確定申告の還付金はいつ戻ってくる?受け取れるケース・受取方法を解説
毎月の給与から天引きされていた源泉徴収が、年末調整や確定申告をすることで「還付金」として払いすぎた税金が戻ってきます。では、還付金を受け取ることになった場合、いつ、どのように戻ってくるのでしょうか?この記事では還付金のしくみや、還付金が戻ってくるまでの流れについて解説していきます。
目次
還付金とは?
還付金とは、払い過ぎた税金が戻ってくるお金のことです。一般的な会社員の場合、毎月の給与からすでに税金が自動的に天引き、つまり源泉徴収されているため、確定申告をする必要はほとんどありません。
しかし、源泉徴収された所得税や予定納税額が多かった場合などは、納め過ぎた税金が戻ってきます。このように納税者へ払い過ぎた税金が戻ることを「還付金」といいます。この還付金を受けるためには、「確定申告」もしくは「還付申告」をする必要があります。
還付金を受け取るためには「確定申告」か「還付申告」が必要
還付金を受け取るためには、「確定申告」か「確定申告」をしなければいけません。では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
確定申告
一般的な会社員は、会社で年末調整をしてくれるので、基本的に確定申告をする必要はありません。確定申告を行うのは、個人事業主やフリーランス、副業をもつ給与所得者などが該当します。
確定申告の目的は、年間の所得を計算して納税額を決定することです。それにより、税金を多く払いすぎていた場合に、還付金として戻ってきます。つまり、確定申告をした場合は、還付申告は不要です。
なお、確定申告は、原則翌年の2月16日から3月15日までですが、2020年度の確定申告期間は、コロナ感染症の影響により、2021年2月16日~2021年4月15日までと延長されています。
還付申告
還付申告は、すでに支払った税金が、本来の納税額よりも高い可能性があるときに申告します。税金を返してもらうことを目的としています。申告期間は、翌年1月1日から5年間です。
年末調整で還付金が受け取れるケースが生じる理由
どうして年末調整で還付金が受け取れるケースが生じるのでしょうか?その理由を知る前に、まず年末調整のしくみを理解する必要があります。
【年末調整のしくみについて】
年末調整とは、1年間に支払った税金を調整する作業です。給与所得者の場合は、毎月の給与や賞与が支払われる際に、事業主側が源泉徴収により税金を差し引いています。しかし、源泉徴収では、個々の事情に応じた税金の控除を把握することはできません。
そのため、税金が自動的に余分に差し引かれてしまうことがあります。そこで年末にその年に支払った税金をまとめて計算をしなおし、余分に支払った税金を納税者に払い戻すことを「年末調整」と呼んでいます。
ちなみに、年末調整と似たようなしくみをしている「確定申告」もありますが、年末調整は所属している企業や会社など事業主側が申告するのに対し、確定申告は個人で申告する、という違いがあります。
【還付金の計算方法について】
年末調整では、年間給与所得から様々な所得控除の対象となる金額が差し引かれます。そして、本来の年間所得を計算します。その本来の所得金額から算出した所得税額が、本来支払うべき所得税額になります。
毎月概算で支払っていた源泉所得税額の合計よりも少ない場合は、税金の払いすぎになるため、還付金として払い過ぎた税金が戻ってきます。一方、本来の所得税額が、毎月概算で支払っていた源泉所得税額よりも多い場合は、追加して税金を納めなければいけません。
確定申告で還付金を受け取れる人とは?
「収入源は会社からの給与だけ」という理由から、確定申告をする必要はないと思っている方がいるかもしれません。しかし、そのような方でも、還付金を受け取ることができる可能性があります。なぜなら、給与から差し引かれている源泉徴収税の計算方法では、個人の事情に応じた控除を適用していないからです。
通常は、年末調整で控除内容を事業主側に申請すると、過不足額の精算が行われます。確定申告で還付金を受け取れるケースは、年末調整で事業主側に控除書類の提出しなかった場合や、年末調整では受けることができない控除をうけたい場合、が該当します。
つまり、勤務先で把握できなかった所得控除の対象者となっている人は、確定申告をすることで還付金を受け取れる可能性があります。
一方、扶養家族の人数が減った方や、解約や満了などの理由で保険料や住宅ローンの支払いがなくなった方などは、控除額が減るので還付金額も少なくなる、もしくは追加徴収になることもあります。
では、年末調整で受けることのできない控除には、どのような控除があるのでしょうか?確定申告で還付金を受け取れるケースを確認していきましょう。
多額の医療費を支払った方
確定申告の際の還付金で、最も申請が多いのは「医療費控除」だと思われます。医療費控除は、年末調整で行うことができないため、その年に医療費や治療費などと思われる支出があった場合は、控除の対象となる可能性があります。
【医療費控除の計算方法】
医療費控除は、ケガや病気などの治療費や入院費、薬代、交通機関による病院までの交通費などが対象となります。予防接種や美容・健康目的の医療行為は適用外となります。そのことを踏まえた上で、その年の医療費のレシートなど証明するものが必要となります。
医療費控除は、「医療費控除=医療費控除の対象となる医療費-保険金など補てんされた金額-10万円、もしくは総所得金額×5%(総所得200万円未満の場合)」という算式で算出します。算出された金額がゼロ、もしくはマイナスの場合は、医療費控除を受けることはできません。
年末調整で適用漏れがあった方
事業主側は、従業員一人ひとりの諸事情を把握することができないため、年末調整で対象となっている控除金額が差し引かれていないことがあります。
例えば、年末調整の際に、「生命保険料控除証明書」の提出を忘れたり、「扶養控除等(異動)申告書」の提出した後に配偶者を控除の対象とした場合など、控除が適用されていません。
初めて住宅ローン控除を受ける方
初めて住宅ローン控除を受ける年度は、年末調整でローン控除を受けることはできないので、確定申告で「住宅ローン控除」を申告する必要があります。また、年末調整で適用漏れで受けることができなかった控除は、翌年の確定申告で申告するなら、還付金を受けることができます。
ふるさと納税や寄付をした方
ふるさと納税や寄付をした方は、「寄附金控」を受けることができます。全国の自治体に寄付をすると、確定申告で控除が受けられます。また国や制維持活動、認定NPO法人などへの寄付も寄附金控除の対象となります。
災害や盗難に遭った方
自然災害や盗難などに遭った方は、「雑損控除」が受けられます。主に震災や落雷などの自然災害、火災などの人為的災害、盗難、横領などの損害に適用されます。
還付申告の方法
還付申告をするための専用の申請書は特別に用意されていません。還付申告をする際には、一般的な確定申告をする際に使用する「確定申告書A・B」を使用します。還付申告を記入する際には、「確定申告書」「源泉徴収票」「領収書・証明書等控除関係書類」「印鑑(シャチハタは不可)」などが必要です。
一方、確定申告書以外で還付申告をする場合は、マイナンバーカードなどの「本人確認書類」も必要となります。なお、源泉徴収票は申告書を記入する際に必要となるもので、提出する必要はありません。また、領収書・証明書等控除関係書類は、申告する所得控除によって必要となるものが異なります、
確定申告書の還付金額の記入方法
「確定申告書A・B」の書類には、「還付される税金の受取場所」という欄があります。その欄には納税者本人の「銀行名」「支店名」「口座番号」を記入する欄が設けられています。
銀行・信用金庫等の口座への振り込みと、ゆうちょ銀行の貯金口座への振り込み、のいずれかを選択します。振込口座は、本人名義と限られており、家族などの名義は指定することはできませんので注意してください。
還付金を述郵便局の窓口で受け取る場合は、郵便局の支店や出張所の名前を記載してください。なお、指定した窓口以外で還付金を受け取ることはできませんので、受け取ることができる郵便局の窓口を記載しましょう。
これらをもれなく記入し、確定申告書の必要な箇所すべて記入が済んだら、管轄地区の税務署へ提出します。あとは、国税庁の処理が完了したら、払い過ぎた税金が確定申告書に記入した銀行口座へ、振り込み人の名前は税務署として還付されます。
銀行・信用金庫等の口座を指定する場合
重複しますが、銀行・信用金庫等の口座に還付金を振り込んでもらう場合は、必ず申告書本人名義の口座を記載してください。振込先に指定できる金融機関には、銀行、ゆうちょ銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業共同組合及び漁業協同組合などが該当します。
また、インターネット銀行も指定することが可能です。ただし、すべてのインターネット銀行には対応していませんので、事前に確認されることをおすすめします。
郵便局の窓口で受け取る場合
郵便局の窓口で還付金を受け取る場合は、税務署から送られてくる「国庫金送金通知書」を持参して最寄りの郵便局の窓口へ行けば還付金を受け取れます。その際、本人確認書類が必要となりますので忘れずに持参しましょう。
振込口座を間違えた場合
もしも指定振込口座を間違えた場合は、税務署に電話することで変更が可能です。なお、振込口座が間違っていた場合は、税務署から自宅に通知が届きます。
確定申告から還付金はいつ受け取れる?
還付金は、いつ振り込まれるのか、その期日は決まっていません。なぜなら、確定申告した時期や、確定申告の提出方法が人それぞれ異なるからです。確定申告をしてから還付金を受け取るまでは、およそ1~2ヶ月ほどかかります。
税務署の混雑状況にもよりますが、一般的には早く申請すればおよそ1ヶ月ほど、確定申告の期限ギリギリに提出すると2ヶ月ほどかかると言われています。
【確定申告書を税務署に持参した場合】
確定申告書を税務署に持参し、還付金手続きをした場合は、還付金を受け取るまでに、およそ1~2ヶ月かかります。申告書類を税務署が確認し、書類に不備や記載ミスがなければ還付が確定します。その後、還付金額と振込日が記載されたはがきが届きます。
【確定申告書を郵送で提出した場合】
確定申告書は、郵送を通して税務署に提出することも可能です。郵送で提出した場合も、税務署に持参して提出するのと同様、還付金の振込までにはおよそ1~2ヶ月かかります。なお、郵送で提出する場合は、消印の日付が提出日となります。ポストの回収時間によっては、日付が翌日になってしまう可能性もありますので、期限ギリギリに投函することは控えるようにしましょう。
【e-Taxで確定申告をした場合】
e-Taxを利用した電子申告をした場合は、税務署に持参したり、郵送で提出するよりも早い、およそ3週間程度で還付金を受け取ることができます。e-Taxのログインすれば、還付金の支払い予定日や金額など、還付金の処理状況についてもすぐに確認できるというメリットがあります。ですから、少しでも早く還付金を受け取りたい方は、e-Taxを利用されることをおすすめします。
間違って申告してしまったときの対処法
確定申告の期限を過ぎてから、確定申告の計算間違いに気づく方がいるかもしれません。もし税金を多く支払い過ぎてしまった場合は、払いすぎた税金を取り戻すことが可能です。このように、再計算をして税金の還付を請求する手続きのことを「更正の請求」といいます。
なお、確定申告の期間内に間違いに気付いたのであれば、「訂正申告書」を提出することで、払いすぎた税金が戻ってきます。一方、納税額を少なく申告したり、還付金が多かった場合は、「修正申告」が必要となります。修正申告書を作成し、必要な場合は追加納税をします。その際には、延滞税が発生します。
まとめ
確定申告をすることで、還付金が戻ってくることがありますので、還付がもらえるかどうか、自分の状況を確認することは大切です。もし還付がもらえるようであれば、確定申告で還付申告をしましょう。
おとなして、おなじいう確定申告について分からないことがある方は、是非、専門家の税理士に相談してみましょう。
税理士コンシェルジュは、2008年サービス開始より株式会社タックスコムが運営する税理士専門の紹介サイトです。会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談し、1万件以上の相談実績がある税理士選びの専門家です。
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