確定申告の修正方法は訂正申告・修正申告・更正の請求の3種類!違いは何?
確定申告書を慎重に作成したつもりでも、後から間違いがあったことに気づくことがあります。でも安心してでください。確定申告は、後から修正することが可能です。
ただし、確定申告の修正方法には「訂正申告」「修正申告」「更正の請求」の3種類あり、状況によって手続きが異なってきます。3種類の修正方法には、どのような違いがあるのでしょうか?この記事では、確定申告の修正方法について解説していきます。
目次
確定申告の期間・期限はいつまで?
確定申告の期間は、基本的に毎年2月16日~3月15日までです。つまり、毎年3月15日(土日祝の場合は、その翌日となります)までに確定申告をし、納税をしなければいけません。
確定申告は、税務署の窓口や特設会場をはじめとし、郵送、電子申請などでも受け付けています。(2020年の確定申告は、新型コロナウイルス感染症の影響により、例外として確定申告の期間が延長されました)
確定申告の3種類の修正方法
確定申告の修正方法には、「訂正申告」「更正の請求」「修正申告」の3種類あり、状況に応じて手続き異なります。状況に応じてとは、まず「確定申告の期限前」か、「確定申告の期限後」か、という違いです。
前述したように、確定申告の期限は、毎年、基本的に3月15日です。つまり、確定申告の期限前とは、通常3月15日までのことです。3月15日までに確定申告書の間違いに気付いた場合は、確定申告期限前となり訂正申告の手続きをします。
一方、確定申告期限後、つまり3月16日以降に確定申告書の間違いに気付いた場合は、訂正申告、もしくは修正申告いずれかの手続きをします。更正の請求は、税金が多かった場合や還付が少なかった場合の手続き方法です。
そして、修正申告は、税金が少なかった場合や還付が多かった場合に行う手続きです。では、それぞれの修正方法について詳しくみていきましょう。
確定申告の期限前の「訂正申告」
確定申告書の間違いに気付いたのが、まだ確定申告の法定期限である3月15日以前であれば、「訂正申告」の手続きで修正をします。訂正申告の手続きは、修正したものを提出するだけであり、確定申告とほぼ変わりはありません。一番簡単な修正方法と言えるでしょう。
では、どのように訂正申告の手続きをすればよいのでしょうか?手続きの際の注意点をみていきましょう。
注意点①提出済みの添付書類の控えのコピーが必要となる。
訂正申告の手続きには、提出済みの添付書類の控えのコピーが必要となります。
注意点②表題に「訂正申告」と赤字で記載する。
修正した申告書とすぐに分かるように、表題の余白に赤字で訂正申告と明記します。そうすることで訂正申告である、ということが一目で把握できるようにします。
注意点③還付申告をすでにしている場合は要注意!
訂正申告の手続きの前に、すでに還付申告をしている場合は、訂正申告が受付されないことがあります。なぜなら、すでに還付処理がされている可能性があるからです。その場合は、管轄地区の税務署に問いわせてみましょう。
注意点④e-Taxで確定申告を行った場合は訂正申告もe-Tax
e-Taxで確定申告を行った場合は、訂正申告もe-Taxで行うことになります。訂正後の申告データを作成し、再度送信するという手続きになります。簡単に手順をご紹介しましょう。
ステップ1:「申告・申請等一覧」画面から再送信するデータを選択。
ステップ2:訂正する帳票を開き、内容を訂正し、その後、「作成完了」ボタンをクリック。
ステップ3:「別名保存確認」画面が表示される。画面上の「申告・申請等名」欄に30文字以内で入力し、「別名で保存」ボをクリック。
ステップ4:「署名可能一覧」画面から再送信するデータを選択し、電子署名を付与。
ステップ5:「送信可能一覧」の画面から送信し、訂正申告の完了。
もしe-Taxによる訂正申告ができない場合は、従来通りの書面による訂正申告でも可能です。
確定申告の期限後の「更正の請求」
確定申告の間違いに気付いたのが申告期限の後、つまり3月16日以降の場合は、訂正申告をすることはできません。更正の請求は、①確定申告期限を過ぎてから修正をするケース、②税金を多く申告してしまったケース、③還付される税金を少なく申告してしまった場ケース、のいずれかに該当する場合に行います。
更正の請求を行った後、税務署に妥当であると承認されれば、納め過ぎた税金を還付してもらえるしくみになっています。では、どのように更正の請求の手続きをすればよいのでしょうか?手続きの際の注意点をみていきましょう。
注意点①「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を記入し提出する
更正の請求の手続きには、「令和○○年分所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」と呼ばれる書類を作成し、管轄地区の税務署へ提出する必要があります。
注意点②更正の請求の期限は5年
更正の請求は、法定申告期限より5年以内と手続きが行える期限が定められています。つまり、5年を過ぎてしまうと、更正の請求の手続きは行えなくなってしまいます。ですから、間違いに気付いたなら、早めに更正の請求の手続きを行うようにしましょう。
注意点③すべてが還付されるとは限らない
更正の請求をしたとしても、必ず還付されるという保証はありません。なぜなら、税務署で審査が行われるからです。審査で構成の請求が認められないなら受理されず還付されません。更正の請求は、審査を依頼する請求であり、必ずしも還付金を受け取れるという保証はないことを覚えておきましょう。
確定申告の期限後の「修正申告」
確定申告後に行う修正でも、提出済みの確定申告書の税額が本来払うべき税額よりも少ない場合、つまり修正手続きをすることで税額が増える場合に行う修正手続きが「修正申告」です。
例えば、プライベートでの飲食費を間違えて必要経費に計上してしまった場合や、所得金額が多くなってしまい、扶養の対象とならない親族を扶養親族として申告してしまった場合、などに修正申告が必要となります。
修正申告をする際には、申告書を提出すると同時に、不足している税金も一緒に支払う必要があります。なお、不足分の税金に関しては、申告期限の翌日以降の延滞税や、過少申告加算税などのペナルティが発生することもあります。では、修正申告について、さらに詳しくみていきましょう。
修正申告の手続き方法
修正申告の手続きが必要となるのは、確定申告の期限が過ぎていることに加え、①税金を少なく申告してしまったとき、②還付される税金を多く申告してしまったとき、に該当する場合に行います。
つまり、当初の確定申告で、納税額が少なかったときに行う手続きです。修正申告の手続きには期限はありませんが、早めに手続きをし、不足分の税金を納めなければペナルティが発生します。
修正申告に必要な書類
修正申告をする際には、①「確定申告書B第一表」と、②「所得税及び復興特別所得税の修正申告書(第五表)」の2つの書類の提出が必要となります。
確定申告書B第一表とは、通常の確定申告の際に提出する申告書です。通常の確定申告では「第二表」も提出しますが、修正申告の際には第二表の提出は不要となり、その代わりに「第五表」が必要となります。第五表とは、修正申告を行うために必要となる特別な書類です。
必要書類の作成方法
修正申告書である確定申告書B第一表と第五表の作成は、手書きで記入することもできますし、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成することもできます。
【手書きで作成する場合】
修正申告書を手書きで作成する場合は、国税庁のホームページから修正申告書の用紙をダウンロード、印刷したものを利用します。
では、修正申告書の作成方法についてご紹介しましょう。
まずタイトル部分には「確定」申告書ではなく、「修正」申告書と記載します。また、種類についても「修正」に「〇」をつけましょう。青色申告の方は「青色」に「〇」を付けることも忘れないでください。
すでに提出済みの確定申告同様、住所や氏名などの基本情報を記載し、金額を記入します。しかし、金額については、修正部分を反映させてください。
続いて、第五表の作成に入ります。修正する確定申告書の年度、住所や氏名などの基本情報を記載した後、表に修正前の金額を記入します。すでに提出済みの確定申告書の控えを見ながら、金額を転記しましょう。
その後、「修正申告により増加する税額等」「修正申告によって異動した事項」の項目を記載し、終了となります。
【確定申告書など作成コーナーを利用して作成する場合】
国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」のトップページには、「提出した申告書に誤りがあった場合」という記載されている一文があります。
その下の「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を選択し、修正申告書の作成ページへと進みます。そのページで修正申告書を作成したら、印刷して税務署の窓口へ持参することもできますし、そのままe-Taxで送信することも可能です。
確定申告の修正申告の期限はいつまで?
確定申告の修正申告を行うことで、追加の税金が発生する場合は、修正が必要と気付いた時点で早めに修正申告手続きを行うことが大切です。なぜなら、追加で発生する税金には、本来の申告期限以降からの延滞税がペナルティとして発生するからです。
つまり、修正申告が遅くなれば遅くなるほと、納める税金額が増えていくということです。また、自主的に修正申告を行わず、税務調査などで修正申告の必要性が発覚した場合は、延滞税に加えて、「過少申告加算税」もプラスされます。
ですから、修正申告が必要であると気付いた場合は、速やかに修正申告の手続きを行いましょう。なお、国税徴収権として、時効は5年と定められています。したがって、法定申告期限から5年以上経過している場合は、修正申告をする必要はなくなります。
確定申告の修正申告で発生するペナルティ
前述したように、過去の確定申告の期限後の修正申告で追加の税金が発生する場合は「延滞税」、またケースによっては「過少申告加算税」もしくは「重加算税」がペナルティが発生します。これらはどのようなペナルティ、つまり罰金なのでしょうか?
【延滞税】
延滞税は、納税が遅れた日数に応じて発生する罰金です。つまり、利息のような税金と言えるでしょう。延滞税の税率は、原則、法定申告期限の翌日から2ヶ月以内は年2.6%、法定申告期限の2ヶ月後以降は年8.9%と設定されています。
【過少申告加算税】
税務署に確定申告の間違いを指摘されてから修正申告をする場合は、延滞税に加えて、過少申告加算税も発生します。過少申告加算税の税率は、不足していた税額に対して10%の税率が設定されています。
ただし、追加で納める税金が「当初の申告納税額」と「50万円」のいずれか多い方が超えている場合は、超えている部分に対して15%の税率が課されます。
【重加算税】
重加算税とは、税務署に確定申告の間違いを指摘されてから修正申告をする際、事実のすべて、もしくは一部を隠ぺいしたなどの悪質な行為が発覚した際に課されるペナルティです。
重加算税の税率は、追加で納める税金に対して40%の税率が課せられます。重加算税の税率はとても高く設定されており、大きな負担となりますので、当たり前のことですが、税金は正しく申告しましょう。
まとめ
・確定申告の間違いに後から気づいた場合、修正することが可能。それには「訂正申告」「更正の請求」「修正申告」の3種類の手続き方法がある。
・確定申告期限内の場合は、「訂正申告」を行う。
・確定申告の期限後で、当初の申告よりも税金を多く納めすぎた場合や、還付金額を少なく申告した場合に気づいたときは、「更正の請求」を行う。なお、期限は法定申告期限より5年以内と定められている。
・確定申告の期限後で、当初の申告よりも税金を少なく納めていた場合や、還付金額を多く申告した場合に気づいたときは「修正申告」を行う。
・修正申告の際、追加で税金が発生する場合は、「延滞税」や「過少申告加算税」、もしくは「重課税」などのペナルティが課せられる。
税理士コンシェルジュは、2008年サービス開始より株式会社タックスコムが運営する税理士専門の紹介サイトです。会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談し、1万件以上の相談実績がある税理士選びの専門家です。
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