税理士と契約する際の4つの注意点!メリット・デメリットや費用相場も解説
目次
税理士と契約する前に知っておきたい依頼できる業務
税理士に依頼できる業務にはさまざまなものがあります。例えば、以下のようなものです。
「記帳業務」「給与計算業務」「経営相談」「事業承継」「節税対策」「決算・申告」「補助金・助成金に関するアドバイス」
メインの業務といえるのは税務に関するものです。税務代行や、税務代理とも呼ばれます。
例えば、税務署類の作成や税務の相談などについては、国家資格者である税理士のみしか行ってはいけません。申告書の作成や節税対策は、これらに該当します。税理士以外の人が行うとそれは法律違反となります。
また、税理士はそれぞれ得意分野を持っています。例えば、起業したばかりの会社を支援するために資金調達や節税対策を得意としている税理士がいます。一方、相続や事業承継に詳しい税理士もいます。
1、記帳業務
記帳とは、社内で起きるさまざまな取引において発生する、金銭のやり取りを帳簿につけることをいいます。例えば、商品を販売した際に会社に入る金銭や、仕入れるために支払った費用、また交通費や通信費といった経費などの詳細を帳簿に記して行くことになります。
ほぼ毎日発生することですし、取引が複雑な場合や、従業員が多い場合などには、それなりの労力が発生します。これを税理士が行うことを、記帳業務・記帳代行といいます。
2、給与計算業務
社内に従業員がいる場合、給与計算業務が発生します。これを税理士に依頼することもできます。
給与計算業務は給与計算のみならず、年末調整や保険料の計算なども依頼することができます。所得税や社会保険料なども絡む分野なので、税理士に依頼するメリットはあるといえるでしょう。
3、経営相談
税理士は定期的に会社のお金の流れを見ています。また。いくつも顧問先を持っていることが多いので、客観的に会社の経営を眺めることができます。
これに伴い、顧問先の経営相談にのるというのも税理士の仕事の一つです。契約すると、資金繰りのポイントや同業他社の動向など、税理士ならではのアドバイスを得ることができます。
4、事業承継
経営者が高齢になっている場合、事業をどのように引き継いでいくかは大きな問題です。この問題を抱えている企業は多く、税理士が相談にのる場合も少なくありません。
事業承継は相続も絡み、また各種特例も設けられているために専門的な知識が必要です。一般的な税務に限らず、事業承継についても得意としている税理士を選択することをお薦めします。
5、節税対策
杓子定規に納税するだけではなく制度をうまく選択すると、税負担を軽減することは可能です。
ただし、税に関係する制度は頻繁に改正を繰り返しています。また、適用要件も複雑です。さらに、その税制を選択することが本当に会社にとって適切なのかどうかも判断が難しいところです。しかし適切に節税対策を行うことができれば、経営にとっては大きなプラスとなるのは事実です。
この「節税」について、顧問先にアドバイスするのも、税理士の仕事の一つです。
6、決算・申告
会社は、一定期間の収入と支出を計算し、それを書類にまとめ、申告を行わなければなりません。この「決算申告」は手続きが複雑で、必要となる書類も非常に多いです。したがって、この業務だけを税理士に依頼するという会社も多いです。
売上や仕入れに関する書類や、給与台帳、領収書・請求書・明細書など、決算申告に必要な資料を整理して税理士に渡し、決算申告を税理士に依頼することになります。
7、補助金・助成金に関するアドバイス
国や各種自治体が設けている補助金や助成金には、実にさまざまなものがあります。例えば、雇用促進や人材開発、IT導入、事業承継支援、感染症対策など、多岐にわたります。
しかし、注意しなくてはならないのは、補助金や助成金に設けられている要件です。要件に該当するのか否か、補助金や助成金を受けることで何か制約が生まれないかなど、チェックが必要です。
また。これらの補助金や助成金には大抵の場合、期限が設けられています。したがって、補助金や助成金にどの程度頼るのか、期限に該当するのかなどの確認をすることも大切です。
補助金や助成金に関する情報は日々更新されていくので、最新の内容を把握しなくてはなりません。税理士はこれを怠ることなく、顧問先にとって有益なアドバイスをします。
※注:税理士が担当できる仕事は、上記の他にもあり多種多様です。税理士に依頼できる内容について詳しく知りたい場合は、税理士を紹介するプロに相談するという方法もあります。ぜひ、税理士コンシェルジュの『厳選税理士紹介サービス』をご利用ください。
税理士との契約前に検討・確認するべきこと
税理士にどのような業務を依頼するにせよ、依頼する際には、契約が必要になります。契約する際に、注意しておきたい点は以下のとおりです。
1、仕事に対してサービス業であるという意識を持っているか
2、料金体系は明確にしているか
3、臨機応変に対応してくれるか
4、提案力を持っているか
・税理士とこれから契約したいと考えているが、イメージがつかめない
・現在、税理士と契約をしているが、何だか不満を覚えている
といった場合を想定して、税理士と契約する際に注意すべき点について解説します。契約した後になって「こんなはずではなかった」「想定していたのと違う」等とならないように、しっかりと事前にチェックすることをお薦めします。
上記の4つのポイントをおさえれば、税理士との契約後に「こんなはずではなかった」「何だか納得がいかない」といった事態を防ぐことができるでしょう。
ビジネスにおける一般的な取引と同様、税理士に仕事を依頼する場合も契約が必要になります。なかでも、継続的に税務会計業務を税理士に依頼する場合、「顧問契約」を結ぶのが一般的です。しかし、顧問契約といっても様々な内容がありますし、顧問契約以外の方法で契約を結ぶことも可能です。
最も大切なことは、
・税理士とどのような形態で契約をするのか
・そのためのコストをどれだけ負担できるのか
を明らかにすることです。
1、税理士との契約形態は顧問契約だけではない
「会社ともなれば、顧問税理士をつけるのは当然」といった思い込みを持っている方が、時々見受けられます。また、従業員を雇うタイミングや、事業拡大の時期に「そろそも税理士と契約をしたほうがよいのではないだろうか」と悩む方も少なくありません。
たしかに、困ったときでも、税理士契約を結んで日頃から良好な関係を築いていれば、会社の経営状況を鑑みて適切なアドバイスをくれるでしょう。
しかし、顧問契約を結ぶべきかはケースバイケースです。税理士に仕事を依頼すれば費用が発生します。税理士との顧問契約により発生する費用が、経営を圧迫するようでは本末転倒です。
そこで、最近では「スポット相談」「単発依頼」といったサービスをしている税理士事務所も増えてきています。これは、起業時や申告時等、税理士と顧問契約を結ぶのではなく単発的に仕事を依頼するというものです。税理士との付き合い方は、顧問契約だけはないのです。
まずは、
・本当に顧問契約をしたいのか
・顧問契約をした場合の、自社におけるコストパフォーマンスはどれくらいか
といったことを洗い出してみることをお薦めします。
2、税理士との契約におけるコストパフォーマンス
顧問契約にしてもスポット契約にしても、税理士に仕事を依頼する場合、当然費用が発生します。この費用を、現在の経営状況や、今後の見通しから考えて「どれくらい負担できるのか」を検討してみましょう。
その際には、
・仕事の量から検討する
「全部おまかせできるなら、顧問契約を結んでもよい」
「大した量ではないから、スポット契約で大丈夫そうだ」
・金額から検討する
「月に○○円までしか負担できないので、依頼内容を絞ろう」
「○○円までは負担可能だから、できるだけ業務を税理士にまかせよう」
という方法があります。
ただし、料金設定や税理士費用についての情報はあまり出回っていません。相場観を知りたい場合や、費用について悩んでいる場合は、本当に信用できる経営者仲間や税理士紹介サービスに自社の事情を伝えて検討を進めるとよいでしょう。
なお、身近に「長年会計業務に携わってきたから税務には詳しい」「昔、税理士をしていたからアドバイスができる」等と主張をする人がいても依頼してはいけません。それは「非税理士による行うことが禁止されている業務」にあたり、法によって禁止されているので注意しましょう。
「税理士に仕事を依頼したいが、金銭的な負担を少しでも軽くしたい」「税理士に頼むほどのことでもないから、意見を聞こう」等と軽い気持ちで依頼することは会社にとって大きなリスクになります。
参照:
国税庁ホームページ 非税理士により行うことが禁止される税理士業務
こうしたことを確認・検討したうえで、「やはり税理士と顧問契約をしたい」と考えるのであれば、以下の点に注意が必要です。
税理士との契約を成功させるための注意点
自社が税理士に期待することや、そのために負担できる金額をつかめたら、具体的に税理士の選定に進みましょう。ただし、焦って契約しないことが大切です。
税理士との契約において後悔のないように、候補として検討しているその税理士が、以下の4つのチェックポイントを満たしているか、よく確認してから契約することをお薦めします。
契約前の注意点1、その税理士は「“サービス業”の意識を持っているか」
税理士は専門知識を駆使して業務を遂行しますが、顧客のために働くという仕事の性格がある以上は「サービス意識の有無」は大切なチェックポイントです。
税理士業界は、まだまだ古い体質を残しています。いわゆる「お役所的」「上から目線」といった姿勢が抜けない税理士も少なくはありません。
しかし時代の変化にあわせて「税理士はサービス業である」といった意識を持ち、より顧客目線で業務を行う税理士も増えています。契約を検討している税理士が、仕事に対してどういう意識を持っているかチェックしましょう。
具体的には、
といった点をチェックすると、仕事に対する姿勢も見えてくるでしょう。
契約前の注意点2、その税理士は「料金体系を明確にしているか」
料金の設定に関する根拠や考え方は税理士それぞれですが、顧客側からすれば「どんな業務を依頼したら、いくらかかるのか」が明確になっていることが理想的です。
昨今では、料金表を用意している税理士事務所は少なくありませんが、それだけでは実際にどれくらいの費用になるのかは見えてきません。
具体的には、
といった点をチェックし、わからないことは臆さずに尋ねるとよいでしょう。
また、税理士事務所のホームページには「無料相談OK!」「無料でお引き受けします」等といった文言が並んでいることが多いです。しかし、「どこまでが無料なのか」「何を、どのように無料でやっているのか」が不明瞭な場合があります。
顧問契約は顧客の要望に答えて契約内容をアレンジしていく、オーダーメイド的な側面もあるので「詳しくは、対面で」という事情があることは否めません。しかし、具体的なことがほとんど不明なまま、いきなり対面というのは、気が引けるでしょう。あらかじめ、電話や問合せフォームで確認してみるというのも1つの方法です。
参考記事:税理士への税務相談は、どこまで無料でどこから有料なのか?
契約前の注意点3、その税理士は「臨機応変に対応してくれるか」
税務は、知識はもちろん豊富な経験を要するものです。各事例によって法律等の適用も異なりますし、会社の経営状態や業界によって取るべき対応が変わってくる場合もあります。臨機応変な対応力があることは、有能な税理士であることの証明です。
しかし、この「臨機応変な対応が可能か」は、どのように調べればよいのでしょうか?
まずは、契約前のやり取りにおいて、推し量ってみるとよいでしょう。こちらの疑問や要望に対して、柔軟に対応してくれるかチェックしてみるのです。
具体的には、
といった点に注目してみると、対応力も見えてくるでしょう。
特に、最新の情報を常に取得ししているか・取得に力を入れているかは要チェックです。昨今は、税務会計関連における変化は著しく、またそのスピードも早まっています。例えば、申告のオンライン化の加速やデジタル化推進の波は、企業の会計税務にも大きく影響を及ぼしています。
このような新しい動向を、これから契約しようとしている税理士はつかめているでしょうか? また、その税理士の各種制度や法律についての理解は、最新のものでしょうか?
最新かつ顧問先にとって最適な情報を獲得することに努めているか否かは、その税理士を判断する1つの指針になります。契約を検討している税理士が、「自分の仕事には関係ない」「一部の大企業だけの問題だ」等と、時代の流れに無関心を決め込んではいないかをチェックしてみましょう。
参照:
国税庁ホームページ 税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-
国税庁ホームページ 電子帳簿等保存制度に関する特設サイト
これまでの経験を活かすことは大切ですが、最新情報をチェックせず経験則からのみ仕事を進めるような税理士は時代の変化に対応できないでしょう。結果、その税理士と契約を結んでいる顧問先にもよい結果を及ぼしません。
契約前の注意点4、その税理士は「提案力を持っているか」
顧問契約のような包括的内容の契約を交わすのであれば、契約後は税務だけではなく経営についての情報提供やアドバイスも求めたいところです。
そこで契約前に、その税理士が自社の業界に対してどれくらいの理解を持っているのか把握しておきましょう。理解が深いほど、より有効な情報提供やコンサルティングが受けられます。
具体的には、
といった点について尋ねてみると、よい検討材料になるでしょう。
どのような業界を顧客に持っているかや、どんなジャンルの税務会計に詳しいかは税理士事務所のホームページからだけでは掴みきれないかもしれません。その場合は、税理士に問合せをしてみても問題ありません。
提案力を持っているかは、上記の「対応力があるか」「最新情報を取得しているか」といったことにも通じます。「契約前に、色々尋ねるのも悪いだろうか」等と遠慮することなく、税理士の考えや展望をチェックしてみましょう。
ただし、無責任に節税の提案をしてくる税理士には要注意です。競争の激しい税理士業界において、経営者の方が節税対策を求めていることは知られています。
ニーズにこたえようと、積極的に新しい情報にアクセスしたり、顧客に寄り添って最適な節税提案をしようと努める税理士がほとんどですが、なかには、提案はするけれど結果に責任は持たないような税理士もいます。
例えば、新規開拓をしたい税理士や、契約を切られたくない税理士が、顧客の歓心を買おうとして無責任に行った節税提案を、よく考えずに採用してしまうと、次のような危険があります。
・提案されて採用した節税対策が、自社は要件を満たしておらず税務調査で指摘されてしまった
・短期的には節税となるが、長期的に見た場合には損になってしまった
・対策をとった時期が適切ではなかったため、節税効果が発生せず予定が狂ってしまった
こんなことにならないように、その税理士は責任感を持って仕事に取り組んでくれそうかチェックが必要です。
参考記事:税理士は節税提案があると同時に税務調査の対策が重要
税理士と契約する3つのメリット
税理士に仕事を依頼することを決め、契約を交わすと、以下のようなメリットが期待できます。
・お金についての適切なアドバイスが受けられて節税もできる
・経理・税務申告業務を依頼できる
・税務調査に立ち会ってもらえる
1、お金についての適切なアドバイスが受けられて節税もできる
会社においては、日々お金の流れが発生します。日々のコストから、経営に深くかかわる悩みまで、様々なことが経営者の方を悩ませるでしょう。
税理士は専門知識と豊富な経験から、顧問先の会社におけるお金の悩みについて。適切に回答します。また、節税対策についてもアドバイスをします。
節税対策に関係する法律や各種制度は、内容の変更や要件・期限の細かい規定が設けられています。したがって、安易に飛びつくと、見落としや判断を誤るリスクがあります。税理士と契約を交わした以上、プロの視点からの節税提案を求めることができます。
2、経理・税務申告業務を依頼できる
経理や申告業務は細かく、また、日々発生することから、社内で行うと大きな負担となります。経営者の方が自ら行うことは時間的にかなりの負担となりますし、従業員に担当させても他の業務に支障をきたす可能性があります。また、正確に行わないと後々のリスクにもなるため、プロに任せたほうが安心ともいえます。
契約の内容次第ではありますが、いわば経理・申告業務を「丸投げ」できるのも、税理士と契約する場合のメリットといえます。
3.税務調査に立ち会ってもらえる
「正しい申告をしていれば、税務調査は入りにくい・入っても怖くない」とはいえ、やはり税務調査は会社にとって負担です。常に対策は取っておきたいものです。
そして、いざ税務調査が入るとなった場合には、税理士に会社の味方として立ち会ってもらえることができるのが、税理士と契約する大きなメリットです。
税務調査となると、通常はかなり緊張し、慌ててしまうことが多いものです。税理士であれば、調査官に対してしっかりと会社の考えを伝え、適切に対応してくれることが期待できます。
税理士と契約するデメリット
税理士と契約するデメリットとして、一番に挙げられるのは「コストがかかる」ということです。
仕事を依頼する以上、どんな仕事であってもコストがかかるのは当然ですが、税理士に依頼する仕事は「やろうと思えば社内でも何とかできる」というものもあります。例えば、経理業務は社内に担当者を設け、申告も経営者や担当者で何とかする、といったようにです。
ただし、社内で行うのにはかなりの労力がかかり、また、正しく適切に遂行できるかという点も難しいので、「コストがかかる」というデメリット以上に「プロに依頼しないデメリット」のほうが、大きいようにも感じられますが、それは会社の考え方や経営状況にもよるといえるでしょう。
税理士と契約する際の費用相場
契約内容によって、税理士費用は異なってきます。ただし、税理士費用の相場を考えるうえで、参考になる目安はあります。
それは、年商と訪問頻度です。年商が大きくなるにつれて税理士の仕事は増え、また内容も複雑化するため、年商が高いほうが金額は高くなります。
訪問頻度とは、税理士が顧問先の会社を定期的に訪れて相談を受けたり、経理業務をチェックする頻度を指します。顧問先への交通費はもちろん、仕事の労力、そこにかかる時間などが費用に換算されます。したがって、顧問頻度が高い方が税理士費用が高くなり、低ければ低いほど費用は下がります。
なお、訪問に関する費用は費用削減につなげやすいため、訪問頻度を下げる・顧問先が税理士事務所を訪れる・ウェブで相談をするといった方法が採用されている場合もあります。
細かい契約内容によっても金額は上下しますが、税理士と顧問契約を結んだ場合の費用(月額)の相場は、以下のようになります。
【訪問頻度が3か月ごとの場合】
1,000万円以下 | 約2万円 |
3,000万円以下 | 約2.5万円 |
5,000万円以下 | 約3万円 |
1億円以下 | 約4万円 |
【訪問頻度が半年ごとの場合】
1,000万円以下 | 約1.5万円 |
3,000万円以下 | 約2万円 |
5,000万円以下 | 約2.5万円 |
1億円以下 | 約3.5万円 |
【記帳代行を依頼する場合】
上記に加え、プラス1万円~2万円程度
【決算申告を依頼する場合】
上記に加え、プラス15万円~30万円程度(年額)
なお、個人で交わす税理士との契約は、法人と比較すると費用は低くなります。確定申告のみを依頼する場合が多いので、ここでは年商ごとに確定申告のみを依頼した場合の相場を挙げます。
【確定申告のみを依頼する場合】(年額)
500万円以下 | 約8万円 |
1,000万円以下 | 約10万円 |
3,000万円以下 | 約20万円 |
5,000万円以下 | 約25万円 |
※注:税理士に仕事を依頼した場合の金額について、より詳しく知りたい場合は、税理士を紹介するプロに相談するという方法もあります。ぜひ、税理士コンシェルジュの『厳選税理士紹介サービス』をご利用ください。
契約前には、税理士との相性確認も忘れずに
税理士は、契約内容や関係性次第では「経営者のパートナー」と呼ばれる存在にもなり得ます。特に、顧問契約を交わした税理士は会社の業務や業績を把握し、経営を定点観測することになるので、一層会社にとっては重要な存在になります。
したがって、税理士には遠慮することなく何でも相談できて、必要であれば議論を交わすことができるような関係を築きたいものです。そのためには、人間的な相性も大切なポイントです。「第一印象が大切である」とはよくいわれることですが、税理士選びにおいても一理あります。
例えば、ビジネスの場において相手の身だしなみや言動にも着目しているのであれば、その点について何も問題がない税理士のほうが相性はよいでしょう。清潔感があるか、粗野な振る舞いがないか等がチェックポイントとなります。
一方「外見に頓着していないほうが、むしろ信頼できる」「腰が低い人より、少し強気に感じられるくらいの人のほうが自分は好きだ」と思う経営者の方もいるでしょう。
そうした「好み」も、税理士選びにおいては検討材料の1つです。人間同士の相性の問題ですから、正解は1つだけではありません。
また、面談の際の話しやすさも重要な判断ポイントです。今後、定期的に顔を合わせ、難しい課題に取り組んでいくのですから、いわゆる「ウマが合う」ということは大切なポイントです。
税理士には、税理士としての能力、そして顧客目線に立った姿勢を求めるべきです。また、人間的な相性も、良好な関係を築くためには大切な要素といえます。税理士との契約をする前には、これらの点について満たしている確認することをお薦めします。
「能力が高くて、相性もよい」そんな税理士と契約するには?
以上のような点をチェックし、「自社の求める能力を持っていて、人間同士としての相性もよい税理士」に出会えれば、それは契約するに値するでしょう。しかし、そんな税理士を探すのは至難の業です。
そこで「会社として税理士に求めるものが何なのかを明確にし、それを税理士紹介会社に伝えてピックアップしてもらう」という方法も一案です。
日頃の仕事と並行しての税理士探しは労力のかかるものですし、焦って契約した後で「こんな税理士に頼まなければよかった…」等と悔やむことになっては大変です。
インターネットでの検索や知人からの紹介で巡り会えれば御の字ですが、実際はそうもいかず、時間や手間ばかりがかかるといったケースが多いものです。
各種項目のチェックをした結果、検討を進めていた税理士との契約に一旦ストップをかけようと考える場合もあるかもしれません。そんなときは、自社に適切な税理士を「どのように探すのか」という、「税理士を探す方法」についても着目してみてはいかがでしょうか。
また、初めて顧問契約を結ぶ方のみならず、「既に税理士と顧問契約しているが、疑問を持っている」という場合にも、税理士紹介会社の利用はお薦めできます。
経営を取り巻く環境は、常に流動的です。経営者の方としては「不景気のさなか、どうすればよいのか?」「自社でも受給可能な助成金等はないだろうか」「少しでも経営にとってプラスとなる選択をしたい」と日々考えを巡らせているでしょう。
税理士と顧問契約を結んでいる会社であれば「顧問税理士に相談してみよう!」と考えるでしょう。そして、上記の悩みを打ち明けたところ…
「専門外なので、よくわかりません」
「税理士としてのアドバイスは特にありません」
「どこの会社も困っているのは一緒ですよ」
こんな言葉が返ってきたら、どのように感じるでしょうか? 定期的に負担してきた顧問料についての疑問が生じたり、税理士との関係性を見直したくなるのは当然です。
しかし、税理士変更は「税理士を変更する」という情報を伏せながら進めることになるという、初めての顧問契約とはまた異なる労力もあり、自力で行うことはかなりの負担となることが多いです。
既に顧問契約を結んでいるからこその、悩ましさもあるでしょう。変更した結果、後悔することになるのは避けたいものです。また、現在の不満が解消されるような契約を結び、経営にプラスになる判断をしたいところです。
そんな場合も、税理士紹介会社を利用することは有効です。税理士紹介会社には、税理士変更においてもマッチングの蓄積があります。より自社のニーズに適した税理士に出会える可能性が高まるでしょう。
税理士との契約を成功させるために、事前準備を怠らない
新規に顧問契約をする場合でも、税理士変更による顧問契約の見直しの場合でも、大切なのは契約内容と、その税理士が自社にとって適切かどうかの見極めです。
契約に向けて動き出してもなお、
「いざ税理士と契約して、後悔するようなことになったらどうしよう」
「契約に、何か見落としがあったらどうしよう」
「契約内容について勘違いをしている箇所があり、いざというときに問題にならないだろうか」
といった不安は、ついてまわるものです。これは仕方のないことですが、ただ闇雲に検討を続けても、不安を拭うことはできません。
不安を解消し、税理士との契約を前向きに進めるのであれば、やはり「自社が税理士に求めていることは何か」をしっかりと洗い出しましょう。
また、もしも顧問契約をしている税理士に不満があるのならば、「相談や交渉で解決できそうか、税理士変更により解決するのか」を検討してみましょう。契約前の事前準備・事前確認が重要です。
税理士と良好な関係を築くことは、経営にとってプラスに働きますが、容易にできるものではありません。幸運にも、求める能力や人物像とぴったりの税理士であれば、関係性を育てていくことも望めますが、そう上手くいくとも限りません。
ニーズや不満点を明確にすれば、ミスマッチの可能性を下げることができ、よい契約を結ぶことに繋がります。そして、気になる税理士がいれば上記のチェックをし、税理士を上手く見つけられない場合は、知人の紹介や税理士紹介サービスの利用を検討するという方法もあります。
特に、税理士紹介サービスでは、第三者的な立場から税理士を紹介するので、自社の求める税理士像に近い人を絞り込んでから面談へ進むことができます(知人の紹介の場合、「その知人にとってはよい税理士だが、自社にとっても同様とは限らない」というケースもあります)。
「その税理士の人となり」は、税理士事務所の問合せフォームやメールでのやり取りでは掴みづらいものです。顧問契約は、経営にとっては大きな判断ですから、こうしたサービスの利用も、事前準備の1つです。
一度契約を結んでから見直すのは、なかなかの労力です。そして、「何かが起こってから契約の不備に気づく」「契約の不備に気付いたときには、手遅れになっていた」といったことのないようにしましょう。
まとめ
税理士との契約は、会社にとって大きな決断です。その成否は、経営にも大きく影響するといっても、過言ではありません。
・契約を考えている税理士の、仕事への意識・料金体系の明確さ・対応力・提案力を見極める
・契約前に、自社が税理士に求めるもの・いくらまで負担できるのかを明確にしておく
・マッチングミスを避けるためには、税理士紹介会社の利用も有効
契約内容や、契約しようとしている税理士、また税理士の探し方について、上記の点について改めて検討してみることをお薦めします。
株式会社タックスコム:代表取締役
会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談を行い、相談実績は1万件を超える。2017年に執筆した書籍「税理士に顧問料を払う本当の理由」は、出版から半年にわたりAmazonカテゴリ「税理士」で1位を獲得。2021年に実施した日本コンシューマーリサーチの調査では、税理士紹介サービスで顧客満足No.1を獲得。
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