税理士のセカンドオピニオンの使い方、もう一人に相談する利点
税理士のセカンドオピニオンは、いま顧問を頼んでいる相手との契約をそのままにして、もう一人の専門家から見解だけを受け取る進め方です。活用法を知っておくと、経営者が手にできる材料が一つ増えます。
乗り換えを決める前の確認としても使えますし、漠然とした不満の正体を言葉にする作業にも使えます。ここでは、何をどこまで頼めるのか、どの書類を渡すのか、料金はどう決まるのかを、条文と公表資料に沿って順に整理します。

税理士のセカンドオピニオンとは、契約を変えずに別の専門家の見解を得る方法
税理士のセカンドオピニオンとは、いま顧問を頼んでいる相手との契約は続けたまま、もう一人の専門家に自社の状況を見てもらい、見解だけを受け取る進め方を指します。
医療の場で使われてきた言い方が税務の場にも広がったもので、契約の解消を前提に置かない点が特徴です。今の関係を壊さずに、外からの目を一度だけ入れる形になります。
特別な制度の枠組みがあるわけではありません。税理士法が定める業務のうち、税務相談にあたる部分を、顧問とは別の専門家へ有償で頼む行為だと整理すると分かりやすくなります。
年商5,000万円ほどの規模で税理士のセカンドオピニオンを使うなら、決算の数字より、そこに至る処理の考え方が妥当かどうかが論点になります。ここを別の目で確かめるのが本来の使いどころです。
誤解されやすいのは、これが解約の準備だと受け取られる点です。実際には、続けるかどうかを決めるための材料を集める作業であり、最初から結論を前提とした行動ではありません。
同法は第1条で、専門家が独立した公正な立場に立つことを使命として定めています。税理士のセカンドオピニオンを引き受けた側も、付き合いではなく法令に沿った見解を示す立場に置かれます。
この条文があるため、もう一人に見解を求めること自体は、業界の慣行に反する行為ではありません。同じ資料を見て違う結論が出るなら、その差が生まれた理由に意味があります。
一度使った経営者からよく聞くのは、答えが同じだったので安心した、という感想です。差が出なかったこと自体が一つの成果になります。
逆に、聞いた先が自社の業種を扱った経験を持たない場合、税理士のセカンドオピニオンは話がかみ合わないまま終わることがあります。相手の選び方を誤ると、時間だけが減ります。
費用の面では、顧問料とは別の支出になります。金額の決まり方は事務所ごとに違い、一律の相場を示す公表資料は存在しません。この点は後半で確かめます。
活用法は次の見出しで三つに整理します。いずれも顧問契約を続けたまま使えます。
乗り換えに踏み切ればまた別の実務が必要になりますが、外の見解を得ることと乗り換えの判断は、一度切り分けて考えたほうがスムーズに進みます。
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
活用法は三つに分かれる、確認と検証と意思決定の補強で使い分ける
活用法は大きく三つに分かれます。すでに終わった処理が妥当だったかの確認、これから動く案件の検証、そして社内で結論を出すための補強です。
一つ目の活用法である確認は、直近の決算や申告の中身を対象にします。数字そのものではなく、なぜその処理を選んだのかという根拠を説明できる状態かどうかを見ます。
二つ目の活用法である検証は、これから起きる取引を対象にします。設備投資、役員報酬の設定、拠点の新設など、決めたら戻せない案件ほど向いています。
三つ目の活用法である補強は、社内の合意形成に使う型です。年商3億円規模になると経営者ひとりで決めきれない案件が増え、外部の見解が会議の材料になります。
税理士のセカンドオピニオンをこの三つのどれで使うのかを先に決めないと、引き受けた側も何に答えればよいのか分かりません。
よくある失敗は、「一度見てほしい」とだけ伝えて資料を送ってしまう進め方です。範囲が定まらないまま作業が始まり、費用も日程も読めなくなります。
活用法を決めるときは、答えが出たら自社が何をするのかまで先に書き出します。動かす予定のない論点を聞いても、判断材料は増えません。
三つの型のうち、検証という活用法は期限との相性が悪い場面があります。決算日をまたぐ案件は、税理士のセカンドオピニオンの日程を先に押さえないと間に合いません。
確認という活用法は、税務署から問い合わせが来た後ではなく、来る前に済ませておくほうが選べる手が多く残ります。
補強という活用法は、乗り換えの是非とは切り離して使えます。今の体制を続ける前提でも、外の見解は会議の質を上げます。
三つの活用法は重ねて使えます。確認から入り、そこで見つかった論点を検証に回す進め方が、最も無駄が少なくなります。
三つのどの型を選ぶ場合でも、頼む範囲を紙に書いてから始めれば、期待通りの成果を得やすくなります。
不満の正体を言葉にする、何が足りないのかを事実で切り分ける

不満はあるのに動けない状態は珍しくありません。何が引っかかっているのかを自分の言葉で説明できないまま、時間だけが過ぎている場合が多いためです。
代表・山下が2017年に出した著書は、資格に忠実で処理は正確でも経営への関心が薄い段階の事務所について、次のように書いています。
ここで示されているのは、引っかかりの有無と行動の有無が別だという点です。長い付き合いがあるほど、切り出しにくさが判断を止めます。
そこで先にやることは、感じている引っかかりを三つに分ける作業です。処理の正確さ、説明の量、返答の速さ。このどれが足りないのかを分けて書き出します。
処理の正確さに不安があるなら、税理士のセカンドオピニオンで見てもらう対象は決算書と申告書の中身になります。説明の量なら、直近1年の打ち合わせ記録が材料です。
返答の速さなら、質問を出した日と返信が届いた日を並べます。体感ではなく日付で並べると、思っていたより早かったと分かる場合もあります。
年商1億円規模の会社で、月次の資料が翌々月にしか届かないという不満を挙げた例では、社内から証憑を出す時期が遅れていたことが原因でした。
相手の問題に見えていたものが、自社の段取りに原因があることは実際にあります。切り分けをしないまま外部に意見を求めると、返ってくる答えの精度が落ちます。
税理士のセカンドオピニオンは、この切り分けが済んだ後に効きます。何が足りないのかが特定できていれば、聞くべきことも一つに絞れます。
三つに分けた紙は、そのまま依頼書の下書きになります。相手に渡す前に社内で読み返しておくと、冷静に内容を整理できます。
言葉にならないまま話し始めると、議論は相手の人柄の評価に流れます。税理士のセカンドオピニオンで確かめたいのは、人柄ではなく処理の中身です。
この切り分けは、乗り換えの検討に入る前でも後でも構いません。順序より、書き出したものが残っていることのほうが後で効きます。
活用法の三つのうち、どれを選ぶのかもここで決まります。処理の正確さが論点なら確認、これからの動きが論点なら検証です。
しかしながら、経営者と長い付き合いの事務所も多く、不満はあってもなかなか変更に踏み切れないという経営者が多いのも事実です。
決算書と申告書の控えを渡す前に、社内で確かめておく三つの点

決算書と申告書の控えは、外部に見解を求めるときの中心にある資料です。渡す前に、社内で三つの点を確かめておくと話が早く進みます。
一つ目は、そろっているかどうかです。直近3期分の決算書、同じ期の申告書の控え、総勘定元帳。この三つがそろって初めて処理の流れが追えます。
二つ目は、どこまで見せるかです。取引先名や従業員の個人情報を含む部分は、論点に関係しなければ伏せたうえで渡すという選び方もできます。
三つ目は、誰が渡すかです。担当者が個別に送るのではなく、窓口をひとりに決めてから出すほうが、後から何を渡したか分からなくなる事故を防げます。
決算書だけを渡して税理士のセカンドオピニオンを求めると、返ってくるのは一般論になります。数字がどう積み上がったのかが見えないためです。
年商5,000万円規模でも、総勘定元帳は紙にすると数百ページになることがあります。会計ソフトから期間を区切って出力し、電子ファイルで渡すほうが現実的です。
勘定科目内訳明細書も忘れずに入れておきます。仮受金や仮払金の中身は、ここを見ないと分かりません。
いま何をどこまで頼んでいるのかが分かる資料も要ります。委嘱している範囲が見えないと、税理士のセカンドオピニオンでも足りない部分の指摘ができません。
よくある失敗は、直近1期分だけを渡す進め方です。処理の癖は複数期を並べて初めて見えるもので、1期では判断がつきません。
三つの活用法のうち確認を選んだ場合は、この準備がそのまま作業の中心になります。渡し方で結果の精度が決まります。
渡す書類の一覧は次のとおりです。すべてが必要になるわけではなく、頼む範囲に合わせて選びます。
- 直近3期分の決算書一式(貸借対照表・損益計算書・勘定科目内訳明細書)
- 同じ期の法人税・消費税の申告書の控え
- 総勘定元帳(会計ソフトから期間を区切って出力したもの)
- 直近の月次試算表
- いま結んでいる顧問契約書の写しと、報酬の請求書
- 税務署から届いた通知や、指摘を受けた書面があればその写し
守秘義務は税理士法38条が定める、渡した書類が外へ出ない根拠

守秘義務は、税理士法第38条が定めています。引き受けた側は、業務に関して知り得た秘密を他に漏らすことができません。
条文は、業務を離れた後も同じだと定めています。やり取りが一度きりで終わっても、渡した資料の扱いは変わりません。
守秘義務の対象は、顧問契約が成立したかどうかで切り替わるものではありません。見解を聞くだけの場合でも、業務に関して知り得た内容であることに変わりはないためです。
実務では、これに加えて機密保持契約書を交わす例があります。日本税理士会連合会は機密保持契約書のモデルを公開しており、税理士のセカンドオピニオンでも相手の側が用意していることがあります。
同法第41条は、業務に関する帳簿を作成し、委嘱者ごとに一件ごとに内容とてん末を記載することを定めています。この帳簿は閉鎖後5年間の保存が必要です。
つまり、頼んだ事実そのものは相手側に記録として残ります。残ること自体は制度上の要請であり、外部へ伝わるわけではありません。
心配されやすいのは、税理士のセカンドオピニオンを頼んだことが今の顧問に伝わるのではないか、という点です。守秘義務の下では、相手から伝わる筋道は基本的にありません。
伝わるとすれば自社側からです。社内で話が広がり、経理の担当者を通じて伝わるほうが、現実には多く起きています。
年商3億円規模で経理が複数名いる会社では、渡す資料の出所をひとりに絞る運用が有効です。守秘義務は相手側の規律であり、自社側の管理までは担いません。
使用人その他の従業者に対する監督義務も、同じ法律に置かれています。税理士のセカンドオピニオンで先方の事務所の担当者が資料を扱う場合でも、規律の枠組みは変わりません。
書類を出すことに不安があるなら、渡す範囲を絞ることと、渡した記録を残すことの二つで対処できます。
守秘義務があることを知らないまま口頭の説明だけで済ませようとすると、かえって答えの精度が落ちます。書面を前提に組み立てるほうが、結果として早く終わります。
税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなつた後においても、また同様とする。
税務相談として何を頼めるのか、業務の範囲を条文で確かめる
税務相談は、税理士法第2条第1項が定める三つの業務の一つです。税務代理、税務書類の作成と並んで、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応じることが挙げられています。
見解だけを聞く頼み方は、この三つ目に当たります。申告書を作り直したり、税務署に対して代理をしたりする段階には入りません。
逆に言えば、頼めない内容もあります。いまの顧問が提出した申告書を、第三者が勝手に訂正することはできません。
訂正が必要だと分かった場合は、修正申告や更正の請求といった手続きに進む判断が要ります。ここは税務代理に当たり、頼む範囲を改めて決め直す必要があります。
税理士のセカンドオピニオンを頼める相手は、有資格者に限られます。日本税理士会連合会は、有償か無償かを問わず、資格のない者がその業務を行えないと公表しています。
この点は、コンサルタントや経営指導の会社に税務の見解を求めるときに効きます。無償であっても、この三つの業務は有資格者しか行えません。
相手が有資格者かどうかは、同会が公開している税理士情報検索サイトで確かめられます。氏名や事務所の所在地から登録の有無を照会できます。
同会は、税理士名簿に登録がないまま業務を行う者について、同法第52条違反になると説明しています。無資格の相手に頼んだ場合の損害は、そのまま自社に返ります。
税理士のセカンドオピニオンを頼むときは、相手の登録の有無と所属する税理士会を先に確かめます。所属先は全国15の会に分かれており、事務所の所在地で決まります。
頼める範囲を条文で押さえておくと、見積書の読み方も変わります。作業が税務相談にとどまるのか、書類の作成まで含むのかで、金額の意味が変わるためです。
依頼書には、この区別を1行入れておきます。見解のみか、書類の作成まで含むのかを書くだけで、後の行き違いが減ります。
年商1億円規模で、消費税の課税区分の判定だけを確かめたい場合であれば、税務相談の範囲で完結します。書類の作成を伴わないためです。
税理士業務は、有償・無償を問わず、税理士又は税理士法人以外の者が行うことはできません。
見積書で確かめる料金の決まり方、報酬規定が廃止された経緯
見積書を受け取ったら、合計の金額より先に、何に対する対価なのかを読みます。時間に対してなのか、成果物に対してなのかで、後の追加請求の有無が変わります。
顧問料や個別の相談料に、公的に定められた基準はありません。日本税理士会連合会は、報酬規定の廃止について次のように公表しています。
この経緯があるため、一律の相場を示す公的な資料は存在しません。金額は事務所ごとに決まり、同じ内容でも幅が出ます。
したがって、他社の事例を持ち出して高い安いを決めても意味がありません。前提条件がそろっていなければ、金額は比べられないためです。
税理士のセカンドオピニオンの見積書で確かめる項目は四つです。作業の範囲、想定する時間、資料の受け渡しの方法、そして追加作業が発生する条件です。
範囲が「決算書の確認」とだけ書かれている場合は、何期分か、どの書類を含むのかを書き足してもらいます。ここが曖昧なまま進むと、追加の請求が起きます。
見積書に書かれた想定時間は、面談の回数と長さで示されることが多いものです。面談1回で終わる場合と、読み込みを含む場合では性質が違います。
年商1億円規模で3期分を見てもらうなら、読み込みだけで相応の時間がかかります。面談の回数だけで金額を測ることはできません。
よくある失敗は、金額の安さだけで税理士のセカンドオピニオンの相手を選び、結果として一般論しか返ってこない場面です。安さの理由が、資料を読まない前提に置かれていることは珍しくありません。
無償で確かめられる範囲もあります。公的な窓口を先に使い、そこで足りない部分だけを有償の委嘱に回す組み立て方が現実的です。
次の表は、相談先ごとの費用と扱える内容を並べたものです。自社の論点がどこに当たるのかを先に見ます。
支払う費用は、判断を誤ったときに失う金額と比べて考えます。金額の絶対値ではなく、避けられる損失との比較が基準になります。
見積書の段階で活用法を伝えておくと、金額の根拠も具体的になります。確認なのか検証なのかで、必要な作業量が変わるためです。
2002年(平成14年)4月1日施行の改正税理士法では、従来、税理士会が定めていた税理士の業務に関する報酬規定を廃止しました。その後は、税理士又は税理士法人は自由な意思のもと自己責任と説明責任に基づいて報酬を算定し委嘱者に請求することとなりました。
| 相談先 | 費用 | 扱える内容 | 予約 |
|---|---|---|---|
| 国税庁の電話相談センター | 通話料のみ | 国税の一般的な取扱い | 不要 |
| 所轄税務署の面接相談 | 無料 | 具体的な書類や事実関係の確認 | 事前の予約が必要 |
| 税理士会の無料税務相談会 | 無料 | 税に関する一般的な内容 | 各会へ確認 |
| 有償の委嘱 | 事務所ごとに個別に決まる | 自社の書類に基づく個別の見解 | 相手へ確認 |
顧問契約を続けたまま進めるときに、先に決めておく社内の段取り

顧問契約はそのままにして進めるのが、この方法の前提です。契約を続けたまま外の見解を得るには、社内の段取りを先に決めておく必要があります。
決めるのは三つです。誰が窓口になるか、いつまでに答えを得るか、得た答えを誰に共有するか。この三つが決まれば具体的な検討をスムーズに始められます。
顧問契約書に、他の専門家へ意見を求めることを禁じる条項が入っていることは通常ありません。ただし、契約書の写しは手元に用意し、契約内容を再確認することから始めます。
期限は、決算日から逆算して置きます。決算月の3か月前までに答えが出ていれば、会計処理の見直しや必要な対策を講じる余地が残ります。
共有先は絞ります。経理の全員に伝える必要はなく、最終的に判断する人と、税理士のセカンドオピニオン用の資料を用意する人がいれば足ります。
いま顧問を頼んでいる相手に伝えるかどうかは、経営者の判断です。伝えたうえで進める例も、答えが出てから伝える例もあります。
伝える場合は、評価ではなく確認だと言い切ります。「処理の考え方を外からも確かめたい」という言い方であれば、関係が荒れにくくなります。
よくある失敗は、理由を伝えないまま資料の提出だけを急がせる進め方です。目的の分からない指示が続くと、相手側にも不信が生まれます。
税理士のセカンドオピニオンは、関係を壊すための手段ではありません。続けるかどうかを決めるための材料であり、続けるという結論も同じだけあり得ます。
社内でこの作業をどう呼ぶのかも決めておきます。名前が付いていない作業は、途中で優先順位が下がります。
顧問契約の更新月が近い場合は、その前に答えが出る日程にします。更新の判断と重ねられれば、二度手間になりません。
税理士のセカンドオピニオンの進め方は次のとおりです。年商5,000万円から3億円規模の会社を想定し、六つの段階に分けました。
- 確かめたい論点を三つ以内に絞り、紙に書き出す
- 直近3期分の決算書・申告書の控え・総勘定元帳をそろえ、渡す範囲を決める
- 相手が税理士名簿に登録されているかを税理士情報検索サイトで確かめる
- 頼む範囲・想定する時間・追加作業の条件を書いた見積書を受け取る
- 面談で論点を確かめ、返答は書面で受け取る
- 受け取った内容を社内で読み合わせ、続ける・条件を変える・替えるのいずれかを決める
乗り換えを前提にしない進め方が、かえって判断を早くする理由

乗り換えを決めてから意見を聞くと、聞く内容が偏ります。すでに結論がある状態では、それを裏付ける材料ばかりが集まるためです。
逆に、乗り換えを前提に置かずに聞くと、続ける場合の条件も一緒に出てきます。何をどう伝えれば今の関係で改善するのか、という道筋です。
実際、税理士のセカンドオピニオンを得たうえで、いまの顧問に頼みたい中身を伝え直して解決した例があります。足りなかったのは能力ではなく、こちらの伝え方が不足していただけだった場合です。
年商5,000万円規模で、提案がないという不満を持っていた経営者が、何を提案してほしいのかを書面で伝えたところ対応が変わった、という形です。
一方で、確かめた結果として差が大きい場合もあります。処理の根拠が説明できない、複数期にわたって同じ誤りが続いている、といった場合です。
この段階になると、乗り換えの検討に入ります。ただし、その手順は本記事の範囲を超えるため、最後に参照先を示します。
税理士のセカンドオピニオンの結果は、続ける・条件を変えて続ける・替える、の三つに整理できます。実際には二つ目が最も多い結論です。
三つのうちどれになるかは、聞く前に決めません。決めてから聞くと、費用を払って自分の考えを確かめただけになります。
乗り換えを急ぐと、引き継ぎの負荷が決算期に重なることがあります。時期の判断は、答えが出た後に別の論点として扱います。
判断を早くするのは、選択肢を減らすことではなく、比べられる状態を作ることです。外の見解は、その比較の軸になります。
税理士のセカンドオピニオンを一度使うと、次からは自社で判断できる範囲が広がります。何を見れば妥当性が分かるのかを覚える機会にもなるためです。
乗り換えという言葉を先に出さないほうが、相手からも率直な見解が返ってきます。前提を置かない進め方のほうが、結果として早く着地します。
三つの活用法のうち補強を選んだ場合も同じです。乗り換えの可否を先に決めず、材料をそろえることに集中します。
税理士のセカンドオピニオンが向かない場面と、頼んでも答えが出ない依頼
向かない場面もあります。第一に、答えが法令で一義的に決まっている論点です。調べれば分かることに費用を払う必要はありません。
国税庁は、一般的な取扱いについて電話相談センターを設けており、国税相談専用ダイヤル0570-00-5901で受け付けています。受付時間は平日の8時30分から17時00分です。
具体的な書類や事実関係の確認が必要なときは、所轄の税務署で面接相談を受け付けています。この場合は、事前の予約が求められます。
第二に、経営者が結論を先に決めている場面です。替えると決めた後で意見を求めても、費用と時間が増えるだけになります。
第三に、税理士のセカンドオピニオンに出す資料が用意できない場面です。総勘定元帳が出せない、直近の決算書が手元にないという状態では、返ってくる答えは一般論にとどまります。
第四に、相手に期待する役割がずれている場面です。売上を増やす方法を聞いても、税務の専門家の役割の外に出ます。
担当する人を替えたからといって売上が自動的に伸びるわけではありません)。期待の置き方を誤ると、どの相手に頼んでも同じ引っかかりが残ります。
第五に、期限が迫っている場面です。申告期限まで2週間という状況では、見解を得ても処理を変える余地がありません。
税理士のセカンドオピニオンは、時間の余裕があるときほど価値が出ます。決算日の3か月前から半年前が、最も動きやすい時期です。
向かない場面に当たると分かったら、無理に進めません。公的な窓口で足りるのか、そもそも別の論点なのかを先に切り分けます。
無料税務相談会という選択肢もあります。全国15の税理士会が、税理士記念日の2月23日を中心に、無料の税務相談会や講演会などを実施しています。
ただし、こうした場は一般的な内容が中心です。自社の書類を持ち込んで踏み込んだ見解を得たい場合は、有償の委嘱に切り替える判断が要ります。
この見極めができると、費用の使いどころが定まります。税理士のセカンドオピニオンに払う金額は、無償の窓口で片づく論点を除いた残りに向けます。
面接相談は、面接時間を十分に確保するほか、ご持参いただく書類等をお伝えする必要があることから、電話等で事前に相談日時等をご予約いただいています。
判断材料がそろったあとの進め方と、専門家に見直しを頼む目安
判断材料がそろったら、次は自社で結論を出す番です。外の見解は材料であり、決めるのは経営者だという点は動きません。
結論を出すときの順序は、事実、影響、時期の三つです。何が起きているか、それが自社にどう効くか、いつまでに動くか、の順で整理します。
判断材料の中で重みが大きいのは、複数期にわたる処理の一貫性です。単年度だけの指摘は、運用の差で説明がつくことがあります。
続けると決めた場合は、頼む範囲を書き直します。口頭の期待を契約書と依頼書に落とすと、同じ不満は起きにくくなります。
条件を変えて続ける場合は、税理士のセカンドオピニオンを踏まえて報告の頻度と様式を決めます。月次の資料をいつまでに受け取るか、質問への返答期限をどうするかを具体的に書きます。
替えると決めた場合は、時期と手順が論点になります。決算期をまたぐかどうかで負荷が変わるため、まずは日程の調整を最優先に進めます。
レベル1とレベル2に当たる税理士が人数の6〜7割を占めています。確率の話として、いま付き合いのある相手がその範囲に入る可能性は低くありません。
乗り換えの段階へ進むなら、税理士の変更に踏み切るときの現実を先に読んでおくと、日程の置き方で迷いません。
判断材料が足りないと感じたら、範囲を絞って聞き直します。二度目の税理士のセカンドオピニオンは論点が絞れている分、費用も時間も少なく済みます。
見直しを専門家に頼む目安は三つです。処理の根拠が示されない状態が続く、複数期で同じ指摘が出る、聞いても判断材料が増えない、のいずれかに当たるときです。
客観的な意見を取り入れるのは、この三つの項目をを確かめるための手段です。確かめた結果として続けるという結論に至るなら、それも十分な成果になります。
三つの活用法を一巡させると、判断材料は自然にそろいます。最後に残るのは、動かす予定のある論点が一つでもあるかどうかという問いです。
税理士コンシェルジュ事務局からのコメント
引っかかりを抱えたまま何年も過ごしている経営者は多くいます。税理士のセカンドオピニオンが担うのは、その状態を終わらせる役目ではなく、事実を確かめる役目です。確かめた結果として今の体制を続けるという答えが出ることも多く、それは費用に見合う成果です。活用法を決め、渡す資料を絞り、期限を置いてから動いてください。