税理士をつける必要性とは?もしつけなかった場合にどうなるのか? | 税理士コンシェルジュ

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税理士をつける必要性とは?もしつけなかった場合にどうなるのか?

会社経営をしていくにあたって、「顧問税理士をつけなくては」「税理士をつけるのが普通だろう」といった考えをお持ちの経営者の方は多いものです。

一方、「うちの事業規模では、税理士をお願いするほどではない」「これまでも税理士なしでやってきたから、しばらくは大丈夫だろう」と考える経営者の方も少なくありません。

たしかに税理士探しは大変ですし、探すにあたってはコストもかかります。税理士の必要性を明確には感じずに「できれは税理士をつけずに(顧問契約をせずに)済ませたい」と考えるのも無理はありません。

一方、多くの書籍やセミナー等では「事業を営むのであれば、税理士と顧問契約を結ぶべき」と推奨しています。また、実際に多くの企業が税理士と顧問契約をしています。

税理士との顧問契約は、本当に必要なことなのでしょうか? 「税理士と顧問契約を結ばない」という選択をした場合、どのようなことが起こるのでしょうか。

ここでは、「もしも会社が税理士をつけなかったら」という想定のもと、そのメリットとデメリットについて検討していきます。

税理士をつける必要性はあるのか?ないのか?

税理士をつける必要性の有無を判断するために、税理士と顧問契約を結ばない(税理士をつけない)場合のメリットとデメリットについて考えてみましょう。「税理士をつける必要性を感じない…」と思ったときに、ぜひ比較検討してみてください。

メリットとしては、以下のことが挙げられます。

1、税理士をつける必要性を感じなかったら~契約しない場合のメリット

1、顧問契約料がかからない

税理士に仕事を依頼しなければ、その分の費用は発生しません。最大のメリットは、これです。

税理士にかかるコストは決して軽いものではなく、場合によっては収益を圧迫することもあるくらいです。

税理士費用の具体的な金額は、税理士によって、また税理士に依頼する仕事の内容によって様々です。また、税理士費用を下げる方法もあります。

参考記事:税理士費用の金額を下げる3つの方法

とはいえ、顧問契約となればその契約料は積み重なっていくものであり、それなりの額になることは間違いありません。税理士をつけなければ、この負担は不要になります。

2、税理士とのやり取りの手間がかからない

税理士と顧問契約を結んだ場合、必要な手間が生じます。

例えば、月次の面談には面談をするための準備が必要です。また、税理士に渡す資料が必要となれば、ある程度は整理整頓する必要がありますし、通帳や契約書のコピー等、事務的な手間もそれなりの量となるでしょう。

税理士をつけなければ、税理士とのやり取りも当然発生せず関連業務もなくなります。

3、リアルタイムで経営を把握できる

顧問税理士がいない会社では、経営者の方あるいは社内の担当者が税務会計を行うことになります。

また、経営に関わる重要な数字で社内の人にも見せるわけにいかないような内容であれば、経営者の方が自ら管理するしかありません。

このように経営者の方がすべての会計・税務を処理できれば、日ごとの数字の動きをリアルタイムで把握することができますし、事業のスピード化にも貢献します。

アウトソーシングせず自社内で行うことにより、担当者のスキルアップにも繋がるかもしれません。

2、税理士をつける必要性を感じなかったら~契約しない場合のデメリット

では、税理士と顧問契約を結ばない(税理士をつけない)場合、どのようなデメリットが生じるでしょうか。

1、税務署への対応力に不安が生じる

事業規模が小さく、取引も簡素なものであればよいのですが、専門的な税務ノウハウを必要とするレベルの場合、専門家ではない者の独学による決算・申告には危うさがつきものです。

何かを税務調査で突かれた場合、よほど税務会計に自信がない限り、税理士不在の対応となるとかなり苦慮することになるでしょう。

例えば、貸借対照表上の項目について細かく指摘された場合や、細かい適用要件がある税制を用いていた場合に、臆さずに自ら説明できるでしょうか。

あるいは、収益の計上漏れや計上時期のズレについての指摘があった場合、とっさに対応できるでしょうか。

そして、税務調査では何より日頃の対策・準備が求められます。税務調査が来ることになってから用意していたのでは、大抵の場合は手遅れです。

「もしも税務調査が入ったらどうしよう…」と不安を抱えながら日々の業務を行うのは、かなりのストレスであり、事業的にも不安要素を抱えることになるといえます。

2、よりコストがかかる場合がある

事業において、最も高価なコストは人件費です。税理士との顧問契約と、自計化のために経理職員を雇うことを冷静に比較してみたとき、よりコスト高となるのはどちらなのでしょうか。

事業形態や、従業員の構成にもよりますが、冷静に比較した結果、一概に「税理士との顧問契約は高い」とはいえないかもしれません。

ある程度の規模の事業において、その会計管理は何かの仕事の片手間にできるようなものではありません。税理士等のような専門家でなければ、なおのことです。

また、担当を任せた従業員がずっと自社にいるとは限りません。もしも、その従業員が退職した場合、引き継ぎコストがかかります。一定レベルの管理を安定して行うことも難しいでしょう。

税理士をつけなければ、かえってコスト高になってしまう場合もあるかもしれません。

3、経営に集中できない

事業を営む経営者の方にとって、時間は何よりも貴重なものです。経営に集中できることが理想的ですし、会計・税務の末端作業まで行うことが、果たして経営に寄与しているかどうかは、評価が分かれるところです。

事業規模にもよりますが、経営者の方が自ら行うことになった場合、経営に集中できるとはいえない状況になるでしょう。

日々の会計管理や諸書類の整理、各種申告等の煩雑なことに追われるのは、経営者の方にとって望ましいこととはいえないのではないでしょうか。

税理士をつける必要性がある場合とは?

次に、税理士と顧問契約を結ぶと、どのようなメリットがあるのかを挙げます。どんなとき、税理士をつける必要性があるといえるのでしょうか。

1、正確な会計処理・税務申告がしたい場合

昨今、会社内の経理では、会計ソフトへの入力が基本になっています。しかし、今でも記帳代行は税理士との顧問契約の柱といっても過言ではありません。

費用の節約のために自計化(自社での経理、記帳)をする会社も多いですが、会計ソフトを上手く使いこなせなかったり、仕訳の仕方が適切でなかったりすると、せっかくの自計化もかえってコストを生んでしまいかねません。経理に詳しい人材を新たに雇用すると、税理士との顧問契約料をはるかに上回る人件費が発生します。

また、最近では、各種申告もデジタル化・オンライン化が進んでいます。こうした時代の流れに積極的に対応するためにも、専門家についてもらうことは有意義といえるでしょう。

参照:国税庁ホームページ オンライン手続の取組

税理士に依頼することには、費用対効果の面からも業務の正確性からもメリットがあります。

2、節税効果を求める場合

税理士は、最新の税制情報や節税につながる行政の施策等に詳しいです。また、自社の業界や業種に詳しい税理士は、どんな取り引きをどこまで費用計上できるかといったノウハウにも通じています。

こうした情報を、税務のプロではない人が自力で集めることは至難の業です。非常に流動的であるため、情報を得るためには時間も手間もかかります。また、申請をするには非常に複雑な手順が必要な場合もあります。

複雑な要件や、期限に限りがある特例措置をプロではない人が用いようとすると、かなり苦労することになります。また、万が一不備があった場合、税務調査で指摘されたり、最悪の場合には追徴金等が発生することもあります。

また、ウェブ記事等で見かけた「こうすれば節税できる!」「誰でも節税が可能」等といった言葉に惹かれて、安易に節税対策を採用してしまうと、長い目で見たときに損をするような内容になっていたり、自社にとってはマイナスのほうが多くなってしまう場合もあります。この見極めは、非常に難しいものです。

税理士に依頼することには、節税の面でのメリットもあります。

3、業績についての報告やアドバイスがほしい場合

通常の顧問契約では、月次等の定期的な報告と税理士との面談があります。

そこでは、記帳代行で依頼していた会計処理をまとめた結果の報告と、それに基づいた経営計画に対するアドバイス等を受けられます。

定点観測的に、第三者の目で経営をチェックしてもらうことが経営にもたらすプラスは大きいものです。冷静な意見をもらえますし、何かを判断をする際にも大いに参考になるでしょう。また、この機会にと、試算表や財務諸表の見方を覚えていく経営者の方も多いです。

税理士に依頼することには、事業業績の把握とともに、経営者としての学びの機会を得られるというメリットもあります。

税理士の必要性は、税務調査対策からも検討

上記のように、顧問税理士の有無にはそれぞれメリットとデメリットがあります。これらについて、どのように判断するかは経営者の方の価値観や、経営の規模や状況によるでしょう。

しかし、現実的には経営者の方の多くが顧問税理士をつけています。この背景には、「顧問税理士をつけるのは、税務調査への保険である」と考えている経営者の方が多くいると考えられます。

税務署の職員を相手とした交渉は、税理士以外にはかなり難しいものですし、無理をして交渉した結果が裏目に出て、何らかのペナルティが課せられることもあります。これを回避することは、大きなメリットです。

特に、無責任な節税提案をしてくる税理士ではなく、税務調査までを見据えた提案・対応を日頃からしてくれる税理士であれば鬼に金棒です。

参考記事:税理士は節税提案があると同時に税務調査の対策が重要

会社経営において、顧問税理士を必ずつけなくてはいけない、という訳ではありません。「税理士はつけるのが普通」等と固定観念にとらわれる必要も、必ずしもないと思います。

しかし、メリット・デメリットを比較し、メリットのほうが大きそうであるならば、顧問税理士の依頼を前向きに検討してみるのも一考です。多くの税理士が、専門知識と豊富な経験を活かして、経営者の方の力になりたいと考えていますし、経営においても得るものは少なくないといえます。


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