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安い税理士の探し方と、格安顧問料のリスクとコスパの見極め方

顧問料の安さを手がかりに依頼先を探すとき、安い税理士という言い方でひとくくりにされる価格帯には、性質の違う複数の帯が混ざっています。その差がどこから生まれているのかというカラクリを、先に見ておきたいところです。

ここでは書籍が挙げているレベル別の月額報酬をもとに、帯ごとに何が起きているのかを並べます。費用対効果を金額の面から見直し、安さを理由に選んだ結果として失敗が生じる原因がどこにあるのかを順に示します。

監修者:
山下 健一(株式会社タックスコム代表)
20年・27,000件超の実績と1,600名との面談をもとに、経営者向けの税理士選びの情報を発信しています。

安い税理士の探し方と、格安であるからこそのリスクを考えている経営者

安い税理士という呼び方が指しているのは月額報酬の低い価格帯である

顧問料の安さを手がかりに探し始めると、最初に目に入ってくるのは月々に出ていく額です。そこで比べているのは負担の重さであり、受け取る中身がその数字へ書き込まれているわけではありません。表示から分かるのは金額だけです。

月額の表示は、どの仕事がそこへ含まれているかまでは示しません。記帳を自社で行うのか預けるのか、決算だけを頼むのか毎月の関与を受けるのかによって、同じ表示でも中身は入れ替わります。表示がそろっていても、実際の作業量は別物です。

安い税理士という呼び方は、この月々の支払額が低い位置に付いた括りにすぎません。括りが指しているのは価格帯であり、そこへ並ぶ事務所の仕事ぶりが一様であることまでは示していません。同じ価格帯の中にも違いは残ります。

価格帯という見方を採ると、上下だけでなく、その水準で何が起きているのかを重ねて読めます。書籍はこの並べ方を、関与の深さに応じた5つのレベルとして整理しました。区分ごとに月額報酬の目安まで置かれている点が要になります。

安さのカラクリを知る手がかりも、この並べ方の中にあります。安い税理士を探している経営者が確かめたいのは、低い帯へ並ぶ事務所がどのレベルに当たるのかというところです。ここがつかめると、支払額の比較だけでは見えなかった差が分かります。

書籍の区分は、資格の優劣を表したものとは違います。毎月どこまで踏み込むか、経営者の手元へどれだけの判断材料を残すかという、仕事の深さの違いを示した分け方です。ここを取り違えると、読み方も変わってきます。

以下では、低い帯の中身を書籍が挙げる実額に沿って開いていきます。下げる話でも上げる話でもなく、同じ支払額で何が戻るのかを並べる作業です。まずは区分の全体像から押さえます。

顧問料の水準は書籍が示す5つのレベルによって分かれている

高さの違う無地の柱が並ぶ前で、いちばん低い柱を指さしている経営者

書籍の第四章は、依頼先を5つの区分へ分けています。分け方の軸は、毎月の関与でどこまで踏み込むかという仕事の深さです。年商5,000万円規模の会社を前提に、それぞれの月額報酬の目安まで挙げられています。

レベル1の目安は1万5千円から2万円、レベル2は4万円から5万円です。レベル3は2万円、レベル4は4万円、レベル5は最低でも10万円という並びになります。

実額はいずれも書籍が挙げている目安であり、丸めずにそのまま写しています。数字だけを縦に読むと、順番どおりに上がっていない箇所が見つかります。

安い税理士という言葉で括られるのは、この並びのうち下に位置する帯です。ところが低いほうの帯は一つではなく、同じ水準の中に性質の違う二つが混ざっています。同じ低さでも、実際のサービス内容は同じではありません。

書籍は人数から見た割合にも触れており、低いほうの二つへ最も多くが集まると述べています。普通に探しているとその二つへ当たりやすいという指摘も、あわせて置かれています。分布の偏りは、探す側の体感と重なります。

安さのカラクリを読むには、まずこの並びを頭へ入れておく必要があります。安い税理士を候補に入れるなら、低さがどの区分から来ているのかを先に見分けたいところです。同じ水準に見えても、毎月受け取れるサービスは同じではありません。

区分の位置は、面談の場でそのまま尋ねる種類のものとは違います。毎月何をどこまで行うのかを具体的に聞き、その答えを金額と照らし合わせていくと、どの部分に当たるかが自然に見えてきます。確認する項目は後ほど整理します。

下の表は、書籍の第四章が挙げている実額と割合をそのまま並べたものです。前提として置かれている会社の規模まで含めて写しているので、自社の規模と照らすときはその欄も一緒に読んでください。

レベルの区分 月額報酬の目安 人数から見た割合 価格帯の位置
レベル1 1万5千円〜2万円ぐらい レベル1と2で6〜7割 最も低い帯
レベル2 4万円〜5万円ぐらい 同じ帯に含まれる レベル4と同じ位置
レベル3 2万円ぐらい レベル3と4で3割ぐらい 低い帯
レベル4 4万円ぐらい 同じ帯に含まれる レベル2と同じ位置
レベル5 最低でも10万円ぐらい 1000人のうち4〜5人ぐらい 最も高い帯
前提=年商5,000万円規模の会社の場合(書籍 第四章)

カラクリの中心はレベル2とレベル4が同じ実額の帯へ並ぶところにある

並びを縦に読むと、順番と金額が一致していない箇所が現れます。レベル2の4万円から5万円という目安が、レベル4の目安とほぼ重なっている点です。区分の上下と支払額の上下が、ここでねじれています。

このねじれが、安さをめぐるカラクリの中心にあたります。出ていく額が同じでも、毎月戻ってくる中身は二つの区分で大きく開きます。払う側から見れば、同じ負担で別の結果を受け取っていることになります。

安い税理士を探していたつもりが、上の区分と同じ帯へ着地していたという事態も、このねじれから生まれます。書籍はこの点を、レベル2の金額は意外に高めだという言い方で示しました。次の一文がその箇所にあたります。

実額だけを横に並べた比較では、このカラクリは見つかりません。同じ数字が二つ並んでいても、そこから区分の違いは読み取れないからです。数字の一致は、中身の一致を意味しません。

比較の材料が金額だけになっている場面ほど、安い税理士という括りは判断を鈍らせます。支払額が同じでも、そこにどの区分が入っているかまでは数字からは判断できないからです。そのわからない部分を、聞き取りで埋める必要が出てきます。

カラクリという言い方を使うのは、誰かが仕組んでいるという意味とは違います。仕事の深さと値付けが必ずしも連動しないという業界の仕組みが、そのまま並びへ出ているだけです。原因は人というより業界の仕組みにあります。

この構造を前提に置くと、価格帯の話は高いか低いかという一次元から離れます。支払額と中身の組み合わせで見る作業が、次に扱う費用対効果の話へそのままつながっていきます。カラクリを理解するのは、そのための事前の準備にあたります。

見てお分かりの通り、レベル2の金額は意外に高めで、レベル4の税理士と同じぐらいの月額報酬を取ることが多いのです。

出典:山下健一『税理士に顧問料を払う本当の理由』(ファストブック、2017年)

月額1万5千円から2万円の帯では手戻りと確認の回数が増えていく

最も低い帯にあたるレベル1の目安は、1万5千円から2万円です。この水準で毎月動ける工数には限りがあり、記帳の中身を一つずつ確かめる時間までは含みにくくなります。時間の配分が、そのまま業務の質に反映されます。

確かめる時間が短いと、数字の突き合わせが後回しになります。通帳の残高と帳簿の残高、売掛金の中身、仮に置いた勘定の整理といった作業が、決算の直前へまとめて寄ってくることになります。後ろへ回った分が消えるわけではなく、期末の数週間へそのまま積み上がります。

安い税理士を選んだ後に確認のやり取りが増えている場合は、安さそのものより対応への違和感のほうが先に残ります。質問の回数自体は悪いものとは言えませんが、同じ内容を何度も往復すると、社内の時間が削られていきます。

書籍は、この帯へ移った経営者がミスの多さを感じるようになると述べています。安さを理由に動いた先で、以前は目に入らなかった種類の手戻りが見えてくるという流れです。手ざわりの変化は、支払額とは別のところから来ています。

手戻りが増えると、社内で数字を扱う人の負担が先に膨らみます。安い税理士へ移って月々の顧問料が下がっていても、社内で毎月数時間が余分に取られているなら、その差は顧問料の安さだけでは取り戻せません。

ここに、安さのカラクリのもう一つの面が出ています。下げた分がどこへ消えたのかを追うと、社内の時間へ移っていたという結び方になります。費用対効果を測るときは、この移動分まで含めて数える必要があります。

扱っているのは、人の善し悪しの話とは違います。この水準で確保できる工数の範囲が、結果として仕事の粗さへ出るという、値付けと工数の関係の話です。カラクリを人格の話へ落とすと、失敗の芽がそこで残ります。

費用対効果は支払う金額と受け取る中身の釣り合いから測る

費用対効果という言葉は、支払額を下げれば上がるものとして扱われがちです。ところが分母と分子の両方が同時に動くため、支払額だけを下げても比が良くなるとは限りません。受け取る中身も一緒に減ることがあるからです。

ここで見る分子は、毎月手元へ戻ってくるものです。数字が確定している状態、判断に使える材料、そして社内が抱えずに済んだ作業が、その中身にあたります。分母は年額へ直した支払いの総額です。

安い税理士を候補に入れる場面では、支払額の安さが先に目へ入ります。受け取る中身は金額のように表示されないため、比べる材料として並びにくいという事情があります。見えやすい側だけで判断が進んでいきます。

書籍の並びを使うと、分子の側にも目安が置けます。レベル2とレベル4が同じ帯にあるなら、同じ分母で分子だけが入れ替わるということです。費用対効果の差は、支払い額よりも受け取る中身で生まれています。

最も低い帯にいる場合も、測り方そのものは変わりません。安い税理士の分母に対して、毎月何が戻ってきているのかを書き出すと、比は自分の手で計算できます。書き出す項目は先に決めておくと楽になります。

年額へ直すと、差の大きさはつかみやすくなります。月額2万円なら年24万円、月額4万円なら年48万円という並びになり、その差の24万円で何が変わるのかという問いへ置き換えられます。費用対効果は、この置き換えで初めて比較できます。

費用対効果の話を支払い額の面から始めると、比較の基準がぶれません。任せる幅の広さから測る見方も別にありますが、ここでは価格帯という一本の軸に絞り、支払額と中身の釣り合いだけを扱います。安さのカラクリを測るのも、この軸の上です。

安い税理士へ移った会社が最初に気づくのは連絡の間隔の変化である

数字のない壁掛け時計の下で、無地の封筒を両手に持って立っている経営者

書籍は、レベル2と付き合っている経営者について、支払いに見合うものが返ってこないと受け止めている人が多いと述べています。支払額は4万円から5万円の帯にあり、決して低い位置とは言えません。

その手ざわりを抱えたまま金額の話へ向かうと、安いほうが良いという判断が出てきます。同じように何もしてくれないのであれば、出ていく額は低いほうが得だという読み方です。筋道としては自然な流れにあたります。

安い税理士へ移った直後は、下がった顧問料が先に手応えとして残ります。年額でまとまった差が出ることもあり、その分が別の用途へ回せるという実感が、動いた判断を支えます。ここまでは想定どおりに進みます。

変化が表に出てくるのは、月次のやり取りを何度か重ねた後になることがあります。試算表が届くまでの日数、質問への返答が戻る間隔、決算の直前に集中する確認の量といったところに、少しずつ差が現れます。どれも契約を結ぶ場では見えていなかった部分にあたります。

下がった水準にも慣れ、試算表を何度か受け取ったあたりで、安い税理士へ移ったあとに戻ってくる手ざわりが、何もしてくれないという以前の不満と重なってきます。書籍が描いているのも、まさにこの重なりです。支払額を下げても、不満の根拠は解消されません。

起きているのは、不満の出どころを金額に置いたことによるずれです。もともとの不満が関与の深さから来ていたのなら、支払額を動かしても解けません。安さのカラクリは、この置き違いを覆い隠します。

だからこそ、動く前に不満の中身を言葉にしておく作業が効きます。顧問料が高いのか、戻ってくるものが少ないのか。

この二つを分けて書き出すだけで、費用対効果の測り方も定まります。失敗を避けるための基本はここにあります。

失敗が生まれるのは価格帯を下げ続ける往復の途中である

書籍には、レベル1とレベル2を何度も交換している経営者もいると書かれています。下げては戻し、戻してはまた下げるという往復が、繰り返されているという記述です。こうした往復が繰り返されています。

往復の途中で積み上がるのは、引き継ぎに要する時間です。過去の資料を渡し、自社の事情をもう一度説明し、勘定の使い方をそろえ直す作業が、動くたびに一式ずつ発生します。支払額の差では埋まりにくい部分です。

安い税理士を選んだこと自体が失敗にあたるわけではありません。失敗として残るのは、価格帯を動かすだけで不満を解こうとして、往復から抜けられなくなる状態のほうです。動く回数が増えるほど、手元の時間は減ります。

書籍は往復の先に、どこへ頼んでも変わらないという結論へ至ってしまう流れも記しています。二つの帯だけを行き来していれば、そこで見える範囲が全体のように映ってくるという構造です。安さのカラクリは、ここまで影響します。

この結論に立つと、上の区分を候補へ入れる道そのものが閉じてしまいます。安い税理士が多い価格帯から出ないまま判断を重ねることが、選べる範囲を狭めていくという意味で、失敗の中身にあたります。往復の回数は、そのまま失った時間の量です。

対策は、金額を変える前に確認する項目を決めておくことです。何が足りないのかを先に言葉へ直しておけば、下げるか上げるかという二択から離れられます。

項目は多くなくても構いません。三つか四つで十分に役立ちます。

往復を止めるのは、我慢でも根性でもありません。位置を測る物差しを一度作っておくこと、そして測った結果を書き残しておくことです。

記録が残っていれば、次の判断は前回の続きから始められ、同じ失敗を重ねずに済みます。カラクリを知った側の強みがここに出ます。

年商5,000万円規模の会社で安い税理士の金額の位置を測り直す

無地のコインの山と箱を載せた天秤を両手で支え、釣り合いを確かめている経営者

書籍が挙げている月額の目安には、年商5,000万円規模の会社という前提が付いています。自社の規模がこれより小さければ目安は下へ、大きければ上へずれると読むのが素直な使い方です。前提を外すと、数字だけが独り歩きします。

規模が小さければ、毎月の仕訳の本数も、決算で整理する勘定の数も少なくなります。同じ深さの関与でも、要する工数が減るぶん、目安の水準は下へ動きます。規模と工数は連動して動くものだからです。

安い税理士の価格帯にあたるかどうかは、この前提と照らし合わせて初めて判断できます。書籍の前提より大きい会社が月額2万円で依頼しているなら、それは目安から外れた位置にあるという読み方になります。安さのカラクリは、自社の規模を考慮せず数字だけを見たときに生じます。

逆に、前提より小さい会社が同じ水準を払っているのであれば、規模に対して低すぎるとは言い切れません。同じ2万円でも、規模が違えば意味が変わるということです。ここを飛ばすと、費用対効果の比較そのものが成り立ちません。

測り直すときは、年額へそろえるのが分かりやすい方法です。安い税理士かどうかを見る前に、月額の合計へ決算の報酬を足した年間の総額を出し、書籍の目安から起こした年額と並べます。並べた時点で、位置はおおよそ決まります。

年額でそろえると、比較に使う分母がはっきりします。自社の総額がどちらの帯へ近いのかが一目で読めるようになり、上下どちらへ動かすかという話も、感覚ではなく数字の上で進められます。

下の一覧は、位置を測るときに手元へそろえておきたい数字です。どれも社内の資料から拾えるもので、外部へ問い合わせなければ分からない項目は入れていません。そろえる作業は、資料の置き場所が分かっていれば短時間で終わります。

  • 前期の年商と当期の見込み額
  • 月あたりの仕訳の本数
  • 顧問料の年額と決算報酬の別
  • 記帳のうち自社で行っている割合
  • 月次の報告を受け取るまでの日数
  • 年に何回の面談を受けているかの回数

見積書の月額を並べる前に自社が渡せる材料を書き出しておく

位置を測ったあとに来るのは、候補と話す段になったときの準備です。ここで先に固めておきたいのは、自社から何をどの形で渡せるのかという点になります。渡せる材料の量は、月額の目安へ直接影響します。

記帳を自社で行い、月末までに仕訳を締められる体制があるなら、依頼する幅はそのぶん狭くなります。狭くなれば、同じ深さの関与でも月額は下へ動きます。安さは、値引きよりも分担から生まれる部分があります。

逆に、領収書を袋のまま渡す形が続いているのであれば、低い顧問料で引き受けてもらえたとしても、その水準に確認の工数は含まれていません。含まれないものは、社内へ戻るか、後回しになるかのどちらかです。

安い税理士を検討する場面では、この分担の線がどこに引かれているかを必ず確かめたいところです。分担の範囲が金額を決めているのであって、金額が先に決まっているわけではありません。順序を取り違えると失敗につながります。

書き出す形式は簡単なもので構いません。毎月の仕訳を誰が入力するか、証憑をどの形で渡すか、試算表をいつまでに受け取りたいか。この三つが決まっていれば、話は具体的に進んでいきます。

渡せる材料が決まっていない状態で月額だけを聞くと、返ってくる金額の前提がそろいません。前提の違う数字を横に並べても、安い税理士かどうかの判断には使えないままです。比べるための土台が先に要ります。

準備そのものは長くかかりません。手元に一枚あるかないかで、受け取る金額の意味はまるで変わります。ここを省くと、あとの比較がやり直しになり、往復の入口へ戻ってしまいます。

渡せる材料が決まっていれば、費用対効果の受け取る中身も同じ紙の上で説明できます。安さのカラクリで判断を誤りやすいのも、この段階です。

判断の材料がそろうと安い税理士という括りは自社の基準へ置き換わる

壁の木製ボードに真っ白なカードを3枚並べて貼っている経営者

ここまでで、金額の位置、区分ごとの目安、自社が渡せる材料の三つがそろいました。三つが手元にあると、安いか高いかという一次元の物差しから離れられます。判断の基準が、自社中心になってきます。

基準の作り方は難しくありません。年額をいくらまで出せるのかを決め、その年額で戻ってきてほしいものを三つ書き出すだけです。

三つに絞るのは、比べるときに扱える数がそのあたりだからです。書き出す先は紙でも表計算でも構わず、あとから見返せる形になっていれば十分です。

安い税理士という括りが役に立つのは、この基準を作るまでの入口としてです。基準ができたあとは、括りそのものを使う場面がなくなります。物差しが自社の言葉へ置き換わったからです。

戻ってきてほしいものの書き方は、数字と期日で表すと迷いません。試算表を翌月の何日までに受け取りたい、年に何回の面談を置きたい、決算の説明にどれだけの時間を取りたいという形です。費用対効果の分子は、この形で数えられます。

この形にしておくと、受け手の側も答えやすくなります。安い税理士かどうかという問いも、できるかできないかが明確に返ってくる問いへ変わり、金額の話と中身の話を同じ場で突き合わせられます。

基準を作る過程で、自社が本当に困っていた点が明確になります。顧問料そのものより、数字が届く速さや、聞いたことへ返ってくる時間のほうが気になっていた、という形で出てくることもあります。ここが見えると、費用対効果の読み方も変わり、失敗を未然に防げます。

下の順序は、価格帯から入り直すときに踏む手順です。金額を動かす前に位置を確かめ、動かしたあとに何が変わるのかを先に計算しておくという並びになっています。安さのカラクリを解いた後に残るのは、この順序だけです。

  1. 直近1期分の顧問料を合計し、決算の報酬を足して年額へ直す
  2. その年額で受け取った試算表の到着日と面談の回数を数える
  3. 書籍が挙げる区分ごとの目安へ自社の年額を重ね、位置を確かめる
  4. 一つ上の帯へ移した場合に増える支出を、年額の差として計算する
  5. 増える支出に対して手元へ戻る時間と材料を書き出し、差額と並べる

価格帯から入り直すなら安い税理士の比べ方を手順の形にしておく

最後に、ここまでの内容を動かせる形へ寄せておきます。価格帯から入り直すというのは、金額を起点にしながらも、金額だけで決めないという進め方のことです。起点と結論を分けておくのが要になります。

起点に年額を置く理由は、社内で共有しやすいからです。一つの数字であれば、経理の担当者とも経営の担当者とも共通の認識で話せます。共有できる数字があると、判断の速さが変わってきます。

結論を金額だけで出さない理由は、ここまで見てきたとおりです。同じ支払額で中身が入れ替わる箇所があり、安い税理士の中にも性質の違う区分が混ざっていました。安さのカラクリは、入口と出口を同じ数字で結ばせません。

手順の形にしておくと、次に見直す時期が来たときも同じ順番で進められます。一度作った順番は、担当者が替わっても残ります。

残った順番が、そのまま社内の基準になっていきます。費用対効果の測り直しも、同じ順番で足ります。

候補の集め方そのものを見直したい場合は、入口ごとの違いを押さえておくと迷いが減ります。安い税理士という括りの外へ出る手がかりとして、顧問料の水準から入り直す税理士の探し方を読むと、どの経路で候補を集めるかを決めやすくなります。経路によって、届く顔ぶれの帯が変わるからです。

安さに引っかかりを覚えたところが、この見直しの出発点だったはずです。引っかかりの正体は、支払額と中身が結びついていないという手ざわりであり、その手ざわりは正しいものでした。

年額を出し、目安と重ね、戻ってきてほしいものを三つ書く。この三つを済ませておけば、次に顧問料の話が出たときも、同じ場所から始められます。手順が残っていることが、失敗を遠ざけるいちばんの備えになります。

税理士コンシェルジュ事務局からのコメント
ご相談でよく伺うのは、顧問料を下げたのに手応えが変わらないというお話です。20年のあいだに27,000件超の実績を積み、1,600名の方とお会いしてきたなかでも、出ていく額だけを動かした見直しが、同じところへ戻ってくる場面を見てきました。安い税理士かどうかという問いは、年額と自社の規模を置いたあとで初めて意味を持ちます。まずは直近1期分の年額を出し、その額で何が戻ってきたのかを三つ書き出してみてください。安い税理士という括りから離れたところに、自社の基準が残ります。

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