【完全マニュアル】せどり確定申告の流れから必要書類まで徹底網羅 | 税理士コンシェルジュ

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【完全マニュアル】せどり確定申告の流れから必要書類まで徹底網羅

2020年9月25日
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近年、副業や小遣い稼ぎとして「せどり」、つまり「安く仕入れて高く売る」転売を行う方が増えています。みなさんは、せどりで多くの利益が出たら、確定申告をする必要があることをご存知でしたか?

確定申告をし、適正な税金を納めないなら「脱税」とみなされペナルティが発生します。この記事では、せどりで確定申告が必要になるケースと不要なケース、せどり確定申告の流れやその方法などについて解説していきます。

せどりとは?

せどり(競取り・糶取り)とは、モノ安く仕入れて高く売ることです。一般的には古本用語を元としていますが、近年では古本に限ぎらず、さまざまモノがせどりの対象となっています。

特に販売数が限定されているモノや、トレンドのモノ、処分価格になっているモノなどは、せどりの対象として人気です。そして、せどりはAmazonやヤフオク、また近年では、海外にせどりをする方も少しづつ増えています。

そのため、せどり専門で収入を得ている方もいますが、副業や小遣い稼ぎなどを目的に、せどりを始める方やせどりを日常的に行っている方は少なくありません。

せどりの確定申告は必要か?その基準とは?

給与以外の所得を得た場合は、確定申告をする必要があります。では、せどりでどのくらいの所得、つまり利益を得たら確定申告をする必要が生じるのでしょうか?

せどりの確定申告が必要となる条件

【給与所得者の場合】
会社員や公務員などの給与所得者の場合、事業主が年末調整をしてくれるため、基本的には確定申告は不要です。しかし、せどり所得が年に20万円超をしたときに確定申告が必要となります。

ただし、給与所得者だとしても、せどりの利益額に関係なく、次の条件に該当する方は確定申告が必要です。

・給与の年収額が2,000万円を超える人
・2ヵ所以上から給与を受け取っている人
・医療費控除や住宅ローン控除などの控除を受ける人

【個人事業主やフリーランスの場合】
個人事業主やフリーランスの方で、1月1日から12月31日までに38万円以上の利益がある方が、確定申告をする必要があります。したがって、せどりを専業としている方で、せどり所得を含め所得が38万円超をした場合は、確定申告が必要となります。

所得で判断すること!

確定申告が必要となる条件の「20万円」や「38万円」という金額は、「所得(利益)」のことであり、「収入(売上)」のことではありません。所得は「所得=売上-経費」という計算式で求めることができます。

例えば、10万円で商品を仕入れて、15万円で販売した場合は、5万円が所得、つまり利益となりますが、経費を差し引く必要があります。経費には商品を仕入れるためにかかった配送費やネット通信費などが挙げられます。

10万円で商品を仕入れて、15万円で販売し、配送費などの1万円かかっているなら、「15万円(売上)-(10万円(仕入)+1万円(配送費))=4万円」という計算になります。つまり、所得(利益)は4万円ということになります。

せどり確定申告には特典が使える「青色申告」が有利!

確定申告は、「青色申告」と「白色申告」の方法から自由に選択することができます。青色申告をするためには、ある一定の要件を満たす必要がありますが、多くの特典を受けることができ、結果として節税効果を期待できるので有利となります。では、青色申告に求められている要件やメリット(特典)についてみていきましょう。

青色申告にできる条件

せどり所得の場合、事業の状態によって所得の種類が変わってきます。せどり所得は「事業所得」もしくは「雑所得」のどちらかに区分されますが、青色申告をできるのは「事業所得」として申告する場合です。

せどり所得を事業所得として申告するためには、事業、つまりビジネスとして成立しているかどうかがポイントとなってきます。

そのため、①安定した収益を得ているか、②独立して事業を営んでいるか、③営業性・反復性・継続性があるか、④設備や労力などを使っているか、などを判断基準とすることができます。

主に個人事業主やフリーランスでせどりを本業として利益を得ている場合は、「事業所得」として申告することができるでしょう。

つまり逆を言えば、会社員や公務員などの給与所得者が、副業やお小遣い稼ぎを目的としてせどりをしている場合は、せどりの所得は事業所得ではなく、「雑所得」となります。

青色申告で得られるメリット(特典)とは?

青色申告を活用するなら、次のようなメリットを得ることができます。

メリットその①青色申告特別控除65万円(もしくは10万円)が控除される。
青色申告の最大のメリットは、65万円の特別控除を受けられることです。年間65万円も所得から差し引かれるのは、大きな特典と言えるでしょう。また、せどり所得が65万円以下の場合は、所得税は課せられません。

メリットはその②家族の給料を経費に計上できる
青色申告者の場合、15歳以上の家族を従業員、つまり「青色事業専従者」にすることで、支払った給料を経費として計上することができます。

メリットその③3年間赤字を繰り越せる
青色申告をしている場合は、赤字を最長3年間まで繰り越すことができます。そして、黒字が出た年の所得から控除できます。

メリット④30万円未満の固定資産を支払った年の経費に計上できる
通常、10万円以上の固定資産は、固定資産となるため、支払った年に一括で経費として計上することはできません。

しかし、青色申告をしていれば、30万円未満の固定資産を支払った年の経費として計上することが認められています。つまり、その年の経費となるため、所得税が減り、結果として節税につながります。

メリット⑤貸倒引当金を経費として計上できる
青色申告であれば、何かしらの事情で売上を回収できなくなってしまうリスクに備えて、貸倒引当金を「損金」として計上することができます。

青色申告をするには?

では、青色申告をするまで流れをみていきましょう。

必要な書類

青色申告をするためには、次の2つの書類が必要となります。

・「個人事業の開業・廃業等届出書」
・「所得税の青色申告承認申請手続」

これら2つの書類を青色申告を行う年の3月15日までに税務署へ提出する必要があります。そして、個人事業主として認められれば、青色申告をすることができます。

なお、青色申告では、複式簿記による帳簿付けが義務付けられています。ですから、簿記に関する知識が必要となります。最近は会計ソフトやクラウド型会計サービスなどが普及しているので、複式簿記に関する知識がない方は、それらを活用することができるでしょう。

副業のせどり所得「白色申告」

せどり所得を「雑所得」として申告する場合、つまり、青色申告でない確定申告の場合は、「白色申告」をすることになります。白色申告は青色申告と違い、事前に手続きをする必要はありません。個人事業主やフリーランス方が、青色申告の手続きをしなければ、自動的に白色申告で確定申告をすることになります。

白色申告の場合、青色申告のような特別控除などの特典はありませんが、単式簿記での帳簿付けが認められています。したがって、初心者の方でも申告しやすいことが白色申告のメリットと言えます。

せどりにおける確定申告で「経費」に計上できるもの

経費とは、事業を営むうえで必要となる費用のことです。所得税は、経費が多くなればなるほど税金が少なくなる仕組みとなっています。つまり、経費として計上できるものが多いほど、節税効果を期待できる、ということです。

では、せどりにおける確定申告では、どのようなものを経費として計上できるのでしょうか?せどりで必要経費として認められているものには、次のようなものが挙げられます。

・モノなどの仕入代金
・ガソリン代などの「交通費」
・商品発送などの「荷造運賃費」
・梱包素材費や銀行の振込手数料などの「雑費」
・広告などの「宣伝費」
・インターネットなどの「通信費」
・打ち合わせなどの「接待交際費」 など

特に自宅の一部を使ってせどり所得(利益)を得ている場合は、事業部分とプライベート部分を区別して経費として計上する「家事按分」を適用することができます。多くの項目を経費として計上できるので、せどり所得として区分する場合は、必要経費をしっかり把握しておきましょう。

せどり確定申告の流れ

ステップ①申告方法の確認
せどり確定申告は、青色申告と白色申告の2通りの方法があり、手続きの方法や準備すべき書類が異なります。ですから、どちらで申告するのかを確認しましょう。

ステップ②取引内容の記帳
青色申告、白色申告を問わず、せどりの取引が発生した場合は、その内容を記帳しなければいけません。特に青色申告の場合は、複式簿記で記帳することが義務付けられています。確定申告時期にまとめて記帳するのではなく、取引がある度に行うなら、適正な記帳となるでしょう。また、かかった経費についても記帳しておきましょう。

ステップ③必要な書類の準備と作成
確定申告で必要な書類は、税務署の窓口で直接入手することもできますし、国税庁のホームページからダウンロードしてプリントしたものを使用することもできます。事前に「青色申告承認申請書」を提出している場合は、自宅に必要書類が郵送されてきます。

「確定申告書B」は、青色申告でも白色申告でも必要となります。それに加えて、青色申告の場合は「青色申告申告決算書」、白色申告の場合は「収支内訳書」が必要となります。

ステップ④必要書類の提出
確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日(土日祝日の場合はその翌日)までです。(2020年度の確定申告期間は、新型コロナウイルス感染症の影響により確定申告期間が延長となりました)

また、確定申告の提出書類は、①管轄地区の税務署の窓口に直接提出、②郵送での提出、③e-Taxでの電子申告の利用、の3通りの提出方法から選択できます。

ステップ⑤納税
法定申告期限内に納税まで行い、確定申告が無事完了となります。

せどり確定申告をしないとどうなるか?

確定申告は国民に課せられている義務です。そのため、せどり確定申告をしないと、ペナルティが発生します。

無申告加算税や延滞税の罰則

確定申告は、決められている期間内に行うことが義務付けられています。したがって、法定申告期限に確定申告をしなかった場合は、ペナルティが発生します。期限後も確定申告をすることはできますが、「無申告加算税」や「延滞税」が課せられます。

無申告加算税とは期限内に確定申告をしなかったときに課せられるペナルティです。ただし、期限後申告を法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に行っている場合など、一定の条件を満たしているなら、無申告加算税は課せられません。

一方、「延滞税」とは、税金が納付期限までに支払われていないときに発生するペナルティです。延滞税は、確定申告をすべき期限の翌日から、納付した日までの日数に応じて税額が決定します。つまり、確定申告が遅くなればなるほど、金額が大きくなるので、早めに申告するようにしましょう。

刑事罰の対象になることも!

故意に申告書を提出しないで納税を免れている場合や、売上を隠すなどの悪徳な脱税行為の場合は、刑事罰が科せられます。5年もしくは10年以下の懲役、または500万円もしくは1,000万円以下の罰金が科せらる可能性があります。

海外への輸出(転売)は「消費税還付」特典の活用を!

近年は、個人でも国内で仕入れたものを海外へ輸出することが以前よりも容易となっています。そのため、せどりや転売をしている方の中には、海外への輸出をしている方も増えています。

日本で仕入れたものを海外に販売、輸出する場合は、仕入れたときに支払った消費税が戻ってくる特典、つまり、「輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付」の対象となります。ただし、国内での販売の方が多い場合は、還付ではなく、追徴の対象となる可能性もあるので注意が必要です。

つまり、消費税の還付は、国内で仕入をし、海外の輸出が多ければ多いほど還付額が大きくなります。なお、「輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付」は、前々年の課税売上高が1,000万円を超える「消費税課税事業者」だけが受けられる特典となっています。

「消費税課税事業者」になるためには、課税事業者の届出や必要書類などの提出する必要がありますし、税務調査の対象にもなりやすいと言われています。ですから、輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付を受けたい場合は、信頼できる税理士や会計事務所などなどに相談してみましょう。

税理士コンシェルジュの税理士紹介サービス『全国税理士紹介相談所』では、無料で税理士をご紹介していますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

会社員や公務員などの給与所得者が、副業やお小遣い稼ぎ目的でせどりを行い、せどり所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要となります。また、せどりを事業としている場合は、せどり所得が38万円を超えたら確定申告が必要です。

せどりの確定申告が必要にもかかわらず、申告をしない場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生しますので、該当者は必ず確定申告を忘れないようにしましょう。

また、せどりを事業の専門とする場合は、さまざまメリットが得られる「青色申告」が有利です。複式簿記での帳簿付けが義務となりますが、節税効果を期待できます。まだ白色申告をしているなら、この機会に青色申告へと切り替えみることができるのでしょう。


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