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【年末調整計算まとめ】年末調整の基礎知識から計算・手続き方法まで

2020年3月1日
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年末調整計算正社員はもちろん、パートやアルバイトなど雇用形態に関わらず、給与を受け取る人すべてが毎年手続きをしている「年末調整」は、頻繁に改正があるため、経営者や企業の経理担当者にとっては大きな業務のひとつとなっています。一方、従業員の中には、指示通りに書類に記入し、どのような意図があるのか理解していない方も少なくありません。

この記事では、年末調整の目的や流れ、必要書類、計算方法など、年末調整について徹底的に解説していきます。

年末調整とは?

「年末調整」の書類を会社に提出している従業員の中には、年末調整の意図について理解していない方もいます。また、毎年のように改正があるため、従業員から提出された申告書の記載間違いが多くてやり直しが発生し、業務が効率よく進まずに困っている経理担当者も少なくありません。したがって、どのような立場にいるとしても、年末調整について理解しておくことは大切です。

年末調整の概要について

事業所は従業員に給与や賞与(ボーナス)を支払うとき「源泉徴収」、つまり、所得税を天引きしています。所得税は、その年の所得合計が分かるまで正確な金額が分かりません。そのため、所得合計が分かる年末に、本来徴収すべき所得税の1年間の総額を再計算し、源泉徴収した合計金額と比較します。そして、「過不足金」を調整して手続きすることを年末調整といいます。

源泉徴収額と正しい所得税額を比較し、税金を多く支払っていた場合は差額の返金、税金が不足している場合はその分を徴収することになります。

過不足金が発生する理由とは?

では、なぜ「過不足金」が発生するのでしょうか?それは、毎月の給与から徴収していた額は、あくまでも概算だからです。それに加え、12月の年末調整ではじめて正確な金額が確定することも理由のひとつとなっています。また、年末までの1年間の給与金額の変更、転職、家族構成の変更などが生じたり、給与や賞与などの控除以外に社会保険料などの各種保険料を支払ったりしていることも、過不足金の発生につながります。

年末調整の対象になる人と対象にならない人

年末調整は通常12月に行われます。したがって、年末まで勤務しているすべての従業員が年末調整の対象となっています。正規雇用の正社員はもちろんのこと、派遣社員(2ヶ月以上の長期雇用のみ)、アルバイト、パートなどの非正規雇用の方も対象に含まれています。(派遣社員の場合は派遣元の企業が実施する)ただし、以下の条件に該当する従業員は、年末調整の対象外となります。

・年収が2,000万円以上ある人
・災害被害による災害減免で、所得税の支払い猶予や還付をすでに受けている人
・非居住者の人
・副業などで2ヵ所から収入がある人
・日雇い労働者など継続して雇用されていない人

年の途中で年末調整が必要になる人とは?

年末調整は、その年の最後に支払われる給与で所得税の精算をするため、多くの人はその言葉通り、12月に年末調整を行います。しかし、年末調整を年中に行うケースもあります。年の途中で年末調整を行う人は、次のケースに該当する人です。

・海外勤務などによる非居住者となった人
・企業在籍期間中に死亡し、退職となった人
・心身障害などを理由に退職し、再就職の見込みがない人
・12月の給与を受け取った後、退職をした人
・パートやアルバイトとして働いていたが退職し、その年に受ける給与総額が103万円以下で、その年中に他社から給与をもらう見込みがない人

これらに該当する人は、その年中に給与を受け取らなくなる時点で税額の調整を行い、過不足金の精算が行われます。

年末調整と確定申告の違いとは?

年末調整と確定申告は、どちらもその年の所得を計算して所得税を納める、という手続きです。では、両者の違いは何なのでしょうか?それは、「誰」が申告と納税をするか、という違いです。確定申告は、納税者本人が1年間の所得を計算し、税務署へ税額を自己申告して納税することです。

一方、雇用形態に関わらず、給与所得者の場合は、勤務先が個人の代わりに、税務署へ申告と納税をします。つまり、年末調整は、勤務先による従業員の確定申告の代行とも言えるでしょう。

年末調整の方法

年末調整に必要な書類と、その流れと手順についてみてみましょう。

年末調整の流れ

年末調整では、数多くの書類を扱わなければいけません。従業員が提出した書類の確認をしたり、その年の最後に支払う給与までまとめて精算し、年末調整する必要があります。経理担当者にとっては、従業員一人ひとりの年末調整を行うことには時間もかかり、大きな負担ともなります。

年末調整の業務をスムーズに行うためには、年末調整の全体の流れを知ることがとても大切です。年末調整の流れは、大きく3つのステップとなっています。

ステップ1:(11月)従業員による申告(書類の記入と回収)
年末調整の時期は、企業によってスタートする時期は異なりますが、たいてい11月頃から従業員に対して、必要書類を配布し、必要事項を記入してもらい回収します。

ステップ2:(12月)年末調整の計算
従業員から各種申告書の回収が終わったら、年末調整の計算を行い、源泉徴収票を作成します。

ステップ3:(1月)税務署への法定調書の作成と提出
年末調整の計算が完了すれば、法定調書の作成です。税務署や各市区町村の役所に提出する法定調書の作成と提出、源泉徴収税の納付を行います。源泉徴収税の納付期限は、翌年の1月10日までとなっています。その際、「所得税徴収高計算書(納付書)」の提出も一緒に行います。なお、納期の特例事業者に関しては、納付期限が1月20日までとなっています。

年末調整に必要な書類

年末調整で従業員に提出してもらう必要のある書類は次のものです。

必ず提出が必要な書類

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、すべての給与所得者が必ず提出する必要があります。給与所得者が、その給与に対して、配偶者控除や扶養控除、障害者控除(特別障害者を含む)、寡婦控除、寡夫控除、勤労学生控除など様々な控除を受けるための手続きに必要な書類となっています。

扶養控除は「配偶者以外の扶養親族」が該当しますが、扶養家族のいない独身の方でも「いない」という申告が必要です。

また、この申告書には、マイナンバーの記載が原則となっています。経理担当者は、従業員から書類が提出されたら、マイナンバーの記載は適性かどうか、扶養親族や障害者、寡婦、寡夫等の適用要件が適切かどうかなど、すてに申告されている内容に異動がないかどうかをしっかり確認しましょう。

該当者別に提出が必要な書類

・「給与所得者の保険料控除申告書と控除証明書類」
所得控除が受けられる保険料や、確定拠出年金などの掛金がある人は、「給与所得者の保険料控除申告書と控除証明書類」を提出する必要があります。この申告書は、生命保険料や地震保険料などの保険料を支払った場合に、所得から控除を受けるための手続きに必要とされています。

申告書には、「生命保険料控除」「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済」などの4つの保険料控除に記入欄が設けられています。また、確定拠出年金など天引きしていない掛金も、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になります。申告書を提供する際には、各保険会社などが発行している控除証明書類を添付して提出します。書類が提出されたら、申告書の記載と証明書類の記載が合致しているかどうかをよく確認しましょう。

申告書の具体的な内容は、次のようになっています。記入方法をみてみましょう。

①生命保険料控除
生命保険料控除の対象となるのは、「一般の生命保険料」「介護医療保険」「個人年金」の3つです。それぞれの各保険会社から封書、もしくはハガキで「控除証明書」が10月以降に届きます。記載されている内容にもとづき、申告書に転記していきます。

それにはまず契約者情報として、保険会社名、保険の種類(定期・終身・養老など)または年金の種類、保険期間、契約者名、保険金の受取人と続柄を記載し、新旧の区分に「〇」を付けます。(「新」とは平成24年1月1日以降に加入した新契約の保険、「旧」とは平成23年12月31日までに加入した旧契約の保険のことです)

続いて、保険料の金額を記入します。まず本年中に支払った保険料を転記します。保険料は、次のように記入します。

1、「あなたが本年中に支払った保険料の金額」
この欄には、本年中に支払った保険料の金額を転記します。(12月分まで)

2、「一般の生命保険料A・B」「介護保険料C」「個人年金保険料D・E」
一般の生命保険料と個人年金保険料は、新旧の契約に基づき、それぞれの合計金額を記入します。個人年金保険料の場合は、合計金額を記入します。

3、「一般の生命保険料①②」「個人年金保険料④⑤」
一般の生命保険料と個人年金保険料は、「計算式1」と「計算式2」(下段に記載)を使って算出、金額を記入します。この欄に記入できる最高額は、新保険料が4万円まで、旧保険料が5万円までとなっています。

4、「計(①+②)」「計(④+⑤)」
この欄はsで計算した、2と3を合わせた金額、④と⑤を合わせた金額を記入します。

5、イ・ロ・ハ
イ・ロ・ハにそれぞれの計算結果を記入します。この額が、生命保険料控除額となります。生命保険料控除額は最高12万円までとなっています。合計金額が12万円を超える場合は、12万円と記入してください。

②地震保険料控除
地震保険料控除は、地震保険料を支払っている人が対象となっています。地震保険料についても保険会社から「控除証明書」が届きますので、それを参照しながら記入していきます。まず契約者情報として、保険会社名、保険の種類(地震・積立損害)、保険期間、契約者名、地震・旧長期のいずれかの区分に「〇」をつける、家屋などの居住者名と続柄などを記入します。続いて、保険料の金額を記入します。保険料は次のように記入します。

1、「あなたが本年度中に支払った保険料のうち、左欄の区分に係る金額A」
この欄には、支払った保険料の額を記入します。

2、「Aのうち地震保険料の金額の合計」
この欄には、1で記入した地震保険料の金額の合計額を記入します。

3、「Aのうち旧長期損害保険料の金額の合計額」
この欄には、1のうち旧長期損害保険料の合計額を記入します。

4、「地震保険料控除額」
この欄のBの金額は、2の金額を記入します。5万円を超える場合は一律5万円ですので、5万円と記入します。そして、Cの金額は、3の金額を記入します。1万円を超える場合は、記載されている(3の金額×1/2+5,000)で算出した金額を記入します。算出した金額が15,000円を超える場合は一律15,000円ですので、15,000円と記入します。

最後にBとCの合計額を記入します。合計額が5万円超える場合は一律5万円ですので、5万円と記入します。

③社会保険料控除
納税者本人と同一生計する配偶者や親族の社会保険料を支払っている場合、給与などから自分の社会保険料額に加えて、配偶者や親族の社会保険料も源泉徴収されています。この源泉徴収された社会保険料を控除するのが、社会保険料控除となります。社会保険料には、次のものが該当します。

・健康保険料
・厚生年金保険料
・国民健康保険料、国民年金保険料
・後期高齢者医療保険
・介護保険料
・雇用保険料
・国民年金基金の掛金
・厚生年金基金の掛金
・公務員共済の掛金

④小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済と確定拠出年金が該当します。どちらもその年に支払った掛金が全額控除の対象となります。この中で給与所得者に関係するには、個人型確定拠出年金です。

給与から掛金が天引きされている場合は、事業所側が手続きをしてくれますが、給与所得者が個人で加入している場合は、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きます。その書類をもとに、小規模企業共済等掛金控除欄に、拠出した掛金を記入します。

・「給与所得者の配偶者控除等申告書」
配偶者控除を受ける方は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する必要があります。給与所得者が、本人および配偶者の所得金額に応じて、本人の所得から控除を受けるための手続きに必要とされます。なお、配偶者とは、その年の12月31日の時点で、次の条件をすべて満たしている方が控除の対象となります。

・民法の規定による配偶者であること(内縁関係は対象外)
・納税者本人と同一生計をしてること
・年間の給与収入が103万円以下であること(所得金額の場合は合計所得金額が38万円以下)
・青色申告者の事業専従者(家族従業員)として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと
・白色申告者の事業専従者でないこと

・「住宅借入金等特別控除申告書」
住宅借入金等特別控除を受けるためには、住宅ローンを利用してマイホームを新築、購入、リフォームなどをし、適用要件を満たしている必要があります。該当するのであれば、年末時点での住宅ローンの残高に一定の割合をかけた金額が一定期間所得税から控除されます。この控除は適用1年目は確定申告での手続きが必要となりますが、2年目以降は年末調整で手続きをすることが可能です。

・「源泉徴収票」(前職での)
転職者は、前職の企業退職後から1ヵ月以内に、源泉徴収票を受取ます。源泉徴収票は、年末調整をする際に必要となる書類のひとつですので、年度内に転職して中途入社した従業員がいる場合は、前職での源泉徴収票を早めに提出するよう伝えておきましょう。

年末調整の計算手順について

従業員から年末調整に必要な各種申告書の回収が完了したら、年末調整の計算をし、源泉徴収票にまとめる作業に入ります。会計事務に給与システムを導入している場合は自動で計算されますが、手動の場合は、次のような手順で計算していきます。

1、年間の給与額の算出と、給与から差し引いた社会保険料・源泉徴収税を集計する
まず各従業員一人ひとりに支払った毎月の給与と賞与の総額を算出します。そして、一年間の給与所得の収入金額を計算します。また、その際に概算で源泉徴収した税額を集計します。

2、給与所得控除を差し引いた給与所得金額を算出する
給与所得控除とは、会社の業務に必要な経費を控除することです。その金額は、収入によって決められており、「給与所得=給与収入(現金+現物)-給与所得控除額」という計算式で算出します。国税庁によると次のように定められています。

給与等の収入金額 給与所得控除額
~1,800,000円 収入金額×40%もしくは650,000円の高い方
1,800,000円~3,600,000円 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円~6,600,000円 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円~10,000,000円 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円~ 2,200,000円(上限)

なお、新幹線通勤をしている方や転勤に伴い引っ越しをした方などは、「特定支出控除」が適用されるケースもあります。特定支出控除に該当するのは、次のようなケースです。

・一般の通勤者として通常必要であると認められる「通勤費」

・転勤に伴う転移のために通常必要であると認められる「転居費」

・職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的とした研修を受けるための「研修費」

・職務に直接必要な資格を取得するために「資格取得費」(弁護士・公認会計士・税理士などの資格取得も対象)

・単身赴任などで、その者の勤務地と居所、自宅間の旅行のために通常必要であると認められる「帰宅旅費」

・職務の遂行に直接必要なものとして証明された「勤務必要経費」(勤務必要経費には、書籍・定期刊行物など職務のために購入する「図書費」、制服・事務服・作業服などの「衣服費」、交際費や維持費などの費用で得意先や仕入れ先の職務上関係のある人に対しての接待・供応・贈答などの「交際費」が対象となります。)

上記の支出が認められた場合は、「給与収入-給与所得控除-特定支出控除=給与所得」という計算式で算出します。

3、給与所得から所得控除を差し引く
給与所得の金額が分かったら、所得控除を差し引きます。所得控除は、「給与所得者の扶養控除等申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」「給与所得者の配偶者控除等申告書」に基づいて、「給与所得-所得控除=課税所得」という算式で、それぞれの額を算出します。

所得控除には、先述した生命保険料や地震保険料などの保険料の支払いや掛金などが考慮される「物的控除」と、納税者本人の置かれている状況が考慮される「人的控除」があります。人的控除の種類と給与所得控除額は、次のようになっています。

基礎控除 380,000円
扶養控除 一般の控除対象扶養親族380,000円
特定扶養親族630,000円
老人扶養家族(同居老親等以外)480,000円
老人扶養宇親族(同居老親等)580,000円
障害者控除 一般の障害者270,000円
特別障害者400,000円
同居特別障害者750,000円
寡婦控除 一般の寡婦270,000円
特別の寡婦350,000円
寡夫控除 270,000円
勤労学生控除 270,000円

4、課税給与所得金額に所得税率をかける
3で算出した課税給与所得の金額を、その額に応じて所得税率をかけます。算出された金額が、その人が本来納めるべき1年間の確定所得税額です。なお、住宅ローン控除がある場合は、確定所得税額から住宅ローン控除額を差し引いて算出します。

課税所得額にかける税率と控除額は、次のようになっています。

課税所得額 税率 控除額
1,000円~1,950,000 5% 0円
1,950,000円~3,300,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,950,000円 20% 427,500円
6,950,000円~9,000,000円 23% 636,000円
9,000,000円~18,000,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円~40,000,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円~ 45% 4,796,000円

5、過不額足の計算と精算
確定所得税額と年間の源泉徴収税額を比較し、過不足を計算します。年間の源泉徴収税額が確定申告所得税額よりも多い場合は還付、少ない場合は不足分を徴収することになります。

税務署と市区町村に提出する書類の作成と提出

年末調整の計算が完了した後は、源泉徴収票をはじめとし、税務署や市区町村に提出する書類の作成、提出、源泉徴収税の納付をする必要があります。源泉徴収税の納付期限は、法定調書の提出期限よりも早く、「所得税徴収高計算書(納付書)」と一緒に翌年の1月10日までとなっています。ただし、納期の特例事業者に関しては、納付期限が1月20日までとなっています。

税務署へ提出する必要書類について

・「所得税徴収高計算書(納付書)」
源泉徴収税の納付と共に税務署への提出することが求められている「所得税徴収高計算書」は、計算書を兼ねた納品書です。年末調整時に関わらず、給与等の支払いをした翌月の10日までと期限が定められています。

・「給与所得の源泉徴収票」
従業員一人ひとりへ発行する「給与所得の源泉徴収票」は、支払った給与や賞与などの総額、所得控除額、源泉徴収額などが記載されている書類です。

・「支払調書」
支払調書とは、源泉徴収義務者(源泉徴収税を納める義務のある事業所)が、誰に、どのような内容で、いくら支払ったのか、という詳細が記載されている書類です。支払調書にはいくつかの種類が存在していますが、その中で代表的なものは「報酬、料金、契約及び賞金の支払調書」です。この書類は、次の分野に該当する場合、提出することが義務付けられています。

・外交員、集金人、電力量計の検針人、プロボクサーなどの報酬、料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対してその年中の支払い金額合計が50万円を超える場合

・馬主に支払う競馬の賞金の場合は、その年中の1回の支払い賞金額が75万円を超え、支払いを受けたものにかかる年中すべての支払い金額

・プロ野球選手などに支払う報酬金や契約金は、その年中の同一人に対する支払い金額の合計が5万円を超える場合

・弁護士や税理士などに対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料などは、同一人に対するその年中の支払い金額の合計が5万円を超える場合

・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬の場合、同一人に対するその年中の支払い金額の合計が50万円を超える場合

また、支払調書には「不動産の使用料等の支払調書」という書類もあります。これは土地や建物の賃借料、敷金や礼金、更新料が発生した場合などに提出が必要となることがあります。その他にも、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買方は貸付のあっせん手数料の支払調書」などの支払調書があります。

支払調書は、支払先が個人の場合は、マイナンバーの記載が必要となっていますので、前もってマイナンバーの確認をするようにしましょう。また、提出期限は、法定調書合計表と一緒に年末調整を行った翌年の1月31日までに税務署へ提出する必要があります。なお、支払調書は支払先へ送付することは義務付けられていませんが、一般的に送付することが通例となっています。

・「決定調書合計表」
税務署に提出する各種法定調書を集計した表を「法定調書合計表」と言います。法定調書とは、「所得税法」「相続法」「租税特別措置法」「内国税の適性な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」で規定されている、税務署への提出が義務付けられいている書類のことです。

法定調書には全部で59種類存在していますが、法定調書合計表に記載するのは、従業員に発行した「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「報酬、料金、契約及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買方は貸付のあっせん手数料の支払調書」の6つです。

各従業員ごとに法定調書を提出することは計算や手間がかかるため、事業主体ごとに内容を集計した「法定調書合計表」提出します。この書類のは、年末調整を行った翌年の1月31日までに税務署へ提出するよう定められています。

市区町村の役所に低必要書類について

・「給与支払報告書」
「給与支払報告書」は、事業者から市区町村の役所へ提出する書類です。この書類をもとに、次年度の住民税の額を決めます。給与支払報告書には、前年の1月1日から12月31日までに給与を支払った従業員ごとにまとめた「個人別明細書」と、事業所全体の個人別明細書をまとめた「統括表」の2種類あります。

個人別明細書は従業員の各居住区となる市区町村の役所(給与を受取った人の本年の1月1日時点での住所所在地の役所)へ提出します。統括表は、各従業員の居住区ごとに分類して作成します。

書類は電子申請で提出することも可能!

年末調整に関する法定調書は、書面による提出が原則でしたが、提出すべき書類が1,000枚以上ある場合は、電子申請での提出が義務化されました。そして、2018年に行われた税制改正では、2021年1月1日以降は、提出すべき法定調書が100枚以上ある場合は、電子申請での提出が義務化されています。

電子申請のメリットは、パソコンから直接送信できるので、書類を紙で用意したり、提出先へ赴く時間などが軽減されるため、業務の効率化につながります。

年末調整のやり直しが生じたら?

年末調整の計算後、従業員および配偶者の合計所得金額を見積もった時点から金額が変動し、配偶者控除および配偶者特別控除額額が変わる場合には、もう一度「配偶者控除等申告書」を提出してもらい、年末調整を再計算しなければいけません。

通常、初回の年末調整計算から再計算までの時間や期間は、あまりありません。そのため、正確性と効率性が求められています。万が一、再計算をする必要が生じたとしても慌てずに、しっかり確認することが大切です。

経理担当者は、年末調整の計算が終わったら、すぐに従業員の給与所得に差がないかどうかを確認しましょう。合計所得金額の大半を占めている給与所得は事業所側で把握していますが、その他の所得、つまり、事業所得、雑所得、不動産所得、退職所得などは事業所側では把握することができません。したがって、合計所得金額に給与以外の所得がないかどうか、ある場合は再申告を促す必要があります。

従業員の給与所得をチェックする方法

従業員の給与所得の「確定額」と「見積額」を比較し、再申告が必要となる従業員をリストアップします。初回の年末調整計算から再計算までの猶予は、おそらく数日間しかないと思われます。

例えば、勤怠締日が15日で給与支払日が25日の場合、支給日の3営業日前までが給与振込の期限となっています。したがって、数日間で勤怠集計、12月分の給与計算、年末調整の計算、給与所得の見積額と各定額の確認、従業員への再申告の依頼、申告者への回収と入力、年末調整の再計算、給与振込の手続きなどの業務をすべて行う必要があります。この量の業務を数日間で行うことはとても大変です。ですから、再申告が必要な従業員をできるだけ早くリストアップすることは、とても大変です。

では、どのように再申告者を把握することができるのでしょうか?次の3つのステップで再申告の対象者をリストアップします。

ステップ1:給与所得の「各定額」と「見積額」を一覧にする
各従業員ごとに確定した給与額の「収入金額」「所得金額(確定額)」「所得金額(見積額)」が比較できる一覧のリストを作成します。

・収入金額
収入金額とは、1年間の給与と賞与に対しての課税支給額の累計額のことです。

・所得金額(確定額)
所得金額(確定額)とは、1年間の収入金額から給与所得控除を行った金額のことです。この金額を元に配偶者控除額や配偶者特別控除額が算出されます。

・所得金額(見積額)
所得金額(見積額)とは、「配偶者控除等申告書」に記載した「あなたの合計所得金額(見積額)」という項目の所得金額のことです。不動産所得や退職所得など、給与以外の所得がある場合は、それらの所得金額も含めた合計金額を算出します。

ステップ2:給与所得金額を3段階に区分する
給与所得金額を配偶者控除等申告書で使用している3段階の区分A(合計所得金額900万円以下)・B(合計所得金額900万円超~950万円以下)・C(合計所得金額950万円超~1,000万円以下)で区分けをしていきます。

ステップ3:「確定額」と「見積額」の区分を比較してみる
「所得金額(確定額)」と「所得金額(見積額)」の区分を比較し、一致していない場合は再申告の対象となります。

年末調整のやり直しが生じるケースとは?

次のような場面に該当する場合、年末調整のやり直しが必要となりますので再確認をしっかり行うようにしましょう。

・結婚や出産、離婚などで扶養家族の人数が変わった場合
・配偶者の収入に変更があった場合
・年末調整後に子どもが生まれて、生命保険料などを追加で支払った場合
・所得控除に必要な書類を提出し忘れた場合

これらのケースに該当する従業員は、すぐに勤務先に伝えるようにしましょう。事業所側で年末調整の再調整を行えるのは、翌年の1月末までです。もしその期間までに間に合わなかった場合は、個人で確定申告をする必要があります。

再申告の依頼と回収について

再度申告書の提出が必要となる従業員をリストアップできたら対象者に対して、提出してもらった申告書を返却し、新たに期限を決めて再提出するよう依頼します。その際、訂正箇所を丁寧に教えることは大切です。

つまり、あなたの合計所得金額(見積額)の「給与所得(1)の収入金額等、所得金額」と「(1)~(7)の合計額」の欄と、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額、判定欄に記載する金額、区分」の欄をもう一度確認するよう指示しましょう。

また、従業員が申告書の訂正方法が分からない場合は、訂正箇所を二重線で取り消して訂正印を押すこと、正しい内容を空いている空白に記載すること、など具体的な指示を出すことも大切です。

年末調整の再計算と精算について

従業員から再度提出された申告書をもとに、もう一度年末調整の再計算をします。源泉徴収税を額と過不足を算出し、その金額を12月分の給与、もしくは賞与で生産すれば、年末調整計算は終了です。

再計算が行われる多くのケースの場合、すでに年末調整が終わったあとに金額が変わることがほとんどです。そのような場合は、一度12月分の給与や賞与で年末調整の精算をした後、再度、年末調整をやり直して、過不足税額の差額を求めて別途精算をする必要があります。つまり、次のような流れで再計算と精算を行います。

ステップ1:最初の年末調整をした結果を確認する
12月分の給与、もしくは賞与で年末調整を計算した際に算出した、すでに精算した源泉徴収税額と過不足額を確認します。

ステップ2:再申告された年末調整を再計算する
再申告された内容をもとに年末調整を再計算し、「本来の源泉徴収税額と過不足額」を計算します。

ステップ3:最初と再申告の差額を計算して精算する
ステップ1と2の差額を計算します。計算方法には、次の2つの方法があります。

方法①過不足額のみを現金もしくは振込で精算する方法
まず過不足額を精算するために明細書を作成します。現金の場合には還付や追徴に必要な金種を用意し、振込の場合はファームバンキング用のデータ作成をします。

方法②翌年1月分の給与もしくは賞与で精算する方法
翌年の1月分の給与もしくは賞与で精算する場合は、支給控除項目に年末調整の差額を精算するための項目を設けます。そして、還付や追徴の金額を記載します。

業務時間の大幅な削減につながる「年末調整申告書の電子化」

年末調整業務には、面倒な作業や確認が多いため、多大の時間と労力を必要とします。また、計算ミスは許されないので、経理担当者にとっては大きな負担ともなります。しかし、年末調整を電子化するなら、業務時間の短縮となるだけでなく、業務の効率化にもつながります。

国税庁は、年末調整の申告書を事前に税務署へ簡単な申請を済ましていれば、電子化して保存してもよい、と認めています。国で対応しているシステムを利用するなら、紙の申告書を従業員に配布したり回収したりすること、申告書に記載された内容を計算する作業などがなくなるので、業務時間と手間を大幅に削減することにつながります。では、年末調整申告書と電子化するとどのような具体的なメリットが得られるのでしょうか?

メリット1:担当者の業務短縮につながる

年末調整では、年末調整申告書の配布と回収、提出された申告書の内容確認と差額の手続き、給与システムへの入力と年末調整計算、の3つの作業に多くの時間がかかります。しかし、申告書を電子化するなら、これら3つの作業を効率よく進めることが可能となります。

・従業員への年末調整申告書の配布と回収が不要になる
紙の年末調整申告書の場合、従業員一人ひとりに配布し、それをまた回収することは容易なことではありません。最新様式の申告書を入手し、従業員の人数分だけ印刷しなければいけません。また、支店などがある場合は、郵送したり、回収のために代行者を立てる必要も出てきます。

しかし、年末調整を電子化すれば、従業員からWebで提出を受けることになります。申告用紙の入手や印刷、配布、回収などの手間を省くことができます。また、提出状況もリアルタイムで把握することも可能となります。

・申告書の内容の確認の時間が短縮される
紙の申告書は提出された後、内容確認をする必要があります。一人ひとりの記載内容を細かく確認することは大変手間のかかる作業です。もし金額の記入ミスや記入漏れなどの間違いがある場合は、本人へ差し戻し、再提出してもらう必要が生じます。また、控除証明書など必要書類をなかなか提出してくれない場合は、確認作業が進まなくなることもあります。

しかし、年末調整を電子化すれば、Webでの申告書が提出された時点ですぐに記載内容を確認することができます。また、入力ミスがあったとしても、すぐに守勢依頼をすることができます。さらに控除証明書などの書類は、スマートフォンなどから画像を添付してもらうこともでき、原本が手元になくても照合することが可能となっています。

・年末調整計算の業務時間も短縮される
紙の申告書は提出された後内容を確認し、その情報を給与システムへ入力する必要があります。本人の給与や税額も関係しているので、正確に入力することが求められています。しかし、Webでの申告書提出であれば、提出された時点で、数字や必要な情報はすべてデータ化されいます。つまり、給与システムと連携しているので、担当者がわざわざ改めて入力することは不要となるため、業務時間の短縮につながります。

メリット2:従業員も申告の負担が軽減される

年末調整が電子化されることでメリットを得られるのは、担当者だけではありません。申告書を提出する従業員にとっても大きなメリットとなります。

・Webを使って好きなタイミングでどこからでも申告できる
インターネット環境が整っていれば、パソコンやタブレット、スマートフォンなどからの申告が可能となります。自分が作業しやすいデバイス、場所を自由に選ぶことができ、申告書に入力、提出することができます。

紙の申告書は、自宅に持ち帰って記入するため、持ってくることを忘れることもありますが、電子申告であれば自宅からでも提出できるので、提出の遅れが少なくなります。

・ガイド機能と手順に従えばミスなしでの提出が可能
申告書の提出にシステムを利用することで、必須項目の入力を強制することができます。それにより、入力漏れやミスのない申告書の提出につながります。また、前年度のデータが複写されたシステムを導入しているなら、個人の情報や家族情報を連携することができるので、従業員本人が入力する箇所は必要最低限の項目のみとなります。

さらに、「保険料控除申告で支払い金額を入力すれば控除額が自動計算される」機能があれば、数値を入力するだけで自動計算されるので、わざわざ計算する必要もありません。誰もが利用できるよう「ガイド機能」が搭載されていれば、電子申告が負担にならずにすむでしょう。

メリット3:すぐに導入することが可能

従業員の中には、パソコンやスマートフォンを普段使用していない方がいるかもしれません。そのため、年末調整を電子化するためにシステムを導入した、と聞くと、大きなプレッシャーになること考えられます。そこで、まずは部分的に電子化を導入することからはじめることができるかもしれません。

つまり、全従業員に電子申告をしてもらうのではなく、紙の申告書と電子申告書の2つの方法から提出方法を選んでもらうのです。パソコンやスマートフォンなどの操作を得意としている従業員にはWebで提出してもらい、パソコンやスマートフォンの操作を苦手としている従業員には従来通り紙の申告書を提出してもらうことができるでしょう。

メリット4:今年から利用できる!

年末調整申告書を電子化するためには、事前準備として、管轄地区の税務署へ申請する必要があります。申請方法は、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」という書類に必要事項を記入し、税務署へ提出するだけです。記入事項は、申請日付、会社の住所、会社名、法人番号、代表者氏名と捺印、その他の参考事項のみです。

提出した月の翌月末までに税務署から承認通知、もしくは承認しないことの決定通知がなければ、利用が認められたことになります。この事前申請をすることで、年末調整の申告書をデータとして保存することができるようになります。

ちなみに、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」の書類は税務署で直接入手することもできますし、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。

年末調整に関する書類の保存期間について

年末調整時に従業員から回収した書類は、提出期限の年の翌年の1月10日の翌日から、7年間保存することが義務付けられています。例えば、2019年分の年末調整をした場合、2019年分の年末調整書類は2020年の1月11日から7年間保存する必要があります。保存すべき年末調整の書類には、次の7点となっています。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書(平成29年分以前は給与所得者の配偶者特別控除申告書)
・給与所得者の保険料控除申告書
・退職所得の受給に関する申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

今後の行政の動きとは?

現在、政府は事業所が行う社会保険や税金などの手続きをオンライン上ですべて完結することを目指しています。最終的には、2021年度を目標に、企業による社会保険・税関連の作成や提出を不要にする方向で動向しており、注目されています。

まだ企業が行うべき業務の流れは、具体的に明らかにされていませんが、書類での作成や提出が不要になり、クラウド上へ情報をアップロードすることが予想されています。つまり、将来的には、基幹システムがクラウド化されることで、業務をする上でペーパーレス化されることと思われます。是非、今後の行政の動きに注目していきましょう。

まとめ

年間調整についての実務的な基礎から計算方法、手続き方法などについてみてきました。年末調整業務は担当者を多忙にさせる膨大な作業ですが、事前に手順を把握し、余裕をもって行うなら、慌てずにスムーズに作業を進めることができます。

特に従業員一人ひとりに年末調整申告書を配布し、回収するなどのやり取りには時間だけでなく、手間もかかってきますので、前もって従業員に告知し、協力してもらうようにしましょう。

今後、ITの活用がさらに普及されることが予想されています。まだ年末調整申告書を電子化していないのであれば、この機会に申告の電子化を積極的に検討してみることができるでしょう。また、年末調整業務で分からないことや不安なことがあるなら、お近くの信頼できる税理士に相談したり、依頼することもひとつの方法として考えてみることができるでしょう。


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