年末調整におけるマイナンバー、記載不要となる書類と4つの注意点 | 税理士コンシェルジュ

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年末調整におけるマイナンバー、記載不要となる書類と4つの注意点

2020年9月3日
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マイナンバー制度の導入に伴い、年末調整や確定申告ではマイナンバーの記載が求められています。これらは所得税に関する手続きです。つまり、税制とマイナンバー制度は深い関わりがあるのです。この記事では、年末調整におけるマイナンバーと、事業主がマイナンバーを扱う際の4つの注意点をご紹介します。

年末調整の必要書類とマイナンバー記載の有無

年末調整では、いくつかの書類を提出する必要があります。その際、書類によってはマイナンバーの記載が不要なものもあります。では、年末調整で必要な書類と、マイナンバーの記載の有無についてひとつずつ確認していきましょう。

【源泉徴収票】
マイナンバーの記載:必要
源泉徴収票には、納税者本人と16歳以上の扶養家族のマイナンバーを記載します。ただし、税務署提出用のみ記載が必要であり、本人交付用には記載不要です。

【給与支払報告書】
マイナンバーの記載:必要
納税者本人と扶養家族のマイナンバーを記載する必要があります。

【扶養控除等(異動)申告書】
マイナンバーの記載:必要
納税者本人と扶養家族のマイナンバーを記載する必要があります。

【配偶者特別控除申告書】
マイナンバーの記載:不要
平成28年4月1日以降の提出から、マイナンバーの記載が不要になっています。

【保険料控除申告書】
マイナンバーの記載:不要
平成28年4月1日以降の提出から、マイナンバーの記載が不要になっています。

【(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書】
マイナンバーの記載:不要
平成28年4月1日以降の提出から、マイナンバーの記載が不要になっています。

つまり、「配偶者特別控除申告書」「保険料控除申告書」「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、マイナンバーの記載が不要となりました。

マイナンバーを扱う際に注意すべき4つの点

平成28年(2016年)以降の年末調整から、事業主は従業員からマイナンバーを収集することになりました。マイナンバーは個人情報なので、担当者は規定に従いつつ、責任をもって扱うことが求められています。

注意点①収集する時:本人確認・利用目的の明示

事業主やその担当者は、従業員からマイナンバーを収集する際には、必ず本人確認と利用目的を明示することが定められています。

【本人確認】
本人確認をすることは、なりすまし防止のため法的に義務付けられています。本人確認の方法は、マイナンバー記載されている個人カード(番号確認と身元確認)、もしくは通知カード(番号確認)と運転免許証やパスポートなどの(身元確認)、のいづれかで確認します。

「番号確認」をすることでマイナンバーが正しい番号であること、「身元確認」をすることで当該書類を提出する人がその正しい番号の持ち主であること、を確認します。そして、扶養家族のマイナンバーの確認は、扶養者(納税者本人)が行います。

【利用目的の明示】
マイナンバーを収集する際には、その利用目的を明示する必要があります。マイナンバーは、明示した利用目的の範囲を超えないようにシステムやルールなどで対策をとる必要もあります。

例えば、「年末調整のために利用する」と明示した場合、社会保険の手続きに利用することは、利用目的の範囲を超えた扱いになるため、マイナンバーの利用は認められません。

ただし、「年末調整や社会保険の手続きのために利用する」と明示するのであれば、年末調整と社会保険手続きの両方に利用できます。つまり、複数の利用目的を明示することは認められています。

注意点②利用する時:事業者の監督責任・必要書類

【事業者の監督責任】
事業所内でマイナンバーを扱うことができる人はごく一部に限定されています。本人と取り扱い担当者にだけが、マイナンバーを扱うことが認められています。したがって、取り扱い担当者の変更や引き継ぎなどをする際には、厳重な管理が求められています。

事業所の中には、マイナンバー関業務を委託業者へ依頼しているところもあることでしょう。この場合、事業者には、委託先が適切にマイナンバーを取り扱っているかどうかを監督する義務が求められています。

なお、年末調整の書類の中には、従業員が扶養家族からマイナンバーを取得し、記載しなければならない書類があります。この場合、事業者が従業員にマイナンバー関連業務を委託した、と考える方もいます。しかし、マイナンバー制度上では、事業者と従業員の関係は「委託」には該当しないため、監督義務も発生しません。

【必要書類】
先述したように、平成28年(2016年)以降の年末調整では、「源泉徴収票(税務署提出用)」「扶養控除等(異動)申告書」「給与支払報告書」の3つの書類にて、マイナンバーの記載が必要とされています。

注意点③利用した履歴:記録義務・記録義務の負担

【マイナンバー利用時の記録義務】
特定個人情報保護委員会が策定するガイドラインによると、マイナンバー利用時の記録をとることが定められています。具体的には、「誰が」「誰のマイナンバー情報を」「何の目的で利用したか」などの記録義務です。

また、マイナンバーを記載した書類に関しては、所管法令により一定期間の保存も義務づけられている場合があります。その後、保存期間を過ぎた書類に関しては、廃棄、もしくは削除が必要です。

注意点④保管する時:マイナンバーの管理方法「安全管理措置」

従業員からマイナンバーを収集した事業者には、適切な管理をすることが義務づけられています。その際、法律で定められている「安全管理措置」というルールに従ってマイナンバーを管理しなければいけません。それには「技術的安全管理措置」「物理的安全管理措置」「組織的安全管理措置」「人的安全管理措置」の4つの措置が求められています。

・技術的安全管理措置
パソコンでマイナンバーやマイナンバーが記載されている書類を保管している場合、ウイルス感染などのリスクがあります。このようなリスクからマイナンバーを安全に守るためには、技術的措置をとる必要はあります。

・物理的安全管理措置
マイナンバーを保管しているパソコンや、マイナンバーが記載してある書類は、盗難などのおそれがあります。そこで機器などを厳重に管理する物理的措置が求められています。

・組織的安全管理措置
技術的、また物理的措置に加え、マイナンバーの安全を確保するためには組織体制を整ることも必要です。具体的には、マイナンバーを扱う担当者とは別に、マイナンバー管理者を置くことで、マイナンバーを単独で利用することができなくなります。

・人的安全管理措置
マイナンバーを取扱う担当者を対象に、徹底的な教育と監督を行う必要があります。可能であれば、外部の研修を活用して教育することができるでしょう。

このように事業者やその担当者には、マイナンバーを収集したなら、徹底的に管理することが義務付けられています。もしマイナンバーを漏えいさせたり、無くしてしまったり、一部を欠損させてしまったり、など管理に問題がある場合は、特定情報保護委員会から指導や助言、あるいは勧告や命令など受けることがあります。

そのためには、マイナンバーを扱うためのシステムやルールを作成することがとても重要となってきます。

従業員にマイナンバーの提出を拒否された場合は?

事業所が行政機関へ提出する年末調整の書類の中には、マイナンバーを記載する欄がある書類もあります。多くの従業員が会社にマイナンバーを提出してくれますが、中にはマイナンバーを提出してくれない従業員もいます。

もし従業員からマイナンバーの提出を拒否された場合、事業者はどのように対応すればよいのでしょうか?行政機関は、従業員のマイナンバーが記載されていないことを理由に、書類の受領を拒否してはいけない、ということになっています。

行政機関の窓口で書類を拒否されれば、手続きが全く進まなくなってしまいます。そのため、もし従業員にマイナンバーの提出を拒否された場合は、その旨の経緯を行政機関へ説明し、指示を仰いでください。

そして、その際には、事業主に非がないことを証明するために、経緯のいきさつを記録しておかれることをおすすめします。

まとめ

マイナンバーが導入され、さまざま行政手続きが以前よりも簡素になりました。実際、平成28年4月1日以降の提出から、年末調整の書類の一部である「配偶者特別控除申告書」「保険料控除申告書」「特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、マイナンバーの記載が不要となりました。

しかし、「源泉徴収票(税務署提出用)」「扶養控除等(異動)申告書」「給与支払報告書」では、マイナンバーの記載を必要としています。

そのため、事業所では、従業員のマイナンバーを「安全管理措置」に基づいて徹底管理することが義務付けられています。重要な個人情報ですので、引き続き、徹底管理のもと大切に扱っていきましょう。


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