【4月17日以降も可】2020年の確定申告期間
例年、2月頃になると「確定申告」について見聞きする機会が増えてきます。当初、2020年(令和2年)の確定申告期間は2月17日(月)~3月16日(月)まででした。この期間内に、2019年(令和元年)分の会計結果を管轄の税務署に申告しなければいけない、とされていました。このスケジュール感が通常です。
しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大への対応として、まずは2020年4月16日まで申告期限が延長されました。その後も感染拡大は広がったため、4月17日以降の提出も期限を設けずに柔軟に確定申告書を受け付けるという発表が国税庁からされました(2020年4月6日)。
これは、感染拡大防止のためには、個々人が外出を控えること、人が多く集まらないことが有効な手段であるためです。実際に、税務署を訪れた人にも、税務署職員にも感染者が出ていることは報道されているところです。
そこで、国税庁では4月17日以降の申告は、原則事前予約制とすることで、人の密集や、来所者を長く滞在させることを避ける対策をとることとなりました。
参考:国税庁ホームページ 4月17日(金)以降の申告・納付の対応について
なお、4月17日以降の申告の場合、理由の申告が別途必要になります。具体的には、申告書の右上にある余白部分に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載する必要があります。e-Taxを利用する場合は、「特記事項」欄に同様の文言を入力します。
目次
2020年(令和2年)の確定申告期間はいつからいつまで?
上記のように、従来であれば確定申告期間は、所得税の場合は2020年2月17日(月)~3月16日(月)まででした。なお、フリーランスや個人企業などの個人事業主の消費税と地方消費税の納税期間は2020年2月17日(月)~3月31(火)まで、贈与税の納税期間は2020年2月3日(月)~3月16日(月)までとなっていましたが、これらについても延期されています。
今後の対応も流動的になる可能性があるので、その都度、国税庁等の公式サイトで確認をすることをお薦めします。
確定申告の書類は期限内に提出することが求められており、期限に1日でも遅れてしまうと期限後申告として扱われ、無心国課税や延滞税といったペナルティが発生します。ですから、この規定されている期間までに確定申告を終わらせて、決められた期限内に所得税や贈与税などの支払いを済ませておくことはとても大切です。
なお、確定申告期間内であれば、何度でも申告書類を提出することができ、最後に提出した書類が正規の申告書類として扱われます。時間に余裕をもって提出すれば、仮に書類が不足したり、内容に不備があったりしても期間内に修正して再提出することも可能です。
確定申告期間ギリギリに書類を提出し、その後不備に気づいて修正したものを再提出することも可能ですが、再提出が期間内でなければ期限外として扱われてしまい、修正申告の内容によっては納付すべき税額が増えてしまう可能性があります。
このようなケースを回避するためにも、確定申告の申告作業は、早い時期から準備を進めておくほうがよいでしょう。
「確定申告期間中、平日は税務署に行けない」という場合
平日に税務署へ行く余裕がない方は「税務署に行く時間なんてない」「土日でないと動けない」という不満があるかもしれません。税務署は土日や祝日だと、確定申告書類の提出を受け付けないのでしょうか?
・税務署は基本的に土日や祝日は閉庁だが、一部対応している場合もある
税務署は基本的に月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時まで開庁しており、土日や祝日は閉庁しています。
しかし、確定申告期間中は、税務署や合同会場などで、日曜日に確定申告の相談や進行書類の提出ができるところもあります。主に2月の第3と第4日曜日が開庁することが多いですが、各管轄地区の税務署によって異なりますので、前もって確認されることをおすすめします。
・申告書類の提出だけであれば時間外でもOK
記入済みの申告書類を提出するだけなら、郵送、もしくは税務署の時間外収集箱へ投函することができます。
確定申告期間後の、税金の納付期限はいつまで?
2020年の国税の納付期限は、従来では次のようになっていました。
・所得税と復興特別所得税:2020年3月16日(月)まで
・個人事業主の消費税と地方消費税:2020年3月31日(火)まで
・贈与税:2020年3月16日(月)まで
ただし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、税務署への申請により、原則として1年以内の期間に限り、納税が猶予される場合がある、と対応が変わっています。口座振替日にも変更があるため、確認することをお薦めします。
参考:国税庁ホームページ 新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ
確定申告期間内に申告できなかったら?
例年では、確定申告期間内に申告できず期限に遅れてしまった場合は、「期限後申告」として扱われます。期間後申告や無申告として扱われ、所得金額の決定を受けた場合は、無申告加算税がペナルティとして加算されます。
無申告加算税は、50万円までが15%、50万円以上は20%が追加されます。自主的に期限後申告をするなら、5%に軽減されます。ただし、期限内から1ヵ月以内に自主的に申告をし、期限内に申告を行う意思があったと認められた場合は、無申告加算税は発生しません。しかし、納付日までの延滞税は支払う必要があります。
また延滞税は、年利最高14.6%を遅れた日数分上乗せされますので、期限を守るようにしましょう。
ただし、上記のように2020年の申告や納税については、非常に流動的に変更がされています。新型コロナウイルス感染の状況次第で、また変更があるかもしれないので随時チェックすることをお薦めします。
確定申告期間に準備しておくべき書類とは?
確定申告を進めるためには、いくつかの書類を揃える必要があります。確定申告の必要事項を記入する作業自体は、慣れてくるとスムーズにできるようになりますが、書類を揃えるのは容易ではありません。確定申告期間に入ってから書類を揃えようとすると大変なので、可能でああれば年が明けたら早い段階で書類を揃えておくとよいでしょう。
確定申告には、次のような書類を準備する必要があります。
・確定申告書
確定申告書には、確定申告書Aと確定申告書Bの2種類あります。確定申告書Aは、主にサラリーマンの方や年金所得者の方が該当します。
確定申告書Bは、主に個人事業者や分離課税対象の所得がある人が該当します。この書類は複写式になっています。収入や所得、控除などの正確な金額を記入し、最終的な税額を計算して記載します。ただし、分離課税対象の所得がある人や、所得金額が赤字になる人は、別の書類も一緒に合わせて提出する必要があります。
・青色申告決算書
青色申告決算書は、緑色で書かれている4つのページから構成されている書類です。青色申告の対象者だけが提出します。
・控除に必要な証明書類類
確定申告をすると様々な控除を受けることができますが、その控除を受けるためには、支出を証明するための書類も一緒に提出する必要があります。控除を受けるために必要な書類は様々です。
例えば、住宅ローン控除を初めて受ける場合は、住宅借入金特別控除額の計算明細書、住民票の写し、売買契約書の写し、登記事項証明書の原本、金融機関の住宅ローンの残高証明書の提出が必要です。
また、かかった医療費の額によっては、医療費控除を考える場合もあるでしょう。その際には、年間10万円を超えたことを証明するため、医療費の明細や交通費の明細など、寄付をした人は寄付をした団体などから交付された受領書などを提出しなければいけません。
非常に多くの書類が必要になることもあるので、領収書等を受け取った時点でファイリングしていくとよいでしょう。確定申告の時期が近づいてから、慌てて探す手間を回避することができます。
・源泉徴収票
源泉徴収を受けている人は、源泉徴収票を添付します。本業に限らず、副業などにおいても源泉徴収を受けている人は必ず雇用主から源泉徴収票を受け取っているはずです。それらすべての源泉徴収票を添付する必要があります(発行されていない場合は、請求しましょう)。場合によっては、還付を受けられる可能性もあります。
・経費の支払いを証明する領収書
事業を進めていくうえでは、必ず何かしらの経費が発生します。経費の支払いを証明する領収書を添付する必要はありませんが、後に税務署の調査が入ったり、税務署から経費の支払いを証明する書類の提出を求められたりすることも稀にあります。したがって、年度ごとに整理し保管しておくとよいでしょう。
・マイナンバーの確認書類
マイナンバーを確認できる書類として、マイナンバー自体が確認できる書類と、そのマイナンバーの持ち主であると確認できる書類の提出を求められています。
マイナンバーカードがあれば、その写しを添付するだけで問題ありません。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーの確認書類として、通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写し、もしくは住民票記載事項証明書などの、いずれか1つの写しの提出が必要です。
加えて、身元確認書類として、免許証、パスポート、公的医療保険の被保険者証、在留カード、身体障害者手帳の写しなどの添付も必要です。
・印鑑
確定申告書には押印する部分があり、申告書類に修正が必要になったときには押印が必要となります。特に税務署へ直接書類を提出しに行く場合、提出時に不備が指摘されて修正が必要になり、修正箇所に印鑑を押さなくてはならない可能性があります。万が一に備え、印鑑を持参することをおすすめします。
ちなみに、確定申告に使用する印鑑には特に規定は設けられていないので、いわゆるシャチハタでなければ、三文判の印鑑でも問題ありません。
確定申告期間前に把握しておきたい、申告書類の入手方法
税務署へ開業届を提出した人や、前年以前に確定申告をしたことのある事業主には、確定申告期間が始まる少し前(12月~1月頃)に確定申告に必要な書類の一式が郵送で届きます。
郵送されない場合は、次のような方法で入手することができます。
・税務署や役所に直接取りに行く
税務署や市区町村の役所には、確定申告に必要な書類が用意されています。1月中旬頃から用意されているので、直接取りに行けば入手できます。
・税務署に連絡し郵送してもらう
税務署から郵送してもらう場合は、希望する書類をメモ書きして税務署に送付すると、希望の書類を郵送してもらえます。その際、返送用の封筒と返送用の切手も同封しましょう。
・国税庁のウェブページからダウンロードして印刷する
確定申告に必要な書類は、国税庁のウェブページからダウンロードすることもできます。ダウンロードしたファイルを印刷すれば、提出用の書類として使えます。
確定申告期間内に確実に!確定申告の提出方法
確定申告の提出方法には、税務署に直接持っていく方法、郵送で送る方法、e-taxを利用してインターネットで手続きをする方法の3種類が用意されています。確定申告期間内に確実に提出するようにしましょう。
提出方法1:管轄地区の税務署に直接行き、確定申告書類を提出する
まずは、税務署に出向いて直接提出する方法です。自宅で確定申告を作成し持参することもできますし、税務署で係員に相談しながら作成することも可能です。
書類の提出だけであれば、期間内であれば専用のボックスの投函して提出することができますが、営業時間が決まっており、土日や祝日は休みとなっているので注意が必要です(土日や祝日も受け付けている場合もあるので、所轄の税務署に確認するとよいでしょう)。
提出方法2:管轄地区の税務署へ確定申告書類を郵送する
確定申告書類は、税務署に郵送して提出することもできます。受理印の押された控えの返却を希望する場合は、提出する確定申告書類のほかに、返信用の封筒に必要な額の切手を貼り付けて同封すると、返送してもらえます。
なお、郵送の場合は期限日の消印が押されていれば、期限内の提出とみなされます。
提出方法3:e-taxを使ってインターネット経由で確定申告する
e-tax(イータックス)とは、国税に関するオンラインサービスで、国が運営しています。初めて利用する場合には、利用登録や電子証明書などの取得が必要となりますが、自宅からオンラインで電子申告から税金の支払いまで、すべての手続きをパソコンやスマートフォンで完結させることができます。
また、還付を受ける手続きは、e-taxの申告が最も早く処理することができます。オンラインですので税務署に書類を持っていったり、郵便で送付する場合と異なり、紙類を提出する必要はありません。
確定申告期間に追われないために、スマートフォンの利用も一考
通常、確定申告期間は厳しく締切日が設けられているので、日頃の忙しさから追われているような感覚になる方も少なくありません。そこで、スマートフォンで確定申告を行うことも一考です。
最近では、国税庁がスマートフォンによる確定申告に力を入れています。2019年からは国税庁ホームページの「確定申告書類作成コーナー」からスマートフォンを使って申告書を作成することができるようになっています。なお、すべての申告内容に対応しているわけではないので、控除を受ける場合等に対象となっているか否かを確認するとよいでしょう。
特に、2020年の確定申告では申告者側の新型コロナウイルス感染予防意識の高まりからか、スマートフォンでの申告が例年よりもさらに増えているとのことです。確定申告の時期は、いつも税務署が混んでいますが、その混雑を避けるための動きといえるでしょう。
確定申告期間より前から準備!会計ソフトを利用する
これまであげてきたように確定申告の書類を手書きで作成することもできますが、国税庁のホームページの「確定申告等作成コーナー」や会計ソフトなどを利用して作成することも可能です。
作成者に会計の知識がなくても、会計ソフトを上手に利用すれば簡単に書類を作成することができます。個人で作成することに不安な場合などの選択肢として有用です。
ただし、確定申告期間にいきなり会計ソフトを利用し始めても、備えておくべき書類がそろっていなくては、申告書を作成できません。
また、会計ソフトを日頃から利用すると、お金の流れが把握できて会計管理にも役立ちます。確定申告期間になってから意識するのではなく、例えば確定申告が終わった時期や、新年とから会計ソフトの利用を始めると、年末になって慌てることもなくなります。収支の把握や経費削減等、経営全体においてもメリットがあるでしょう。
確定申告期間に捉われすぎず、日頃から意識的に
確定申告書類を提出する期間は、決められています。しかし、申告受付期間前でも、相談や問い合わせ等は税務署で受け付けています。また、早目に準備を始めれば余裕を持って申告することができます。
確定申告はたしかに一仕事ですが、確定申告期間に捉われすぎることなく、日頃からお金の流れを意識し、記録したり、必要書類は整理・保管をしておくことをお薦めします。
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