白色申告とは?青色申告との違い・やり方など白色申告のすべて【令和2年版】 | 税理士コンシェルジュ

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白色申告とは?青色申告との違い・やり方など白色申告のすべて【令和2年版】

2021年2月15日
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確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類あります。2つのそれぞれ特徴を理解するなら、どちらの申告が自分に向いているかを判断しやすくなるでしょう。

この記事では、白色申告の特徴や青色申告との違い、メリット・デメリット、書き方など白色申告についてご紹介します。

確定申告の「白色申告」と「青色申告」

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、それにかかる税金を自分で計算し納税することです。翌年の確定申告期間までに、申告のための書類作成から納税まで行わなければいけません。

会社員であれば勤務先で税金を納めてくれるので、原則、確定申告は不要です。一方、個人事業主やフリーランスの場合は、自分で確定申告をする必要があります。

そして、この確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類あります。それぞれ提出する書類が異なりますが、一般的に白色申告は容易と言われています。一方、青色申告は提出物が複雑ですが、節税など多くのメリットが得られます。

白色申告とは?

白色申告は、青色申告の申請を行っていない方が行う確定申告です。つまり、青色申告の申請をしていない方は、自動的に白色申告になります。なぜなら、青色申告をする場合は、前述したように、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、承認される必要があるからです。

白色申告の特徴

白色申告の最大の特徴は、決算の手続きが容易なことが挙げられます。提出書類も簡単に作成することができます。一方、青色申告で受けることができる青色申告特別控除、経費として計上できる青色専従者給与、原価償却の優遇措置、純損失の繰り越しなどの節税メリットを受けることはできません。

つまり、白色申告では、節税効果はありません。また、税務署が税務調査を行う場合、青色申告の場合は推計課税をすることはありませんは、白色申告の場合は必要に応じて推計課税をする可能性があります。

白色申告と青色申告の違い

白色申告と青色申告には、以下のような違いがあります。

【帳簿の方式】
白色申告:単式簿記
青色申告:複式簿記

【確定申告で必要な書類】
白色申告:収支内訳書
青色申告:青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)

【開始するための手続き】
白色申告:不要
青色申告:必要(税務署に「開業届」「所得税の青色申告承認申請書」を事前に提出)

【特別控除額】
白色申告:なし
青色申告:あり(65万円、もしくは10万円)

【翌年への赤字繰越】
白色申告:不可
青色申告:可(3年間)

【事業専従者に支払う給与を経費に計上】
白色申告:不可
青色申告:可

【貸倒引当金を経費に繰り越し】
白色申告:個別のみ可
青色申告:個別・一括ともに可

このように白色申告と青色申告を比べてみると、白色申告のメリットとデメリットが分かります。

白色申告のメリットには、

1、事前承認不要で申告できる。
2、帳簿付けが単式簿記なので、専門的な知識がなくてもできる。
3、確定申告で提出する書類が少ない。

一方、以下のようなデメリットがあります。

1、特別控除がないので節税効果がない。
2、純損失の繰り越繰越控除がない。
3、事業専従者に支払う給与を経費にできない。

白色申告の「単式簿記」とは?

白色申告の「単式簿記」は、簿記の手法のひとつです。ひとつの取引について、ひとつの科目のみ記録・集計し記帳します。一方、青色申告では「複式簿記」で記帳することが義務付けられています。では、単式簿記と複式簿記の違いをみてみましょう。

【例】2021年2月10日に、電車代1,000円を現金で支払った場合

単式簿記の場合
(日付)2021年2月10日(勘定科目)交通費 (金額)1,000円 (摘要)電車代

複式簿記の場合
(日付)2021年2月10日(勘定科目・金額)借方:交通費 1,000円 貸方現金 1,000円 (摘要)電車代

単式簿記は、現金のでは入りのみを記帳します。家計簿のようなものと言えるでしょう。一方、複式簿記では、「借方」と「貸方」で記帳します。つまり、取引を異なる2面性でみる方法です。比較しても分かる通り、単式簿記の方が帳簿付けが簡単と言えるでしょう。

なお、白色申告では、「現金出納帳」を「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」の5つの帳簿を単式簿記で作成します。

【現金出納帳】
現金出納帳とは、現金の取引のみを時系列に記載する帳簿のことです。どこで現金収入が発生したか、どこで現金が使われたか、などがすぐに把握できます。

【売掛帳】
売掛帳とは、売掛金の回収状況を時系列に記載する帳簿のことです。得意先の氏名や住所など得意先ごとに口座を設けます。

【買掛帳】
買掛帳とは、買掛金の支払い状況を時系列に記載する帳簿のことです。売掛帳同様、得意先の氏名や住所など得意先ごとに口座を設けて記載します。

【経費帳】
経費帳とは、仕入以外にかかった費用を記載する帳簿のことです。つまり、家賃や光熱費、交通費、通信費、租税公課など事業に係った費用すべてを記帳します。

【固定資産台帳】
固定資産台帳とは、事業で使用する建物や車両など原価償却資産として計上するものを記載する帳簿のことです。個々の資産ごとに口座を設けて管理します。

白色申告の流れ

白色申告は、確定申告で提出が求められている「確定申告書B」と「収支内訳書」を作成することが目的です。そのためには、毎日の記帳作業が欠かせません。では、白色申告を効率よく行うために、日々できることを確認しておきましょう。

ステップ①日々の記帳作業

白色申告を効率よく行うポイントは、毎日の記帳作業にかかっています。つまり、日々の伝票入力作業を怠らなければ、白色申告の作成にかかる負担を大幅に減少させることが可能です。入金や売上など毎日お金の動きがあるなら、1日業務を終了する前に記帳するのが理想的です。

もちろん、1週間に1回など記帳する頻度を決めることもできます。いずれにせよ、記帳を確定申告シーズンまで待つのではなく、取引の件数に応じて定期的に記帳するようにしましょう。

また、記帳が終わった伝票などは、二重に計上しないように分類しておくなら、生じるかもしれない記帳ミスの回避につながります。

ステップ②年度末の決算作業

白色申告をするには、日々の記帳作業に加え、年度末の決算作業があります。つまり、年に1度だけ行う作業です。白色申告の決算作業では、①棚卸の作成と、②減価償却費の計算をする必要があります。

なお、棚卸は原則12月31日に行い、作成した棚卸表は5年間保存することが義務付けられています。また 減価償却は定額法で求めます。

ステップ③確定申告書・収支内訳書の作成

白色申告では、確定申告書に加え、「収支内訳書」と呼ばれる書類を作成し、提出しなければいけません。その名前の通り、収支を記入し、その年の所得を計算します。記帳した帳簿、棚卸表、原価償却費を項目ごとの集計し、収支内訳書に金額を転記します。

ステップ④確定申告

確定申告書・収支内訳書を作成したら、書類を提出します。(提出方法に関しては後述します。)

ステップ⑤納税

納付も確定申告期間内に行う必要があります。納税までが、一連の確定申告作業となります。

白色申告のやり方

提出書類

白色申告では、以下の2つの書類の提出が求められています。

・収支内訳書
青色申告で作成する青色申告決算書よりも容易に作成することができます。収支内訳書には、1年間の収入、原価、経費などを記載し、その年の事業に対しての所得金額を記載します。

なお、収支内訳書は表と裏の2枚で構成されています。一般用、不動産所得用、農業所得用と区分されていますので、該当する書式に記載してください。

・確定申告書B
確定申告書にはAとBがありますが、個人事業主やフリーランスの方は「確定申告書B」を使用します。

・所得控除を受けるために必要な書類
各種所得控除を受ける場合は、必要な書類を提出します。

提出期限

白色申告も青色申告も提出期間は、原則、翌年2月15日~3月15日までです。ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、2020年(令和2年)分の確定申告は、期限が1ヶ月延長されました。つまり、確定申告・納付期限は、2021年(令和3年)4月15日(木)までとなっています。

提出方法

白色申告も青色申告も、管轄の税務署に提出します。提出方法は、以下の3つから選べます。

1、税務署に直接持参する。
2、税務署に設置されている時間外収集箱へ投函する。
3、郵送で提出する。
4、e-Taxを利用した電子申告。

では、ひとつずつ詳しくみていきましょう。

【税務署に直接持参する方法】
一般的な方法は、管轄地区の税務署に申告書を持参し、提出する方法です。簡単な質問や不明な点は、提出時に職員の方に聞くことができるかもしれませんが、税額の計算や記入漏れなどをチェックしてもらうことはできません。確定申告シーズンは込み合うため、多くの時間と労力を必要とします。

【税務署に設置されている時間外収集箱へ投函する方法】
全国の税務署には、「時間外収集箱」が設置されています。税務署の開庁時間に関係なく、24時感いつでも申告書を投函(提出)することができます。

申告書の控えが必要な場合は、申告書の控えと必要な郵便切手を貼った返信用封筒に宛名を書いたものを一緒に同封するなら、後日、確認印が押された申告書の控えが返送されます。

【郵送で提出する方法】
提出書類は、第一種郵便または信書便として郵送で提出することも可能です。提出期限日の消印までが有効となります。

郵送する際、必要な郵便切手を貼った返信用封筒(宛名も書く)を、提出書類と一緒に同封すれば、申告書の控えに確認印を押して返送してもらえます。また、郵送での提出の場合、郵便局で押される通信日付印の日付が提出日となります。

万が一、書類に不備があった場合、再提出が必要となりますので、時間に余裕をもって投函しましょう。なお、「ゆうパック」など信書便でないものは受け付けていないので注意してください。

【e-Taxで電子申告する方法】
近年、e-Taxによる電子申告をする方が増えています。インターネット環境が整っていれば、国税庁e-Taxホームページの「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、納税まですべての手続きを完結させることが可能です。

ただし、e-Taxによる電子申告をするには、事前の準備が必要です。それにはまずマイナンバーカードとICカードリーダーを取得し、電子証明を取得しなければいけません。

さらに電子申告等の開始届出書の提出し、ログインに必要な利用者識別番号を取得する必要があります。なお、確定申告期間中は、土日祝日含めて24時間利用することが可能です。

白色申告をした方がいい4つのケース

収入の状況や確定申告義務がない人でも、白色申告をすることでメリットが得られるケースがあります。では、白色申告をした方がよい4つのケースをみていきましょう。

ケース①高額医療費を支払った場合
確定申告の義務がない方でも、手術などで高額医療費を支払った場合は、確定申告をされることをおすすめします。白色申告をすることで還付金を受け取れる可能性があります。

ケース②年の途中で退職した場合
年の途中で退職したり、「退職所得の受給に関する申告書」が未提出の場合は、年末調整がされていないと思われます。多く支払っている税金が還付金として戻ってくる可能性があるので、白色申告をすることができるでしょう。

ケース③副業で源泉徴収をされている場合
一般的な会社員が副業をしている場合、年20万円以上の収入があると確定申告をする義務が発生します。たとえ年20万円未満の収入だとしても、源泉徴収されているなら、支払っている税金が戻ってくる可能性があります。白色申告なら作成の負担なく申告できるでしょう。

ケース④赤字事業の場合
個人事業主やフリーランスの場合、青色申告の方が節税効果もあるメリットを感じますが、ほとんど利益のない事業や赤字事業の場合は、白色申告の方がおすすめです。

なぜなら、青色申告は利益がなければ、青色申告特別控除の10万円、もしくは65万円の控除を受けることができないからです。利益がないなら、手間のかかる青色申告をするよりも、白色申告の方が作成の手間を最小限にできるでしょう。

確定申告を期限内に行わないと?

確定申告は、申告期間内に行うことが義務付けられています。もしも提出期限日を1日でも過ぎてしまうなら、ペナルティが発生します。期限に間に合わない場合は、「無申告加算税」が課せられます。

さらに申告書の提出期限は納付期限でもあるため、納付していない場合は「延滞税」も加算されます。なお、無申告加算税の税率は納税額50万円までは15%・50万円を超える分は20%。延滞税は法定納付期限から完納日までの日数に応じて決まります。

ただし、法定申告期限を過ぎてしまっても、①法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に行う、②期限内申告をする意思があったと認められる、の2つの要件を満たしている場合は、無申告加算税は発生しません。

まとめ

白色申告は提出書類も簡易なため、専門的な知識がなくても帳簿付けをすることができる一方、青色申告のような様々な特典を受けることができません。

事業である程度利益があるなら青色申告にすることで節税効果を得ることができますが、利益が少ない、もしくは赤字の場合は、青色申告をしてもメリットを得られないため、手間の少ない白色申告をする方がいいでしょう。

2020年(令和2年)分の確定申告は期限が1ヶ月延長され、確定申告・納付期限は、2021年(令和3年)4月15日(木)までとなっています。時間に余裕をもって申告・納税をおこないましょう。


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