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マネーの虎で最も成功した「フランスロール」成功者の波乱万丈な人生のまとめ

2020年7月29日
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日本テレビ系で放送されていたリアリティ番組「マネーの虎」は、放送終了後からすでに15年近く経過していますが、現在でも、多くの志願者たちのその後や現在が話題となっています。この記事では、「フランスロールを東京で進出したい」と志願し、成功した長谷部文康氏の成功までの道のりから現在の様子までまとめてみました。

目次

大人気リアリティテレビ番組だった「マネーの虎」

マネーの虎は、世間的に成功者と呼ばれる何億と稼ぐ「虎」と称する社長・投資家たちを番組のゲストとして毎回数名呼び、投資を受けたい志願者が事業のプレゼンをするという内容で、俳優の吉田栄作さんが、番組の司会者でした。

会議室のような部屋に机と椅子だけがあり、ビジネスとお金のことだけを話すという「投資」がメインの前代未聞のリアリティ番組でした。一般的な華やかなテレビ番組とはかけ離れており、ヤラセが全くない番組独特の空気感がテレビ越しでも伝わるリアリティさが大人気となりました。

番組の内容

マネーの虎は、一般人の志願者が事業計画を虎たちの前でプレゼンし、虎たちが投資するかどうかを決める、というビジネス色が強い内容の番組でした。志願者はプレゼンが成功すると、「マネー成立」となり出資してもらうことができますが、失敗すると「ノーマネーでフィニッシュ」となり、退席となります。

マネーの虎に出演している虎たちは、全員ノーギャラの上、番組からは交通費すら支給されません。もちろん、虎たちが出資するお金も全額自腹です。そのため、志願者に対する審査はとても厳しく、考えの甘い志願者に対しては厳しく指摘したり、罵倒したりなどの場面もありました。

確かに投資をする側の観点からみるなら、誰だか分からない志願者に投資をするのはかなりのハイリスクと言えるため、考えが甘い志願者に対しては厳しく批判したくなる気持ちも分かりますね。

2004年に放送終了

マネーの虎は2001年10月にスタートしました。最初は土曜日の深夜12時50分からの1時間番組でしたが、人気番組として視聴率が高まったことから、2002年4月には金曜日の午後8時というゴールデン枠の放送になりました。

しかし、マネーの虎はビジネス色の強いリアリティ番組だったため、ゴールデン枠に移動してからは視聴率がグンと下がってしまいました。ゴールデンの内容には不向きだったのでしょう。

そのため、1年半後の2003年9月、番組内容を30分とし、深夜枠に戻りました。しかし、以前ほど視聴率が伸びず、2004年3月に放送が終了してしまいました。

「フランスロールを東京進出させたい」

マネーの虎の成功者のひとりである長谷部文康さんは、「地元福島で開業した新感覚クレープ・フランスロールを東京進出させたい!」という希望を持ち、マネーの虎へ志願者として出演しました。すでに福島では行列ができるほどブレイクしていた「フランスロール」とは、どのような新感覚クレープなのでしょうか?

新感覚クレープ・フランスロールが誕生するまで

福島県福島市出身の長谷部文康さんは、1974年12月26日に生まれました。実家は、「和菓子屋 前野屋」を営んでいました。そのため、物心がついたときからお菓子が身近にある環境で育った長谷部さんは、家業である和菓子づくりを手伝います。しかし、もっと広い世界を見たいという願いから、洋菓子の魅力に気づき、パティシエを目指すことにします。

そこでフランス菓子のお店「有限会社オランジュリーフランス菓子」と「和洋菓子みずはら」の2店舗で合計5年間修業を積みます。修業後、自ら新感覚クレープ「フランスロール」を考案します。新食感のクレープとして、食感にこだわりを持つ独特のクレープです。長谷部さんは、食感にこだわりを出すため生地を何層も巻き、手作りのチョコレートを使用しました。

「街角で気軽に食べられるケーキ」をコンセプトに、1998年9月にシトロエンのレトロトラックによる移動販売店「TOKYO ROMANDO CREPE」を開業します。当初、福島の路上販売は容易ではありませんでしたが、3年という時間をかけて少しづつ認知されるようになってきます。

長谷部さんのこだわりのロール状のクレープは、やがて地元福島では、移動販売車で1日10万個を売り上げこともあるほど人気となります。そして、この新感覚クレープ「フランスロール」を東京進出したいという思いから、2002年、人気リアリティ番組「マネーの虎」へ志願者として出演しました。

マネー成立で800万円獲得!

長谷部さんがマネーの虎に出演した際、希望した出資金は800万円でした。実際に投資した虎たちは3名、南原竜樹社長が400万円、尾崎友俐社長が300万円、岩井良明社長が100万円でした。投資した虎たちは、実際に投資する前に全員試食をしていますが、南原社長以外は「美味しい!」と言っています。では、それぞれの社長についてご紹介しましょう。

南原竜樹社長

南原竜樹社長は、「オートトレーディングルフトジャパン株式会社」の代表取締役で、年商55億円の虎として出演していました。高級車が大好きで、車輸入の先駆けの成功者として知られていました。番組の中では「冷徹な虎」という愛称のキャラが確率されていたため、ほとんど笑うことはありませんでした。

多くの志願者に対しては、プランを冷静に分析して諭破し、他の社長に対しても反論する姿が印象的でした。特に性格が全くことなる岩井社長とは相性が悪く、共演すると喧嘩になることも度々ありました。このように冷徹で冷静な南原社長でしたが、どんな志願者のプランでも真剣に話をよく耳を傾け、時には実際的なアドバイスを与えることもよくありました。

特にフランスロールの志願者長谷部さんに対しては、若くて実際的なプランだった上、移動販売車だったため、車好きの南原社長にとってはいつもよりも気になる志願者となったようです。

尾崎友俐社長

尾崎友俐社長は、「株式会社オリエンタルダイニングアンドリゾーツ」の代表取締役CEOで、年商10億円の虎として番組に出演していました。尾崎社長は、バックパックで世界一周後、数々の飲食店を経営しています。

穏やかな人柄と優しさで溢れていますが、適格なアドバイスが評判となり、多くの経営者から相談を受けるようになります。そこで「女性起業塾」も立ち上げました。番組内では、とにかく笑顔で話をしっかり聞いてくれ、周りの社長にボコボコに言われている志願者に対してもやさしくアドバイスをしていた姿がとても印象的でした。

また、褒めるところはしっかり褒めるのも尾崎社長の魅力のひとつでした。尾崎社長は食べることも好きだったので、長谷部さんのフランスロールも美味しそうに食べていました。

岩井良明社長

岩井良明社長は、「株式会社モノリス」の代表取締役で、年商12億の虎として番組に出演していました。番組の中では、熱血漢(ねっけつおとこ)のキャラクターとして知られていました。学生時代は応援団長として活動し、「リクルート」へ入社します。

トップの営業マンになりますが、わずか3年で退職し、独立のために学習塾の経営を始めます。塾講師として、また教育の虎として「大志塾」を開講し、その後、株式会社モノリスを設立しました。会社の資金繰りに苦労していた当初は、志願者側で出演しようとしていたようですが、年齢制限があり辞退せざるをえなかったようです。

しかし、その後、虎側で出演をするという経歴を持っています。現在は、株式会社モノリスの会長として活躍しています。

第1部:マネーの虎・志願者出演~マネー成立まで「マネー成立?ノーマネーでフィニッシュ?」

マネーの虎でのプレゼン

「地元福島では行列ができるほど人気の新感覚クレープ・フランスロールを、東京進出させたい!」という志願を持ち、マネーの虎に志願者として出演した長谷部さん。地元福祉まではかなりの売上があったので、東京でも必ず成功する!という自信のあるプレゼンを行いました。

福島での売上の数字を提示することで、虎たちは興味深々となります。「そんなに売れるクレープなのであれば、食べてみたい!」という虎たちが発言したため、長谷部さん虎たちを外へ連れていきます。

すると、実際に移動販売で使用しているピンク色のシトロエンのトラックが停まっています。長谷部さんは、そのトラックで新感覚クレープ「フランスロール」を社長たちのために作ります。

フランスロールという名前の通り、クレープをロール状にすることで層ができ、今までにない新感覚を味わえるクレープです。社長たちは、新感覚クレープ「フランスロール」を実際に試食し、どのような反応を示したのでしょうか?

フランスロールを試食した社長たちの反応とは?

司会者の吉田栄作さんをはじめとし、みんなが「美味しい~!」と大絶賛の試食タイムが終わります。いつもの部屋に戻ると、南原社長が衝撃的な発言をします。なんと「美味しくなかった・・、甘いクリームが重すぎる・・」と突然言い出したのです。

しかし、南原社長以外の人は「美味しい!」と絶賛していますし、実際に行列ができるほど多くの人からその味が評価されています。それを認めた上で「あなた(長谷部さん)のビジネスを半分だけ理解した。。。だから、半分だけ出そうと思う」と述べます。

そして、「もし出店できたら、車を運転させてくれる?」と、車好きの南原社長らしいホッとしたコメントも話題を呼びました。

残りの半分の投資はどうなる?

南原社長の「半分だけ出そうと思う」の言葉の通り、南原社長は、長谷部さんの希望額800万円の半分、つまり400万円を投資することにします。この場合は、残りの半分400万円を誰かが投資すればマネー成立となりますが、誰も出さなければ不成立となります。そこで、長谷部さんはどうしたのでしょうか?

東京進出に「負ける気がしない!」と自信を社長たちに見せつけます。情が厚いことで知られる岩井社長は、このような一途な想いをもつ青年に心を動かされます。しかし、南原社長とは仲が悪いことで知られており、共同出資に躊躇している様子でした。

そこで、岩井社長は、長谷部さんにひとつ質問をします。「これを通じて将来どうしたいの?何か夢はあるの?」というさり気ない質問に対して、長谷部さんは「そちら側に座りたい。社長さんたちのような成功者になりたい」と答えます。

岩井社長は、長谷部さんの将来の夢に完全に気に入ってしまい、思わず顔がほころんでしまいます。長谷部さんは、他の社長たちの心を動かすことができるのでしょうか?残りの400万円の投資は成功するのでしょうか?

いよいよ決断の時!社長たちの心を動かすことはできたか?

長谷部さんのプレゼンが終わり、いよいよ決断の時となります。すでに南原社長は希望投資額800万円の半分、400万円を投資することになっています。残り2人の社長、尾崎社長と岩井社長は、残りの400万円を投資してくれるのでしょうか?

まずフランスロールの虜となった尾崎社長が、その新感覚と味、センスを絶賛した後、「東京の女性にも必ずウケるはず!」と確信の言葉を述べ、「300万円投資する!」といいます。残りあと100万円です。岩井社長は、最後の最後まで悩み、最終的には仲の悪い南原社長との共同出資を決断し「100万円の投資」を決断します。

マネー成立!

南原社長400万円、尾崎社長300万円、そして岩井社長100万円の共同出資で、投資希望額800万円マネー成立です!マネー成立後、東京での生き残りの厳しい現実について語る南原社長、長谷部さんの熱意とこれからの期待で涙を潤ませながら感動している尾崎社長、長谷部さんを優しく笑顔で祝福する尾崎社長、とそれぞれ3人の社長が祝福します。

そして、長谷部さんは、「あの時投資して良かったと思われるように、絶対に成功させてみせます!」と心強い決意を述べます。こうして、マネーは成立し、番組は終了します。しかし、これからが本当の勝負の始まりです。長谷部さんは、フランスロール東京進出を成功させることができるのでしょうか?

第2部:マネー成立後~開店初日まで「ノルマは達成できるか?」

マネー成立後、問題勃発!どうなる東京進出?

マネー成立後、長谷部さんはその喜びをすぐに、奥さんとお子さんに報告します。しかし、これからが本番です。東京進出に向けての準備がすぐに始まります。メニューも改善し、開店準備も順調に進んでいるかのように見えていましたが、問題が発生します。それは、出店場所です。

当初は代官山に出店するつもりでしたが、場所を貸してもらえないどころか、話さえ聞いてもらうことができません。土下座までしても話を聞いてもらえず、長谷部さんは南原社長が言っていた東京の厳しさを肌身をもって実感します。

開店予定日まであと10日を切るのに、出店場所は未だに見つからず、お金もどんどん減っていき・・どうしたらよいか分からくなってしまい、尾崎社長のところへ相談に行きます。尾崎社長から実際的な提案をもらえるのかと思いきや、「考えても仕方ないから、探すしかないのよ」と言われ、特に具体的なアドバイスをもらえず、ただパワーだけをもらい、長谷部さんは少し元気になります。

追い詰められた長谷部さんは、代官山をあきらめざるを得なくなります。少し視野を広げ、ようやく表参道に車を置け、人通りのある場所を見つけます。そして、必死に交渉をし、営業許可をもらうことに成功します。

いよいよ開店当日!売上目標15万円を達成できるか?!

あっという間に開店当日となりました。渋滞などの交通トラブルがあったため、少し時間が遅れましたが無事にオープンしました。マネーの虎では、マネー成立し、オープンした初日にはノルマを設けるのがルールとなっています。

そして、プレゼンで言っていたことが本当だったのか、ノルマを達成できるのか、を見守っていきます。司会者の吉田栄作さんも様子を見守るために、お店に駆けつけます。今回のノルマは、目標15万円、つまり、フランスロール400個分を営業時間内に売り上げることです。

もしこのノルマを達成できなければ、全国放送で失敗の様子がすべて流されます。どうしても目標を達成したいところです。では、実際のところ、どうだったのでしょうか?なんと、開店してすこしたつと、お店の前に行列が出来始めます。プレゼンのときに長谷部さんが「地元福島では行列ができる・・」と言っていた言葉が証明されました。

もちろん、番組を見ていた方の影響もあるかもしれませんが、長谷部さんやフランスロールに興味がなければわざわざ表参道にまで来て食べようとは思いません。順調なスタートを切ったお店ですが、ノルマを達成することはできるのでしょうか??

売上15万円のノルマは達成できた?

お店が開店し、投資をした南原社長、尾崎社長、岩井社長がお店に集まり、ノルマを達成できたかどうかを確認します。普通なら目標を達成できなくてもまた目指すことができますが、これは投資をかけたリアリティ番組です。多額のお金を投資してもらっているため、ノルマを達成できなければ、期待と信頼を裏切ることになります。

厳しいルールと思われる方もいるかもしれませんが、誰だか分からない人に多額のお金を投資する社長たちの気持ちになってください。プレゼンでの言葉をすべて信じ、多額のお金を投資したのです。是非とも期待に応えてもらいたいものです。では、長谷部さんはノルマを達成できたのでしょうか?

売上目標は15万円でしたが、結果は「19万1,100円」でした。見事、目標達成です。しかも15万円を大幅に上回った19万円という売上です。結果発表を聞いた瞬間、長谷部さんだけでなく、社長たちも感動しています。視聴者たちも心揺さぶる瞬間でした。

しかし、岩井社長ただひとりは、みんなと異なる反応を見せます。「僕はまだ君を褒めてあげることはできない・・。ここまであなたがきたのはみんなの助けのおかげ。だから、みんなに感謝して。今日はおめでとう、は言いません。」と南原社長は述べます。

なぜ、南原社長は、この時褒めることができなかったのでしょうか?誰もが「南原社長!ここは褒めるべきでしょ!」と思っていました。しかし、後日、岩井社長のこの言葉の意味を知ることになります。

第3部:フランスロールのその後

「ROMAND ROLL(ロマンドロール)」として全国展開

いくつもの困難を乗り越えながら、お店は開店から約半年、経過します。店名を「TOKYO ROMANDO CREPE」から、「ROMAND ROLL(ロマンドロール)」へと変更し、全国に10店舗のフランチャイズを展開します。この時点で、年商3億円が見込まれており、成功者になるという夢のすぐそばまできていました。

その頃、長谷部さんは南原社長の元を訪ね、店舗も全国に拡大し、売上も順調に伸びていることを報告します。それと同時に、フランスロール店のこだわりのひとつであるシトロエンのワゴンが入手困難である、という悩みも打ち明けます。

南原社長と言えば、高級車が大好きな「オートトレーディングルフトジャパン株式会社」の代表取締役です。数多くの車種の輸入ルートを持つ南原社長へ、「シトロエンの輸入手配をお願いしたい」旨を伝えます。長谷部さんは、南原社長から褒められるものだと思っていました。

また、喜んで輸入手配に力を貸してくれるものだと思っていました。しかし、南原社長からでてきた言葉は、長谷部さんが予想もしないものでした。

南原社長の反応とは?

南原社長は、長谷部さんを評価し褒めるどころか、「今のお前は車さえあればお店が増え、成功すると思っている。『井の中の蛙大海を知らず』という言葉通りだ。・・・まだ何が本当に重要なのかが分かっていない。もっと勉強して大きくなれ。」怒ります。長谷部さんは予想外の展開に、とても落ち込んでしまいます。

「こんなに頑張って、結果も出したのに全く評価してもらえない・・」という悔しい思いから、「何が一番の問題点なのか?」と真剣に考えるようになります。そして、ようやくひとつの問題点に気づきました。それは、「今はブームでブレイクしているが、ブームが去ったら飽きられてしまうのではないか?」という点です。

確かに、ブレイクしたお店の中には、行列ができたお店もあります。そのため、店舗や従業員を増やしたのに、ブームが去ったため、行列はなくなり、お客さんがいなくなってしまい、倒産してしまったお店も現にあります。

このような状態を回避するために、長谷部さんは「ブームが去らないように、お客さんに飽きられてしまわないように」対策を考えることにします。そして、後日、長谷部さんはフランスのパリへ経ちます。

第4部:生き残りをかけた本場フランスでの修業

有名パティシェ千葉氏との出会い

南原社長の「・・もっと勉強して大きくなれ。」の言葉から、長谷部さんは、お客様から飽きられないようなメニューを開発することを目標として掲げます。そして、南原社長に「井の中の蛙大海を知らず」と言われた意味をよく考え、デザートの本場フランスで、本物のデザートを勉強することにします。

パリで人気店を持つ超一流パティシェ千葉好男氏の「ぼくは、パリのお菓子屋さん」という本と出会い、フランスの千葉さんに会いに行きます。なお、千葉さんは、フランス料理アカデミー会員に選ばれたパティシェの伝説の男とも呼ばれています。

異国の地でのフランスロール

長谷部さんは千葉さんに、フランスに来た目的と告げます。すると千葉さんが、「フランスロールと作ってもらえる?」とお願いしてきます。長谷部さんにとっては、絶好のチャンスです。突然、異国の地でフランスロールを作ることになりました。

しかし、使い慣れていない器具やフランス語で記載されている材料に足をとられ、失敗をしながら、ようやくフランスロールを完成させます。千葉さんとフランス人の販売マネージャーに試食をしてもらうと・・「厳しいようだけど・・美味しくない」と言われます。

日本では行列が出来ていたフランスロールでも、本場フランスでは全く受けいれてもらえない、というこの状況に、長谷部さんは諦めることなく、「もう一度チャンスをください」と千葉さんにリベンジを言い残します。長谷部さんは、千葉さんに認めてもらうことができるのでしょうか?

フランスで一からもう一度学ぶ

長谷部さんは、千葉さんにフランスロールを認めてもらうために、パリにアパートを借りてデザートの勉強を始めることにします。まず人気デザート店を巡ります。そして、自分の作るフランスロールに何が足りないのかを見つけるために、ひたすら食べ続けます。

その後、頂いた貴重なアドバイスを思い出し、試作し、試食し・・の繰り返しを行います。その結果、ようやく完成したのが、マロンクリームのクレープ。さっそく千葉さんに試食してもらいます。

しかし、「バランスが悪い」など酷評ばかりで、褒められることはありませんでした。でも、長谷部さんは、諦めません。「もう一度最後のチャンスをください」とお願いし、最後の約束を千葉さんとかわします。

フランスでの最後のチャンス

この度も、プライドをズタズタにされてしまった長谷部さん。でも「千葉さんに認められてから日本に帰る」という強い想いを持ち、もう一度一からチャレンジします。この出来事は、地元福島では有名フランスロールとして成功し、マネーの虎でもノルマをクリアし、フランチャイズで全国にお店を展開する・・という成功者として順調に進んでいるように見えた矢先での出来事でした。

本場フランスに来て、自分の力不足さや、デザートの奥深さについて思い知らされとは思ってもいなかった展開だったことでしょう。しかし、現実から目を背けることなく、千葉さんに認めてもらうために、試食を何度も繰り返します。すると、自分が作るデザートとパリのデザートの違いに気づきました。それは、「香り」です。

長谷部さんのデザートにはないリキュールが、フランスのデザートには使われていたのです。その後、長谷部さんリキュール探しを始めます。そして、地元福島での有名なリンゴを使った、あるリンゴのリキュールに出会います。まるで運命を感じた長谷部さんは、リンゴのリキュールを使ってリンゴのフランスロールを作ります。

千葉氏に認められるか?

いよいよ最後の試食のときです。試作を重ねて完成した新メニューを千葉さんに試食してもらうとき、なんと千葉さんはフランス人のマネージャーも試作に呼びます。結果はどうなったのでしょうか?

今度は、二人の顔から笑顔を見ることができました。「美味しかった」という言葉をもらえたのです。これには長谷部さんも感動し、涙を流します。今までの努力と、フランス一流のパティシェにお墨付きをもらえた、という感動は生涯ずっと忘れられないでしょう。

南原社長との再会

アパートで日本への帰宅準備をしていると、インターフォンが突然鳴ります。「異国の地で誰が訪れてくるのだろう・・」と不安な気持ちからドアを開けると、なんとあの南原社長でした。南原社長は、わざわざフランスまで何をしに来たのでしょうか?それには2つの理由がありました。

それは、当時、長谷部さんが「虎になりたい」とプレゼンをしていたことです。南原社長は、「フランスで開発した新メニューで売上目標を達成することができたら、虎として番組に出演させてあげる」という提案をしてきました。長谷部さんはこの提案に対して、「必ず目標を達成し、虎になる」と誓います。

南原社長がフランスに来た2つ目の目的は、ある住所が記載された手紙を長谷部さんに渡します。南原社長から「その住所に行け!」と言われ、その場所に向かうと、なんと店舗となるシトロエンが用意されていたのです。南原社長からの粋なプレゼンの演出に、長谷部さんも感動したことでしょう。

第5部:日本へ帰国「最後の挑戦」

最後の挑戦は、「虎になれるか?!」とかけての挑戦です。フランスで開発した新メニューを、新たな出店地・横浜みなとみらいで行いました。目標額は、前回クリアした15万円の2倍、30万円です。お菓子の個数にすると、700個です。オープンと同時にお客さんがなだれ込み、あっという間に行列ができます。

しかし、今回は30万円の売上がなければ失敗です。結果はどうなったのでしょうか?閉店時間近くなると、投資をした3人の虎たちがやってきます。社長たちも長谷部さんがたったの半年でここまで成長した姿をみて、感動したことでしょう。

しかし、あくまでもビジネスなので、数字がすべての世界です。売上目標30万円を達成していなければ全く意味がありません。緊張の中、売上額が発表されます。売上額は「30万9,150円」でした。見事、目標達成です。

今までずっと厳しく、一度も褒めたことがなかった南原社長が、今回初めて長谷部さんを褒めます。こうして、マネーの虎で、最初で最後の成功者「虎」が誕生し、番組が終了した現在でも、伝説の成功者として語られています。

第6部:離婚、脱税、シンナーと波乱万丈な日々

番組終了後、長谷部さんのお店は経営が軌道にのり、年収20億円まで成長します。それに伴い、羽振りも半端なく上がり、フェラーリを乗り回したり、高級ブランド品を身に着けたり・・などと生活スタイルに変化が出てきます。確かに、年商が上がれば生活レベルも上がるのは納得できますよね。

マネーの虎でマネー成立後、文字通り二人三脚でお店をサポートしてきた奥さんとは「離婚」をしてしまいます。ある雑誌のインタビューでは、「彼女がいっぱいいます」と答えていたようです。これが原因かどうかは定かではありませんが、お金がたくさんあると人格を変えてしまうのかもしれません。

また、「脱税」で逮捕され、大きなニュースとなります。所得約2億円を申告せず、所得税計7,160万円を脱税したと報じられていました。その目的は、高級外車やブランド品の購入のためにした、と供述しています。

そして、2007年には「シンナー」吸引で逮捕。懲役1年、罰金2,100万円が求刑され、ロマンドロールの経営から離れざるを得なくなりました。

第7部:現在の「ロマンドロール」

離婚、脱税、シンナー吸引で逮捕と波乱万丈の人生を送ってきた長谷部さんですが、その後、2016年11月に新会社「株式会社ROMAND ROLL JAPAN」を設立し、お店を取り戻すことに成功します。現在は、株式会社ROMAND ROLL JAPANの代表取締役会長として活躍しています。

現在でも、ロマンドロールのフランスロールが愛され続けられているのはなぜでしょうか?それは創業者である長谷部さんの情熱と品質に対するこだわりが、展開しているすべての店舗に徹底的に引き継がれているからです。

普通のクレープとは違い、生地、生クリーム、チョコレート、果物、トッピング、製法などすべてにこだわりをもって手作りしています。そのため、フランスロールを一度口にしたら忘れられることのない味となり愛され続けているのです。

現在、ロマンドロールは全国に展開しています。まだ賞味したことがない方は、この機会に出来立てのケーキ「フランスロール」を賞味してみるのはどうでしょうか?

まだまだいるマネーの虎に出演した志願者たち!

ここまでは、マネーの虎の志願者として出演した「フランスロール」の成功者・長谷部文康氏の波乱万丈な人生についてみてきました。最後にその他のマネーの虎の成功者を何人か簡単にご紹介しましょう。

【ハンドメイド家具職人・菊野慶吾さん】
ハンドメイド家具職人の菊野さんは、ハンドメイドの高級家具を手軽な価格で販売するお店を作ることを計画し、500万円の投資を希望したプレゼンを行いました。マネー成立となった菊野さんは、「ハンドメイドショップKIKUNO」をオープンし、初日に家具を50万円売上というノルマを達成しました。

2000年にはハンドメイド家具の店を開店させ、1年半後には年商1億円まで成長します。そして、2003年にはネットに出店し、「有限会社カントリーウッドガーデン」、2007年にはドールハウスやミニチュア家具の販売も始めます。

2018年にはYouTubeチャンネルを開設し、2019年2月には伊予市に新店舗をオープンさせています。さらに台湾にまで代理店を設置し、事業を順調に拡大させています。楽天市場にても出店しているので、気になる方はチェックしてみることができるでしょう。

【PC修理業・黒澤文昭さん】
PC修理業の黒澤さんは、個人のパソコンのメンテナンスや修理を行う会社を立ち上げたいという事業計画で、670万円の投資を希望したプレゼンを行いました。ただのPC修理ではなく、電話1本ですぐに修理に駆けつけパソコンの救急車のようなサービス展開をしたい旨を語りました。

当時は個人宅にパソコンがあるのは珍しいことだったため、虎の中には猛烈に攻撃してくる社長もいました。しかし、理解してくれる社長もおりマネー成立となります。2002年8月に「株式会社バスターズ」を設立し、代表取締役に就任し、1年後には3店舗増やし、フランチャイズ化を成功させます。

現在では、年商2億円以上超えるほど大きくなり、フランチャイズは8店舗まで拡大し、夢だった自社ビルも保有しています。マネーの虎の中でも成功者として知られています。

まとめ

マネーの虎の中でも、フランスロールの長谷部文康氏は、マネー虎史上、一番の成功者で波乱万丈な人生を歩んできたと語り継がれています。現在、マネーの虎は放送されていませんが、YouTubeなどで見ることが可能です。気になる方はチェックしてみてください。


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