配当所得、一時所得に該当する方だけが使用します。

一方、確定申告書Bは、所得の種類が事業所得、不動産所得、利子所得、譲渡所得などに該当する方が使用します。還付申告の場合、主な対象者は源泉徴収される給与所得者や年金受給者などです。そのため、還付申告を行う多くの方が確定申告書Aを使用されることでしょう。

また、添付書類とは、還付申告する内容によって必要となる書類は異なります。例えば、医療費控除をうけたい場合は、医療費の領収書や明細書などが必要になります。

税務署で還付申告をする場合

還付申告は、税務署の職員の方に相談しながら行うことも可能です。「還付申告をしたい」という旨を伝えることができるでしょう。その場合は、確定申告書と添付書類(必要に応じて)に加えて、源泉徴収票、銀行通帳、印鑑も持参してください。

確定申告書は税務署で入手することができますし、税務署のホームページからダウンロードしたものを印刷することも可能です。税務署は、確定申告期間(2月16日~3月15日)は、大変混雑しています。ですから、年明けから確定申告期間が始まる前までに、税務署で還付申告手続きをされることをおすすめします。

還付申告から還付金を受け取るまでの流れ

確定申告は毎年、2月15日から3月15日までと期間が定めれていますが、還付を受けるための「還付申告」であれば、確定申告が始まる前に行うことができます。そのため、確定申告よりも早い段階で、還付金を受け取ることが可能です。

では、還付申告後、納め過ぎた税金はいつ、どのように受け取ることができるのでしょうか?還付申告をしてから還付金を受け取れるまでの具体的な流れを確認していきましょう。

【税務署の窓口や郵送で還付申告書類を提出した場合】
・1月上旬に還付申告をした場合:2月上旬~2月中旬にかけて振込予定
・2月中旬(確定申告開始時期)に還付申告、もしくは確定申告をした場合:3月中旬から3月下旬にかけて振込予定
・3月中旬(確定申告終了時期)に還付申告、もしくは確定申告をした場合:4月中旬から4月下旬にかけて振込予定

【e-Taxによる電子申告で還付申告書類を提出した場合】
・1月上旬に還付申告をした場合:1月中旬から下旬にかけて振込予定
・2月中旬(確定申告開始時期)に還付申告、もしくは確定申告をした場合:3月上旬から3月中旬にかけて振込予定
・3月中旬(確定申告終了時期)に還付申告、もしくは確定申告をした場合:4月上旬から4月中旬にかけて振込予定

還付金を少しでも早く受取たい場合は、e-Taxによる電子申告での還付申告が最短となっています。また、e-Taxによる電子申告の場合は、還付金の処理状況をリアルタイムでチェックできるという利点もあります。

一方、税務署の窓口や郵送など書面による還付申告の場合は、web上で確認することはできません。還付金の状況をチェックしたい場合は、税務署へ直接問い合わせをする必要があります。

振込で還付金を受け取る際に注意したいこと!

還銀行や信用金庫などの金融機関口座へ還付金の振込み希望をする方法についてみていきましょう。振込みを希望する方は、申告書第1表の右下にある「還付される税金の振込先の記載方法」という欄に必要情報を記入する必要があります。

具体的には、取引先の銀行・信用金庫名、支店名、預金の種類、口座番号などを記入します。還付金を受け取る際、次の2つの点に注意しましょう。

注意点①振込口座は申告者本人の口座を記入すること
還付金が振り込まれ口座は、申告者本人の口座のみです。つまり、配偶者の口座や屋号名が入った口座、旧姓のままになっている口座などには、還付金は振り込まれませんので注意してください。

注意点②還付金を受け取ることができない銀行がある
インターネット銀行の中には、還付金を受け取ることができない銀行もあります。インターネット銀行で還付金を受け取るができなかった場合は、他の銀行や信用金庫などの金融機関を指定しなければいけません。

具体的には、銀行や信用金庫に加えて、信用組合、農業共同組合、漁業共同組合、労働金庫、ゆうちょ銀行などを利用することが可能です。振込ができない場合や、新規口座開設が間に合わなかった場合などは、ゆうちょ銀行や郵便局であれば、直接還付金を受け取るという方法もあります。

ゆうちょ銀行や郵便局の窓口で還付金を受け取る場合は、「還付される税金の受取場所」の欄に、受取を希望するゆうちょ銀行の支店名、もしくは郵便局名を記載してください。そして、指定したゆうちょ銀行や郵便局で還付金を受け取る際には、後日送付される「国庫金送金通知書」と、運転免許証やパスポート、健康保険証などの「本人確認書類」を持参しましょう。

まとめ

還付申告とは、納め過ぎた税金を取り戻すための確定申告です。対象期間の翌年1月から申告を行うことができます。つまり、2月15日から始まる確定申告よりも一足先に還付申告を受け付けています。そのため、確定申告よりも早めに還付金を受け取ることができる、というメリットが得られます。

また、還付申告は、有効期間が5年間あります。つまり、過去5年まで遡り、還付申告をすることができます。ですから、多額の医療費を支払った年や、退職をしたまま還付申告をしなかった場合などは、還付申告をすることで還付金が戻ってくる可能性があります。

また、払いすぎた税金は、自分で還付申告をしない限り、過払い分の税金は戻ってきません。ですから、有効期間が切れる前に、今一度還付申告を行うことができないかどうかをチェックしてみることができるでしょう。


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