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「専従者」とは?「専従者給与」や「専従者控除」制度の基礎知識

2020年7月16日
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白色申告には、青色申告にはない「専従者控除」制度があります。この制度が適用されるのは「専従者」です。青色申告では専従者への給与を経費として計上できますが、白色申告ではできません。その他にも、青色申告と白色申告ではさまざなな違いがあります。

この記事では、専従者や「専従者給与」「専従者控除」などにスポットをあてながら、青色申告と白色申告の違いについて分かりやすく解説していきます。

専従者とは?

「専従者」とは、確定申告を青色申告・白色申告で行う個人事業主と生計を一にしている配偶者や、15歳以上の親族などで、年間6ヶ月以上、事業に従事している家族従業員のことです。そして、家族へ支払う給与のことを「専従者給与」といいます。

専従者給与とは?

専従者給与とは、個人事業主やフリーランスの方が、一緒に生活している配偶者や家族が事業に従事する場合に支払われる給与のことです。個人事業主やフリーランスの方が家族従業員に給与を支払う場合、税法上では、家族への給与は、ひとつの収入の中で移動しているだけ、とみなされています。そのため、原則として必要経費とは認められていませんが、一定の要件を満たしている場合は、「専従者給与」として必要経費に計上することが認められています。

青色申告の専従者の場合

個人事業主やフリーランスの方が、確定申告で青色申告をしている場合は、生計を共にしている配偶者や家族などがある一定の要件を満たしていれば「青色事業専従者」として認められます。青色申告事業専従者となれば、家族に支払った給与の全額を経費として計上することができます。

なお、青色申告事業専従者がもらう給与は、他の従業員へ支払う給与と区別する必要があるため、「青色事業専従者給与」と呼ばれています。また、青色事業専従者給与として計上するためには、事前に税務署への「青色事業専従者給与に関する届出書」の届出が必要となります。

白色申告の専従者の場合

個人事業主やフリーランスの方が、確定申告で白色申告をしている場合は、「専従者控除」として一定額の控除の適用だけとなります。配偶者には86万円、その他の親族は50万円までが控除額となっています。なお、事業専従者控除をした場合は、控除対象配偶者や扶養親族になることはできません。つまり、配偶者控除や扶養控除などの控除類を受けることができなくなります。

専従者に対する見方

青色申告と白色申告のどちらで確定申告をしたらよいのか分からない場合は、専従者に対する見方を思い起こすことが助けになります。まずは、所得税における前提を把握することは大切です。そもそも所得税は、ひとりの人が多く儲けるよりも、複数の人が少しずつ儲けるほうが税金の負担が少なくなる、という性質があります。

この性質を悪用した場合、親族に対して給与を支払うなら、不当な節税が可能となります。このような不正を防ぐために、白色申告では親族に対する給与を経費として認められていませんが、「専従者控除」という制度が適用されます。

また、青色申告では「専従者給与」として経費に計上するためには、一定要件を満たす必要があります。一般的に青色申告の方がメリットが多いと言われていますが、法律上での専従者の見方を参考にしながら、ご自身でどちらの申告をするかを選択することができるでしょう。

青色申告の「青色事業専従者給与」とは?

青色申告の場合、専従者は「専従者給与」がもらえ、要件を満たしていると経費として計上することができます。

青色申告の「青色事業専従者給与」の要件とは?

・青色事業専従者に支払われた給与であること
・「青色事業専従者給与に関する届出書」を管轄地区の税務署へ提出していること
・給与額は、労務の対価として相当であると認められている額であること
・届出書に記載されている方法で給与が支払われていること
・届出書に記載されている金額の範囲内の額が支払われていること

青色事業専従者の適切な給与額とは?

青色申告の専従者給与の要件のひとつには、給与額が労務の対価として相当の額を設定する必要があります。つまり、労務の対価以上に給与を支払うことは、必要経費として認められていません。例えば、簡単な事務作業しかしていない配偶者に専従者給与を支払う場合、他の似ている求人と仕事内容や勤務日報などを比較し、適切な金額を設定できるでしょう。

また、月額88,000円以上支払う場合は、源泉徴収の対象となります。なお、多くの場合、専従者給与は、月額8万円程度支払っているケースが多いようです。あまりにも大きな額の賃金を支払っている場合は、その経費性が問題となり、否定される可能性もあります。ですから、設定金額は、妥当性のある適切な給与額にしましょう。

「青色事業専従者給与に関する届出書」の書き方とは?

前述したように、青色申告をしている方で家族に支払った給与を経費として計上するためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を事前に提出しなければいけません。では、届出書の書き方についてみていきましょう。

記入項目

・専従者の氏名と続柄
事業に従事している配偶者、もしくは親族の氏名と続柄を記載します。

・年齢と経験年数
年齢と事業に従事している期間を記載します。

・仕事の内容・従事の程度
「販売」「事務」など職種を記載した後、「販売責任者」など職責を記載します。従事の程度に関しては、「毎日〇時間程度」「平日〇時間程度」などと記載します。

・資格等
保有している資格について記載します。

・給料
支給期については「毎月〇日頃」と給料が支払われる時期について記載します。金額に関しては、支給する給料の上限額について記載します。

・賞与
「〇ヶ月分」もしくは支払い金額を記載します。

・昇給の基準
「使用人の昇格基準と同じ」「毎年およそ〇%」などと記載します。

提出期限

青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限は、「青色申告承認申請書」と同じです。事業を開始した時点で、青色事業専従者に給与を支払う予定なのであれば、一緒に提出することができるでしょう。

一方、事業開始後、しばらくしてから青色事業専従者に従事してもらうことになった場合は、給与を経費として計上したい3月15日、つまり、確定申告期限日までに届出書を提出する必要があります。

ただし、1月16日以降の開業、もしくは年度の途中から事業専従者が働きはじめた場合は、開業もしくは事業専従者が働き始めた日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

白色申告の「事業専従者控除」とは?

白色申告の「専従者控除」を適用する場合は、専従者へ支払った給与は経費として計上することはできません。また、専従者控除として申告した金額は、専従者にとっては「専従者の収入」にあたります。したがって、パートなどと掛け持ちをしている専従者の場合は、確定申告をする際に、専従者控除の金額を収入として記載する必要があります。

白色申告の「事業専従者控除」を受ける条件とは?

白色事業専従者控除を受ける条件とは、次の要件すべてに該当しなければいけません。
・白色申告者と同一生計をしている配偶者、もしくはその親族であること
・その年の12月31日現在、満15歳以上であること
・その年と通じて6ヶ月を超える期間、白色申告者の営む事業に従事していること

「専従者」になると配偶者控除や扶養控除を受けられなくなる

配偶者やその親族が、専従者として働くと、青色申告・白色申告問わず、給与の額に関係なく「配偶者控除」や「扶養控除」などを受けることができなくなります。配偶者控除と扶養控除は、年齢や条件によって異なることもありますが、双方とも基本、控除額は38万円となっています。

青色申告の専従者給与の場合は、給与額がそのまま全額経費となるため、支給額が年間38万円を下回る場合は、配偶者控除や扶養控除を受ける方がお得と言えるでしょう。一方、白色申告の場合は、専従者が配偶者のときは事業所得の合計額が76万円以下になる場合は、配偶者控除がお得になります。

白色申告で認められているのは「定額控除」だけ

白色申告の場合、先述したように、配偶者や親族への給与は経費として計上することはできません。白色申告で認められている「専従者控除」では、支払った賃金の額ではなく一定額の控除、つまり「定額控除」となっています。控除額は、次のように定められています。

次の(1)(2)のうち、どちらか金額が低い方
(1)事業者専従者が配偶者の場合は86万円、配偶者以外の親族の場合は一人につき50万円
(2)控除する前の事業所得などの金額を、専従者の数に1を足した数で割った金額

白色申告に必要な書類とは?

白色申告は主に3つの書類、「収支内訳書」「確定申告書」「各種控除などの添付書類」が必要です。青色申告のように、事前に税務署へ提出すべき書類はありません。

・収支内訳書
収支内訳書とは、収入や売上原価、経費の内訳、減価償却費の計算など、1年分の事業の状況をまとめた書類のことです。

・確定申告書
確定申告書の様式にはAとBの2種類ありますが、個人事業主やフリーランスの場合は、確定申告書Bの様式を使用します。

・各種控除などの添付書類
確定申告をする際には、1年間の売上から経費と各種控除類を差し引きます。その際、確定申告書には、受ける控除の証明書を添付します。

青色申告と白色申告の帳簿の形式

青色申告と白色申告では、帳簿の付け方が違います。

・青色申告の場合
青色申告では、簡易簿記と複式簿記の2種類の記帳方法が用意されおり、それぞれ得られる特典が異なります。
1つの勘定科目で目的のみを記帳する「簡易簿記」では、青色申告控除を10万円が適用されます。一方、2つの勘定科目を用いてお金の動きと原因を記帳する「複式簿記」で記帳する場合は、青色申告控除65万円が適用されます。

・白色申告の場合
白色申告の場合は、特別控除を受けることはできません。白色申告では、売上と経費を報告するための「収支内訳書」だけで確定申告を行うことができます。

まとめ

確定申告は、個人事業主やフリーランスの方にとって、1年に1度の大イベントです。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、申告者の配偶者や親族が事業に従事している「専従者」の場合は、それぞれ受けられる特典が異なっています。

青色申告では、専従者に支払う「専従者給与」を経費として計上することができますが、白色申告ではできません。しかし、白色申告では、一定額の「専従者控除」を受けることができます。

青色申告の方が税金控除ができるため節税効果がありますが、事前に税務署へ届出が必要となります。届出書を提出していない場合は、白色申告になりますが、青色申告へと切り替えることが可能です。検討してみることができるでしょう。


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