税理士がミスをした場合の責任と損害賠償|善管注意義務違反の基準と対応方法
📋 この記事でわかること
- 税理士に責任を問える「善管注意義務違反」の基準
- 税理士のミスとして損害賠償請求できる主なケース
- 税理士に責任を問えないケース(経営の結果責任との違い)
- ミスが発覚したときにとるべき初期対応
- ミスの多い税理士を早期に見つけるための決算書チェック方法
「税理士が申告書を間違えて、追徴課税を受けた」「税理士のせいで必要以上の税金を払い続けていた」——こうしたトラブルが実際に起きたとき、税理士にどこまで責任を問えるのでしょうか。
税理士への責任追及は、「善管注意義務違反」という法的な基準に基づいて判断されます。しかし、経営の結果責任については税理士に問うことはできません。税理士に問える責任とそうでない責任の境界線を正確に理解することが重要です。
税理士紹介を専門とする株式会社タックスコムが、20年・26,000件以上の紹介実績をもとに、税理士のミスの責任範囲と正しい対応方法を解説します。
目次
「善管注意義務」とは何か
税理士と経営者の関係は、法律上「委任契約」に基づいています。委任契約では、受任者(税理士)は「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」をもって業務を行うことが義務付けられています(民法第644条)。
つまり、税理士はその職務に求められる専門家として通常期待される水準の注意を払って業務を行う義務があります。この義務に違反した場合を「善管注意義務違反」と呼び、損害賠償の対象となります。
山下健一著『税理士に顧問料を払う本当の理由』(Amazon税理士カテゴリ1位)では次のように述べています。
「そうは言っても税理士に責任があるミスも起こりえます。これを善管注意義務違反というのですが、例えば提出した申告書に明らかな計算間違いがあった場合は税理士の責任となります。また、必要以上に税金を払ってしまっている場合も善管注意義務違反となります。」
税理士に責任を問えるケース(善管注意義務違反の主な例)
① 申告書の計算ミス
提出した申告書に明らかな計算間違いがあり、それによって追徴課税・延滞税・加算税が発生した場合、税理士の責任として損害賠償を請求できる可能性があります。
② 申告期限の失念・遅延
税理士が申告期限を把握していながら失念・遅延させた場合、無申告加算税・延滞税が発生します。これは明らかな善管注意義務違反です。
③ 必要以上に税金を払わせている(過大納税)
書籍では次のように指摘されています。
「これは、公にならないことも多いのですが本来払うべき必要がない税金も支払ってしまっていることがあるのです。当然ですが、経営者は払う必要がないお金は、払うべきではありません。税務調査で何もないことがいいとは限らないもので、必要以上にお金を払ってしまっている危険性も実はあるのです。」
適用できたはずの控除・特例・減額措置を見落として過大な納税をさせていた場合、これも善管注意義務違反となります。
④ 適切な税務アドバイスを行わなかったことによる損害
経営者が特定の情報を提供していたにもかかわらず、税理士が適切なアドバイスを怠って損害が発生した場合も、責任を問える可能性があります。ただし、「情報を提供していた」という事実の証明が重要です。
⑤ 守秘義務違反
税理士が業務上知り得た経営者の財務情報を第三者に漏らした場合、守秘義務違反として損害賠償の対象になります。
税理士に責任を問えないケース
一方で、以下のケースは税理士に責任を問うことができません。
⚠️ 税理士に責任を問えないケース
- 経営判断の失敗:税理士のアドバイスを参考に経営者が下した判断の結果責任は経営者にある
- 経営者が情報を隠していた場合:正確な情報を提供しなかったことで生じた問題は、税理士に責任を問えない
- 税法の解釈が複数ある場合:グレーゾーンの処理で税務署と見解が異なった場合、税理士の一方が明らかに誤りでない限り責任追及は難しい
- 売上が上がらなかった:税理士は財務の専門家であり、売上拡大の責任は負わない
書籍でも次のように明確に述べられています。
「会社の経営のうまくいった、いかなかった、その責任はあくまでも経営者がとらなければなりません。税理士は税務署から指摘されないように税務申告書を作成したり、また、経営が効率的に進むようにアドバイスはしますが、経営の責任をとることまでは求めてはいけないのです。」
ミスが発覚したときの初期対応
- 事実関係を冷静に確認する:感情的にならず、何がミスで何がそうでないかを整理する。証拠となる書類(申告書・メール・議事録など)を保全する
- 税理士に直接確認する:まずは担当税理士に「この申告書の○○の処理は正しいか」と具体的に問い合わせる。誠実に対応してもらえる場合は、修正・補償の交渉ができる
- 別の税理士にセカンドオピニオンを求める:ミスかどうかの判断が難しい場合は、別の税理士に現在の申告書を確認してもらう
- 修正申告・更正の請求を行う:過大納税が判明した場合、「更正の請求」により過去5年分の還付を受けられる可能性がある。速やかに手続きを行う
- 損害賠償請求を検討する:税理士が責任を認めない場合、税理士会への苦情申し立て・弁護士への相談を検討する
ミスの多い税理士を早期に発見するための決算書チェック
書籍では、ダメな税理士を決算書で見分ける方法として以下が挙げられています。
💡 決算書で確認すべき4つのポイント
- 通帳残高と決算書の普通預金残高のズレ:期末の通帳残高と決算書の普通預金が一致しているか確認。ズレがあれば他にも問題がある可能性
- 仮受金・仮払金の大量残存:内訳不明の仮受金・仮払金が多く残っている場合、処理が未完成のまま申告している可能性がある
- 実態と異なる売掛金・買掛金:回収不能な売掛金が長年残っている場合、金融機関評価が下がるリスクがある
- 社長への短期貸付金が長期間残っている:このまま残していると借入ができなくなるリスクがあるが、説明がない場合は問題
税理士コンシェルジュが「ミスのない税理士」を紹介できる理由
- 代表・山下健一が紹介前に税理士と直接面談しているのは業界で当社だけ。仕事の正確性・コミュニケーションの丁寧さを確認済み。ミスが多いレベル1は審査段階で除外。登録率30%以下の厳選1,600名以上から提案
- 担当スタッフ全員が決算実務10年以上の経験者。「現在の決算書に問題がないか」の確認から対応。ミスが疑われる場合のセカンドオピニオン的な相談にも対応
- 20年・26,000件以上の紹介実績。税理士の変更についても最適なタイミングと手順をサポート
- トラブル発生時の対応については税理士トラブルの対処法の記事もあわせてご確認ください
まとめ
- 税理士に責任を問える根拠は「善管注意義務違反」。申告書の計算ミス・申告期限の失念・過大納税・守秘義務違反などが該当する
- 経営判断の結果責任・情報を隠していた場合・売上が上がらなかったことは税理士に責任を問えない
- ミスが発覚したら「事実確認→税理士への直接確認→セカンドオピニオン→更正の請求→必要なら損害賠償請求」の順で対応する
- 決算書の通帳残高・仮受金・売掛金・社長貸付金をチェックすることでミスの多い税理士を早期発見できる
- 税理士コンシェルジュでは仕事の正確性・誠実さを確認した税理士を無料で紹介
この記事の監修・運営
税理士コンシェルジュ編集部
株式会社タックスコム|代表:山下健一
2008年のサービス開始以来、「税理士選びの判断基準」を専門とする紹介サービスを運営。代表の山下健一が1,600名以上の税理士と直接面談し、登録率30%以下の厳選審査を実施。個人事業主から年商数百億円の上場企業まで、累計26,000件以上・20年にわたる紹介実績を持つ。担当スタッフは全員、決算実務10年以上の経験者。
いきなり税理士を紹介するのではなく、「そもそも変えるべきか」「紹介を使うべき状況か」という判断の整理からサポート。テレビ東京・週刊ダイヤモンド・経済界・税理士新聞などのメディアに掲載実績あり。代表著書『税理士に顧問料を払う本当の理由』はAmazon税理士カテゴリ1位を獲得。
面談済み税理士 1,600名以上登録率 30%以下紹介実績 26,000件以上創業 20年Amazon 税理士部門 1位
最終更新日:2026年3月27日
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