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雑所得とは?確定申告における雑所得と事業所得の違いについて

2021年3月29日
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所得税の課税対象となる所得は、全部で10種類に区分されており、「雑所得」はその中のひとつです。つまり、雑所得がある場合は、確定申告が必要となります。では、雑所得には何が該当するのでしょうか?今回は、確定申告における雑所得、事業所得との違いについてご紹介します。

確定申告における10種類の所得

確定申告における所得は、所得税法で10種類に区分されています。そして、9種類の所得に属さない所得は、すべて「雑所得」に該当します。10種類の所得とは、以下のものです。

・利子所得
公社債や預貯金の利子、国外で支払われる預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得。

・配当所得
株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などから生じる所得。

・不動産所得
不動産、土地、建物、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得。

・事業所得
商業や工業、農業、漁業。自由業など、事業から生じる所得。

・給与所得
給料や賞与、賃金などの所得。

・退職所得
退職金、一時恩給、確定給付企業年金や確定拠出金法による一時払いの老齢給付金など退職に関連する所得。

・山林所得
5年を超えて所有していた山林や立木を伐採して売った所得。

・譲渡所得
ゴルフ会員権や金地金、事業用の固定資産、家庭用の資産などを売った所得。

・一時所得
賞金や懸賞、生命保険の一時金などの所得。

・雑所得
国民年金や厚生年金、確定給付企業年金、確定拠出企業年金、恩給などの公的年金、非営業用貸金の利子、原稿料や印税、講演料など他の9種類の所得のどれにも属さない所得。

参照:国税庁「所得の種類と課税方法」

雑所得とは?

雑所得とは、上記でご紹介した通り、国民年金や厚生年金などの公的年金や非営業用貸金の利子、原稿料や印税、講演料など他の9種類の所得のどれにも属さない所得のことです。

なお、個人事業主やフリーランスなどが事業で得る所得は「事業所得」に区分されます。所得税法で区分類されている9種類に属さない所得には、次のようなものが挙げられます。

・年金収入
・原稿料、印税、講演料
・非営業用貸金の利子
・原稿料、印税、講演料
・FX、株取引等での収入
・アフェリエイト収入やネットショップなどでの販売収入
・その他

このうち雑所得は、2つの種類に分類されます。それは、それは、「公的年金」などによる所得と、「それ以外」の所得です。
では、ひとつづつ確認していきましょう。

年金収入

年金収入は、公的年金などによる所得に該当します。年金収入には、国民年金、厚生年金、確定給付企業年金、恩給などが該当します。よって、保険会社などから受け取る個人年金は、雑所得の中の「その他」、満期保険金は「一時所得」となります。

原稿料・印税・講演料

作家などの本業があり、それ以外に原稿料・印税・講演料などの収入がある場合は、雑所得に該当します。

非営業用貸金の利子

個人的な貸金に対して得た利子は雑所得になります。例えば、友人に100万円を貸し、5万円の利子を貰った場合は、非営業用賃金の利子となります。ちなみに、賃金業者のような営業用賃金の利子は、事業所得に該当します。

FX・株取引等での収入

FX・株取引等で得た収入は、雑所得です。なお、これらの取引が年間で損失だった場合は、確定申告は不要ですが、確定申告をすると損失を3年間繰越控除することが可能です。つまり、繰越控除することで以前の損失を翌年の利益を相殺することが可能となるため、節税対策につながります。

アフェリエイトやネットショップなどでの販売収入

アフィリエイト収入、LINEスタンプの販売収入、ネットショップやインターネットオークションの販売収入など、所得が20万円を超した場合は雑所得に該当します。

なお、メルカリやラクマなどのフリマアプリを利用する場合、不用品を処分するための出品は課税対象外ですが、1点30万円以上の貴金属や美術品などを売却した場合は課税対象になります。

その他

上記以外の雑所得として、国税通則法58条1項に規定する「還付加算金」と呼ばれるものも雑所得に該当します。
また、所有期間が5年以内の山林や立木を伐採して売った所得や、事業所得以外の動産の貸付で得た所得も雑所得になります。

参照:e-gov「国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)」

雑所得と給与所得の違い

一般的に会社員などの給与所得者が、勤務先から支払いを受ける収入に関しては、年末調整が行われています。つまり、給与所得として所得税と住民税が源泉徴収されているため、納税は完結しています。

しかし、給与所得以外に、副業で収入を得ている場合は、20万円以上所得があるなら確定申告することが義務付けられています。つまり、「雑所得」として確定申告しなければいけません。

なお、本業以外に、副業として雇用契約のあるパートやアルバイト、日雇いや単発のアルバイトをしている場合は、「給与所得」になります。副業で20万円以上の所得がある場合は、本業の勤務先での年末調整に加え、雑所得の確定申告が必要となります。

雑所得と事業所得の違い

雑所得も事業所得のどちらも、事業を通して得た収入にかかる所得です。しかし、事業実態が異なるため、「雑所得」と「事業所得」という違いがあります。その違いをはっきりさせるひとつの確認方法として、「開業届出」の有無が挙げられます。

「開業届出」を提出した上で事業をしているのであれば、それに伴う収入は事業所得になります。一方、同じような事業で収入を得ていても、「開業届出」を提出していなければ雑所得になります。

もちろん、税務署に「開業届出」が認められるためには、条件があります。もしも認められない場合は、雑所得として区分されることもあります。

雑所得と事業所得の税制面での違い

雑所得も事業所得も、税金を納める点では変わりはありません。しかし、事業所得には、雑所得では得られない税制面でのメリットがあります。主に2つのメリットが得られます。

①事業所得の損失が発生した場合、給与所得など他の所得と損益通算することができる。
②青色申告の選択が可能となるため、税制面での特典が受けられる。

損益通算は、事業において損失が赤字となった場合、一定のルールに基づいて他の所得から控除され損益通算されます。例えば、年の途中で会社員から個人事業主になった場合、個人事業主となってから生じた事業所得の損失を、その年の会社員だったときの給与所得から損失を相殺することができます。

これにより全体の課税所得が減少するため、節税につながります。一方、雑所得の場合は、マイナスが生じたとしても、他の所得と相殺することはできません。

また、②つ目の青色申告では、事前に青色申告をすることで、税制面でのさまざま特典を受けることができます。具体的には、最大55万円の「青色申告特別控除」や「純損失の繰越控除」など複数のメリットが得られます。

雑所得は確定申告をすべき?

会社員など給与所得のみで年末調整をしている方は、年間の雑所得の合計金額が20万円以下であれば確定申告は不要です。しかし、会社員だとしても年末調整をしていない方や、20万円以上の雑所得がある方は、確定申告をする必要があります。なお、20万円以上の雑所得とは、公的年金以外の雑所得のことです。まとめるなら、次のようになります。

・公的年金等の雑所得:公的年金の収入金額が400万円以上の場合に確定申告が必要
・公的年金等以外の雑所得:所得合計金額が20万円以上の場合に確定申告が必要

雑所得が20万円以下でも確定申告が必要となるケース

会社員などの給与所得者で、雑所得が20万円以下だとしても確定申告が必要となるケースがあります。それは、以下の条件に該当する方です。

・給与が2,000万円を超えている場合
・2ヵ所以上から給与をもらっている場合
・医療費控除や住宅ローン控除などを受けたい場合

雑所得が20万円以下でも住民税の申告は必須

雑所得が20万円以下の場合は、確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。なお、年末調整や確定申告をした場合は、税務署から各市町村に住民税が通知されるため、申告は不要です。

雑所得の計算方法

雑所得の金額は、次のように計算します。

【公的年金等の雑所得の場合】
計算式:「収入金額-公的年金等控除額」

【公的年金等以外の雑所得の場合】
計算式:「総収入金額-必要経費」

国税庁のホームページによると、必要経費に参入できるのは、
①総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
②その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
とあります。つまり、雑所得の収入を得るためにかかった費用(直接的・間接的)は、必要経費と言えます。

例えば、パソコンがなければ収入を得ることができない場合は、パソコン代を必要経費とすることができます。その他にも所得を得るために必要になったものとして、家賃、倉庫の賃料、物件を維持するための水道光熱費、インターネットなどの通信費などが挙げられます。なお、使用も含まれる経費の場合は、「家事按分」で処理することができるでしょう。

参考記事:副業の雑所得はどこまでが必要経費?雑所得の経費の範囲と確定申告書の書き方

雑所得の確定申告

雑所得の確定申告で必要な書類

【公的年金等の雑所得を申告する場合】
・源泉徴収票

【公的年金等以外の雑所得を申告する場合】
・請求書、明細書、通帳など総収入金額を集計するための書類
・請求書、領収書、通帳など必要経費を集計するための書類

確定申告期限

確定申告は原則として、当該年度の2月16日~3月15日までです。しかし、2020年分の雑所得について確定申告に関しては、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言発令を受けて確定申告期間が延長されました。

よって、2021年分の確定申告は、4月15日までとなっています。法定期限日を過ぎてしまうと、延滞税などが課せられますので、早めに確定申告書類を提出しましょう。なお、所得税の「還付申告」は、確定申告よりも早い1月1日から受け付けています。

確定申告の手続き

雑所得の確定申告の手続きには、いくつかの方法があります。ここでは、
①自分で確定申告する方法
②税務署の確定申告サポート会場で確定申告する方法
③税理士に確定申告を依頼する方法

の3つの手続き方法をご紹介します。

①自分で確定申告する方法
自分で確定申告する場合、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると便利です。ここでは所得税の確定申告はもちろん、青色申告決算書等、消費税の確定申告書、贈与税の申告書、振替納税の預貯金口座振替依頼書なども作成することができます。

画面上の指示に従い、必要項目を入力するだけです。場所や時間を問わず、インターネット環境が整っていれば、いつでも作成することが可能です。また作成途中でも、一時保存することができます。

参照:e-Tax「国税電子申告・納税システムー確定申告書等作成コーナー」

②税務署の確定申告サポート会場で確定申告する方法
確定申告初心者の方は、税務署の確定申告サポート会場を利用することができるかもしれません。毎年、確定申告シーズンになると、各税務署には確定申告サポート会場が開設されます。

ここでは税務署のスタッフが確定申告の手続きをサポートしてくれるので、初心者の方でも安心して手続きを済ませることができます。ただし、確定申告シーズンは常に混雑しているため、時間に余裕を持って行う必要があります。

③税理士に確定申告を依頼する方法
雑所得が複雑な方は、税の専門家である税理士に確定申告を依頼することができるでしょう。もちろん、手数料は発生しますが、すべての手続きをしてくれるので安心です。

まとめ

雑所得や雑所得の確定申告についてご紹介しました。本業以外に副業をしている場合、20万円以上の収入があるなら雑所得の確定申告が必要となる可能性があります。

総収入合計金額から必要経費を差引き、20万円(公的年金等以外の雑所得)を超していたら確定申告が必要となりますので、まずは自分で雑所得を計算してみましょう。

雑所得の計算や確定申告に関して不明な点があるなら、ひとりで悩まず、専門家の税理士に相談することもひとつの方法です。税理士紹介公式サイト-顧客満足NO.1【税理士コンシェルジュ】では、無料で税理士をご紹介しています。まずは無料の相談から始めてみましょう。


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