学資保険は年末調整の控除対象!控除を受ける方法と注意点
学資保険は、年末調整の控除対象のひとつです。年末調整や確定申告で申請するなら、所得控除を受けることができます。
控除の申告ができるのはどんな人でしょうか?どのように申告すればよいのでしょうか?本記事では、学資保険の年末調整について解説します。
目次
学資保険とは?
学資保険とは子どもの学費、つまり教育資金を貯めるための保険です。生命保険会社に定められた保険料を払い込むことで、子どもが一定の年齢に達したときに、まとまった額の給付金を受け取ることができます。そのため、貯金感覚で利用している方も少なくありません。
しかし、学資保険は、生命保険のひとつです。よって、被保険者が死亡した場合や高度障害が生じた場合などは、保険料の支払いが免除されます。また、学費を賄う保険金も支払われます。
学資保険は生命保険料控除対象
前述したように、学資保険は生命保険のひとつです。そのため、年末調整の生命保険料控除の対象となっています。生命保険料控除とは、その年の所得税と住民税を算出する際、所得金額から1年間に支払った生命保険料のうち、一定の額を控除できる税法上の制度です。
この制度を受けるには、年末調整もしくは確定申告が必要です。これらで学資保険を申告するなら所得控除が適用され、所得税や住民税の額が安くなります。
会社員など給与所得者は「年末調整」で申告
会社員や公務員などの給与所得者は、原則、毎月の給与から所得税など各種税金が源泉徴収されています。年末調整では、1月1日〜12月31日までの収入から所得税、各種控除を精算します。学資保険は生命保険控除の対象ですので、年末調整までに必要書類を提出することで所得税から控除されます。
自営業などは「確定申告」で申告
自営業などの方は、勤務先で年末調整をしてくれるわけではありません。よって、個人で確定申告をする必要があります。保険料を支払った翌年の2月16日〜3月15日までの確定申告期間に確定申告書に「生命保険控除証明書」を添付し、管轄地区の税務署へ提出することで控除を受けられます。
生命保険料控除とは?
生命保険料控除には、以下の3種類あります。なお、学資保険は「一般生命保険料控除」に該当します。
【一般生命保険料控除】
生存や死亡に起因して保険金・給付金が支払われる保険料のこと。
例:定期保険・定期保険・終身保険・養老保険・学資保険など。
【介護医療保険料控除】
入院・通院に関連して給付金が支払われる保険料のこと。
例:医療保険・介護保険・がん保険など。
【個人年金保険料控除】
個人年金保険に関連して支払われる保険料のこと。
個人年金保険。
年末調整で控除申告できる対象者
一般保険料控除の対象は、受取人が保険料を支払う人や配偶者など「親族」だけに限定されています。よって、年末調整で学資保険、つまり「生命保険料控除」の申告をできるのは、保険料を支払っている人だけです。
なぜなら、生命保険料控除をはじめとする各種控除は、保険料を支払った人の経済的負担を軽減することを目的とした制度だからです。そのため、学資保険の場合は、契約者である子どもの親が年末調整で生命保険料控除の申告を行います。
ただし、いくつか注意点があります。2つのケースを例に注意点を確認しましょう。
契約者が親の場合
生命保険の契約では、通常、保険料を支払う人が契約者です。しかし、例外もあります。例えば、妻が契約者で学資保険に加入し、保険料は夫の口座から引き落としている場合です。このようなケースでは、被保険者ではありませんが、夫が年末調整で生命保険料控除の申告をします。
契約者が祖父母の場合
学資保険は、親族である子どもの祖父母も契約者になれます。つまり、祖父母は孫のために学資保険に加入することができます。(ただし、祖父母の年齢や健康状態によっては、加入できないこともあります。)
このように祖父母が被保険者として契約者となっているケースでは、年末調整では実際に保険料を支払っている祖父母が控除の申告をできます。
年末調整で控除の申請方法
年末調整において、学資保険料の控除を行う場合は、必要事項を記入した「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」と、生命保険会社から送付された「生命保険料控除証明書」を添付して提出する必要があります。
ですから、まず「生命保険料控除証明書」を準備しましょう。そして、「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」をもれなく記入してください。では、この2つの提出書類について詳しく解説します。
「生命保険料控除証明書」の準備
「生命保険料控除証明書」とは、適用される生命保険料控除の種類や、1年間に支払った保険料の合計金額が記載された、生命保険会社から送付される書類です。毎年10〜11月頃にかけて送付されます。この書類を添付しないと、生命保険料控除を受けられません。
ですから、紛失しないように大切に保管しましょう。届かない場合は保険会社に連絡し、年末調整に提出できるよう請求してください。また、万が一、紛失してしまった場合は、保険会社に再発行の手続きをしてもらいましょう。
「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」の記入方法
「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」には、以下の点を正確に記載してください。
・保険会社名
・保険の種類
・保険期間
・契約社名
・受取人と契約者の名前
・親 / 旧 の区分(後述します)
・契約ごとの1年間の保険料の合計
・生命保険料控除される金額
生命保険料控除の「旧契約」と「新契約」とについて
生命保険料控除額を算出する際、「旧方式」と「新方式」とがあるため、加入している保険に適した方式で算出しなければいけません。両者の違いは、以下の通りです。
【旧契約】
契約が2011年12月31日以前の契約は「旧方式」
【新契約】
契約が2012年1月1日以後の契約は「新方式」
生命保険料控除額の金額
「旧契約」と「新契約」の生命保険料の控除額と計算式は以下の通りです。
「旧契約」に基づく生命保険料の控除額
・年間の支払保険料等が25,000円以下
控除額:支払保険料等の全額
・年間の支払保険料等が25,000円超〜50,000円以下
控除額:支払保険料等×1/2+12,500円
・年間の支払保険料等が控除額が50,000円超〜100,000円以下
控除額:支払保険料等×1/4+25,000円
・年間の支払保険料等が100,000円超
控除額:一律50,000円
「新契約」に基づく生命保険料の控除額
・年間の支払保険料等が20,000円以下
控除額:支払保険料等の全額
・年間の支払保険料等が20,000円超〜40,000円以下
控除額:支払保険料等×1/2+10,000円
・年間の支払保険料等が40,000円超〜80,000円以下
控除額:支払保険料等×1/4+20,000円
・年間の支払保険料等が80,000円超
控除額:一律40,000円
参考:国税庁「生命保険料控除」
年末調整で生命保険料控除を受ける際の注意点
年末調整で生命保険控除を受ける場合、以下の点に注意しましょう。
①保険期間が5年未満は控除対象外
保険期間が5年未満の場合は、生命保険料控除対象外です。契約期間が5年未満の場合は注意しましょう。
②一般生命保険料控除の枠をすでに使っている場合は受けられない
すでに別の契約で一般生命保険料控除の枠を使っている場合は、学資保険の保険料の控除は受けられません。
年末調整を忘れてしまったら確定申告を!
年末調整時に申告を忘れてしまったり、「生命保険料控除証明書」を紛失してしまい年末調整に間に合わなかったりしたときには、「確定申告」をすれば生命保険料控除を受けられます。
また、年末調整も確定申告も忘れてしまった場合は、「還付申告」をすれば、後日、還付金が戻ってきます。還付申告は、翌年の1月1日から5年間と申告期間も長く設定されています。なので、学資保険の生命保険料控除を今までしていなかった方も、今から5年前まで遡って申告することが可能です。
学資保険にかかる税金
学資保険の満期保険金や祝金を受け取る場合、「所得税」や「贈与税」などの課税対象になることがあります。満期保険金として一括で受け取った場合は、「一時所得」として扱われます。また、一括受け取りではなく、毎年祝金を受け取る場合も、「雑所得」の対象になります。
まとめ
学資保険は生命保険の性質があるため、年末調整の「生命保険料控除」を受けることが可能です。ただし、年末調整で生命保険料控除を受ける場合は、「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」に「生命保険料控除証明書」を添付した書類を提出する必要があります。
万が一、年末調整に書類提出が間に合わなかったり、申告を忘れてしまったりしたとしても、翌年の確定申告期間に申告をすれば、生命保険料控除を受けることができます。学資保険を支払っている方でまだ申告していない方は、過去5年まで遡り還付申告できますので、書類を準備し提出しましょう。
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