よい税理士の評判ほど出回らない!?
税理士の評判を耳にする機会は、ほとんどありません。大きな税務トラブルが生じたときに、話題になるくらいでしょう。日頃は、個々の税理士の評判は出回らないものです。
ましてや「この税理士は優秀だ」「あそこの税理士事務所は本当によくやってくれる」といった評判はめったに出回りません。
「顧問税理士を探すために、税理士の評判を知りたい」「よい評判の税理士に依頼したい」と調べてみても、よい税理士の評判ほど出回らないのです。
目次
よい税理士の評判が出回らない理由
よい税理士の評判が出回らないことには、理由があります。
一般的に、会社と税理士とは顧問契約を結んでいます。この契約をもとに、税理士は会社の税務を担い、会社は税理士に経営状態について相談をします。こうした関係になると、税理士は一種の社外役員のような性質を帯びるものです。
もちろん税理士は顧問先の会社の経営に対して、何の決定権も持ちません。しかし、経営や事業に関する情報は役員並みかそれ以上に知り得る存在です。いわば、税理士は会社にとって「身内」になります。
そんな存在である税理士について、社外であれこれと批評したり、外部の人に情報を漏らしたりする経営者が少ないのは当然でしょう。不必要に身内の情報を漏らすことは、会社にとって何のメリットもありません。これが税理士の評判が出回らない理由の1つです。
もう1つの理由としては、よい評判が与えられる税理士の絶対数が少ないということです。よい評判が与えられる税理士の数自体が少なければ、評判の数も当然少なくなります。
ただし、「よい評判が与えられる税理士が少ない=優秀な税理士が少ない」というわけではありません。
税理士業界は過当競争の状態であるといわれており、優秀な税理士は少なくありません。しかし、その優秀な税理士がA社にとって「よい税理士」でも、B社にとってはそうではない、ということがあるのです。
これは、いかに優秀な税理士がいたとしても、その税理士が会社のニーズに合った能力を持ち、経営者の方と相性がよいとは限らないためです。
税理士の能力はもちろん大事ですが、会社とのマッチングも重要であるため「よい税理士」とは多面的に検討せざるを得ないものなのです。
したがって「現在の顧問税理士は『よい税理士』である」と考えている経営者の方が、「せっかく巡りあった、この税理士との関係を大切にしたい」と思うのは当然です。
そして、税理士が業務過多により仕事の質を落としたり、レスポンスが悪くなったりすることを心配し、高く評価していてもそれを外に漏らすことは控えるでしょう。
「よい税理士だ」と評判でも、自社には当てはまらない可能性がある
税理士に対するよい評判は、もちろんその能力の高さに起因するものです。しかし人間同士としての相性のよさも評価のなかには含まれているでしょう。
上記のように、自社のニーズと税理士の能力や人間性が合致しているときに「よい税理士である」と会社は考えるためです。
顧問税理士は仕事柄、会社の経営状況を把握することになります。ときには、経営者の方と経営について深く語り合うことになるでしょう。その際、経営者の方と税理士とがスムーズに意思疎通を行える関係になるためには、人としての相性のよさが不可欠です。
しかし、この「人としての相性のよさ」が「よい税理士」の条件に含まれている以上、いくら評判が高い税理士であっても、自分にとって「よい」とは限らないということになります。ある人にとってはよい人でも、ある人にはとっつきにくい人である、ということはよくあることです。
人と人との相性の他に、会社のステージとの相性にもよるでしょう。創業したばかりの会社が税理士に求めるものと、事業の拡大を検討している会社が税理士に求めるものは、おのずと変わってきます。
税理士によるPRではなく、評判を知りたいという場合は?
最近では、税理士のアピールポイントも多種多様になってきました。これまでは「節税対策」「税務調査対応」「経理代行」等、ごくベーシックなものが挙げられてきましたが、これらは「当然」と捉えられるむきもあります。
特に、包括的なサービスが期待される顧問契約ではこの傾向があります。いわば「丸投げしたい」というニーズに応えるべく、多くの顧問税理士は積極的に行っています。
参考記事:税理士に丸投げできる業務範囲と費用感
もちろん、税理士に仕事を依頼する際の契約内容により、これは変わってきます。相場よりもかなり低額に料金を設定しているかわりに、ある一定のサービスのみを提供する、という枠組みを設けている税理士事務所もあります。
これは、いわゆる「スポット契約」というもので、決算や申告等、ピンポイントで仕事を依頼したいという要望に応えるものです。
このように、税理士に求めるもの・税理士が提供するサービスも多様化しているので、なおのこと「評判を知りたい」というニーズは高まっています。
例えば、最近ではデジタル化・オンライン化の加速により、対応に苦慮している会社も少なくありません。国税関係の書類の電子化が進められていたりと、今後もこの傾向は続くでしょう。
参照:国税庁ホームページ 電子帳簿保存法が改正されました(pdf)
現在の顧問税理士が高齢で、こうしたことについて疎い場合は、詳しい税理士に相談したくなるのは当然です。
しかし、検索してみても「デジタル化にも強い!」「クラウド化はおまかせ!」という言葉が踊っているのは、広告や税理士本人によって発信されたコンテンツばかりで、「実際の評判を知りたいのに…」とがっかりする結果に終わる可能性が高いです。
知人や、取引先等に聞いても、あまり納得のできる情報は得られないかもしれません。上記のように「自社にとってよいとは限らない」という問題がありますし、税理士に求めるものも異なるためです。
そこで、お薦めしたいのが、税理士紹介会社の持っている情報を利用するという方法です。
税理士紹介会社の中には、その評判の中身を公開しているところもあります。事務所名や、税理士の名前、調べたいエリアを入力すると、いろいろな情報を見ることができます。
参考コンテンツ:税理士・会計事務所の口コミ・評判ページ
詳細な情報やマッチングを求めるのであれば税理士紹介会社への問合せが必要になりますが、税理士の評判を得るための取っ掛かりとしては最適でしょう。業界内で、最も税理士の情報を持っているのは税理士紹介会社であるといっても過言ではありません。
税理士紹介会社が、税理士の評判をたくさん持っているのは、「税理士を依頼者に対して紹介する」というサービスを提供しているためです。
特に、質の高い紹介会社であれば、紹介後にも定期的に依頼者に対してヒアリングを行うといったフォローをしています。そのときに、税理士の評判を聞くことになります。
依頼者へ税理士を紹介する過程において、そしてアフターフォローにおける依頼者からの意見を通じて、税理士紹介会社は実に多くの税理士の情報を持っています。依頼者のニーズは1つとして同じものはありません。
いわばオーダーメイドで税理士を紹介するため、税理士紹介会社の持っている税理士の情報は多種多様なものになっていくのです。
無闇にネット検索をするよりも、たしかな評判をもとに税理士について調べることができますし、自信のみで行うことですので知人への気遣いも不要です。
税理士の評判を上手に活用すれば、税理士探しの労力を減らせる
税理士の評判はなかなか出回らず、その背景から考えても、今後もこの状況は変わらないでしょう。
そもそも出回っていない税理士の評判を自力で探したり、ミスマッチの可能性がある知人の紹介に頼るよりも、信頼できる税理士の評判をたくさん持っている税理士紹介会社を活用してみることも選択肢の一つです。税理士を探すとなると、何かと労力がかかるものですが、その負担は随分と軽くなるはずです。
株式会社タックスコム:代表取締役
会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談を行い、相談実績は1万件を超える。2017年に執筆した書籍「税理士に顧問料を払う本当の理由」は、出版から半年にわたりAmazonカテゴリ「税理士」で1位を獲得。2021年に実施した日本コンシューマーリサーチの調査では、税理士紹介サービスで顧客満足No.1を獲得。
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