税理士の料金は、こう決まる!~判断基準と、相場観
「税理士料金が、何を基準にしているのかわからない」
「言い値で契約させられているようで怖い」
「料金の仕組みがあれば教えてほしい」
経営者の方から、このような意見を聞くことは少なくありません。税理士の料金については、多くの人が不透明感を抱いているようです。
たしかに、知識に基づくノウハウを提供するサービスですから、言い値であることは仕方がないかもしれません。しかし、それでも「一定の基準や料金表があれば、納得もできるのだが」と不満に感じている人も多いのではないでしょうか。
不明瞭であるといわざるを得ない税理士の料金とは、どのようにして決められているのでしょう。この記事では、税理士の料金の仕組みと相場について解説していきます。
※注:もし今税理士をお探しなら、税理士コンシェルジュの『厳選税理士紹介サービス』をご利用ください。実績1万件以上!面談済み税理士1000名の中からピッタリの税理士を無料でご紹介いたします。
目次
税理士の提供する主なサービス
端的にいえば、税理士料金の価格は提供するサービスの内容と量によって決められています。まず、サービスの内容についてみていきましょう。税理士の代表的なサービスは3つあります。
1、顧問契約
税理士の仕事の主なものとして、事業主と契約を結び、企業の顧問となることがあります。顧問になると、会計・税務のサポートを主とし、また、それに付帯して資金繰りや経営コンサルタント的な役割も果たします。契約は、一般的には月単位となります。
2、決算申告
決算月の決算処理や税務申告などを請け負います。これに類する、月単位以外の仕事としては、従業員のいる企業の年末調整や、法定調書の作成なども、顧問先からの依頼があれば行います。
3、相続税申告
顧問先の会計・税務以外に目立つ仕事としては、相続のサポートが挙げられます。相続税の申告はとても難しいもので、専門家のアドバイスが必須です。税理士は、遺産分割協議などでのサポート役や、相続財産に対する相続税の試算、各相続人の相続税の予測などを行います。
※税理士の役割を詳しく知りたい方は『税理士の役割を把握して、経営の味方に』をご覧ください。
税理士の料金が決まる、4つの判断基準
上記したものが主な税理士のサービスですが、料金はサービス内容に加え、以下のように作業の質や量を判断基準として算出されます。
1、売上規模
1つ目は、請け負う規模です。規模の図りかたとしては、会計・税務の支援であれば企業の売上高が参考になりますし、相続であれば遺産の総額が料金算出の基準になります。
2、作業量
2つ目は、作業量です。企業との顧問契約であれば、取引回数や契約書、領収書などの量によって、一定の基準を設けている場合があります。仕訳の数などを区切って、料金表を作成している税理士もいます。
3、作業の複雑さ
3つ目は、作業の複雑さです。業界・業種によって、作業の複雑さは変わってきます。簡素な取引きで問題ない場合もあれば、複雑な会計処理を強いられる場合もあります。かかる手によって、料金も変わります。
また、相続においては、相続人の数や親族の人間関係、相続財産の種類などによって、大きく作業の複雑さが左右されます。「相続の場合には、個別の見積り」というかたちをとる税理士が多いですが、これがその理由です。
4、面談回数
4つ目は面談回数です。サービスを提供する側からすれば、最も高いのは人件費です。したがって、税理士が動く回数が多いほど、料金にも影響します。顧問契約の場合、月次の報告や相談で顧問先を訪れる頻度を、予め決めておく必要があります。もちろん頻度が低いほうが、料金は安くなります。
また、相続においては、遺産分割協議への立ち会いや、諸々の話合いの場でのサポート、予定納税額の説明などで、税理士の時間を取ることが多ければ、料金も高くなります。
企業に対する税理士のサービス内容と、料金の相場
では、具体的な金額はどのようになっているのでしょう。上記のように相続などではケースごとにかなり異なりますので、ここでは企業に対するサービスの内容について、その相場を見ていきましょう。
1、顧問契約
主に売上高が基準となって、相場が形成されています。税理士の独占業務全般と、毎月の訪問で会計資料の説明や経営相談などを行います。小規模な事業では月に2万円程度、売上高5000万円以上になると、月に3~5万円くらいが相場です。
2、決算申告
毎月の顧問契約料とは別に、決算申告時には別途で決算料金がかかります。概ね顧問契約料の4~6か月分が相場です。
3、記帳代行
通常は顧問契約に含まれるものですが、相談業務などを必要とせず、純粋に経理処理のみを外注するパターンです。売上高や経理資料の多さなどで料金が決まりますが、概ね月額1万円前後が相場です。
4、年末調整
会社で従業員を雇っている場合、会社が代行して税務申告を行います。いわゆる「年末調整」です。これも税理士に丸投げすることができます。相場としては、従業員10人前後で2万円程度、あとは人数の増減次第で要相談となります。
税理士料金の仕組みは、オーダーメイドと同じ
税理士の提供するサービスが多彩かつ、様々な組合せが存在するため、料金が不明瞭であるという印象になるのも無理はありません。しかし、料金が算出される仕組みは、他のサービス業と何ら変わるところはありません。
例えば、オーダーメイドのスーツを作る際に、体のすべてのパーツを採寸するところから始まるフルオーダーと、いくつかのパターンから選んでいくセミオーダーでは、どちらの料金が安いでしょうか? 一着作るのと、五着作るのでは、どちらが安いでしょうか?
税理士に支払う料金も同じです。つまり「どんなサービス」を「どれくらい利用するか」によって決まる、ということです。より難易度の高いサービスを、数多く必要とすれば、自ずと税理士の料金は高くなる訳です。
近年では、料金表やサービスメニューを提示する税理士も増えています。契約前の相談をするときに、税理士のほうから「どのようなサービスがあるのか」を説明し、その上でかかる料金を見積もってくれるのであれば、「料金が不明瞭で不安・・・」という問題は解消されます。
顧客の持つ料金に関する疑問について、丁寧に説明してくれることは、よいサービスを提供する税理士であるという目安にもなります。「この税理士は、料金について明瞭に示してくれているか」を、仕事を依頼するか否かの判断材料の1つにしてもよいでしょう。
株式会社タックスコム:代表取締役
会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談を行い、相談実績は1万件を超える。2017年に執筆した書籍「税理士に顧問料を払う本当の理由」は、出版から半年にわたりAmazonカテゴリ「税理士」で1位を獲得。2021年に実施した日本コンシューマーリサーチの調査では、税理士紹介サービスで顧客満足No.1を獲得。
▢こんな記事も読まれています
- 税理士を雇うタイミングとは? メリットデメリットから依頼費用の相場まで解説「自社でもそろそろ、顧問の税理士をつけた[...]
- 税理士に丸投げできる業務範囲とは?メリットや費用を抑える方法も解説目次どこまで税理士に丸投げできる? 確定[...]
- 税理士の月々の費用相場はいくらが適切? 顧問料金が高いと思った場合のチェックポイントも解説目次税理士を雇う際の月々の費用相場個人で[...]
- 税理士に依頼する際の費用相場を解説!料金を下げる3つのポイントも紹介税理士に支払う費用は、低いに越したことが[...]
- 個人事業主が税理士に依頼するタイミングと値段個人事業主として仕事を進めていくと、ある[...]
▢一番読まれている記事
- 小計・合計・総計・計・累計の違いって何?正しい使い方をマスターしよう!
- 決算書の「マイナス三角△」の意味とは?具体的な使い方など日本独特の会計事情
- 所得金額と収入金額の違いとは?確定申告で必要な基礎知識と計算方法
- 「棚卸し」とは?意味や目的、作業方法まで分かりやすく解説
- 金融機関お届け印とは?実印と同じ印鑑で兼用しても大丈夫?
- マイナンバーと預貯金口座が紐付けされるとどうなる?
- 「続柄」の正しい読み方・書き方とは?書き方一覧と基礎知識
- 年商とは?売上高との違いや一般的な使い方など年商の基礎知識
- 法定福利費とは?種類や負担料率、計算方法、福利厚生費との違いまで解説
- マネーの虎で最も成功した「フランスロール」成功者の波乱万丈な人生のまとめ