領収書のない経費を処理する方法ー出金伝票を使った経費処理 | 税理士コンシェルジュ

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領収書のない経費を処理する方法ー出金伝票を使った経費処理

2021年8月19日
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出金伝票

事業に関係する支出であれば、経費として処理することができます。処理するためには、その支出を証明する証拠として領収書が必要です。しかし、電車やバスなどの交通費など領収書がない経費の場合、出金伝票を起こして経費処理をする必要があります。この記事では、出金伝票を使った経費処理について詳しく解説していきます。

領収書が受け取れない場面とは?

必要経費を計上するためには、どうしても領収書が必要です。「領収書がない支払いは経費にすることができないのでは・・」と諦めて、自費で支払っている方も中にはいるかもしれません。しかし、電車やバスの交通費など、領収書がない経費は以外と多いものです。実際、次のような支払いをした場合、領収書を受け取ることは難しいのではないでしょうか?

・電車やバスなど交通費を支払ったとき
・関係先のお祝いやお見舞い、不幸などのご祝儀や香典などの慶弔費
・打ち合わせやセミナーなどに出席したとき
・取引先などのお客様に買った自動販売機のジュース代
・接待で割り勘になったとき
・業界団体のパーティーに出席するときに支払う参加費

上記の点に加えて、領収書をもらうのを忘れてしまったり、もらった領収書をなくしてしまったりすることもあります。そのようなときは、金額や支払い先などを記入した出金伝票を発行することで、領収書の代わりとして、お金を出金したことを証明することができます。

出金伝票とは?

出金伝票とは、領収書がないときや、領収書をなくしてしまったときなどに活用することができる伝票です。出金伝票に必ず記入すべき項目は、次の4つです。

1、日付(お金を支払った日)
2、支払い先(お金を支払った相手先)
3、取引内容(支払った内容)
4、金額(実際に支払ったお金の金額)

出金伝票に記載すべき4つをみるなら、内容は領収書やレシートによく似ています。つまり、出金伝票は、領収書やレシートの代わりとして活用することができます。

出金伝票の作成方法

出金伝票には、特に決まった形式はありません。文具店や100均ショップなどでも購入することができます。大切なのは、支払いをした日付と相手先、金額、取引内容の4つを必ず記載することです。そして、それらを1つの内容として1枚の出金伝票として作成します。

市販の出金伝票には「勘定科目」という項目が設けられているものもあります。勘定科目の記入は任意ですが、記入する場合は複式簿記の原則に従って記入する必要があります。例えば、電車代の交通費の出金伝票を作成したい場合は、「交通費」という勘定科目で出金伝票を作成し、簿記には次のように記録します。

(借方)交通費300円  (貸方)現金300円

出金伝票の5つの活用方法

では、上記で先述したような領収書がないときに、どのように出金伝票を活用できるのかみていきましょう。

活用方法1:領収書やレシートを失くしたとき

発行してもらった領収書やレシートを失くしたしまった場合は、まず再発行を依頼してみましょう。とはいえ、もう一度そのお店に戻ることが難しいこともあります。また、再発行を断られてしまうというケースもあります。

そのような場合は、やむを得ない対処法として、出金伝票を作成し、領収書の代わりとして経費の処理することができます。経費のほとんどが出金伝票で、領収書やレシートがほとんどないと、税務署にマイナス印象を与えてしまいますので紛失には気を付けましょう。

活用方法2:そもそも領収書やレシートがないとき

領収書やレシートが欲しくても、それをもらうことができない、ということがあります。それには電車やバスなどの交通費、自動販売機での買い物、香典や祝金などの慶弔費、割り勘分の領収書などは、どうしても領収書やレシートをもらうことができません。このようなときこそ、出金伝票を活用することができます。

必要事項を記載して、領収書の代わりとして経費に計上できます。なお、慶弔費については、証拠を高めるために、式典の招待状、御礼状、香典袋のコピーなども一緒に保存しておかれることをおすすめします。

活用方法3:白紙領収書しかもらえなかったとき

取引相手から「白紙領収書」をもらってしまうこともあります。白紙領収書とは、支払先はスタンプなどで記載済みですが、金額や取引内容などが何も記載されていない領収書のことです。

好きな金額を記入することができてしまう領収書ですが、領収書は法律上、お金をもらった側が発行すべき書類と定められています。したがって、たとえ支払った正しい金額を記載したとしても、白紙領収書に何かしらの記載をしてしまうことは、文章偽造の罪に問われることもありません。

また、領収書にはそれを記載した人の筆跡も残ってしまいます。もし税務調査でその領収書を見つけられてしまえば、「ほかの領収書も偽造しているのではないか?」と疑いをかけられることにもなります。

ですから、白紙領収書は受け取らないようにしましょう。もし相手先が白紙領収書を渡して着た場合は、しっかり記入してもらうようお願いしましょう。それでも白紙領収書しかもらうことができなかった場合には、出金伝票を作成するようにしましょう。

活用方法4:領収書やレシートの文字が消えそうなとき

受け取った領収書やレシートの文字が消えそうな場合もあります。本来なら使用しない消せるボールペンなどで領収書を作成したり、感熱紙のレシートは印紙が薄くなることがあります。つい自分で手を加えたくなりますが、白紙領収書同様、自分で記載してしまうことは文章偽造にあたりますので、絶対に記入しないようにしましょう。

このような場合は、出金伝票に正しい情報を転記し、消えそうな領収書やレシートと一緒に保管しておきます。また、まだ消える前の状態で読めるようであれば、写真もとっておくことができるかもしれません。

活用方法5:受け取った領収書に間違いがあるとき

受け取った領収書に情報が不足していたり、間違って記載されていることもあります。日付や宛名の会社名が間違っている、というケースも珍しくありません。すでに先述したように、領収書に間違いがあるとしても、自分で手を加えてはいけません。出金伝票に情報を転記し、それらの領収書やレシートと一緒に保管しておきましょう。

そして、領収書を発行してもらう際には、受け取ったその場で内容を確認し、情報の不足があるならすぐに訂正してもらうように心がけましょう。

出金伝票の保存について

出金伝票は、会計処理をした後も、ほかの税務書類と一緒に保管しておく必要があります。交通費の場合は、業務日報が出金内容を裏付けていますので、一緒に保存しておくことができますし、エクセルなどを使って月ごとや週ごとに交通費をまとめて記録することもできます。

また、案内状や招待状、セミナーの入場チケットなど、出金の有効な証明書類となる参考資料も出金伝票と一緒に保存するなら証拠を高めることにつながります。

また、領収書やレシートを受け取ることができなかったケースの多くは、おそらく現金で支払いをしていることでしょう。現金で支払いをしているのであれば、出金伝票のほかに「現金出納帳」へ記帳することも大切です。

現金出納帳は、現金の出金や入金などの動きが時系列に記載されている帳簿です。これがあれば、適正な会計処理の中で出金伝票が起こされたという証拠になりますので、現金出納帳を併用されることをおすすめします。

電子決済で支払う場合は?

近年、キャッシュレスでの決済が増えています、しかし、経費として計上するためには、証拠書類を残す必要があります。では、電子決済などで支払いをする場合、どのように出金の証拠を残すことができるのでしょうか?

ICカード乗車券などの場合

ICカード乗車券を利用しているビジネスパーソンは多いことでしょう。定期券や新幹線の乗車券、グリーン券、特急券など、普段の通勤や出張などで電車やバスを利用する際の乗車券を購入する際、SuicaやPASMO、ICOCAなどのICカードを使いキャッシュレスで購入することができるため、手間の時間の軽減につながります。

しかし、これらのサービスは、領収書の発行がありません。経費として計上するためには、パソコンで利用明細書(領収書)をプリントアウトし、出金伝票に添付する必要があります。このほかにも、航空会社のインターネット発券サービスなども、別途で領収書を発行できるサービスが用意されているので、各利用会社の公式サイトを確認してください。

ETC利用料金の場合

ETCの普及で、高速道路を利用する際の料金所での現金の受け渡しの手間がなくなりました。しかし、現金と引き換えに受け取っていた領収書兼利用明細書を受け取ることがなくなりました。では、ETCの利用料金を経費として計上するには、どうすればよいのでしょうか?

この場合、後日クレジット会社から送られてくる請求書に利用明細書が添付されてるので出金伝票の代わりとして利用することができます。しかし、他のクレジットカード利用の明細書やタイムラグがある、という不便さもあります。そこで利用できるのが、インターネットのETC利用照会サービスです。このサービスでは、過去62日間(非登録型サービスの場合)の利用証明書を発行することが可能となっています。

なお、料金所の現金精算レーンでETCカード支払いをするなら、その場で、領収書兼利用明細書を発行してもらうことが可能です。

伝票の種類について

ここまで解説してきた通り、出金伝票は会計情報になる伝票のひとつです。つまり、伝票にはいくつかの種類があります。最後に経理で使われている各種伝票(出金伝票を除く)についてご紹介します。

・入金伝票
入金伝票とは、現金の入金があった取引のときに起票する伝票です。総勘定元帳に記帳する際、現金は必ず借方に記入するため、入金伝票の勘定科目は貸方だけを記入する形式になっています。なお。入金伝票は通常、赤色の線で印刷されています。

・振替伝票
振替伝票とは、現金以外の取引があったときの起票する伝票です。振替伝票は勘定科目が取引内容によって変わってくるため、借方と貸方を記入する形式になっています。

・仕入伝票
仕入伝票とは、仕入取引をしたときに起票する伝票です。総勘定元帳に記入する際、借方は仕入れ、貸方は買掛金となります。

・売上伝票
売上伝票とは、売上取引があったときに起票する伝票です。総勘定元帳に記入する際、借方は売上、貸方は売掛金となります。

このように経理業務では、出金伝票を含め、全部で5種類の伝票が使われています。

関連記事:伝票の役割とは?伝票の種類や請求書・帳票との違い

まとめ

出金伝票は、領収書がもらえないときや領収書を紛失してしまったときなどに活用できる伝票です。出金があったことを証明するために、日付、支払い先、取引内容、金額の4つは必ず記載するようにしましょう。そして、証拠を高めるために、パンフレットや案内状などの証拠書類も出金伝票を一緒に残しておきましょう。

なお、税理士コンシェルジュの税理士紹介サービス税理士紹介公式サイト-顧客満足NO.1【税理士コンシェルジュ】では、無料で税理士をご紹介しています。会計に関してご不明な点がある場合は、専門家である税理士へお気軽にご相談ください。


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